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多くの職場が抱えている業務効率化、生産性向上、人手不足といった問題の解決を一手に担う存在としてソフトウェアロボット技術や、RPA(Robotic Process Automation)が注目を集めている。一方で、導入をためらう声が挙がり、導入をしたものの挫折を経験した人も少なくないだろう。その理由となっているのが、使用難易度の高さだ。
そこに着目し、徹底的に簡易化されたRPAが、株式会社オークファン(以下、オークファン)が提供するソフトウェア型ロボットの「オークファンロボ」だ。企業や自治体などのDX推進をおこなっている形見純さんと横野涼真さんに、同製品の提供の経緯、顧客から評価をされている点、導入例についてお話を聞いた。
(写真左)形見 純(かたみ じゅん)さん プロフィール
ソリューション事業部SaaSグループコンサルティングチーム・DX推進チームマネージャー。学びたいことを学べ、スキルの習得をできると感じたことから、2021年に株式会社オークファンに入社。NETSEA事業部、事業企画室を経て現職。
(写真右)横野 涼真(よこの りょうま)さん プロフィール
ソリューション事業部SaaSグループDX推進チーム。チャレンジングな姿勢と社内の環境・雰囲気に惹かれて2022年に株式会社オークファンに入社し、同部配属されカスタマーサクセスを担当。2023年より営業を担当している。
EC事業を複数の製品で包括的にサポート
日本におけるインターネット黎明期である2000年。自宅にあった品物をネットオークションサイトに掲載したところ、中古買取店が提示した額の4倍近い価格で売れたことから、武永修一氏はネットオークションに興味を持つ。その体験を原点に、武永氏が2007年に創業したのが株式会社オークファンだ。人、会社、モノ、社会の滑らかな循環を目指し、現在はEC事業に関連したソリューションとプラットフォームを中心に事業を展開している。
同社のサービスの1つに、複数のネットショップ管理の一元化を図る「タテンポガイド」がある。タテンポガイドを使用すると、一定の作業の自動化は可能だが、仕様の都合上、一部の作業は自動化の範囲外だった。
「『範囲外の作業も自動化できたら』という声を『タテンポガイド』の顧客からいただいていました。同時に、当社のほかの製品を利用している顧客も、製品の自動化を望んでいることがわかりました。複数の顧客の期待に応えるためにはどうするべきか考え、出した答えが『オークファンロボ』というRPAツールでした」(横野さん)
98%という利用継続率の高さが顧客からの信頼の証
RPAは「Robotic Process Automation」の略語で、パソコンでおこなっている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術を指す。マウス操作やキーボード入力などの操作手順を「シナリオ」として記録し、高速で実行に移すことが可能だ。複雑なプログラミングの技術は不要。業務効率化、生産性向上、人手不足の解消などが期待できることから、年々注目度が高まっている。同社では2021年2月に「オークファンロボ」の提供を開始した。
「2024年時点での利用継続率は98%です。この数字が顧客の率直な評価だと感じています」(形見さん)
「他社の製品にはもっと安いRPAもあります。価格だけ見れば、『オークファンロボ』は安いとはいえません。しかし、他社のものよりも削減できる業務が多いことを考えると、割安になります」(横野さん)
そういって、自信を見せた2人。「オークファンロボ」にはどのような特徴があるのだろうか。
まず挙げられるのが操作性だ。RPAはプログラミングの知識は不要としながらも、実際にはIT担当者が設定することを前提で製造されている製品が多い。「オークファンロボ」の対象ユーザーは、ITに詳しくない人、IT専門の部署を持たない企業であることから、シンプルな作成画面を採用し、直感的に操作をおこなえる仕様にした。
2つ目が、バックオフィス業務以外にも利用できることだ。他社の製品では、操作対象のアプリケーションがWebブラウザとMicrosoft Officeに限定されている場合もあるが、「オークファンロボ」ではパソコンの画面に映るものすべてが対象。もちろん、同社やグループ企業内でも導入され、プログラミングの知識が豊富ではない実務スタッフでも簡単に操作ができているという。
「私はコンサルティング事業を担当していて、その顧客の販売データを毎日オークファンロボで抽出しています」(形見さん)
「私は営業リストの作成にオークファンロボを使用しています。一度に何千件というデータのリストを短時間で作成できるので、とても便利ですね」(横野さん)
