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電子帳簿保存法の改正により、2024年1月から電子取引によって発生した請求書や領収書などは、電子データでの保存が完全義務化された。バックオフィスのDXが推進されるなか、帳票の形態も紙から電子データに移り始めている。
株式会社インフォマート(以下、インフォマート)が提供する「BtoBプラットフォーム」シリーズは、商取引における一連の帳票をデジタル化し、プラットフォーム上で直接やり取りするためのサービスだ。民間事業者だけでなく自治体での導入も増え、利用企業数は120万社を超える(2025年12月現在)。同サービスの開発経緯や特徴、導入企業の反響について、ホリゾンタル事業部門 執行役員の小野 史裕さんに聞いた。

小野 史裕(おの ふみひろ)さん プロフィール
三井住友銀行(元住友銀行)を経て、2020年にインフォマートに入社。Fintech推進室室長としてFintech事業の立ち上げ、拡大に従事する。その後、事業推進3部部長として、大企業取引の新規営業の責任者を兼務し、2023年からはパートナー営業の責任者も兼務。2024年に執行役員に就任し、現在に至る。
『BtoBプラットフォーム』シリーズなら、あらゆる帳票を『データtoデータ』でやり取りできる

「BtoBプラットフォーム」は、デジタルで帳票のやり取りがおこなえるサービスだ。同シリーズには、「BtoBプラットフォーム 請求書」「BtoBプラットフォーム 契約書」「BtoBプラットフォーム 受発注」などがあり、あらゆる帳票業務をクラウド上で完結できるのが特徴だ。さらに、商習慣に合わせた帳票フォーマットにより、紙やPDFでのやり取りと管理をなくし、さまざまな業界の業務効率化、コスト削減、ペーパーレス化を可能にする。
「『BtoBプラットフォーム』シリーズ最大の強みは、企業間で発生する帳票を『データtoデータ』でやり取りできる点にあります。多くの競合サービスがPDFファイルでの送受信に留まるなか、同じプラットフォーム上で、デジタル情報そのものを直接やり取りできるのです」(小野さん、以下同)
PDFはデジタル化されたデータと思われがちだが、あくまで画像データである。そのためPDFを受け取った側は、社内で使っているシステムに文字情報を入力しなければならない。しかし、「BtoBプラットフォーム」シリーズなら、帳票を画面上で確認し処理するだけ。これにより手入力の手間やコストを省けるうえ、入力漏れや誤入力といったヒューマンエラーの予防もできる。
また、原価管理や会計管理といった外部システムと連携できる点や、ひとつのIDで「BtoBプラットフォーム」を利用するすべての企業とつながれる点も大きな特徴だ。
こうした利便性の高さが評判となり、現在、「BtoBプラットフォーム」シリーズの利用企業数は120万を超える。これは日本国内にある企業数368万社(※1)のうち約3分の1に相当し、東京証券取引所プライム市場上場企業の利用率は約97%(※2)に達するという。
※1 我が国の事業所・企業の経済活動の状況~令和3年経済センサス‐活動調査の結果から~
※2 インフォマート調べ:東京証券取引所プライム市場上場企業において、「BtoBプラットフォーム 請求書」を利用して請求書発行・受け取り実績がある企業の割合(2025年12月時点)
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「BtoBプラットフォーム」シリーズは、フード業界向けサービスから始まった

インフォマートは、1998年に創業。創業者は「衣・食・住」のなかで社会貢献できる領域を模索し、たどり着いたのがフード業界だった。
「私たちのサービスは、フード業界向けの商談システムから始まりました。良い商品を都市部でも売りたいと考える地方の生産者と、良い商品を仕入れて消費者に届けたいと考える都市部のバイヤーをマッチングするシステムを開発したのです。そして、次に生まれたのが、電話やFAXで発注する際の手間を省く受発注システム。これらの飲食業界向けのシステムは、2024年の外食産業市場において32.4%のシェア率となるまでに成長しました」(※インフォマート調べ)
その後、美容や医療といった他業界への横展開を試みたが、業界特有の課題に対応するためのカスタマイズ費用が膨らみ、中断を余儀なくされた。そこで着目したのが、請求書業務だった。
「請求書の様式は企業によってさまざまですが、発行する目的は同じ。どの企業・業界でもほぼ同じような内容であることから、全業界に対応できる請求書システムの開発に乗り出したのです。これを機に、利用企業数が爆発的に増えました」
横須賀市が見積依頼から契約、請求、支払通知までをワンストップでデジタル化

