≫1on1ミーティングも導入済み「やりたいことをできるに変える」職場で働きませんか?
コーチングとは、1対1で対話することで、相手が目標達成に必要なスキルや考え方を身につけ、行動できるようにサポートするプロセスです。
スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツといった、名だたる経営者もコーチを活用していて注目されています。それほどまでに重要な「コーチング」について、みなさんはどの程度ご存じでしょうか。
この記事では
- コーチングとティーチングとの違いについて
- コーチングの歴史
- コーチングとは具体的に何をするのか
- コーチングをおこなうためには資格が必要なのか
- コーチングのメリット、デメリット
などについて解説します。
- コーチングとティーチングとの違い
- コーチングはどこで生まれた? コーチングの歴史
- コーチングの効果は?
- コーチングって具体的にどんなことをするの?
- コーチングには資格が必要?
- コーチングのメリット・デメリット
- まとめ
コーチングとティーチングとの違い
コーチングとティーチングは別物と考えてください。
コーチングはクライアント(相手)と対話し、クライアントの言うことを受け入れて理解し、適切な質問をすることで、相手の能力を引き出して自発的な行動をうながします。答えはクライアントの中にすでにある前提です。
コーチングによるサポートとは、そのようなコミュニケーションによって相手の内面にある答えや能力を引き出し、相手が方向性を定めて自発的に行動できるように指導することです。
コーチングをおこなう人をコーチとよびます。コーチが自分の知識や技術、経験したことなどを相手に教えることを意味するように思う人が多いかもしれません。しかし、これはティーチングと呼ばれるものであり、コーチングとは別物です。
ティーチングとは
ティーチングもまた指導方法の1つなのですが、コミュニケーションが一方通行になり、双方の立場は対等ではなくなる傾向があるようです。教えられる側は指導者から指示が与えられる、命令される、という受け身の関係になりやすく、自発性を忘れがちになります。
それに対しコーチングは、双方向にコミュニケーションをおこなうことが大きな特徴です。コーチングは相手に対して一方的に情報を渡すのではなく、対話を、つまり「対等に話をする」のです。
相手の話をよく聞き、受け入れ、それに対して感じたことを伝えたり質問したりします。それによって、相手は自分の内面にあるものを整理し、内面にある答えを見つけ出すことができるのです。
ティーチングは「教える」コーチングは「力を引き出す」
ティーチングでは、指導者が持っている知識や力を、指導される側が持っていないことが前提となりますが、コーチングは相手側にもベースとなる知識や力があることが前提になるのです。ティーチングはその名の通り教えることを意味しますが、コーチングは相手の内面にあるものや力を引き出すのを助けることを意味しています。
最初から「答えはクライアント自身(相手)の中にある」ことが前提だということです。このように、コーチングとティーチングはとても似ているようでまったく違うものなのです。
もちろん、ティーチングが劣っている指導方法だというわけではなく、場面での適切な使い分けが必要だということになります。他にもコンサルティングやカウンセリングといった手法もありますが、場面によって使い分けが必要です。
ビジネスの場面において成果を達成するため、社員の自発性や能力を最大限に引き出したいときにコーチングのコミュニケーション技術が広く取り入れられているのです。
コーチングはどこで生まれた? コーチングの歴史
「コーチ」という言葉は1500年代に生まれ、「馬車(Coach)」を指す言葉です。ハンガリーにある「コチ(Kocs)」という町で馬車が作られたことが元になっているといいます。
コチという町は多くの移動車の中継地点となっていたため、自然と馬車がこの地で作られるようになったようです。馬車は大切な人を目的地まで運び届ける役割を果たしていることから、人の目標を助けるものを意味するようになっていきました。この言葉がコーチングの語源だと言われています。
コーチという言葉が人に対して使われるようになったのは、1840年代にイギリス・オックスフォード大学の受験指導をする個人教師が「コーチ」と呼ばれるようになったのが最初です。その後1880年代、再びボート競技の指導者が「コーチ」と呼ばれるようになり、その呼び名がスポーツの世界で広まっていきました。
この頃のコーチは、スポーツ選手に対して自分の経験や知識・スポーツ理論などを教える、つまり今でいうティーチングをおこなう役割をしていたようです。
コーチング発祥の地はアメリカ
一般的に、コーチングはアメリカ発祥といわれます。1950年代にハーバード大学助教授のマイルズ・メイスが『The Growth and Development of Executives』を出版し「マネジメントにはコーチングが重要なスキルである」と著述しました。
また、1974年にテニスコーチのティモシー・ガルウェイが『The Inner Game of Tennis』を出版して世間に大きな影響を与えており、1980年代にはコーチングに関する出版物が多数現れています。
アメリカではコーチング理論が盛んに研究されるようになり、コーチングスキルを学べる場所も誕生しました。日本には2000年前後に紹介され、スポーツはもちろんのこと、ビジネスや教育、医療などの分野にも広まっていきました。こうしてコーチングは発展してきたのです。
コーチングの効果は?
