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スシローが実践するDX戦略 飲食店に必要なデジタル活用とは?

新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店は大きな打撃を受けています。帝国データバンクの調査によると、2020年の飲食店倒産数は780件で過去最高を記録しました。

▲出典:帝国データバンク 飲食店の倒産動向調査(2020年)

▲出典:帝国データバンク 飲食店の倒産動向調査(2020年)

そんな厳しい状況の中、回転すしチェーン「あきんどスシロー」を子会社に持つ、株式会社FOOD & LIFE COMPANIESの業績は好調です。前期比で売上10.1%増、営業利益59.2%増を記録(2021年度第2四半期連結業績)。コロナ禍でも出店を加速し、既存店でも前期の売上を上回っています。2021年3月には新宿に店舗を新規オープンし、コロナ禍にも関わらず、オープン初日売上の最高記録を達成しました。そのカギを握るのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。

筆者も先日スシローで食事をしましたが、アプリを活用した予約システム、タブレットによる注文、セルフレジでの非接触決済を実現しており、まさにDX化が進んでいる印象を受けました。

(スシロー 受付・座席案内システム 筆者撮影 )

(スシロー 受付・座席案内システム 筆者撮影 )

ほかにもテイクアウト用の自動土産ロッカーや、ネット注文に対応したデリバリーサービスなど、消費者のニーズに合った戦略を進めています。

株式会社 Faber Companyが主催した「Real Store Conference(リアルストアカンファレンス)」で登壇した、株式会社あきんどスシローの竹中浩司さんが、スシローのDX戦略について、紹介してくれました。

(株式会社あきんどスシロー 竹中浩司さん)

竹中 浩司さん プロフィール

株式会社あきんどスシロー 営業企画部主任。OA機器販売商社、大手総合通販、建築資材メーカーを経て、2015年に株式会社あきんどスシローに入社。アプリやネット注文、QRコード決済やポイントプログラム等幅広い領域で業務に携わる。

スシローの店舗DX

スシローの店舗ではさまざまな仕組みが導入されています。デジタルを活用して省人化され、少人数での店舗運営を実現。DXによって店舗運営を効率化し、売上・利益の向上に努めています。主な取り組みは以下のとおりです。 

  1. 案内・発券機
  2. 自動案内システム(一部店舗のみ)
  3. 注文用タッチパネル
  4. セルフレジ(キャッシュレス対応)
  5. 自動土産ロッカー(今後拡大予定) 

1~4は店内飲食時、4~5はお持ち帰り利用時に活用するものです。

スシローには、とても多くのお客さまが来店します。長いときには待ち時間が100分を超えるケースもあり、こうした課題を解決するためにウェブサイトやアプリのリニューアルを進めたそうです。 

ウェブサイトリニューアル

スシローでは、ネット上で注文ができるウェブサイトを、2020年4月にリニューアルしました。その際にデータ分析したところ、9割以上がスマートフォンからのアクセスという結果だったそうです。以前のサイトはパソコンで見られることを想定して作っていたため、スマホユーザーにとっては使いづらいサイトになってしまっていた、と竹中さんは言います。

「データ分析の結果から、ほとんどのお客さまがスマホで見ているのがわかったので、スマホで見やすいデザインに変えようと考えました。UXの部分でお客さまにとってわかりにくい部分があったので、お客さまへデプスインタビューをおこないリニューアルに活かしました」

リニューアルしたことで、売上にも大きな影響があったと、竹中さんが当時を振り返って話してくれました。

ウェブサイトリニューアル

「無事にリニューアルできたのが、コロナ禍の2020年4月15日です。この時期に第一回目の緊急事態宣言が発出され、来店数が大きく減少しました。ただ、来店数の減少をテイクアウトのネット注文がカバーしてくれたので、ウェブサイトがとても大きな役割を担ってくれました」

