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最近「カウンセリング」「コーチング」という言葉を耳にする機会が増えてきました。でも、具体的な内容について知っている人はそれほど多くないのではないでしょうか? 違いがよくわからないですし、受けようと思ってもどんなことをしてくれるのかもよくわかりません。
そこで、オンラインカウンセリング・コーチングを提供している株式会社cotree(コトリー)代表取締役の櫻本真理さんにお話をうかがいました。カウンセリングとコーチングの違いや、気になる点についてお聞きしました。
コーチングについてはこちらの記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
櫻本 真理(さくらもと まり)さん
1982年広島県生まれ。2005年に京都大学教育学部卒業後、モルガン・スタンレー証券に入社。2006年ゴールドマン・サックス証券の株式調査部にてテクノロジー業界のアナリストとして勤務。2010年に同社退社後、複数のスタートアップやプロジェクトに携わる。
2014年5月に、IT x メンタルヘルス領域でサービス開発を行う株式会社cotreeを設立、代表取締役に就任(現任)。
2020年1月、人を生かしチームを育てるリーダーを育てるマンツーマンプログラムの株式会社コーチェットを設立、代表取締役に就任(現任)。NPO法人soar理事。株式会社CAMPFIRE社外取締役。起業家向けのエグゼクティブコーチ・システムコーチとしても活動。
Twitter:@marisakura
note:@marisakura
株式会社cotree(コトリー)ホームページ:https://cotree.co
株式会社コーチェットホームページ:https://company.coached.jp
カウンセリング、コーチングとは?
ーー本日はよろしくお願いします。まずお聞きしたいのですが、cotreeではオンラインカウンセリングとオンラインコーチング(アセスメントコーチング)を提供していますが「カウンセリング」「コーチング」とはなんでしょうか?
カウンセリングもコーチングも、専門家が対話の技術をもって、クライアントと関わることを通じて心理・思考・行動面において良い方向への変化を目指すものです。
そのなかでもカウンセリングというのは、感情と向き合ったり、思考を変容させることで、不調の解消を重点的に扱い、自己基盤を整えます。
コーチングというのは、主に行動を変容を通じて、成長、自己変容といった未来に向かって高みを目指していくような関わりとなります。
比較的不安定なときにはカウンセリングを使われることが多いですし、安定していてもっと上に行きたいときには、コーチングを使われることが多いです。
ただ境目はあまりないんですよね。安定した基盤が整って初めて成長できるので、どちらにフォーカスを置くかだけの問題です。
どちらも自分だけだと前に進みづらいなと感じたときに、専門家の助けを借りる仕組み、という意味ではまったく同じかなと思っています。
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カウンセリングで気になる点を質問
ーーカウンセリングとコーチングの違いがわかりました。まず、カウンセリングを受ける人が気になりそうなことをいくつかお聞きしたいです。カウンセリングはどういう資格や経験を持っている方がしてくれるのでしょうか?
多いのは、
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 産業カウンセラー
- キャリアコンサルタント
といった資格保有者です。cotreeでは、ほとんどがこれらの資格保有者ですね。
ーーカウンセリング内容はプライバシー面が気になるのですが、cotreeの取り組みを教えてください。
もちろん守秘義務がありますので、個人情報などが守られます。それからシステムで情報管理をしていますので、権限がある人だけが見られる状態になっています。
対面式のカウンセリングルームはわりと出入りするのを見られることもあると思います。しかし、cotreeの場合はオンラインでのやりとりになるので、誰に知られることもなく自宅から受けられます。
個人情報(名前・仕事・職場など)をいただかなくても、ニックネームでもご登録いただけてオンラインカウンセリングを受けることができます。
ーー確かにカウンセリングを受けるのを他人に見られたくない人はオンラインのほうがいいかもしれませんね。人にもよるでしょうが、どのくらいの期間で効果が出るのでしょうか?
「モヤっとしているんです」くらいの感じだと、1回受けてすっきりすることもあります。一方で、心の課題というのは心の習慣が原因になっていることが多いんですね。
例えば、ある出来事が起こると落ち込んでしまう、不安を強く感じてしまう、というのは心の習慣です。その習慣をなおしていくには、カウンセリングを何度か受けていくなかでだんだん定着していくことがあります。
あとは自分で向き合うことが難しい課題に関しては、最初はなかなか向き合えないこともありますね。カウンセラーとの関係が深くなっていくと、抵抗感が少なくなって向き合うことができるようになります。
心の習慣がどれほど根深いか、それから向き合うべき課題にどれほど向き合いがたいかによって期間は違ってきます。
3か月で卒業される方もいれば、何年もかけて変化していかれる方もいるので、卒業をどこで判断するかにもよると思いますね。
多少良くなったから「もう卒業しよう」と考える方もいますし、カウンセリングを定期的なメンテナンスのような形で使っていこうと考える方もいます。調子が悪くなくても、マッサージに行くような感じですね。そういう方は何年も利用されていることもあります。
ーーカウンセリングを受けると仕事や生活面でどんな効果がありますか?
いくつかあります。例えば、
- 自己理解が深まる
- 感情のコントロールができるようになる
- 自己肯定感が高まる
- 抑うつ感が減る
- 自分の課題を発見できて、成長に繋げられる
などです。
カウンセリングを受ける方の課題によりますね。
コーチングで気になる点を質問
ーー続いてコーチングについて気になることをお聞きします。コーチングはどういう方(資格や経験など)がしてくれるのでしょうか?
