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10事業のうち1つでも成功すれば十分| 合同会社 DMM.com 亀山敬司さん

10事業のうち1つでも成功すれば十分| 合同会社 DMM.com 亀山敬司さん

 

さくらインターネットは「IVS2022 NAHA」のスペシャルスポンサーとして、2日間に渡り「さくらインターネット特設ステージ」を開催しました。

ステージでは「失敗を讃えよう!」をテーマに、起業や経営における挑戦と失敗について、豪華ゲストをお招きして語っていただきました。

ゲストは合同会社DMM.com 会長 兼 最高経営責任者の亀山敬司さん。「領域とわず、何でもやる」というメッセージのもと、60以上の事業を展開しています。

亀山さんは、19歳で起業家人生をスタートし、1999年には株式会社デジタルメディアマート(現・DMM.com)を設立。これまでに数多くの事業を成功させています。そんな亀山さんにも「失敗」は数多くあったそうです。亀山さんが経験してきた失敗とは――

10事業のうち残るのは2事業くらい

田中邦裕(以下、田中):亀山さんは大成功者ですから、失敗ってないんじゃないかと思うんですけど、オガさん(小笠原)はよく知っているんじゃないですか?

 

小笠原治(以下、小笠原):僕、亀山さんに一回失敗させてますからね。

 

亀山敬司さん(以下、亀山):(笑)。

 

小笠原:DMMは年間どれくらいの事業が生まれて、どれくらいの事業を辞めているんですか?

 

亀山:10くらい生まれて、残るのは2つくらいかな。8つは消えちゃう。

 

小笠原:でも、その8つは別に失敗だとは思っていないですよね?

 

亀山:いや、失敗だよ。辞める事業は失敗よ。

 

小笠原:はっきりしてますね(笑)。

10年で4倍以上の売上成長

10年で4倍以上の売上成長

 

田中:ちなみに現在、DMMの売上はどれくらいなんですか?

 

亀山:いまは3000億円弱くらいかな。

 

田中:すごいですね。

 

小笠原:10年前、亀山さんに初めて会ったときの売上が700億くらいだったから、10年で4倍以上になっているんですね。

 

亀山:失敗しても、挑戦し続ければ少しずつ良くなるからね(笑)。

 

田中:最近、最も成功しているのはどんな事業ですか?

 

亀山:最近だと「オンラインクリニック」や「チャットブースト」の調子が良さそうだね。水族館がちょっと心配だね。みなさん、沖縄から帰る前に寄ってください。

 

田中:「DMMかりゆし水族館」ですね。「IVSに行ってきました」と伝えると、「ああ、そうなんですね」と言ってくれると思います。

 

亀山:入場無料にはなりませんけどね(笑)。水族館はオープンしたその日からコロナが流行したので、ペンギンのエサ代にも苦労しているから。

 

小笠原:そうなると失敗かの判断もつかないですね。

 

田中:2020年3月、亀山さんに開店前の「DMMかりゆし水族館」へ連れて行ってもらったんですよね。あのときはコロナがこれほど流行するとは思いませんでした。でも、最近は少しずつ客足も戻ってきたんじゃないですか?

 

亀山:どうかな。沖縄は外国人が多かったんだけど、まだ外国人が戻ってきてないからね。

 

田中:ちなみに、亀山さんは経営数値ってどれくらい見ているんですか?

 

亀山:事業が始まって最初の2-3か月は結構細かく見るよ。でも、半年くらい経ってからはほとんど見なくなるかな。年に1回くらい。

 

小笠原:亀山さんは数字が乱れているのを見つけるのが、めちゃくちゃうまいんですよ。ちょっとミスったか、ちょっといい感じに見せたくても、すぐに矛盾を見つけますから。

 

亀山:そこは得意だね(笑)。

掟は「金は盗むな」「詐欺はするな」の2つだけ

田中:亀山さんはお金にきっちりされていますが、会社の掟も面白いですよね。

 

亀山:「金は盗むな」「詐欺はするな」の2つだけ。それ以外は何をしてもいい。ハラスメントはダメだけどね。

 

田中:この掟は、何か失敗があって生まれたんですか?

