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「なんとなく不調」を減らし「いい日を増やす」を後押しするDUMSCOの「Habitone」

研究基盤の新しい選択肢:国産クラウド活用のポイントとは?
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病気ではないが、快調でもない状態を表す「なんとなく不調」。一例として、寝ても取れない倦怠感、眼精疲労、頭痛、めまいなどが挙げられる。株式会社ツムラが2024年におこなった調査によると、じつに20代から60代の男女の約8割が悩まされているという。そんな状態の改善をサポートするために開発されたのが、自律神経の状態を分析できるスマートフォンアプリ「Habitone(ハビトーン)」だ。同アプリを開発した株式会社DUMSCO(以下、DUMSCO)にサービスと技術の概要、開発の背景と経緯、今後の展望について聞いた。

濵本 明穂(はまもと あきほ)さん プロフィール

プロダクトマネージャー。デザイン会社での勤務を経て、2023年に株式会社DUMSCOに入社し、プロダクトマネージャーに就任。「Habitone」の開発を担当している。

Y・Tさん プロフィール

デザイナー。ゲーム開発会社でUIデザイナーとして研鑽を積み、2023年に株式会社DUMSCOに入社し、デザイナーに就任。「Habitone」のデザインを担当している。

スマートフォンのカメラに指を当てるだけで自律神経を測定

「Habitone」のUI。測定時は安静を保つことが推奨されている

DUMSCOは「持続可能なパフォーマンスをデザインする」を掲げ、2010年に創業。独自センシング技術を活用し、体調管理のためのサービスを開発・提供するヘルスケアプロダクト事業と、データ活用で企業の生産性向上を支援するソリューション事業の2つを主軸としている。

そんな同社が開発したのが、心拍変動(HRV:Heart Rate Variability: )を解析する手法を用い、スマートフォンのカメラから読み取った脈拍データをもとに「自律神経の状態を分析する技術」だ。2013年に開発して以来、同社が開発するさまざまなプロダクトに導入され続けてきた。「Habitone」もこの技術を活用したプロダクトの1つだ。

「Habitone」では、自律神経を測定し、睡眠、体調、歩数等もあわせて記録。記録した内容はグラフや表で可視化され、体調の変化の推移を示す。さらには、ユーザーの状態に合わせておすすめの習慣を提案。ユーザーはそれを取り入れることで、体調管理ができるという流れだ。

自律神経の測定方法はシンプルだ。アプリを起動し、スマートフォンのカメラに1分間、指を当てるだけ。これによって指先を通して脈波を検出し、心拍変動を解析、同社のアルゴリズムによって、自律神経の状態を確認できる。毎日同じ時間に測定することで、変化がわかりやすくなるといい、1日1~2回程度、起床後や入眠前の測定を推奨している。「たとえば入眠前に測定し、“緊張モード”(交感神経優位)になっていることがわかれば、深呼吸やストレッチなどで体を“休息モード”(副交感神経優位)に切り替えてから寝るといった対処をすることができます」と濵本さん。

2025年1月にリリースされ、同年9月には7万ダウンロードを達成。ユーザーの年代は30~50代が半数を占めるが、10~20代、60代以降の利用も少なくないという。同アプリは世界で配信していることもあり、海外にもユーザーがいるそうだ。

「サービス名の『Habitone』は習慣を意味する「habit」と、調子を意味する「tone」を組み合わせました。体調は日々変化します。日々の体調の変化に合わせて習慣を取り入れることで体調を整える。そのサポートをするという意味を込めて、このサービス名にしました」(濵本さん)

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10年以上のデータの蓄積がサービスの基盤に

リリースから10年以上愛され続けてきた「ストレススキャン」

リリース後、順調な滑り出しを見せた「Habitone」。ユーザーから支持を得られているには理由があった。

DUMSCOは、2013年にスマートフォンアプリ「ストレススキャン」をリリース。名前のとおり、HRV測定(心拍変動の変化の測定)により、ユーザーのストレスを可視化するサービスだ。同アプリは、世界中にユーザーを有し、累計340万ダウンロード、8.4億回の累計測定データを記録している。この後継となったのが「Habitone」だ。

