社内ビジコン優勝の「Cook-Hacker」。そこに込められた想いとは?

さくらインターネットの新規事業創出プロジェクト「さくら満開プロジェクト」の一環として、第2回さくらビジネスプランコンテスト(以下、ビジコン)の最終選考会が、2023年3月に Okinawa Innovation Lab(沖縄県那覇市、株式会社みらいおきなわ内)で開催されました。

 

そこで優勝したのが、ES本部 ES部 前佛 雅人です。ビジネスコンテストで発表した事業内容や、プランに込めた想いについて、最終選考会後にくわしく話を聞きました。

前佛 雅人(ぜんぶつ まさひと)プロフィール

2016年、さくらインターネットに入社。インフラエンジニアの経験を活かしエバンジェリストとして、ITエンジニア向けオウンドメディア「さくらのナレッジ」の記事執筆や、「さくらの学校支援プロジェクト」「さくらのDX Journey」などの社内教育などに携わる。2022年より ES本部ES部人材支援グループに所属。

ビジコン優勝の「Cook-Hacker」とは?

――この度は、第2回ビジネスプランコンテストの最優秀賞受賞、おめでとうございます!あらためて、今回のプランの概要を教えてください。

Cook-Hacker は、料理にまつわる面倒ごとを解決するためのアプリケーションサービスです。たとえば、食材の管理、買い出し、献立を考えるなど、多くの人が負担に思っている工程を、IT の力で解決します。

メインの機能としては、食材の管理と献立の提案ですね。家族の好みやアレルギー情報、在庫状況に応じて、レシピを提案してくれるなど、家族と共有して使うことを前提に設計しています。

「Cook-Hacker」というサービス名には、こういった料理にまつわる課題を、技術的に解決したいという意図を込めました。

ファイナリストは全5組。最終発表者としてプレゼンをおこない、会場を沸かせた。

――確かに便利なサービスですね。この課題は前佛さんの経験に基づくものなんですか?

はい。私自身が料理をするので、「こんなサービスがあったらいいな」というアイデアをプランに落とし込んでいきました。掃除や洗濯など、ほかの家事は機械化・自動化されているのに対して、料理にかかる手間は数年前とあまり変わっていません。共働き世帯が増え、家事にかけられる時間も限られている人が多いので、どうにかこの課題を解決したいと考えました。

 

――どんな点が他社のサービスに比べて魅力的だと思いますか?

ほかにも料理関係のアプリケーションサービスはありますが、1人で使う前提のアプリが多いんですよね。家族など複数人で使うことを前提としたものはあまりなかったので、優位性はあるのではないかと思っています。

IT技術を伝えるエバンジェリストとして活動

――前佛さんのバックボーンについても少しお聞きできればと思います。前職の経験を活かし、さくらインターネット入社後はエバンジェリストとして活動されていますよね。

ITエンジニア向けオウンドメディア「さくらのナレッジ」の記事執筆や、「さくらの学校支援プロジェクト」「さくらのDX Journey」などの社内教育などに携わってきました。

2022年には人事部門の ES部に異動して、エバンジェリストとしての経験を活かしています。

 

――異動もされたばかりということで、本業との両立は大変ではなかったですか?

そうですね。今回のビジネスプランは、部署での仕事とはまったく領域が違うので、まとまった時間を作るのは大変でした。でも、部署のメンバーが Slack で応援のメッセージを送ってくれて、それがとても励みになりましたね。

頭の中のアイデアを人に伝えることの難しさ

――ビジコンに応募するのは、社外を含めて初めてだったそうですね。苦労した点や大変だった点はありましたか?

