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インフルエンサーという職業、精神的にしんどすぎる説

インフルエンサーという職業、精神的にしんどすぎる説

フリーランス国際協力師の原貫太です。

偉そうなタイトルを付けてしまい、申し訳ありません。自分で自分のことを「インフルエンサー」と呼ぶほど無粋なことはありませんね。

ですが、社会問題をメインテーマにしたYouTubeチャンネルの登録者が90,000人を超え、それなりに多くの人に影響を与えられるようになった今、感じていることを書かせてください。

インフルエンサーという職業は、走れば走るほど歓声が増えていく、終わりのないマラソンみたいだ。

「ネタを考え続けなければいけない」というプレッシャー

インフルエンサーという言葉の認知度は高くなってきているため、改めて説明する必要もないかもしれませんが、念のため確認しておきます。

インフルエンサー(influence-r)とは、影響や効果といった意味を持つ英語の「influence」が語源となっており、社会や人の思考・行動に大きな影響を与える人を指します。

狭義のインフルエンサーでは、ソーシャルメディアのフォロワー数が多く、情報発信で多くの人に影響を与え、それによって生計を立てている人を指します。

自分で自分のことを「インフルエンサー」と呼ぶほど無粋なことはありませんが、YouTubeで情報発信を続け、チャンネル登録者10万人も見え始めた今、有難いことに「原さんはインフルエンサーですね」と言ってもらえることが増えてきました。

僕がYouTubeでテーマにしているのは、一言でいえば「社会問題」です。国際協力活動で関わってきたアフリカの貧困や紛争、さらには日本国内における格差の問題まで、様々な社会問題をテーマにしてきました。

「貧困は自己責任」「努力すれば報われる」は本当に正しいのか?

(▲出典:「貧困は自己責任」「努力すれば報われる」は本当に正しいのか?

今まで100本以上の動画をアップしてきましたが、チャンネル登録者も大きく伸びてきた今、「ネタを考え続けなければいけない」というプレッシャーを感じることがあります

まだ登録者が少なかった時期であれば、作った動画も少しの人の目にしか触れなかったため、それほどプレッシャーを感じることはありませんでした。

ですが、有難いことに現在チャンネル登録者は9万人を超え、今も増え続けています。このペースでいけば、10月には10万人を超えそうです。

もちろん登録者が増えていくことは嬉しいことですし、そのためにYouTubeを続けているわけですから、デメリットばかりを強調するつもりはありません。

ですが、新しくアップされる動画に対する視聴者の期待値も上がっていくことを考えると、やはりプレッシャーのようなものは、自然と感じてしまいます。

 

YouTubeはまるで、走れば走るほど沿道からの歓声が増えていくマラソンのようです。

ましてや僕のチャンネルでは、センシティブな社会問題をテーマにすることもあり、

  • どのような言葉を選ぶべきか?
  • どのような立場から発信するべきか?
  • どこまでの情報を扱うべきか?

など、様々な要素を考慮してテーマを考えなければいけません。

www.youtube.com

YouTubeでは「知能格差」など、リベラル社会でタブー視されているテーマも扱っている

 

そのため、一つの動画を作る過程においても様々な精神的ストレスがかかります。原稿を作る作業だけで最低3時間~4時間、知識をインプットする時間も含めたらそれ以上かかります。

もちろんネタを考えることは楽しいですし、プロフェッショナルとしての気概を持って取り組んでいきたいです。

ほどよいプレッシャーやストレスは、良い仕事をするためには欠かせません。そういったプレッシャーも、”やりがい”の一つだと考えています。

ですが、自分にかかり続けるプレッシャー、しかもチャンネル登録者が増えるほどに、いや影響力が高まるほどに増えていくプレッシャーと、どのように向き合っていくべきか。

影響力が増え、いわゆるインフルエンサーという立場になればなるほど、考えなければいけない。そう感じています。

終わりのないマラソンを走っている

ふと、こんなことを思う瞬間があります。

この仕事に終わりはあるのだろうか?

