楠 徹平(くすのき てっぺい)さん
アスノシステム株式会社メディアサービス部 部長。会議室・貸しホール・イベント会場の紹介に特化した国内最大級の貸会議室検索サイト「会議室.COM」、レンタルオフィス検索サイト「レンタルオフィス.com」、会議に関するお役立ちノウハウ・会議術が満載のWEBメディア「会議HACK!」を運営。コワーキングスペース「A-Point」の事業責任者も務める。
さくマガでは仕事のヒントを得るために、さまざまな方にインタビューをしています。今回は、国内最大級の貸し会議室検索サイト「会議室.COM」や、コワーキングスペース「A-Point」などを運営しているアスノシステム株式会社の楠徹平さんに、コワーキングスペースのメリットやおすすめの選び方を教えていただきました。
システム開発会社がポータルサイトをはじめた理由
ーー本日はよろしくお願いします。まずは楠さんのお仕事内容など、自己紹介をお願いします。
アスノシステムは会社名の通り、メインはシステム開発をしている会社です。私は自社サービスを取り扱う、メディアサービス部の部長を務めております。主力のサービス「会議室.COM」は全国の会議室1000施設、5000会場を検索できます。
会社全体で170名の社員がいますが、メディアサービス部は全部で11名。事業内容的には社内でも結構、特殊な部署ですね。
ーーシステム開発をしている会社で、自社のポータルサイト運営をするのはよくあることなんですか?
会社にはエンジニアがたくさんいて、受託開発をしています。受託開発はそれこそ、クライアントがいて、需要をヒアリングし、クライアントが求めているものを制作します。もちろんそういったお仕事もとても大事なのですが、自分たち発信で新しいサービスを始めて、世の中に求められるものを制作できないかと考えたことがきっかけです。
「会議室.COM」は2000年の12月にスタートしたので、今年で20年になります。
テレワークでコワーキングスペースを使うメリット
ーー楠さんはコワーキングスペース「A-Point(アポイント)」の事業責任者もされています。システム開発会社である御社が、どうしてコワーキングスペース事業をはじめようと思ったのかを教えてください。また、A-Pointの特徴はなんでしょうか?
「会議室.COM」を運営しているなかで、データがたまって会議室ソリューションが浮き彫りになってきました。それをもとに自分たちの商材などを販売していたんです。例えば、最新鋭の会議ソリューションシステムなどがあります。
そうしたものをリアルに体験いただける、ショールームを作りたいと思っていたのがきっかけです。
なので、「A-Point」は会議に役立つ製品やサービスを体感できる場所となっています。
会議のなかでも、リアルに会っておこなう会議を、効率的にできるような、ワイヤレス投影システムなど導入されています。
ーーテレワークにコワーキングスペースを使うメリットについて教えてください。
テレワークは、その日にやる仕事によって最適な場所を選ぶことが大事です。それが本筋だと思います。ただ、今はコロナ対策という側面が大きいですよね。
そうなると、出社ができずに在宅で仕事をせざるを得ない方が多いと思います。私もそうなんですけれども、子どもが小さいと、家ではなかなか仕事をするのは大変です。
部屋の事情によっては、夫婦ふたりともが在宅勤務をしていて、会議ができないこともありますよね。そういうときにコワーキングスペースを使ってもらえると、仕事に集中することができます。
在宅以上出社未満というのが、コワーキングスペースの良いところですかね。
コワーキングスペースを選ぶうえでインターネット回線と椅子が重要
ーーおっしゃるとおり、コロナの影響でコワーキングスペースの利用量が増えていると思いますが、コワーキングスペースを選ぶポイントがあれば教えてください。
個人的にはインターネット回線が重要だと思います。インターネット回線が遅いと仕事がやりづらいですよね。オンライン会議をするにしても、回線の速度で出来不出来が決まってしまうこともあります。音が届かなかったり、映像が途切れてしまったり……。
あとは、長時間仕事することを考えると椅子ですね。座り心地が大事です。本当に椅子は働くうえで重要だと思います。
自分たちも、コワーキングスペースをオープンしたときにいろいろ調べたのですが、椅子の座り心地によって、使いたいかどうかが決まると思いました。
「A-Point」を立ち上げる際にも、椅子にはこだわりましたね。
ーー確かに椅子も大事ですね。合わない椅子だと腰を痛めてしまいますし……。先ほど紹介いただいた、「会議室.COM」「レンタルオフィス.com」といったポータルサイトを運営されていますが、コロナ前とコロナ禍ではアクセス数など変化があったと思います。どのくらい変化がありましたか?
「会議室.COM」に関しては一時期、相当落ち込みました。やはりコロナの影響で人が集まってはいけない時期がありましたから。催事やイベントがなくなったので、そこが大きかったです。会議自体、すべてリモートでおこなうことになった時期がありましたし、面接や採用系のイベントなどもなくなりました。
一方、「レンタルオフィス.com」は伸びましたね。社員が住んでいる場所に近いエリアで、サテライトオフィスとして使いたい企業さんが増えてきていると思います。セキュリティの問題などで、会社専有のスペースがあると、企業としては安心できるようです。
今後も、3密対策やリスクヘッジとして、オフィスの分散化は進むのではないでしょうか。
会議は人間の共通テーマ
ーー楠さんは3年半前に「会議HACK!」というメディアを立ち上げましたが、こちらは目的・KPIはどのようなものになりますか?
「会議HACK!」は「会議室.COM」のオウンドメディアとなります。なので、最終的には「会議室.COM」に流入してもらい、会議室などの会場を借りてもらうことが目的です。
会議ってどの会社でもするじゃないですか。会社だけではなくて、主婦だって井戸端会議をするし、学生だって学級会議をしますよね。会議は人間の共通テーマだと思うんです。
ーー確かに会議は誰でもやりますね。最近はオンライン会議が増えていますが、オンラインと対面、それぞれ良いと思う点を教えてください。
オンラインだと、情報共有型の会議は向いていると思います。一方、自分の熱量や念いを伝えて決裁を取っていくような意思決定型の会議やブレストなどアイデア出しする会議は、対面のほうが向いていると思いますね。
数値化しにくいところですが、空気感やニュアンス、ジェスチャーなどノンバーバルの部分は、対面のほうがやはり伝わりやすいですね。
楠さんの「やりたいこと」
ーーメディアのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、今後やりたいと思っていることを教えてください。
先ほど、会議は人生の共通テーマとお話しました。例えば、会議の時間が10分から5分に短縮されて効率化したり、時間は変わらないけど倍の効果が得られたり、自分たちの活動によって少しずつ世の中の会議が良くなっていけば、面白いんじゃないかなと思いますね。
2020年12月4日・10日に「会議HACK! サミット」というイベントをおこないましたが、こうしたイベントを通じて実現できたらなと思います。
竹芝エリアの中心にあるコワーキングスペース「A-Point(アポイント)」