「もっとも顧客から評価を得ているのは、充実したサポート体制だと思います」と横野さんが話す通り、3つ目に挙げられる特徴がカスタマーサポートだ。オンライン相談会、顧客1社に対し専任の担当者がつくという手厚さにもかかわらず、費用は完全に無料。「挫折することなく導入できた」「Web会議サービスの画面共有機能を使用することで、実際の設定画面を見ながら話せるため早く理解ができる」と顧客から評価の声が多数上がる。
3つの特長を中心に着実に評価を得続けた同社は、オークファンロボをEC業界以外にも提供できると考えた。そこで提供先の1つとして挙がったのが、自治体だった。
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導入から数か月で目に見える成果が
自治体の顧客は地域の住民だ。多くの高齢者がITに対して苦手意識を持っているため、、住民向けのサービス提供は変わらずアナログのままで、それに合わせて自治体内部の作業もIT化が進まないケースは少なくない。
また、IT担当者がいても、シナリオ作成には実務の知識や、業務内容の洗い出しが必要になり、実務担当者の力は必要不可欠だ。そのため、導入しても活用できないままで終わることもある。
そんななか、「オークファンロボ」によってDXを実現したのが、2024年1月から導入している鳥取県鳥取市だ。もともとは、同県の大山町で「オークファンロボ」を導入。近隣の自治体でも似た課題を抱えていることがわかり、同町の紹介から鳥取市へアプローチをおこなった。
鳥取市は当初、他社のRPAを使用し、一定の成果を上げていた。しかし、より幅広く活用するには、操作性がネックだったという。
「じつは、現在オークファンを導入している自治体の3分の1は、他社製品からの乗り換えです。乗り換えると、また一からシナリオを作成しなければいけません。それでも当社の製品を活用していただけるのは、それだけ操作性に魅力を感じてくださっているからでしょう」
鳥取市での導入時も、「一度来て直接教えてほしい」と依頼があったが、すぐに撤回されたという。「実際に使ってみたら、思っていたよりも簡単だったのだと思います」と、横野さんは言う。導入時からサポートはすべてオンラインでおこない、いまでも週に1度は疑問の解消や、さらなる活用方法の相談のために定期ミーティングを実施している。
では、鳥取市はどのようにオークファンを活用しているのだろうか。
職員課では、保健師がおこなっている職員への健康診断の案内の一部に「オークファンロボ」を活用。自動化とペーパーレス化を実現し、勤務時間に余裕が出たことで、さらに保健指導に力を入れる予定だという。ほかにも支払関連業務、避難行動要支援者リスト作成など、さまざまな業務に幅広く取り入れられている。
オークファンロボの導入担当者は、「今後、職員にもっとオークファンロボに触れてもらい、『この業務もオークファンロボに任せられるかも』と自ら発見し、活用してもらえたらうれしいです」とさらなる活用に期待を寄せている。
同社は今後、自治体へのオークファンロボの提案を強化し、DXへの貢献を目指すという。
目指すべきは「オークファンロボ」の導入ではなく、顧客の課題解決
2人が「オークファンロボ」の今後の展開を、どのように描いているのも気になるところだ。
「導入時は当然、コストや手間が発生します。しかし、そこさえ乗り越えてしまえば、工数を削減でき、本当にやりたい業務に集中できる。導入に迷ったら、その先にある未来を想像してみてください。
個人的には、今後も引き続き継続して伸ばしたい事業で、出し惜しみせずに時間とコストをかけていきたいですね」(形見さん)
「RPAはたしかに便利ではありますが、課題解決のツールの1つに過ぎず、必ずしも最適解であるとはいい切れません。私たちはさまざまなツールを所有し、DXを進めることが得意です。現状の不満や課題を相談していただけさえすれば解決策を提案できますので、気軽にご相談ください」(横野さん)
顧客が本当にほしいものはRPAなどのツールではなく、導入した先にある課題解決だ。同社の包括的な提案力には、DXの推進に悩む事業者や自治体から、今後より多くの視線が注がれるだろう。
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執筆
増田洋子
東京都在住。インタビューが好きなフリーランスのライターで、紙媒体とWebメディアで執筆中。ネズミを中心とした動物が好きで、ペット関連の記事を書くことも。
ポートフォリオ:https://degutoichacora.link/about-works/
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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