ビジネスコーチの経験があってコーチングの資格を取られている方が多いですね。コーチング資格として一般的なのは、国際コーチ連盟(ICF)です。ただコーチングの国家資格があるわけではありません。資格はなくても、社会人経験が豊富で素晴らしいコーチはたくさんいらっしゃいます。
ーーコーチングを受けると仕事や生活面でどんな効果がありますか?
カウンセリングとほぼ一緒です。カウンセリングとコーチングで一番違うのは「行動を大切にするかどうか」だと思います。
コーチングは基本的に行動に移すことを、ひとつの目標にしているんですね。まずは自分の状態を知って、目標を明らかにして、「何を成したいのか」「そのために何が必要か」を捉えたうえで行動変容があってこそ、未来を作っていくことができる、目標を達成することができます。
オンラインでのカウンセリング、コーチングについて
ーーカウンセリング・コーチングは、オンラインでおこなうのとオフライン(対面)でおこなうのでは効果の違いはありますか?
オンラインカウンセリングと対面のカウンセリング、オンラインコーチングと対面のコーチングには効果の違いはない、という研究結果がたくさん出てきています。
ただカウンセラーやコーチからすると、対面のほうが情報量が多いので、やりやすい部分はあると思います。
一方、オンラインだと過去のいろいろなメモを見ながら対応できるなど、オンラインならではのメリットがあります。
また、対面だと近場に受けられる場所がないことがありますよね。受けたいけど受けられない人にも届くといった、デメリットを上回るメリットがあるので、オンラインを使われるケースがとても増えています。
特にコロナ以降が顕著でしたよね。対面カウンセリングを受けられなくなったから、みんなオンラインカウンセリングをやるようになりました。それまではオンライン化することを専門家が嫌がったんですよね。
でも、コロナ以降は「オンラインはダメ」と言う専門家がほとんどいなくなりました。オンラインカウンセリングの認知度も急拡大して、「やってみると意外とできるね」とコメントされる専門家が非常に多くなった気がしています。
ーーなるほど。受ける側ではなくて、する側の意識も変わったんですね。
そうですね。基本的にクライアントは内省しているので、問いがくればそれをもとに考えることはできます。
カウンセラーやコーチは、常に相手のことを見ながら「今この人どんな状態にあるのかな? どんなことを感じてるかな?」ということを意識しながら質問を投げかけます。例えば表情がちょっと変わったな、と察知できたほうが適切な質問ができる、と考えるコーチもいるのです。
ただ、コーチング文化はそもそも電話がメインだったので、オンライン化の違和感はないですし、カウンセリングについてもやってみたらできる、という意見が大半ですね。
ーーコロナの話がありました。コロナ以降、オンラインカウンセリングの利用者は増えているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
われわれの事業でいうと、ご利用件数は3倍くらいになっています。やはりオンラインでコミュニケーションを取りやすくなったというのがありますね。それとカウンセリングのニーズ自体が増えています。
コロナ以降は二極化していて、ストレスになっている人もいれば、逆にストレスから解放された人もかなりいるんですよね。その人の特性や生活環境にもよると思います。
カウンセラー、コーチになるには?
ーー今度は受ける側ではなく、する側についてお聞きしたいです。カウンセラー、コーチになるためにはどうすればよいのでしょうか?
座学で勉強するスクールもありますし、実践と座学で勉強するケースもあるんですが、一番大事なのは実践からの学びだと思うんですね。
実際に相談に乗って、どんな課題があるのかを見極めながら、仮説を立てて、しっかりと問いかけをして、変化を起こす、という体験を通じてカウンセラーやコーチが成長していくことが多いです。
なので、資格だけだと良いカウンセラー、コーチとはいえないと思います。一方、経験だけだと倫理やクライアントの安全を犯してしまうリスクが生じるので、一定の理論的学習は必要だと思います。
資格と実務経験と、それ以外の経験にもとづく仮説構築能力。あとはIQ(知能指数)、EQ(心の知能指数)も求められる職業だと思いますね。
クライアントが言ったことを理解して、適切な問いを投げかける。それは言葉に出てくることもそうだし、言葉にならない感情面も受け止めて返していく必要があります。その能力が高くないと、良いカウンセラーやコーチにはなれないと思います。
cotreeでは採用基準を厳しくしているので、登録に至らないケースもかなりあります。ご利用者の方々は、はじめてカウンセリングやコーチングを受ける方が多いと思うので、最初の体験で失敗してほしくないと思っているので、しっかりと質を担保するようにしています。
また、最初に相性が悪かったとしても、満足保証という形でポイントをお返ししています。このように一度ダメだと思っても、カウンセラーを変更して、ぜひもう一度チャレンジしてみてくださいという仕組みも整えています。
まとめ
- カウンセリングもコーチングも、専門家が対話の技術をもって、クライアントと関わることを通じて良い方向への変化を目指すもの
- カウンセリングは、不調の解消を重点的に扱う
- コーチングは、より高みを目指していくもの
- 守秘義務があるので、相談内容は保護される
- オンラインでも対面でも効果に違いはない
- 良いカウンセラー、コーチになるには資格と実務経験、それ以外の経験にもとづく仮説構築能力、IQ、EQが求められる
- cotreeでは質を担保しており、満足保証をしている