副業書評家の選ぶ「読むと仕事のモチベーションが上がる漫画」

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前回の連載では辛気臭い私の尾骨の話をしてしまいましたが! あれからどうなったかといえば、結局仕事が忙しくなくなったら直りました! やったね! いやー本当に良かったです。限界まで働くのはよろしくない。どうか皆さんもお気をつけください。

前回がわりと「仕事(に伴う体調不良)が辛い」話だったので。一転、今回は「仕事を楽しもう!」という話をしようと思います。

題して、「副業書評家の選ぶ、読むと仕事のモチベーションが上がる漫画プレゼン」の回!

……なぜ書評家なのに「読むと仕事のモチベーションが上がる本」の話ではないのか。それは、昔、全く同じテーマの記事を書いてしまったからです。なぜなら書評家なので。本の話は仕事で既に書いちゃってるのですよ。WEBサイトの「おうね。」さんにて、仕事の悩みを救う本を紹介してますので、よければ読んでやってください(別サイトで宣伝するやつ)。

しかし漫画の話はまだどこでもしたことがないはず! 漫画、大好きなんですがあんまり需要がなくて書く機会がないので、自分の連載で取り上げちゃう。

私、漫画って仕事の話をすごくしてくれる媒体だと思っているんですよね。だって、ほかでもない漫画家さんたちがすごく仕事を頑張っている人たちじゃないですか。漫画を読んでいると、たまに、ああこれがこの漫画家さんの仕事観なのだなあと感動するときがある。社会人になってからは、尚更です。

悩める社会人に読んでほしい漫画

悩める社会人に読んでほしい漫画

というわけで、今回は「悩める社会人の皆様に読んでほしい、仕事のモチベーションになる、あるいは、仕事の悩みに応えてくれる漫画たち」をご紹介します! 

1.目指す目標があるときに読んでほしい『Parise kiss』全五巻(矢沢あい、祥伝社)

……大好き!!! と表紙を見ただけで私が叫んでしまいそうになる漫画こと『Parise kiss』。主人公は高校三年生の紫(ゆかり)。進学校に通う紫はある日、近くの芸術系の学校で服飾の勉強をしている譲二(通称ジョージ)に、ショーのモデルになってくれないかと勧誘される。紫のスタイルの良さを見込んでのことだった。受験生なのにそんなことやってる時間ない、と紫は無視しようとするが、譲二と彼の仲間たちの服作りへの情熱に触れることになって……という少女漫画である。

いやこれだけ読むと、「女子高生のモデル物語がなぜ仕事のモチベーションに!?」と怪訝に感じられるかもしれない。でも私にとっては、仕事観の原点みたいな漫画なのだ。

とくに一巻のとある台詞がとても良い。主人公の紫は、受験勉強こそしているものの、将来やりたいことなどなにもない女子高生。彼女が出会ったジョージは、同世代なのに既にデザイナーを目指しているという。

「えっ、プロのデザイナーってどうやってなるの?」と訊ねる紫に、ジョージは微笑みながらこう述べる。

……そーだなぁ

少しの才能とあふれる情熱 それに伴う行動力! 

それがあればどこかで道が開けると思う

出典:『Paradise kiss』1巻、矢沢あい、祥伝社

……良すぎませんか!? いやこれを27歳になって良いって言うのも少し恥ずかしい話かもしれませんですが! でも良いよ! 私はちょうど高校三年生の時にこの台詞に出会い、自分の仕事観を形作られた、といっても過言ではない。なので今読んでも励まされる。

今読むと、これは作者の矢沢あい先生自身の仕事観でもあったのだろうなあ、と感じる。少しの才能、あふれる情熱、それに伴う行動力。ちゃんと全部揃ったら道が開ける、というのは今もやっぱりその通りだと思う。だけどジョージにとってこの台詞を唱えた段階ではまだ「道は開けて」おらず、自分に励ますようにその言葉を述べているところなのだ。だからこそ彼らは唱える。「自分の可能性を信じなきゃなにも始まらないよ」と。

