
ただコードを書く。それだけが、エンジニアの仕事ではありません。設計の意図を言語化すること、レビューを通じて議論すること、他者の目線を想像すること——。2025年夏、さくらインターネットで実施されたエンジニアインターンシップでは、そうした「プロとしての考え方」に触れる内容が用意されました。
本記事では、インターンの様子を参加学生の声と設計に携わったエキスパートエンジニアのコメントを交えてご紹介します。
クラウドを“使う側”から“つくる側”へ。さくらのエンジニアインターンシップとは?
さくらインターネットのエンジニアインターンシップは、単なるハンズオンやプログラミング体験ではありません。設計、実装、レビュー、発表という実務に近い開発プロセスを学生自身に担当していただきます。
また、アプリを開発するだけでなく、クラウドサービスの基盤を考え、動かし、形にするまでを5日間で体験していただきます。SaaS/PaaSを企画から構築まで一気通貫で体験できる、さらにサーバーレス基盤「AppRun」を使った開発や、コンテナ、CI/CD、IaC、クラウド設計など、実務レベルの技術領域に踏み込める点も他社にはない魅力。エンジニア志望者にとって、とてもチャレンジングな内容になっています。
>>【関連記事】“働く”が見えてくる。さくらインターネットのビジネスインターンシップ
設計段階からさまざまな分野の社員が関わる特別なイベント!
インターンの設計には採用担当者だけではなく、新卒の先輩エンジニアや社内のエキスパートエンジニアが深く関わっていることも魅力の1つです。
学生たちにとって最適なゴールは何か。そのためにどのようにマイルストーンを置くのか、レビューではどこをどう見るのか――。企画段階で何をどこまで考えるのかも含めて、「エンジニアの仕事」とは何かを伝えられるような設計を心がけています。
そのために、社内のベテランエンジニアからの助言も取り入れ、“ただ言われたことをやって終わり”ではない、学びの芯をつくる設計思想がさくらのインターンシップのベースとなっています。
開発課題に取り組む5日間
スケジュール
Day1
オリエンテーション/サービス紹介/さくらのクラウド・AppRunハンズオン/プレスリリース作成ワークショップ・グループ分け
Day2
設計・実装スタート/セッショントーク①(AppRun開発エンジニア)
Day3
設計・実装続き/DC見学/座談会
Day4
実装・テスト/セッショントーク②(クラウド基盤開発エンジニア)
Day5
発表準備・成果発表/セッショントーク③(ガバメントクラウド統括開発エンジニア)/懇親会
開発テーマの一例と進行イメージ
参加者はチームに分かれ、「既存機能の改善提案と実装」や「新機能の設計・PoC開発」などに取り組みました。テーマによっては、さくらのプロダクトやOSSを題材とするものもあります。最初は要件の解釈と設計に集中。レビューでは「命名の意図」「分岐の責任範囲」「再利用性」などについて社員からフィードバック。「なんとなく」で進められない状況が、「考える力」を引き出します。

参加学生が語る、仕事観が変わった瞬間
インターン終了後、参加した学生のみなさんにアンケートを実施しました。1週間のインターンを終えた学生たちは、どんな学びを得て帰っていったのか。プログラム終了後のアンケートから、そのリアルな声を一部お届けします。
「仕事の進め方」に関して、印象に残ったこと・実感したことを教えてください。
- 機能の一部分を作るだけでなく、システム全体のつながりを意識した実装の重要性を学んだ。
- チームでの対話や発散・収束のプロセスの中に、個人開発では得られない学びがあった。
- プロダクトのPRやFAQを検討することで、顧客像・課題・価値提案をチーム全体で共有しやすくなることを実感した。
- サービスがリリースされた後の姿まで想定して考える重要性に気づいた。
- メンターやメンバーとのやり取りを通じて、質問をためらわず聞ける環境の大切さを実感。「自分が教える立場になったときは、わからないことを気軽に聞ける雰囲気を作りたい」と、学ぶ側の体験から教える姿勢への気づきも得られた。
自身で感じている成長や気づきなどはありましたか?
- バックエンドとフロントエンドのつながり、API設計など、システム全体の理解が進んだ。
- 「短期間で成果を出すためのトレードオフ」「効率的な開発手法」など、実践的な開発経験を積んだ。
- 適切な目標設定がチームのスムーズな開発に繋がることを実感。
- 「ソースコードを読む大切さ」「今の手法が最適かを考えながら実装する重要性」など、エンジニアとしての思考力が向上したと思う。
さくらインターネットの雰囲気についてはどう感じましたか?
- 想像以上に業務の幅が広く、エンジニアがOSSのメンテナンスなどを楽しんでいる姿が印象的。
- 「顧客のためにサービスをつくる」という姿勢や、社員同士の活発な交流から、オープンで協働的な文化を感じた。
- 技術や企画の枠を越えた挑戦ができる雰囲気に刺激を受け、仕事の進め方への価値観が変わった。
学生たちの声からは、短期間ながらも多くの気づきと成長が得られたことが伝わってきます。インターンは単なる開発体験にとどまらず、自身の進路や価値観を見つめ直す機会にもなったようです。