もちろん一本の動画を作ることにおいて、一つの区切りはあります。

テーマを考え、原稿を作り、動画を撮影し、編集し、YouTubeにアップしたら、一本の動画作りには区切りがつきます。

ただ、YouTubeで情報発信を続けることにおいては、明確な終わりが存在しません。やろうと思えばいくらでもやれるし、高みを目指そうと思えば、いくらでも高みを目指せます。

僕がテーマにしている「社会問題」は、残念ながら無限に存在しますし、常に世界は変化し続けているため、良くも悪くも永遠とネタを生み出し続けることができます。

その中で、

  • 何を目的に仕事に取り組むのか?
  • 何をモチベーションとして維持し続けるのか?

時々ですが、迷いそうになります。

先ほど「YouTubeはまるで、走れば走るほど沿道からの歓声が増えていくマラソンのよう」と書きました。

でも、このマラソンに終わりはありません。

僕の場合は、きっと世界平和が実現された後の社会や、世の中から社会問題がすべて無くなった時がゴールなのだと思います。

ただ、残念ながらそのゴールには、簡単にたどり着くことができません。

まるで「終わりのないマラソン」を走り続けている。その中で、どうやって自分のモチベーションを保ち続ければいいのか。

そんな悩みが、ふとやってくる瞬間があります。

時々、立ち止まることの大切さ

たくさんの人たちに影響を与え、それで生計も立てることができるというのは、幸せな職業だと思います。

そういった「インフルエンサー」になりたいと考えている人も、特に若い人には多いかもしれません。高校生から「ユーチューバーになりたいのですが」と相談されたこともあります。

僕自身は勉強することが好きなので、ひたすら本を読んで知識をインプットし、YouTubeでそれをアウトプットするという一連のサイクルができているのは、とても嬉しいことです。

ただ、自分の影響力が増えれば増えるほど、より良い情報発信をしなければいけないというプレッシャーを感じ、かつ「終わり」が存在しない中、明確な目的を持って仕事を続けていく難しさを感じます。

社会を変えるためにはもっと影響力がほしいけど、影響力が付けば付くほど、精神的プレッシャーと向き合っていく必要もある。

どんな仕事にも言えることではありますが、特に僕のような「情報発信を通じて人に影響を与える仕事」に関わる場合、時々立ち止まり、自分のメンタルを管理する大切さを感じます。

ましてや僕自身は、さくマガの連載コラムでもお伝えしてきたように、過去にうつ病(正確には適応障害抑うつ)を患っています。

関連記事:心の「本音」に耳を傾けよう。適応障害になり、僕は大好きだった仕事を辞めた。

終わりのないマラソンを走り続けている。走れば走るほど、沿道からの歓声は大きくなっていく。

そんな状況の中、もしまた心の病気になってしまったら、僕は一体どうなってしまうのだろうか。

先のことを考えてしまうと、得体のしれない恐怖感に包まれます。

「いま、ここ」を真剣に生きるしかない

情報発信を続けていく上での大変な面ばかり強調してしまいましたが、この文章を書いていて、心の中によぎった言葉があります。

「いま、ここ」を、もっと真剣に生きよう。

僕が大切にしているアドラー心理学の考え方です。大ベストセラーになった『嫌われる勇気』を読んだ方なら、お気づきになるかもしれません。

いくら増え続けていくプレッシャーに怯えたとしても、いくら長期的なビジョンを考えたとしても、結局のところ僕たちができることは「いま、ここ」を生きることしかありません。

過去も未来も存在しない。目の前にある一つひとつの仕事に、ただ全力で取り組むだけ。

それが積み重なり、ふとした瞬間に自分の後ろを振り返ったら「ああ、こんな所まで来ていたのか」と気づける。

そんな生き方をしていきたいと、改めて思います。

フリーランス国際協力師原貫太のYouTubeチャンネルはこちら

 

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執筆

原貫太

1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。 フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。これまでにウガンダの元子ども兵や南スーダンの難民を支援。出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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