仕事でなにかを目指しているけれど、時には疲れちゃうよ、という方にぜひ読んでほしい。ジョージや紫たちの、すったもんだしながらのシビアな夢との向き合い方に、きっと心つかまれるので。

仕事をしている人の画像

2.将来に不安があるときに読んでほしい『&』全八巻(おかざき真里、祥伝社)

これもすっごく好きな漫画なのだけど、OL漫画をずっと描かれてきたおかざき真里先生による「副業会社員漫画」こと『&』。たとえば前作の『サプリ』は広告代理店で働く女性物語だったけれど、『&』の主人公は、病院で医療事務として働きつつ副業でネイルサロンを経営する女性・薫。……というと、バリバリ働く女性を思い浮かべるかもしれない。しかし実際のところ薫は、派遣社員として働いていて手取りも少なく、ネイルサロンも起業してみたものの、どうやったら上手くいくのかわからない日々を過ごしている。おまけにはじめての恋愛まで絡んできて、薫は日々不安と戦いながら仕事している。

おかざき真里先生の仕事漫画は、真面目じゃない人が出てこないところがいいところだな、と私は思う。登場人物がみんな真面目なのだ。だけどみんな、真面目だからこそ、悩むし、不安になる。実際、安心できる材料なんて何もない。しかしそのなかで、どうやって仕事をよりよい場所にもっていくか? 不安をどうやっておさめるのか? そんな方法論が、漫画を通して丁寧に描かれている。

始めるのは勢いでできるし、終わらせるのも簡単、だけど続けることだけがつらい。『サプリ』にそんな台詞があったけれど、『&』は、その「続ける」部分をどうやって乗り越えるか? という部分に向き合った漫画だと思う。続けていると、不安は山のように出てくる。それでも、次の日の仕事は来る。『&』はその過程を描くのだ。

仕事を続けていて、不安になったときに、お守りのようにして読んでほしい漫画のひとつ。

3.生活と仕事のバランスに悩む人に読んでほしい『Bread & Butter』全十巻(芦原妃名子、小学館)

12年間勤めてきた教師という職を辞めた柚季は、34歳になって、婚活をはじめることを決意する。しかし結果は散々。そんな時に出会ったパン屋さんの洋一に、柚季は勢いでプロポーズしてしまう。そして柚季は、洋一のパン屋を手伝うことになるのだった。

これもまあ名作中の名作。どこが名作かといえば、なんといっても「結婚」と「仕事」をここまで真正面からテーマとして扱った漫画があったか? と机を叩きそうになってしまう、その切り込み具合。パン屋を通して、さまざまな夫婦が登場し、さまざまな仕事が描かれるのだが、きっと読者は柚季といっしょに「結婚こわい!」と叫んでしまうのではないだろうか。それくらい現実的な結婚観と仕事観が描かれているのである。

しかしこの漫画のいいところは、「やりたいことをやること」と「誰かと一緒に生活を頑張ること」という、一見両立しなそうな、夢と生活のバランスについて丁寧に解きほぐしているところ。現実をリアルに描くことも、夢をきらびやかに描くことも簡単だけど、夢と現実の狭間を探す物語はなかなかない。『Bread & Butter』は、ちゃんと、「生活と仕事ってなかなか両立しないけど、それでもやりたいことを頑張ってやりたいし、そして身近にいる人も大切にしたいよね」という、社会人としてきっと誰もが一度は思ったことのある問いかけを描いてくれる。だから生活と仕事のバランスに悩んだときに、おすすめしたいのだ。

明日もがんばろう、と思わせてくれる物語

……というわけで、主に私が好きすぎる漫画を三つご紹介してみた。どれも仕事と向き合ったことのある方なら「わ、わかる」と震えるシーンがひとつはある漫画だと思うので、ぜひ読んでみてほしい。

仕事を始めるときも、続けるときも、変えるときも、悩むときはきっと悩む。でもそんなときには、漫画を読んで、元気をもらって、前向きに考えたいものですね。明日もがんばろう、と思わせてくれる物語は、それだけで貴重。年末の暇なときにでも、読んでみること、おすすめしたいです!

 

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