インターンを設計したエンジニアたちの本音
インターンシップには、さまざまな部門から若手エンジニアが関わっています。インターンシップにおいて意識していたことや、学生の様子などについて聞きました。
インターンシップに関わるにあたって、意識していたことはありますか?
荒見 友稀
2024年入社(中途)。クラウド事業本部 クラウドサービス部 サービス開発グループ所属。
カジ アルビ
2023年入社(新卒)。クラウド事業本部 テクノロジー室 エキスパートグループ所属。

技術的なスキルはもちろんですが、「チーム開発のなかでコミュニケーションを円滑にしてもらえるようにするにはどうすればいいのか」について意識して取り組みました。
具体的には、おもにこの場では何を会話した方がいいのか、ゴールは何なのかなど、技術的なこと以外の問いかけを多めにしていました。

学生たちが生産的なディスカッションができること、最適なソリューションにたどり着けることに重点を置いていました。もちろん、メンターである私が教えてあげれば早いのですが、チームメンバー同士で意見をぶつけ合って、それぞれのやりたいことをすり合わせること、そして最終的に学生のみなさんが納得できる結果に至るという経験をしてもらいたかったんです。そのために、毎日どこまで進めるべきか、各議論においてどのような終着点を目指すべきかをお伝えしていました。
また、真剣な話し合いばかりで空気が重くなってしまうので、できるだけ明るく楽しみながら取り組めるように心がけました!
学生たちの様子について、印象に残っていることはありますか?
本田 直樹
2022年入社(新卒)。クラウド事業本部 テクノロジー室SREグループ所属。
鶴岡 佑樹
2024年入社(新卒)。AI事業推進室 開発グループ所属。
仲座 涼太
2023年入社(新卒)。AI事業推進室 開発グループ所属。
リン ウェイトン
2024年入社(新卒)。クラウド事業本部 テクノロジー室SREグループ所属。

チームで開発するという経験があまりないと言っていた方が、チームワークを通じて技術的な面でも、技術以外の面でも学びを得て、さらに得たものを発揮してコミュニケーションを主導するようになっていました。
さまざまなバックグラウンドを持った参加者で集まったチーム、しかも限られた時間のなかで共通のゴールに向かって成果を出す過程で、私が思っていた以上に各メンバーが持ち帰れる学びを得ているのを感じました。

今回のようなハッカソン形式のインターンに慣れていない学生も多く、短期間で1つの成果物を形にするのは容易ではなかったと思います。各メンバーの得意分野も違うなかで、最初は戸惑う場面も見られました。しかし、次第にメンバー同士で役割分担を明確にし、お互いの強みを活かしながら目標に向かって進めるようになっていきました。最終的には、チームとしてまとまり、発表に向けてしっかりと取り組めるようになっていたのが印象的でした。

参加されている学生のみなさんは、それぞれ技術面における得意分野が異なり、その場で自分の強みを発揮できる学生が積極的に発言するという場面が多く見られました。ただ、日を重ねるうちに、ほかのメンバーもプロジェクト全体の方向性について積極的に関わったり、最終日の発表に向けて開発を進めるメンバーへヒアリングをおこなったりするなど、チームとして健全なコミュニケーションができるようになっていると感じました。

日を追うごとに学生たちは「自分にできることを考えて動く」姿勢に変わっていったように思います。たとえば、初めは発言が少なかったメンバーが、プロジェクト全体の進行を意識しながら提案をしたり、ほかのメンバーに積極的にヒアリングして理解を深めようとしたりする姿勢が見られるようになりました。
初めは不安そうだった学生たちが、最終的には自信を持って発表に臨む姿を見て、技術的な成長だけでなく、チームワークやコミュニケーション力の面でも大きく成長していると感じました。壁にぶつかりながらも自ら考え、周囲と協力しながら解決していく力を身につけていく、その過程を見ることができて、私にとってもいい経験になりました。
人事担当者より:「さくらのインターンシップ、おもしろそう!」と思ったら?
三浦 勇二
ES本部 人材企画部 新卒採用・企画グループ
2016年9月にエンジニアとして入社し、さくらの専用サーバのバックエンドをPythonで開発。 2024年4月より、ES本部へ異動し、エンジニア新卒採用を担当。

短期間ながら、メンバー同士が技術的な得意領域や視点の違いを理解し合い、設計検討から実装、検証まで自然に役割を分担して進めていく姿が印象的でした。アーキテクチャの選択や課題解決方針について活発に議論し、より良いアウトプットを目指す姿勢は、当社のエンジニア組織が大切にしている”共創”そのものです。個々の技術力を掛け合わせ、チームとして価値を最大化しようとする取り組みは大変心強く、今後の成長にもつながる経験になったと感じています。
エンジニア職を目指す学生向けイベント、技術LT、設計ディスカッション会など、今後も開催予定です。さくらインターネットの開発スタイルや文化が気になる方は、採用情報やエンジニア向けメディア「さくらのナレッジ」もぜひチェックしてみてくださいね。
さくらインターネットの企業説明会や1dayイベントなどの情報は、さくらインターネットの新卒採用ページをご確認ください。
New