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インフラとDX推進。時代に応じた整備と保全システムが必要

インフラとは、暮らしや産業を支える下部構造を意味します。それらの中心にある建設業界は、いつの時代もニーズに応じながら変化や進化を遂げてきました。

しかし、いまの時代には人口減少や気候変動、エネルギー問題の深刻化、デジタル化など、さまざまな問題が重なりあっています。

これから私たちの暮らしはどう変わっていくのでしょうか。公益社団法人土木学会 第109代会長の谷口 博昭氏が、Sansan株式会社主催の「Sansan Innovation Project 2021」に登壇。

インフラとDXの推進について語ってくれました。

インフラとは

インフラとは

インフラとは、インフラストラクチャー(Infrastructure)の略です。日本語では暮らしや産業を支える「下部構造」を意味しています。

時代に応じて、材料、建設機械施工方法、IT技術などにおいてイノベーションを遂げながら進化してきました。

しかし、日本は脆弱な国土で毎年のように災害が起こる列島ですので、インフラの整備水準は残念ながら道半ばです。

これからも暮らしや産業の進化や高度化に応じて整備・保全することが肝要といえます。

大きな時代の変化

日本は少子超高齢化、人口減少時代になっています。

グローバル化、都市化の進展、気候変動、エネルギー問題の深刻化などといった大きな変化の時代に、DXやイノベーションを促進しつつ「自助・共助・公助」の役割分担と産学官連携強化により適応することが肝要です。

少し未来の暮らしと働き方

少し未来の暮らし方と働き方については、これまでの延長ではなく、パラダイムシフトが必要だと思っています。それが次の5つです。

  • 対立から協調へ・・・自然を含む共生、欧米とアジアとの調和
  • 集中から分散へ、リスク分散型国土形成へ・・・国土強靭化+地方創生の推進
  • 滞留から循環型経済へ・・・内部留保や貯蓄から投資へ。消費の循環
  • 上下部のバランス・・・暮らしや産業の進化に応じたインフラ強化
  • DXとイノベーションの推進・・・暮らしと働き方改革、ワーク・ライフ・バランス

インフラ分野のDX推進

台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン氏がおっしゃっているとおり「誰も置き去りにしない社会」が大切です。主体は人間であり、デジタル技術はツールでしかありません。

したがって、DX=デジタル化ではありません。「少し未来(2~3年)」と「中長期(5~10年)」の働き方と暮らし方、生き方の改革と目標を定めることが肝要です。

DXの推進については、イノベーションのビジョンと同様に「Product、Process、Material、Market、Organization」の創造的破壊と新結合が肝要です。国民は生涯学習の精神で、リテラシーの向上に努める必要があります。

インフラ分野のDXにおける具体的なアクション

インフラ分野のDXにおいて、具体的なアクションを国土交通省のホームページから紹介します。国土交通省は4点のアクションを考えています。

  • 行政手続きや暮らしにおけるサービスの変革
  • ロボット・AIなどの活用で人を支援し、現場の安全性や効率性の向上
  • デジタルデータを活用し、仕事のプロセスやあり方を変革
  • DXを支えるデータ活用会場の実現

インフラ分野のDX アクション1.行政手続きや暮らしにおけるサービスの変革

特車通行手続きの迅速化や港湾関連データ基盤の構築を推進しています。さらに、暮らしにおけるサービス向上で、ITやセンシング技術などを活用したホーム転落防止技術の活用を促進しています。

インフラ分野のDX アクション2.ロボット・AIなどの活用で人を支援し、現場の安全性や効率性の向上

安全で快適な労働環境を実現するため、無人化・自律施工による安全性や生産性の向上を促進しています。パワーアシストスーツなどによる苦渋作業の減少もおこなっています。

AIなどによる点検員の判断支援や、CCTVカメラ画像を用いた交通障害自動検知、

熟練技術のデジタル化で効率的な技能習得を進めています。

インフラ分野のDX アクション3.デジタルデータを活用し、仕事のプロセスやあり方を変革

調査業務の変革と監督検査業務の変革、また点検・管理業務の効率化が国土交通省所管の各事業分野にまたがって進められています。非接触やリモートワークを推進し、仕事のプロセスを変革します。

インフラ分野のDX アクション4.DXを支えるデータ活用会場の実現

デジタルデータを用いた社会課題の解決や、3次元データ活用環境の整備の推進が掲げられています。スマートシティなどと連携し、デジタルデータを活用し社会課題の解決策を具体化するものです。

インフラ分野のDX促進における留意点

インフラ分野のDX促進の留意点

私が考えるインフラ分野のDX促進における留意点をお伝えします。まず基本は、ユーザーと現場のニーズに即した推進が肝要です。受発注者の役割分担を明確にし、工程の自主的管理、検査の簡素化、ペーパーレス化を徹底してください。

次に、DXの推進により生み出される時間の有効活用が重要です。より総合的な自由時間の確保をしてください。DXの推進により、いままで以上に忙しくなるようではダメです。

またDX時代に応じた、セキュリティの向上と設計積算を求めます。とくに人の評価面です。いままでは、労働時間で人の評価がされてきました。しかし、これからは知性や感性を含めて、知恵に注目した人の評価が肝要になってくるのではないかと思います。

それを進めながらシステム改善をしていくことが基本です。PDCAサイクルと必要に応じて、フィードバックをしながら改善することが大事です。

これからのインフラ整備・保全

業種によって異なりますが、新型コロナの影響で民需の回復には時間を要します。政府が投資し、需要喚起と循環により、成長の軌道に乗せることが肝要です。積極的な財政政策と、プライマリーバランスなどの財政健全化を長期的に図ること。これも国民の信頼を得るためには必要だと思います。

これからは、時代に応じたインフラ整備と保全システムが必要です。従前の社会資本から、社会的共通資本やグリーンインフラの考え方を取り入れる必要があると思います。当然、DXの活用促進も重要です。さらにはDX時代の土木技術者が、社会的に地位向上できるようにすることも大事です。

自分ファーストではなく、自然や他人との共生・共創の精神で互恵関係の理念が尊重されたほうがいいです。第23代土木学会会長の青山士さんは「萬象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ、人類ノ為メ國ノ為メ」という言葉を残しています。

スタート時は小さくとも、多くの関係者を巻き込みながら、渦巻き状に大きく発展していければよいと思います。高い志で諦めず、信念をもってやり抜くことが大事です。

 

 

執筆・編集

さくマガ編集部

さくらインターネット株式会社が運営するオウンドメディア「さくマガ」の編集部。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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