こちらの連載を読んでくださっている方への、ご報告です!
これまで毎月、兼業作家の悩める日々について書き連ねてきましたが。
とうとうわたくし……会社を、辞めました…………。
「書く仕事について語るエッセイ」がコンセプトだった本連載。なんだかエッセイというよりも実録ノンフィクションじみてきましたが、連載22回目にして、会社を退職するという暴挙に。今後は「(専業で)書く仕事について語る」がコンセプトになる予定です。
いやはや、こんなことになるなんて。連載当初は予想もしていなかった。元気に会社員生活をしていたのも今は遠い昔のよう。いまや元気に個人事業主になってしまいました。
とはいえ、自分もそのうちまた会社で働こうかな~という気になるかもしれない。それまでは、ひとまず束の間(かもしれない)専業作家の日々を連載に書いてゆけたらと思ってます。書評家業のリアル、どうでしょうか、興味ありませんか。
もし「兼業」というところを楽しみにして本連載を読んでくださっている方がいらしたら、申し訳ないのですが、まあ今までよりも面白い内容をお届けできるように頑張ります!
というわけで、今回のテーマは、気になる「なんでいきなり会社を辞めたんですか!!」という点について。
こないだまで「専業じゃなくて、兼業のほうが、いいもの書けそうじゃないですか~」なんて書いていた(※連載第六回参照)のは、どこのどいつだったのか。
今回は退職エントリならぬ、専業決心エントリです!
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読む時間と書く時間がほしかった
そもそもの話をすると、私はわりと決心してしまえばはやい人間だと思う。
自分の進学や就職、あとは就職するタイミングなども、自分で決めたら、周りには事後報告してそれに向けて動く……という形が多かった。
根が優柔不断で腰がものすごおおく重い人間なので、そもそも決めるまで時間がかかる。だけど決めたらとりあえずさっさと動きたいのである。
というわけで、会社は6月退社だったが、会社を辞めることを決めたのは3月だった。
辞めた理由はもう単純。年度末の会社仕事が非常に忙しく、本の執筆や読書にほとんど時間がかけられずに「も、もう無理」とばたんと突っ伏したのだ。
読めないのがつらい。積読が家にたまってゆくのがつらい。原稿を書けなくて心が重たくなるのはもっとつらい。
自分の本を読み返してみても、せっかくいいテーマを扱っていても、もっと掘り下げられたのではないか、というちょっとばかりの後悔が残るのもつらかった。まあその当時の全力は尽くした(と私は自分に甘いので思う)のだが、それでも自分で読み返してみると、もっと書けたはずだと思ってしまうのだ。時間がない中ではこれが精いっぱいだったのかもしれないけど、でも、時間があったらもう少しできたことがあったんじゃないか、と。
まあ時間があればいい本になるなんて幻想に近い気がするけれど、それでも、執筆の準備にかける時間のなさをひしひしと感じるようになっていた。自分に寄せる波がひたひたと大きくなってく感じ。よく夢で準備不足で怒られたり焦ったりする夢を見た(なんでこんな嫌な夢を見るんだ自分、という感じだが……)。
もう少し時間がほしかった。読む時間と書く時間がほしかった。
会社仕事も嫌いなわけじゃないけれど、それよりも「読む時間と書く時間がほしいよ~~」と嘆く気持ちのほうが大きくなった。
年が明けて誕生日も迎え、20代も残り二年だと思った。
20代で思い残したことがあるとすれば、やっぱりもっとちゃんと本を読んで本を書きたい、ということだった。
本当は兼業のほうが精神的にも金銭的にも良いんだろうな、ということは分かっているのだけど。それでも時間が欲しすぎて、会社を辞めたのだった。
ちょうどプライベートでの転機もあって、京都に引っ越すことになった。ちょうどいいタイミングだと思った。京都に引っ越して会社を辞める、と言ったらいろんな人に驚かれたけれど。
やれるところまでやってみよう
私は新卒入社で会社に入ったときから、既に兼業で作家業を始めていた。入社したときは「もう無理って思うところまでやってみよう」と思っていた。
そんでもう無理~と思うタイミングがやってきてしまった。意外と早かったかもしれないし、まあこんなもんかもしれない。
とはいえ会社仕事をしていたほうが精神的には安定する気がするので、また気が済んだら会社に勤めたい気もする。……いや、雇ってくれるところがあるのかどうかは謎ですが……。まあそれはそれである。無理なら無理で、他の道を考えるほかない。
いつだってそうだ。無理じゃなかったら、頑張ってみる。無理だったら、他の手段を考える。
意外とさくっと終わってしまった、専業決心エントリ。ね、そんなに大きな事情があったわけでもないのですが。会社で仲良くなった人たちもたくさんいるし、なにかものすごく嫌なことがあったわけでもないのだ。
まあ、専業もまた、やれるところまでやってみよう、と今は思っている。できるだけ長く、ずっとやれるように、頑張りたい。
というわけで! ここまで読んでくださったそこのあなた!
仕事を、ぜひ、ください!
切実である。いままでになく切実である。いやはや。仕事したいよ! とこんなに心から思ったことがあったであろうか。ない。売れっ子作家になれるよう頑張る。……売れっ子って今あんまり聞かない言葉かしら。まあいいや。
というわけで、お仕事の相談がある方は、ぜひ私にご一報ください!
そして今後とも本連載、新章・ハラハラドキドキ専業書評家篇もお楽しみに! これが一番大切なところである。
■三宅さんの前回の記事はこちら