アイティーエムが進める新たなMSPの姿「MCSSP」でお客さまと共創を進める

アイティーエムが進める新たなMSPの姿「MCSSP」でお客さまと共創を進める

 

アイティーエム株式会社(以下、アイティーエム)は、さくらインターネット株式会社(以下、さくらインターネット)の100%子会社で、ITシステムの運用や保守をおこなっている。クラウドやサイバーセキュリティに力を入れており、設立して24年目の会社だ。

MSP(Managed Service Provider)事業の草分け的存在として、さまざまな業種や業態のお客さまから評価されている。

※MSP(Managed Service Provider)・・・お客さまが利用しているコンピュータやネットワークなど、システムの運用・保守・監視を提供する事業者

 

そんなアイティーエムが、これまで培ってきたMSP事業の経験をもとに「MCSSP(Managed Cloud & Security Service Provider)」事業の展開を新たにはじめた。MCSSPとはアイティーエムによる造語で、以下のような事業を指す。 

  • クラウド環境に関する設計、構築、監視運用対応
  • WEBアプリケーション、サービスに関するパフォーマンス管理
  • ITガバナンスやコンプライアンスに関する企業の目標達成の為のサイバーセキュリティ対策支援
  • これらに関するシステムのアセスメント、コンサルティング対応

2021年10月19日から開始された「クラウドセキュリティ設定診断サービス」を皮切りに、今後もMCSSPサービスの拡充を進める。まさに”新生アイティーエム”としての一歩を踏み出した。

そのアイティーエム代表取締役社長の河本 剛志(以下、河本)と、親会社であるさくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕(以下、田中)が、これからのアイティーエムについて語った――

お客さまのスキルをいかに高めていくか

アイティーエムはMSP事業を主軸としており、システムをお客さまが自社で保有し管理する「オンプレミス」の運用がこれまでは中心だった。しかしこれからの時代は、それだけでは厳しいと河本は言う。

 

アイティーエム株式会社 代表取締役社長 河本 剛志

アイティーエム株式会社 代表取締役社長 河本 剛志

 

「オンプレミス中心では、クラウド化が進むいまの世の中では戦っていけません。アイティーエムでは現在、クラウドやサイバーセキュリティに特化したシステム提案をしています」

 

アイティーエムがさくらインターネットグループ入りをしたのは2017年。さくらインターネットは、過去にMSP事業に参入を試みて失敗した経験がある。MSP事業を主軸とするアイティーエムのグループ入りについて田中はどう思ったのか。

 

さくらインターネット 代表取締役社長 田中 邦裕

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中 邦裕

 

「アイティーエムがグループ入りしてくれたことで、MSPに参入したいという念願が叶いました。これからもビジネスの幅を広げるため、アイティーエムに期待しています。そのうえで今後は”お客さまのスキルをいかに高めていくか”がテーマだと思っています」

 

お客さまのスキルを高めていくとは、どういうことなのか? それは「お客さま自身でシステムの運用をできるようにしていくこと」だ。

MSP事業者の存在意義

しかし、お客さま自身でシステム運用できるようになってしまったら、MSP事業者の存在意義がなくなってしまうのではないだろうか?

存在し続けるためには2つのポイントがある、と田中は語る。1つめのポイントは”最新の情報やソリューションを提供すること”だ。

 

「会社には法務担当者がいますし、財務担当者もいます。それでも弁護士や税理士に仕事をお願いしています。なぜかというと、われわれではキャッチアップできない情報を持っているからです。法律や税制はつねに変わります。われわれは自社の仕事しかしていませんが、弁護士や税理士は多くの会社と仕事をしているので、当然情報量が多いわけです。

それと同じように、お客さま自身で運用できるようになったとしても、われわれはお客さまよりも多くの情報を持っています。なので最新の情報やソリューションを提供できるわけです」

 

お客さまのスキルを高めてもらい、お客さまへ技術移転しながらも、つねにお客さまの一歩先を行く。これを実現するには、技術としてのプラスアルファが求められる。さらにもう1つのポイントは”集合的機能を提供すること”だ。

 

「お客さまが自分たちの業務に対して人数を増やせない場合、やりきれないことがあります。たとえば、24時間365日対応を社内の3人だけでやるのは大変なわけです。だからといって、人をたくさん雇えないお客さまもいらっしゃいます。そこでアイティーエムのような専門家集団が必要になります」と田中は例を挙げて語った。

 

アイティーエムが自社の運用をもとにお客さまの運用体制を整えて、お客さまのレベルを上げていく。そしてお客さまのレベルが上がったからこそ、新たに必要となる技術的なアドバイスができるようになる。加えて時間的にオーバーフローしてしまうお客さまの業務を集中的に請け負っていくのが理想の形だ。

 

「これからは”脱丸投げ・脱受託・脱納品”という3つの”脱”が重要です。その中でお話しした2つのポイントを集中的に進めていけば、お客さまも発展するし、われわれの仕事も増える構図ができるだろうと考えています」と田中は言う。

お客さまのスキルを高め、自分たちに適切なプレッシャーをかける

田中と同じように「お客さまのスキルを高めることは、自分たちにもプラスになる」と河本は言う。

 

お客さまのスキルを高め、自分たちに適切なプレッシャーをかける

 

「お客さまのスキルを高めていくことは重要です。これまでのようにお客さまが丸投げしてくれて『お客さまに知識がないから今までと同じでも大丈夫だ』と考えていては、われわれ自身に適切なプレッシャーがかかりません」

 

日本企業の多くが専門業者へ”丸投げ”しており、自分たちで運用しようとする意識がそれほどないのが現状だ。しかし、現在もすでにおこなわれているクラウドネイティブな開発モデルにより、今後はさらにシステムを簡単に作れて管理できるようになる。

そうなるとMSP事業の価値は目減りしていくのは明白だ。そんな時代にMSP事業者はどうすれば生き残れるのだろうか?