頭の中にあるアイデアを、相手に伝わるような形でどのようにプランに落とし込んでいくか、試行錯誤していました。

あとはプランの中身でいうと、マネタイズの手段です。実際、他社でも似たようなサービスを作っていましたが、途中で撤退しています。なので、アプリの収益だけでは黒字化できないというのは当初から想定していたことだったんですよね。それ以外の部分で収益化する必要があるだろうと考えてプランに練りこんだのが、OpenAPI による toB向けサービスの展開です。

 

――その流れで出てきた ChatGPT のお話では、会場がワッと湧きましたよね。

そうですね。ビジコン応募の段階では、まだ ChatGPT は話題になっていませんでした。ファイナリストに選ばれて、プランをさらに練っていくというときに、ちょうど ChatGPT が流行したんです。レシピを提案するアルゴリズムを考えるのが大変そうだなと思っていたのですが、AI の技術が進んだのでプランに盛り込むことができました。タイムリーな技術進歩に助けられましたね。

 

――ファイナリストにはメンターが2名つきます。どんなアドバイスを受けましたか?

メンターには執行役員 の上田 晋司さん、ビットスター株式会社 代表取締役社長 前田 章博さんについていただきました。

資料の内容のレビューなど、第三者的な視点で丁寧にアドバイスをいただけて、とても助かりました。あと、当日エプロン姿で登場したのは、じつは前田さんのアイデアなんです。自分では思いつかない発想で、実際に皆さんの評判もよくてさすがだなと思いました。

 

――当日の発表で意識していたことはありますか?

「会場にいる人と対話すること」ですかね。一方通行ではなく、聞いている人の反応を見ながら話し方やテンポを変えるようにしていました。緊張はしていましたが、それが伝わらないようにというのも意識していましたね。

 

――優勝という結果を聞いての率直な感想は?

「困ったなぁ」という感じですかね(笑)。出場にあたっては、ハードルを下げる意図もあるのか、実際のアプリケーションやデモを用意しなくても応募ができるようになっています。私自身も今回は企画を持ってきただけで、実際にアプリケーションを用意できていませんでした。そういった懸念点があったため「自分が優勝でいいのかなぁ」というのが率直な感想でしたね。

ただ、審査員からのコメントにもあったように、「表向きはただのアプリに見えるが、見えないところでさくらインターネットの強みを活かせる」という点は評価いただけたのかなと思っています。

結果発表後、驚きの表情で表彰式に登壇する前佛

「人を集めること」がプラン実現の課題

――田中社長からは、ファイナリストのプランに対し、「ぜひ事業化を」というコメントもありました。今後の展開として、事業化などは考えていますか?

そうですね。自分が使いたいツールとして今回の Cook-Hacker を考えたので、実現はしたいと思います。ただ実際問題、私1人で作れるものではないので、メンバーを集めることから始めなければいけませんね。

審査会が終わったらおしまいではなく、たとえば社内公募の制度など、サービス化実現に向けた支援をする仕組みがあるとうれしいなと思いました。

 

ということで、実現のためにはまず人集めですね。このプランが気になる人がいれば、ぜひ声をかけてほしいなと思います。

 

――どんな人に協力してほしいですか?

試行錯誤できる人、作ったり壊したりして改善することが得意な人ですかね。あとはヒアリングをしながら作れる人、利用者の立場で意見をいただける方に協力いただけたらうれしいです。

 

――ビジコンに参加してよかった思う点を教えてください。

頭の中のアイデアを、第三者に伝わるようにまとめる練習になりました。普段はあまりビジネス的なところでは考えることが少ないので、いい機会になったと思います。また、社外の方から講評いただけるのは、非常にありがたいなと思います。

あと、審査会当日はほかの方のプランも聞いていたのですが、とても勉強になりましたね。いろいろな部署の方が参加されているので、それぞれ視点が違っていて、興味深かったです。

――最後に、このプランのことに限定せず、前佛さんがチャレンジしてみたいことがあれば教えてください。

もう少し、コンピュータや技術を身近なものにしていきたいという想いがあります。DX を支援するための社内教育としておこなった「さくらの DX Journey」や、子どもたちにプログラミング教育をおこなう「さくらの学校支援プロジェクト」はこういった想いがベースにあって参加していました。これからも自分の活動によって「IT は難しい」という一般常識を、少しずつ変えていきたいと思っています。

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