コーチングの効果は、思考が整理され、主体性が生まれて行動が変わることです。その結果、生産性の向上や目標達成に繋がります。マネージャーやリーダーといった管理職の方がコーチングを受け、学び、習得すれば、チームメンバーや部下に対してコーチングをおこなうことができます。
残念ながら「部下のことを信じられない上司」は多いと思いますが、コーチングの考え方を学んでいれば、部下の自主性に任せることができ、能力を発揮させることができるようになるでしょう。ただし、上辺だけのテクニックや言葉を習得しても意味がありません。
みなさんにも経験があるかもしれませんが「上辺だけの言葉」にはすぐに気がつくものです。上辺だけの言葉を受け取るとネガティブな感情が生まれてしまいますよね。
考え方から本気で変えて、行動変容を起こすことで部下との信頼関係を築くことができるようになります。
目標達成にも役立つ
「目標達成」を実現するうえでも、コーチングは重要な役割を担います。目標達成を目指す前の手順として「目標設定」が必要となりますが、いくつか注意点があります。
目標設定の際には、明確な基準が必要です。例えば、数値や具体的なイメージ像。ここを明確にしなければ、目標達成できたかどうかが判断できなくなってしまいます。
この目標設定のためには「現状把握」が必要です。自分自身の現在の状況を見つめ直し、現実と目標とのギャップを認識します。現状を把握し、目標設定を適切におこない、目標達成を実現する。このステップが大事です。
家族や友人と良好な関係を築ける
ビジネス面以外にもコーチングの効果はあります。
コーチングはコミュニケーションスキルのひとつです。そのため、家族や友人との人間関係を豊かにするうえでも重要です。関係性を良くしたいと思う対象者に対して、コーチングスキルを効果的に活用することで、関係性が変化し、より良い関係を作ることができるでしょう。
コーチングって具体的にどんなことをするの?
コーチングがすごいのはわかったけど、具体的にどんなことをするの? と疑問に思うでしょうから、具体例を挙げていきたいと思います。
お伝えしたとおり、コーチングをおこなうえで「答えはクライアント自身(相手)の中にある」ことが前提となります。
企業あるあるだと思いますが、部下が売上をアップしたい、と思い上司のあなたに相談をしたとします。
ここで「テレアポを何件取れ」「何件、訪問をしろ」などとアドバイスをするのはティーチングです。コーチングの場合は答えは相手の中にある、と考えるので基本的にアドバイスや意見はほとんど必要ありません。次の3つを意識することが大切です。
- 傾聴する
- 承認する
- 質問する
コーチングの具体例
会話の例としてはこんな感じです。
部下「売上をアップさせたいんです」
上司「なるほど。売上をアップさせたいんだね。向上心があっていいね」
部下「そうなんです。どうしたらいいですかね?」
上司「どうして売上がアップしないんだろう? 課題は何だと思う?」
部下「うーん……。先月と比べて訪問量が減っています。そっか、訪問量を増やしてみます!」
上司「そうだね。私に支援できることがあれば気軽に話してね」
例なので、できすぎな会話となりましたが、なんとなくイメージは伝わったのではないでしょうか。
このようにして、相手の中にある答えを引き出して、自ら行動に移せるように導いてあげることがポイントです。
自らが訪問量が減っていることに気がつき、訪問量を増やそうと自ら積極的に行動するのと、上司から「訪問量が減っているから訪問量を増やせ!」と指示・命令されるのでは、気持ちの面で大きな差があると思いませんか?
コーチングには資格が必要?
コーチングをおこなうには資格は必要ありません。しかし、コーチングの資格は存在しています。資格取得の研修を受けることで、体系的な学習が可能です。学び方の流れもわかるので、他の人にコーチングの方法を教えることもできるようになります。もちろん、スキルアップにもつながります。プロコーチになりたいのであれば、資格取得はしておいたほうがよいかもしれません。
コーチ資格を持っていれば、コーチングをおこなっていくうえでのスキルや知識を証明できますし、信用度も増します。クライアントからすれば安心感もあり、仕事を有利に進めていけるでしょう。国家資格は存在せず、それぞれの資格は民間資格ですが、日本国内または海外にある団体によって設立されています。
各団体がコーチングを学ぶためのプログラムを組み、資格取得のコースを用意していることが多いので、資格を取得したい人はその内容をよく調べて比較し、選択して受講しましょう。では、これから代表的な資格を紹介していきます。
コーチング 国内の認定資格を2つ紹介
まず、国内の資格を紹介します。1つ目は、一般財団法人 生涯学習開発財団によるもので、「認定コーチ」「認定プロフェッショナルコーチ」「認定マスターコーチ」の3種類です。それぞれの水準に達していると認められれば資格が取得できます。
資格試験を受けるためには株式会社コーチ・エィのプログラムを履修するだけでなく、実践経験も必要です。単に知識を得たいだけでなく、ビジネスの現場でバリバリと活躍したい人におすすめできます。
2つ目は一般社団法人 日本コーチ連盟(JCF)による資格で、プロとしてのコーチング能力を証明できる「プロフェッショナル・コーチ」、実践の水準である「コーチ」、基礎知識を証明する「コーチング・ファシリテータ」の3種類です。
