石川工業高等専門学校(以下、石川高専)は、1965年に設立された国立高等専門学校です。高専については「高専とは?採用で注目される高等専門学校の特色や高校・大学との違い」でくわしく説明しています。
石川高専はロボットコンテスト(ロボコン)やプログラミングコンテスト(プロコン)、ディープラーニングコンテスト(DCON)といった各種の全国大会に参加。優秀な技術者の養成に取り組んでいます。
今回はプロコンとDCONに参加したチーム「あいけん」の4名に話を聞きました。
石川高専の電子情報工学科メンバーでチームを結成
ーーまずはじめに、それぞれお名前とチームで担当している役割について教えてください。
出島 幹英さん(以下、出島):電子情報工学科4年の出島です。プロコンやDCONではメインの開発をしていました。プロコンではそれに加えてチームリーダーもしていました。
髙橋 和加奈さん(以下、髙橋):電子情報工学科3年の髙橋です。現在チームリーダーをしています。資料作成や新しいプロジェクトのデザインなどを担当しています。
夏嶋 里帆さん(以下、夏嶋):同じく電子情報工学科3年の夏嶋です。現在は資料作成や調査、フィードバックを担当しています。
長谷川 樹さん(以下、長谷川):電子情報工学科3年の長谷川です。これまでは主に資料作成をおこなっていました。いまは新しいプロジェクトの開発を担当しています。
なぜチームに参加したのか
ーー出島さん以外は3年生なんですね。みなさんがこのチームに参加することになった背景を教えてください。
出島:プロコンは課題部門と自由部門と競技部門の3部門があって、その中の競技部門に出たいと思っていたんです。でも競技部門に出るメンバーが見つからなくて、自由部門でもいいから参加したいと思ってチームに入りました。
髙橋:私はもともとロボコンに参加したかったんですけど、タイミングを逃してしまい、プロコンに参加しました。
夏嶋:私はもともとプロコンの自由部門や課題部門に参加したいと思っていました。チームで何かを作りたかったので、参加を決めました。
長谷川:1人で何かを作るよりも、みんなで協力して作れたら楽しそうだし、実力が伸ばせるかなと思ったので参加しました。先輩が楽しそうに取り組む姿や友達同士でも教えあうような楽しいイメージがありました。
高校ではなく高専を選んだ理由
ーー高校ではなく、高専を選んだのはなぜでしょうか?
出島:中学1年生のときからプログラミングが好きでした。SmileBASICさんが出している『プチコン3号』というソフトウェアでゲームを作ってみたりしていました。ほかにも、県庁所在地を覚えるプログラムも作っていましたね。プログラミングが楽しかったので、より専門的に学べる高専っていいなと思って選びました。
髙橋:パソコンを使った学習ができるところに魅力を感じて入りました。あと、小さいころから機械が好きなんです。
夏嶋:体験入学のときに先輩方の作品を見て、自分もこういうものを作りたいなと思ったからです。高専は進学や就職がしやすいと聞いていたので、それも高専を選んだ理由の1つです。
長谷川:私は小学生のころからゲームやスマホが好きなので、アプリやゲームを作ったりしてみたいと思ったので、高専に入学することにしました。
チームに参加する前にしていたこと
ーーこのチームに参加する前はどんなことをしていたのでしょうか?
出島:以前からいろいろ作品づくりをしていました。石川高専では1年生のときに「Processing」という描画に長けたプログラミングを学びます。作品を文化祭で発表して、来てくださった方にそのゲームを遊んでもらったんです。それを通じてゲーム作りが楽しいなと思って、いろいろなゲームを作りました。
髙橋:以前はテニス部に入っていました。1年生のとき、学校のタイピングテストで60点しか取れなかったので、タイピング練習を頑張っていました。
夏嶋:私も髙橋さんと同じくテニス部でした。プログラミングはそこまで経験がありませんでした。
長谷川:生徒会に入っていたので、学校行事の運営をしていました。
ーーチームの立ち上げの背景や目的を教えてください。
出島:チーム名の「あいけん」というのは、私たち4人が所属している部活動の名前です。石川高専には電子情報研究部がありまして、その部活動で参加して活動しています。
夏嶋:プロコンに参加したいメンバーが集まりました。それがこの4人です。
髙橋:コンテストへの参加を通して、自分たちのスキルアップを目的としてます。
石川高専のチームはHIT2020で「ICTまちづくり賞」を受賞
ーー部活動の名前なんですね。チームを組んでから、プロコンとDCON以外ではどのような活動をしてきたのかを教えてください。
出島:一般社団法人テレコムサービス協会が開催している、HIT2020(Hokuriku Innovation Trial)でICTまちづくり賞を受賞しました。この大会は北陸地域の学校などが参加する大会で、起業家甲子園や起業家万博の北陸予選も兼ねています。
ーースキルアップを目的としているそうですが、スキルアップしている実感はありますか?