 

亀山:詐欺はないけど、数多くの事件を抱えてきたので(笑)。

 

田中:聞いてもいいのか分からないですけど、くわしく教えてくれますか?

 

亀山:まだ俺が石川県にいたころ、ある日突然わが家に国税がやってきてね。俺としては身に覚えがなかったので、なんのこっちゃという感じ。どうやら東京で会社を任せていたやつが何億か横領していて、その隠し口座を国税が見つけたらしいんだよね。

国税からしたら「雇われ社長のこいつが何億も横領しているなら、亀山は何十億横領しているんだ」という勢いでやってきたわけ。でも、結局何も出なかったんだけどね。まあ、そんなこともありましたね(笑)。

 

田中:なかなかのお話ですね。

 

亀山:いまだにその横領していたやつは5年に1回くらい遊びに来るんだよね。「また一緒にやりたいです」とか言って。「復帰はダメだ」と言いながら、酒くらいはごちそうしてあげてるけどね。

 

田中:(笑)。亀山さんといえば、一時期すごくM&A投資をしていたことがあるじゃないですか。いろいろ失敗はありますか?

 

亀山:ほぼ失敗だね。

 

小笠原:間違いなく亀山さんは投資家ではないですよね。

 

亀山:はい。あまり実業以外は向いてませんので(笑)。

 

小笠原:みなさん、亀山さんに出資してほしいと思うでしょうけど、DMMの社内では反対される前提でいてください。

 

亀山:最近は役員会で通らないといけなくなったので、私の決裁だけではダメになりました。シナジーのある事業なら通る可能性はあるので、担当者に連絡してください。

だから、俺が酔ったときに投資話を持ってきてもダメだよ(笑)。

成功する事業は10年稼いでくれる

成功する事業は10年稼いでくれる

 

小笠原:この10年で最も失敗した事業ってなんですか?

 

亀山:毎年あるから思い出せないな。

 

小笠原:失敗をしすぎると記憶に残らないんですね。

 

亀山:失敗は事業をやめたら忘れるからね。成功する事業は10年は稼いでくれるから、10のうち1つでも成功すれば十分。だからみなさん、めげないで頑張りましょうね。

 

田中:1つ成功すれば、10年稼げるというのは重要ですね。亀山さんは、どのくらいの期間で事業が失敗かどうか見極めるんですか?

 

亀山:半年で切り上げるやつもあるし、赤字でも5年くらい続けているやつもあるよね。結構、世間で知られないうちに切り上げてるやつもあるね。

 

田中:全部当たっているように見えるけど、その裏にはたくさんの失敗があるわけですね。

 

亀山:でも、今の俺の立場だからこんなこと言ってるけど、スタートアップは1-2回外しちゃうと誰も金出してくれなくなっちゃうから、この話はあまり参考にしないほうがいいかな。俺も昔は1つずつちゃんと当てないといけなかったよ。

 

田中:確実に狙って当てにいっていたんですね。

 

亀山:俺はもともと飲食店とかレンタルビデオ店をやっていたから思うけど、ITの世界は異常だよ。VCが若い人に何億も出してるけど、普通そんなに出ないから。銀行から1000万、2000万借りるのも大変だからね。だから資金調達しただけで、あまりいい気になりすぎていると生き残れないよ。利益を出してはじめて一人前だからね。

 

 

 

 

さくらインターネットでは「ImageFlux VC連携 スタートアップ支援プログラム」を提供しています。スタートアップへの支援を積極的におこなっているので、お気軽にご相談ください。

 

 

執筆・編集

さくマガ編集部

さくらインターネット株式会社が運営するオウンドメディア「さくマガ」の編集部。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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