「『ストレススキャン』ではストレスを可視化できても、その先のソリューションまでは提供していませんでした。また、コロナ禍を経て健康管理に注目が集まり、「なんとなく不調」にも目を向けられるようになったように感じます。その2点から、測定・記録したデータを可視化し、改善のための原因分析やプランまで包括的に提供することを最終的に実現するために、『Habitone』を開発しました」(濵本さん)

データの蓄積と技術はあったが、それらがどのようにユーザーの役に立つのか、一からサービス設計をはじめた。そして、想定ユーザーのペルソナを「体調のゆらぎが気になりはじめ、忙しい日々を過ごす30代」に設定。社員の知人、家族などの協力を得て、健康に関して日常で悩んでいること、その改善方法の有無などをインタビューし、サービスを設計した。プロトタイプ開発後は、インタビュイーに実際に利用してもらい、フィードバックをサービスに反映させたという。

UIデザインに関しても、既存の概念にとらわれないものを採用した。

「マインドフルネス系の競合アプリはリラックスできる雰囲気や、女性向けのデザインが多いように感じます。健康は世代、性別、国を問わない課題なので、ペルソナに設定したユーザー以外にも利用されるだろうと思い、誰でも使いやすいようフラットなデザインを目指しました」(Y・Tさん)

事実、すでに紹介したとおり、同アプリは幅広い世代の男女に利用されている。さらに、ユーザーから「シンプルで使いやすい」との声が上がっていることからも、Y・Tさんの読みどおりといえるだろう。

また、「ストレススキャン」にはなかった測定後の改善案として、医師監修の健康に役立つ記事をアプリ内で提供。監修したのは、元・慶應義塾大学医学部漢方医学センター長・教授で、現在は修琴堂大塚医院院長、横浜薬科大学学長補佐を務める渡辺賢治医師だ。症状から体質改善につなげるという点で漢方医学の考え方に通ずるところがあり、漢方を専門とする同医師に依頼したという。

使いはじめるきっかけは「おもしろそう!」で十分

行動変容を強いるものではなく、自身のペースを大切に柔軟に取り入れてほしいとのこと

UIに関しては評価の声が上がっているが、機能に関してはどうだろうか。

「一番多いのは『自律神経の状態を測定できるのがおもしろい』という声です。ちょっとした興味から気軽に使ってもらうことで健康や体調に目を向けてもらうというきっかけをつくれたと思います。今後は中長期的な体調管理もあわせてできるような新機能の開発や、さらなる使いやすさを求めてアップデートしていきたいと考えています」(濵本さん)

そして二人は「健康な人でも、体調にゆらぎがあるゆらぎに合わせて頑張るときは頑張る、休むときは休むことを大切にし、柔軟にサービスを活用してほしい」とユーザーに寄り添う姿勢を見せる。

今後の展開として、測定後のさらなる体験の提供に特に注力し、分析精度を高めること、新たな技術を使用した追加機能の実装を検討しているという。さらに、海外展開の強化、価値観の合う企業やサービスとのコラボレーションへの意欲も見せる。

最後に、二人にユーザーへのメッセージを聞いた。

「日々の忙しさのなかで、体調管理に目を向けるのは難しいですよね。でも、『おもしろそう』くらいの気持ちではじめられるのが『Habitone』です。なんとなく体調が優れない、最近疲れやすいなどの体調の変化を感じた際に生活習慣を見直すきっかけになるので、ぜひ使ってみてください」(Y・Tさん)

「『Habitone』の測定によって自身の体調を知ることは、『いい日』を増やすためのヒントになります。みなさんと一緒に併走できるパートナーでありたいので、ぜひ使ってみて、気になることや要望がありましたら、お気軽にお問い合わせください」(濵本さん)

株式会社DUMSCO

Habitone

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執筆

増田洋子

東京都在住。インタビューが好きなフリーランスのライターで、紙媒体とWebメディアで執筆中。ネズミを中心とした動物が好きで、ペット関連の記事を書くことも。
ポートフォリオ:https://degutoichacora.link/about-works/

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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