出島:これまでは1人で作品づくりをしてきました。やはり、チームとして複数人で取り組むことで、コミュニケーションの取り方などは勉強になりました。
髙橋:私は資料作りは好きなんですけど、話すのが少し苦手です。でもチームで活動しはじめてからは、以前よりもマシになりました。今後は資料作成やプレゼンテーションを通じて伝える力を身につけていきたいです。
夏嶋:資料作成をしていて、どうしたら読みやすい資料が作れるかを学べました。プログラミングも、電子情報研究部の先輩やチームの仲間に教えてもらえて、以前よりもレベルアップしてると感じています。
長谷川:意見を出しあって悪いところや良いところをはっきり言いあうことができました。いままでそういった経験がなかったのですが、この活動のおかげでそれができるようになりました。
コンテストで実現できたこと、苦労したこと
ーーそれぞれがスキルアップを実感できているのは素晴らしいですね。これまでコンテストで実現できたことや苦労したことを教えてください。
髙橋:実現できたのは、自分たちのアイディアを形にすることです。苦労したことは、情報の共有がなかなかうまくいかなかったことです。たとえば、こんな機能を作りたいというイメージの共有は難しく、調整が大変でした。
いろいろな意見をまとめて、1つのものを作るのは難しいです。
ーーその難しいことや大変だったことをどう乗り越えたのでしょうか?
髙橋:文字に起こしたり、図に起こしたり、という作業をして解決しました。
石川高専の今後のチャレンジについて
ーー今後チャレンジしようと考えていることはありますか?
髙橋:チームの女性3人で北陸センター科学技術大学院大学主催のコンテストM-BIP(Matching HUB Business Idea & Plan Competition)にファイナリストとして参加する予定です。「Timory -依存症に配慮したSNS-」という日記を少しずつ綴っていくアプリを発表します。
このアプリの特徴は、記録と閲覧の時間をわけて管理することができる点です。そうすることで依存症の予防になるようにしています。
ーーみなさんのこれからの目標を教えてください。
出島:技術的なことですと、開発や設計手法を勉強したいです。いままでずっとサーバーサイドに取り組んでいたので、フロントエンドもやってみたいと思います。いろいろな技術を勉強して、知見を増やしていきたいです。またこの4人で組める機会があれば、プロコンなどで優勝目指してやっていきたいです!
髙橋:これまでのプレゼンでは、本当に伝えたいことが伝わらないことがあったので、そのあたりのスキルを伸ばしたいと思っています。家族にも言われるぐらい話すのが苦手なので、鍛えていきたいです。
夏嶋:資料作成や調査はいままで通り頑張りつつ、「Timory -依存症に配慮したSNS-」の開発も手伝えるように頑張りたいです。
長谷川:いつも資料作成や作品制作が、締め切りギリギリになってしまうので、しっかり計画して余裕を持って開発できるようになりたいです。
データセンターをオンライン見学会
ーー先日、さくらインターネットが開催した石狩データセンターのオンライン見学会にご参加いただきましたが、感想を教えてください。
出島:さくらインターネットのみなさんは、コロナの影響もあってほとんど出社がないと聞きました。その仕組みはすごいなと思いました。
髙橋:オンラインでも迫力がありました! 説明会と言っても写真で簡単に説明される程度かと思っていたのですが、想像していたよりもしっかりと説明してもらえたのでとてもありがたかったです。
夏嶋:お話を聞いてフレックス制度(さぶりこフレックス)がいいなと思ったのと、多目的室にバーカウンターがあってとても過ごしやすそうでした。オンラインでも見学できて楽しかったのですが、また機会があれば現場で見学したいです。
長谷川:質疑応答の時間が将来の役に立ちそうです。とても楽しかったので、また機会があったらうかがったり、お話ししてみたいです。
ーー石川高専のチーム「あいけん」のみなさん、ありがとうございました!
■石川高専HP https://www.ishikawa-nct.ac.jp
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執筆
鎌田 真依
2015年6月にさくらインターネットに中途入社。 ES(人事)部所属。 これまで、スタートアップ支援や学生支援などのブランディング活動に従事し、現在は新卒採用を担う。
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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