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コロナ禍で私たち体育会が挑戦した、アナログからのデジタルシフト

株式会社スポーツフィールド(以下、スポーツフィールド)は、全国で体育会人財の就職支援サービス事業を手掛けるスポーツ総合支援会社です。スポーツが持つ可能性をさまざまなフィールドで発揮することを目指しています。

そんなスポーツフィールドで、システムを活用した業務効率化に取り組む高橋幸江氏。

「アナログであることを誇りにすら思ってきました」と語る高橋氏が、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一歩となる、デジタルシフトに踏み切れた理由を語ります――

Sansan株式会社が開催した「Sansan Innovation Summit2021」の講演内容をもとにお届けします。

 

アナログであることを誇りにすら思ってきた

アナログであることを誇りにすら思ってきた

 

私たちはスポーツ人財、体育会に特化した人材業をおこなっています。「スポーツ人財」という表現は当社独自の定義です。私含め、スポーツフィールドで働く社員自身もスポーツ人財であり、体育会系です。スポーツフィールドは「スポーツ人財のためにできることは何か」を考え続け、間もなく創業12年となります。

私たちはスポーツ人財と向き合うことを大切にしてきました。スポーツでは試合の流れを読んで、チームメートを信頼して、ベストのパスを送ります。

これが仕事でできていたからこそ、テクノロジーに強い組織になる必要性はありませんでした。むしろアナログであることを誇りにすら思ってきました。デジタルツールを数年前に導入しても、活用することがなかったのがその証拠です。

しかし従業員数が増え、アナログだけでは補えない部分も出はじめてきました。そんなとき、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言が発令されました。

なぜデジタル化へ意識変化できたのか?

なぜデジタル化へ意識変化できたのか?

 

当時の私は、顧客企業データ整備の課題を抱えていました。

「正」のデータがどこにもなく、データが社内に分散している状態で、整備がなかなかできない状態でした。取引の基本である契約書原本がありますが、原本は紙です。企業名や住所を自動で更新してはくれません。これでは企業変更などに対応できないのです。

そして用途別の管理。それぞれの管理目的が違うので、データの不一致や項目が足りていませんでした。そして、請求書送付先と支払先も一致しない。契約書は支払先、支払先は本社ということもよくありました。

 

そこで考えていた課題解決方法は2つあります。

1つはアナログ解決。これは、みんなで見直しをおこない整備する方法です。もう1つはお金で解決。名寄処理をおこなう方法ですが、これには数千万のコストがかかり、とてもハードルが高いです。

そんな中、デジタルツール(Sansan)を使えば解決策になるのでは? という期待が生まれました。過去照合と新規発生の2軸利用が可能だからです。過去データは帝国データバンクの企業情報を「正」データとして照合し、新規データは名刺を「正」データとして受け入れるのです。

デジタルツールを使えば代表者名や住所が自動で最新になり、すべてデータ化します。これによりデータの照合がおこなえます。さらにCSV出力&APIでデータの2次活用が可能です。

ただし検証を進めると、すべてが解決とはいかないことがわかりました。

具体的には

  • 顧客企業データがすべてあるわけではなかった
  • 正しく取り込まれていないデータがあった
  • 所有者不明のデータがあった

すべて完璧とはいかなくてもデジタルツールを全社展開するか、アナログで解決するか。経営判断を仰ぎました。結果、デジタルツールの全社展開が決まりました。アナログからのデジタルシフトです。

デジタルの試行錯誤

私たちの会社は、全国に拠点があります。そのため、コロナ関係なくテレビ会議用にZoomを導入していました。したがって、1月末頃からオンライン商談はできていました。しかし、オンライン商談では名刺がもらえません。

 

デジタルの試行錯誤

 

そこで考えたアナログな解決が、お客さまの名刺を当社で画像作成し、データとして取り込む方法です。必要な情報を社員がGoogleフォームで依頼し、作成者がデータをチェックし、画面キャプチャを撮って取り込みます。しかし、これは非常に手間がかかります。

そこである社員が「アナログオンライン名刺交換」を考えました。カメラ越しにお客さまに名刺をかざしていただき、当社側でスマホ撮影します。それをアプリから名刺登録するのです。この方法であれば、わざわざデータ入力をする必要がありません。

こうして試行錯誤が続いていく中、中途入社の社員がインサイドセールスを開始いたしました。社内に分散しているお客さまの情報を調べ、その情報をもとにお客さまに再アプローチ。そして結果を、デジタルツール上に残すフローを考えてくれました。

これもまたアナログなフローです。しかしこれが、私たちには未来の見えるアプローチでした。かつ、このインサイドセールスは当社らしいやり方で進みました。

スポーツ人財のためにできることから考える

スポーツ人財のためにできることから考える

 

インサイドセールスの業務設計は、スポーツ人財のためにできることから考えました。この運用を担っているのが、社会人経験のないサッカー選手たちです。彼らは午前中に、選手としての活動をしています。そして週3回から4回、午後に出勤して夜の7時まで業務をします。彼らの大会や練習優先の業務設計をしました。

インサイドセールスは適切なタイミングで再アプローチすることが大切です。デジタルツールを使えばコンタクト管理を残すことができるので、これができました。結果、彼らの選手生活を優先してもアポ率は従来から5倍となりました。

現役を続けたいと願っても、選手生活の次の人生設計を考えなければならないときは必ず来ます。この成功で社会人経験がなくても、選手生活をしながら次の人生設計の選択肢を増やせるのではないか、と手応えを感じました。

みんながデータを活用する意識に変わってきました。データが一元化してくると、どんな企業さまがスポーツ人財に価値を見出しているのかが見えるようになってきました。

それが見えてきたことで「データがもったいない」。こんな言葉が事業部から聞こえるようになりました。データを活用していく意識変化です。

データを活かせるノーコードへ

データを活かしたい、デジタルから見える世界も見たい。そんな思いを形にしたのが「ノーコード」です。当社はスポーツ人財に特化したいくつかのサービスを展開しています。そのサービス責任者たちもスポーツ人財です。

彼らがデータを活用したいという想いから、ノーコードを触りはじめました。生まれるデータは次に活かしたい、アプリを使って入力負担を減らしたい、アナログは減らしていこう。そんな思いからのノーコードです。

 

こうして私たちは、私たちなりのデジタル化が見えるようになってきたのです。社員同士が会えなかったからこそ情報はフラットになり、課題感の共有ができ、社員が動いた結果です。取り組んだ社員は、拠点も部署も役職もすべて違います。

スポーツは試合になれば先輩後輩もありません。試合の流れを読んで、チームメイトを信頼し、ベストのパスを送る。課題感と情報の共有ができる信頼関係の構築は、私たちスポーツ人財がスポーツを通じてこれまでやってきたことです。

スポーツ人財のためにできること。この原点に立ち返り、これからも私たちらしく進めていきたいと思います。

 

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執筆・編集

さくマガ編集部

さくらインターネット株式会社が運営するオウンドメディア「さくマガ」の編集部。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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