非営利型の養成校である「コーチアカデミー」を運営しており、受講しやすい料金が大きな魅力です。コーチングの資格としても日本では最も取得している人が多く、国際資格につながる学習もできます。
コーチング 国際的な認定資格を1つ紹介
国際的な認定資格に、国際コーチ連盟(ICF)によるものがあります。資格の中には、「アソシエート認定コーチ(ACC)」「プロフェッショナル認定コーチ(PCC)」「マスター認定コーチ(MCC)」の3種類があります。
これらの資格を取得するためのプログラムは、ICFは実施しておらず、認定基準のみを設けるスタイルです。この基準を満たしており、ICFが認めているトレーニングプログラムを受けるか、もしくは同等のスキルがあると認められることで資格を取得できます。
最初は国内の資格を取って、いずれは国際的な資格を取得したい人は、国内の取得でもなるべく難易度の高いプログラムを受けておくといいでしょう。
オンラインで資格取得も可能
この他にもオンラインで開催されているコーチングのセミナーや講座もたくさんあります。低料金で、自宅でも移動中の隙間時間などでも自在に受講できます。自由度の高い学習方法ですが、講座の種類が多く、質も高いものから低いものまでばらつきがあるので、自分のニーズに合ったものを見極めて受講しましょう。
紹介した資格の中では、一般財団法人 生涯学習開発財団による講座ならオンラインで受けることができます。
コーチングのメリット・デメリット
コーチングのメリットは、コーチングを受けた人が、ひとりで仕事や学習をしても得ることのできない「新しい可能性」を引き出せる点です。
可能性とは、その人が今まで気づかなかった自分の能力、視点、気づきを発見できるということです。その人の個性を活かし、自発性を高め、問題解決力も高まります。ビジネスシーンで利用すれば、社員一人ひとりの成長が見込め、組織の業績が上がり、メンタル面でもサポートになるでしょう。ビジネス以外でも家族との関係が改善したり、精神的に落ち着くことができた、という声もあります。
こうして挙げていくと、いいことばかりのように思えるかもしれませんが、デメリットあるいは限界点もあります。
コーチングのデメリット
コーチングのデメリット・限界は、一度に大勢には対応できないこと、双方向のコミュニケーションが功を奏するまでには、ある程度の時間がかかってしまうことです。
また、コーチングをおこなう前提として、コーチングを受ける人にもベースとなる知識や能力・経験などが必要です。それがない場合、またはモチベーションが非常に低い場合には、コーチングの効果が十分ではなくなる可能性もあります。
コーチングとは個人との細やかな双方向コミュニケーションですから、個々の価値観を大切にすることで組織の中では価値観の多様化が生まれます。集団で業績の向上を目指すときに個々がバラバラの価値観を大切にしているのでは、社員をまとめることが難しくなり、パフォーマンスが減退して目標達成ができない可能性も出てくるでしょう。
このように、コーチングはメリットも大きい反面、万能なものではありません。ケースによってはアプローチ方法を変える必要があります。
ティーチングのほうが適している場面もありますし、カウンセリングやコンサルティングなど、別のやり方が必要になるケースもあるでしょう。
コーチングの学習は生涯続けられる人間の勉強
以前は終身雇用制度や年功序列があり、自然と長く勤めている人が若い社員を育てていました。しかし、今はその制度が崩壊し、年齢も能力も勤務年数もバラバラで、さまざまな価値観を持つ人が同じ会社にいます。一人ひとりの人間に対等に柔軟に向き合うコーチングは、そのような時代に合った人材育成法といえます。
コーチングの学習は生涯し尽くすことはなく、どのような職場にいても役立つ、何にも代えがたいスキルとなるはずです。
人生を豊かにする意味でもコーチングを受け、学び、実践してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- コーチングは前向きな行動をうながすコミュニケーションスキルのひとつ(いろいろな定義がある)
- ティーチングとコーチングは別物。ティーチングは指導者の知識や技術などを相手に教える。コーチングは対話で相手の内面にあるものを整理し、相手の中にある答えを見つけ出す
- 一般的にコーチングの発祥はアメリカといわれている
- コーチングの効果は思考の整理、行動の変化。これにより生産性の向上、目標達成に繋がる
- 目標達成のためには明確な基準を決めた目標設定が必要
- コーチングをおこなう際には、傾聴、承認、質問が大切
- コーチングをおこなううえで資格は必要ない。ただし勉強をして資格を取得することでスキルや知識を証明できる
- 最近はオンラインでコーチングを受けたり、学んだりすることも可能
- コーチングのメリットはひとりでは得られない新しい可能性を引き出せること
- コーチングのデメリットは双方向のコミュニケーションが功を奏するまでにある程度の時間がかかってしまうこと
参考文献
播摩 早苗,2008年,『目からウロコのコーチング なぜ、あの人には部下がついてくるのか』PHP研究所
谷口 貴彦,2009年,『ザ・コーチ – 最高の自分に出会える 目標の達人ノート』プレジデント社
≫ あなたの「やりたいこと」をさくらインターネットで一緒に実現してみませんか?