民間企業だけでなく、自治体での導入も進んでいる。2024年には神奈川県横須賀市が「BtoBプラットフォーム」シリーズを導入し、見積依頼から契約、請求、支払通知までをデジタル化した。
「横須賀市はスマートシティ推進と生成AI活用を重点政策に掲げ、全国の自治体で初めて生成AIの導入に踏み出しました。狙いはデジタル化による業務効率化と、より良い市民サービスの提供です。横須賀市は約3000社と日々取引をしており、見積書や請求書、納品書などの処理が職員の大きな負担になっていました」
なかでも請求書は年間約4万通を受領し、印刷やファイリング作業が業務を圧迫していた。受け取り方法も郵便やメール、FAXとバラバラで個別対応が必要。さらに記載ミスによる差し戻しや再提出も頻繁に発生していたという。
「導入後はペーパーレス化が進み、作業時間も短縮されました。所属部署ごとだった支払いを集約したことで、まとめ払いによる振込手数料の削減効果もあらわれています。とくに、これまで部署ごとにおこなっていた請求フローが可視化され、会計処理までの課題を分析できるようになった点は大きな成果といえます」
充実のサポート体制でサービスの導入・運用を支援

インフォマートは「BtoBプラットフォーム」シリーズを安心して導入・運用できるよう、充実のサポート体制を整えている。
導入前には、実際の使用イメージをつかみやすくするオンラインデモの実施や、社内向け導入説明会の開催をサポート。導入後には、基本機能の設定や専用マニュアル作成のほか、取引先への招待メール送付代行、取引先向け説明会の実施などをサポートチームが支援している。
また、導入後は、全庁職員向けと取引先向けにそれぞれ説明会を開き、さらに専用ダイヤルも設置して、より手厚いサポート体制を整えているという。
「BtoBプラットフォーム」の横展開と、生成AIの活用による経営支援に注力
インフォマートは今後、サービスのさらなる発展に向けた2つの取り組みを計画している。
1つ目は「BtoBプラットフォーム」の横展開だ。全業界対応の受発注システムに、業界固有の課題を解決する機能を追加する。
「現在、建設業界では工事の出来高報告書をデジタル化し、印紙代や工数の削減につながったと好評をいただいています。これから請求書を起点に、小売や不動産など各業界でトップシェアを目指します」
2つ目は生成AIの活用による経営支援だ。「BtoBプラットフォーム」シリーズは完全なデジタルデータでやり取りできるため、生成AIとの親和性が高い。
「請求書が紙のままですと、請求明細をじっくり見る人はほとんどいないと思いますが、請求明細にこそ、宝の山があります。この請求明細をデータ化して分析すると、どの拠点でどの商品をいくらで購入されたのかが明確になるんです。プラットフォーム上のデータは、紙と違って明細単位でデジタルデータをすぐに取り出せるため、生成AIを使って拠点ごとの単価比較や最適な仕入先探し・売上予測など、コスト削減や売上アップにつながる分析ができます」
最後に、今後の事業の目標を聞いた。
「複数のシステムを使えば、その分コストと手間がかかります。私たちのサービスに一本化すれば、削減できた分をほかの事業に回せますよね。将来的には日本中の企業に利用していただき、日本全体の生産性向上と国力増強に貢献したいと考えています」
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執筆
山本 ヨウコ
千葉県在住。働き方や生き方を丁寧に掘り下げるインタビューを軸に、Webや雑誌、企業のオウンドメディアなどで幅広く執筆中。またブックライターとして本づくりにも携わっている。対話の中で言葉にならない想いを引き出し、読者の心を動かす記事制作が得意。
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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