週末の夜中にエアコンが故障、人工知能(AI)の診断でスッキリした話

週末の夜中にエアコンが故障、人工知能(AI)の診断でスッキリした話

 

4月に入り、ようやく本格的に春めいてきた。とはいえ、朝晩の寒さはエアコン無しでは厳しいものがある。そして今日も外は冷たい雨が降り、気温は一日を通じて一桁台を推移。あぁ、こんな日にエアコンから温かい風が出ないなんて――。

私はやむをえず、クリーニングに出そうと袋に詰めたフリースを引っ張りだし、羽織った。そう。突然、我が家のエアコンが故障したのだ。

春先という比較的ラッキーな季節とはいえ、暖房なしではまだ寒い。だが、もしもこれが真冬や真夏といった、エアコンが無ければ生死にかかわる時期であれば、このような穏やかな気持ちではいられまい。

やや愚痴になるが、我がマンションはコンクリートでできており、夏は暑くて冬は寒い。かつ、高さのある天井ギリギリにエアコンが設置されているため、床に座るとエアコンの恩恵は受けられない。冬場は、足元を温めるためにカーボンヒーターを置いているが、如何せんピンポイントでしか温まらないため、気休めにしかならない。

というわけで、満を辞してシーリングファンを取り付け、天井付近の暖気を部屋全体に混ぜ込む作戦に出たのが今シーズンだった。

 

――話を戻そう。メカ音痴の女一人暮らしで、金曜の夜に突如エアコンが動かなくなれば、パニックとまではいかなくとも、かなりの絶望に襲われる。大手メーカーは土日休みだし、となると修理の依頼は早くても月曜になるわけで。

具体的には、エアコン本体にある「運転」という緑ランプが点滅し、うんともすんとも言わない状態。リモコンを使って何度か電源のオンオフを繰り返すも、状況は変わらない。

(もしかすると、フィルターの掃除が必要なのかな?)

ありがちな故障原因なので、騒ぐ前に確認をしようとエアコンに近づく。しかし残念ながら、「フィルター」のランプはついていない。その結果、かなり絶望的な状況であることが確認できた。

早速、Googleの検索ボックスに「エアコン 点滅」と入力すると、予測候補で「つかない」「動かない」などが出てくる。私と同じ状況に陥り、インターネットに助けを求める哀れな民は多いのだろう。とりあえず、一番上に出てきたサイトをクリックする。

 

「エアコンの電源が点滅する時は、エアコン本体の異常を知らせています」

 

なるほど。さらに読み進めると、各メーカーによって故障の場合の点滅箇所は異なるが、9割方が「運転ランプが点滅」となっている。そしてメーカーを含むいくつかのサイトを閲覧した結果、すべてのサイトが

 

「電源またはブレーカーをオフにして、リセットを試みてください」

 

と言っている。パソコンやスマホなどの電子機器、さらにWi-Fiルーターなども、不具合が生じた時は「まずは再起動」がセオリー。家電製品もやはり電気を遮断してから再度始動させることで、バグを排除できるのだろうか。

ネットの情報を頼りに、ブレーカーの「エアコン(室内)」「エアコン(室外)」を両方ともオフにし、1分待つ。再びブレーカーをオンにすると、恐る恐るエアコンのスイッチを押してみた。

 

ブーーーン

 

おぉ、動いた! 運転ランプも点滅していない。

(なんだ、びっくりしたぁ)

こうしてエアコンをリセットすることにより、再び温かい風が吹き始めたのであった。

人工知能(AI)登場

人工知能(AI)登場

 

事件はその数時間後に起きた。またもやエアコンの運転ランプが点滅し、風がピタリと止んでしまったのだ。明け方近くで気温は下がり、室内はひんやりしている。

 

「再起動でダメならば、修理が必要となります」

 

この一文が脳裏をよぎる。世の中、そんなに甘くはなかったのだ。再びスマホで検索をする。もはや一般的な故障の対応についてではなく、メーカーサイトで調べるしかない。

「エアコン 点滅 ダイキン」

すると一発でダイキンのFAQページが現れた。

Q 運転ランプが点滅します。どうすればよいですか。

A 「AI故障診断」をタップし、「運転ランプが点滅する」を選択してご確認ください。

(AI故障診断…?)

とりあえず言われるがままにバナーをタップ。そして「運転ランプが点滅する」をタップすると、「以下の方法で症状が改善されることがありますのでお試しください」というメッセージとともに、動画と文字で解説が始まった。しかしこれは、数時間前に私が試した「リセット」についてだった。故障診断はチャット形式のため、AIがこう尋ねてくる。

「運転ランプはどうなりましたか?」

そこで私は、

「再度点滅した」

を選択。するとAIは、

「エアコンが不具合を起こしている可能性があります。不具合の内容(エラーコード)はリモコンの簡単な操作で特定することができます」

と、具体的な解決策を提案してきた。これは素晴らしいアイディアだ、と思わず膝を打つ。

メーカー側としても、故障の原因を特定した上で修理に向かうのと、ただ単に「壊れた」といわれて向かうのとでは、修理に費やす手間も時間も格段に違う。また、故障時点で原因をある程度具体化できれば、ユーザー側も「何が起きているのか」を知ることで気持ちが落ち着く。

かつてはコールセンターに電話をし、あれをしろこれをしろと指示を受けながら試した結果、

「原因は〇〇だと思いますので、修理が必要です」

という流れだった。電話がつながらないことも踏まえると、今後の対応を知るまでに何十分もかかっていたことになる。それがどうだ、今では無駄な時間を費やすことなく瞬時に先へ進めるではないか。

 

「エラーコードを確認する」

私がタップすると、AIからリモコンのタイプについて3枚の画像が送られてきた。手元のリモコンと同じ画像をタップし、エラーコード確認のためのやり方へと進む。GIF画像で分かりやすく誘導され、ついにエラーコードにたどり着いた。

 

「冷媒ガスが不足していることを検出して停止しています。点検・修理が必要ですのでお買い上げの販売店、または当社にご相談ください。」

 

なるほど、冷媒ガスが漏れているのかもしれない。ということは、室外機の開閉バルブの不良か、配管などの腐食か、はたまた取り付け工事のミスか。いずれにせよ、修理以外にエアコンが復活する方法はなさそうだ。

普段は往生際が悪い私も、このAI故障診断の結果にはスッキリしたため、おとなしく月曜日が訪れるのを待つことにした。

いち早く、人工知能(AI)を取り入れたダイキン

2018年1月23日、ダイキン工業株式会社は一本のニュースリリースを出した*1

ダイキン工業株式会社は、人工知能(AI)を活用した自動応答チャットボット技術(以下、AIチャットボット)を採用した故障診断サービスを、2018年1月23日より当社お客様サポートサイトページにて開始します。

 

これまでも、オペレーターによる24時間365日体制でのサポートをおこなってきた同社だが、時代に合わせたAIチャットボットの導入により、自動で素早く最適な回答・情報を提供できるよう、サービスの改善を図ったのだ。

実際にAI故障診断にお世話になった立場としては、かなり満足のいく対応だった。人間ならではの「生理的な嫌悪感」が一切ないため、純粋に必要な情報だけを選択し、最短ルートで最適解にたどり着いた感覚がある。

 

ストレスなく誘導してくれたAIに、人間代表として感謝を伝えたい。