アプリリニューアル

初期のスシローアプリは、お店の来店予約をするためだけのもので、そこから改善を繰り返してきました。以前はテイクアウトの注文は電話かFAXでしかできませんでしたが、現在はアプリ経由でもできるようにしています。2020年10月にはアプリのリニューアルをおこない、コロナ禍でも売上を確保できるひとつの要因となっています。

「新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出された際、スシローアプリのMAU(月間利用者数)とインストール数が減りました。そうなると売上もダメージを受けます。そこでアプリをリニューアルしました。持ち帰り注文ボタンの視認性を改善したり、待ち時間の表示などをおこないました。以前は来店予約画面にしか表示していなかった待ち時間をトップページに表示することで、アプリ来訪客の離脱を防止しました」

アプリリニューアル後はAppStore内の評価が3.8から4.4に、Google Play内の評価が3.9から4.0にそれぞれ上昇しているといいます。

これからの飲食業に必要なビジネスモデル

新型コロナの影響で、飲食業の売上は大きく落ちました。スシローも一時は4割ほど売上が落ちたそうです。コロナ禍ではテイクアウトを中心に商品を提供してきましたが、今後は新たなサービスを提供して拡大していこうと考えている、と竹中さんは言います。

これからの飲食業に必要なビジネスモデル

「一つめは持ち帰りの専門店です。テスト店舗を設けましたが、テスト期間中にかなりご好評でしたので、展開を拡大していきます。二つめが自社のデリバリー。コロナの影響で店舗に来るのをためらうお客さまへスシローが商品をお届けするサービスです。三つめが商品の受け取りサービスです。お客さまがスシローで注文した商品を、『PickGo』というサービスを使って、ドライバーさんがお客さまの指定先に商品を届けます。デリバリーと近い内容です。四つめが他社のデリバリーです。出前館さんやUber Eatsさんなどのサービスを活用していきます。これまでのサービスだけでは、売上の確保は難しいです。新しいサービスで、お客さまのニーズをうまく捉えていきたいと思います」

スシローが考えるDXに必要な”CX”と”EX”

「これまでいろいろな仕組みを導入していましたが、データの有効活用ができていなかった」と竹中さんは言います。そこではじめたのが「まいどポイント」という会員制のポイントプログラム。これによってデータを結合し、見える化を進めています。お客さんの利用状況に応じた、コミュニケーションや特典の付与ができるようになったそうです。

スシローのDXを語るうえで、CX(カスタマーエクスペリエンス:お客さんの体験)とEX(エンプロイーエクスペリエンス:従業員の体験)が欠かせない、と竹中さんは言います。

「アプリを中心にしながら、店内のシステムとデータを連携させています。お客さまにとっては待ち時間の削減や店員不在時のストレス軽減など、利便性の向上を考えてCXの向上を目指しています。デジタルを活用して、店舗運営を効率的におこなうことで、EXの向上を進めています。お客さまと従業員、どちらの体験も向上することでDXが完成すると思います」

今後の展開

今後スシローでは、テイクアウト専門店やデリバリー、グループ会社の他サービスとのデータ連携も考えているそうです。連携することで、よりよいサービスをお客さまに提供できると竹中さんは言います。

「現状、外食産業ではデジタルの活用やCRMの取り組みができていません。われわれはこれを形にしていって、お客さまと良質なコミュニケーションを取りながら、さらにスシローをご利用いただける環境を作っていけたらと考えています。また、FOOD & LIFE COMPANIESグループの中で相互送客できる仕組みができれば、よりよいサービスをお客さまにお届けできると考えています」

まとめ

スシローが実践するDXは、店舗を抱える飲食店にとって参考になる事例だと思います。店舗のDXに加え、ウェブサイトやアプリの活用をおこない、お客さまのニーズを捉えようとする姿勢が大事です。

既存のサービスだけに留まらず、新しいサービスにも積極的にチャレンジするスシロー。今後の展開が楽しみです。

 

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執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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