 

「従来のMSP事業をしている多くの会社は、自分たちの運用システム基盤を持っていたり、自分たちのセンターを持っています。このすべてがゼロにはならないかもしれませんが、自分たちの運用システム基盤やセンターがなくても、パブリッククラウドを代表するネイティブなツール群により、いくつかのメトリックツールのデータをもとに判断するような仕事になるのではないでしょうか。

そうすると、アドバイスやコンサルテーションが求められてきます。システム運用だけではなく、お客さま自体をサポートする。プロフェッショナルだからこそ提供できるサービスを考え、そこにアプローチしていくべきだと考えています」と河本は言う。

 

「最近、『伴走』や『共創』というキーワードが自分の中にあります。運用サービスを使う人も提供する人も、境界線がわかりにくくなってきているし、境界線を作るべきではないと考えています。このあたりがいい意味で交わってきているので、新しいMSP事業者としての役割が、今後必要とされるのではないかと思っています」と河本は続けた。

さくらインターネットグループのシナジーを活かす

さくらインターネットは商材が幅広く、新しいものを次々に作っている。

アイティーエムをはじめ、さくらインターネットグループには8社のグループ会社があり、グループシナジーを活かせるのも強みだ。どのようにグループ会社との取り組みを進めているのか、河本に聞いた。

 

「月に一度、さくらインターネットグループ会社の社長会があり、その中で各社長とディスカッションさせてもらっています。グループのシナジーが発揮されていて、実際にグループ会社と一緒に進めている仕事や案件もあります」

 

さらに河本は続ける。

 

「これから進めていくMCSSP事業は、さくらインターネットグループ入りしたからこそ出てきた発想です。グループ入りがきっかけで、サイバーセキュリティやクラウドファーストについて考えるようになりました。事業について悩むと、田中さんに1on1ミーティングをお願いしてアイデアをもらったりディスカッションしています。これもさくらインターネットグループに入ったからこそできることです」

エンジニア出身の経営者

さくらインターネットの田中とアイティーエムの河本。どちらもエンジニア出身の経営者だ。

田中は子どものころからロボットに興味があり、ロボットを作るために舞鶴高専へ入学した。そのころにインターネットが普及しはじめ、自分でサーバーを立てて友人に使ってもらっていた。それが、さくらインターネット創業のきっかけだ。

 

サーバー運営と会社経営は似ていると田中は言う。

 

サーバー運営と会社経営は似ていると田中は言う。

 

「自分の手で作った仕組みが動くことが好きなんです。会社経営とサーバー運営は近しいものがあります。この間、大学の先生とお話ししたのですが、大学の先生はその人自身が価値なので授業に行かざるを得ないんですよね。

でも会社の場合、社長も重要な価値ではありますが、もし社長が突然いなくなったからといって会社はすぐには潰れません。それは仕組みがしっかりしているからです。サーバーも夜中に寝ていても動いていますから、そういう仕組みそのものが好きなんだろうなと思います」

 

一方、河本もエンジニア出身だが、少し毛色が違う。大学の工学部で半導体について学び、アプリケーション開発会社やキャリア通信の研究所を経て、1997年に創業メンバーのひとりとして株式会社ネットエンズ(現アイティーエム)を設立。どちらかというと、ビジネス寄りな印象だ。

 

「1995年ごろに仕事で日本全国にASPシステムを作ったのが、本格的なサーバーデビューです。サーバーに触れていたら仕事があったし、楽しくなりそうだと感じていました。田中さんのピュアな想いとは少し違いますね。

ただ、はじめてサーバーシステムができたときに『すごいな』と思いました。ずっとスタンドアローンでシステムを作っていたので、とても感動したのを覚えています」

これからの「新生アイティーエム」

以前は売上至上主義だった。短い間で大きな結果を生むことを最優先してきたが、さくらインターネットグループ入りしてからはMCSSP事業など長期での成長を見据えたチャレンジングな考え方へ変わったと河本は言う。

 

「もちろん経営としては売上も気にしますが、売上至上主義ではなくなりました。技術とサービスをより良くしていくことに加えて、お客さまの成長をお手伝いしていきます。

それを通して、われわれに関わる方が『アイティーエムに関われて良かったな』と思ってもらいたいです。お客さまだけではなく、アイティーエムの社員にもこの会社に入って良かったなと思ってもらいたいですし、求職中の方にはアイティーエムで働きたいと思ってもらいたいです」

 

最後に田中がこれからのアイティーエムに期待することを語った。

 

「アイティーエムには、さくらインターネットグループ全体で成し遂げたいIT業界変革の一翼を担ってもらいたいと思っています。DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むと、IT企業以外もITの活用が必須になります。そこを支援していき、3年後、5年後にプロとしてお客さまから信頼されるポジションでいられるように注力してほしいです」

 

”新生アイティーエム”の挑戦がはじまる。

 

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