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松本亮介(まつもとりー)「お互いに尊重し合い、自分がやっていることに自信を持つことが大切」

松本亮介(まつもとりー)「エンジニアも非エンジニアも、お互いに尊重し合うことが大切」

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松本 亮介(まつもと りょうすけ)

京都大学博士(情報学)、さくらインターネット研究所上級研究員、ペパボ研究所客員研究員、Forkwell技術顧問、ネットフォレスト技術顧問、セキュリティ・キャンプ講師、情報処理学会各種委員、ITRC各種委員、松本亮介事務所所長。

2018年11月より現職のさくらインターネット研究所で上級研究員を務める。第9回日本OSS奨励賞や2014年度情報処理学会山下記念研究賞など、その他受賞多数。2016年に情報処理学会IPSJ-ONEにおいて時流に乗る日本の若手トップ研究者19名に選出。

さくらインターネットの中の人を知ってもらうため、社員にインタビューをしていく、この企画。今回はさくらインターネット研究所上級研究員 松本亮介に現在の業務や働くうえで大切にしていることについて聞きました。

もっと快適に。もっと安全に。

ーー本日はよろしくお願いします。早速ですが、まずは松本さんのお仕事について教えてください。

さくらインターネット研究所で、研究・開発をしています。さくらインターネットはサーバーやコンピュータリソースを貸し出すサービスを提供していますが、そのサービスをより快適に、セキュリティをより安全なものにするための研究が主です。

ただ、エンジニアに向けたものだけではなくて、エンジニア以外の人にも役立つことを考えています。例えば、僕の母とかでもコンピューターをもっと活用できるようにするにはどうしたらいいのかを考えています。

ーーそうなんですね。研究ってエンジニアだけが利用できることなのかと思いこんでいました。松本さんが具体的に研究していることを話せる範囲で教えてください。

僕はすべてオープンにしているので、話せないことはないですよ。昔、レンタルサーバーのサービスがすごくいいなと思ったんですね。もともとはそれなりに高いお金を出さないと提供されないサービスを、レンタルサーバーだととても安価に提供できるんです。レンタルサーバーができたから、それまで難しかったブログなどで発信できる機会も増えたと思います。これには感銘を受けました。僕の原体験にもなっています。

時が流れて、クラウドサーバーなどはエンジニアがWebサービスを開発するために使う分には、すごく使いやすいです。

いっぽう、レンタルサーバーを使っていたような、いわゆる専門知識がそれほどない人。そういう人たちが、あまりクラウドの恩恵を受けられていないと思っています。

例えばアクセスが集中したとき。仕組み上、レンタルサーバーは一時的にアクセスが集中してしまうと、コンテンツが見られなくなることがあります。だけど、クラウドならハードウェアリソースを自動的に増やしたり、お金を払えばどんどん強くできるので、アクセス集中に耐えられるような仕組みを提供できるんです。

これをするには結構エンジニアの知識がやっぱり必要なんですけど、僕はその辺りを自動化して、レンタルサーバーを使っていたような専門知識がそれほどない人にもサービスを提供したいと思っています。

ここ数年は、それを実現するための研究をしていました。

まつもとりーさんが営利企業の研究所で働く理由

ーー営利企業の研究所で働くというのは珍しいことだと思います。なぜ、さくらインターネットの研究所で働こうと思ったのかを教えてください。

自分の研究テーマにすごく合っているからです。クラウドやホスティングを研究対象にしているんですけど、まさにさくらインターネットはそこをサービスにしています。研究のやり方も、3年から5年とか、もう少し長いスパンで考えることができますし。

前職(GMOペパボ)でも営利企業の研究所を立ち上げて、そこで研究員としていろいろな研究をしていました。

これはどっちが良い悪いという話ではないのですが、そこでの研究のやり方はもう少し短期的というか、1年から3年ぐらいでサービスに適用される研究になります。

なので、サイクルがすごく早いんです。僕が持っている研究のネタ帳みたいなものがあるんですけど、ネタを徐々に消費してしまい、ネタの貯金がどんどん削られていった時期がありました。

それで本来、自分が研究者としてやりたいと思っていたことは何かを考えました。もう少し長い目で見て、ネタを増やしつつも3年とか5年とか、もう少し長いスパンで会社や社会に還元できるといいなと思ったんです。

自分の研究者としての問題意識と、それを解決するのにマッチしたので、さくらインターネット研究所に入りました。

パラレルキャリアを実践中

ーー松本さんはパラレルキャリアを実践して、GMOペパボ株式会社の研究所でも研究員として活動されていますが、それぞれの研究所の違いを教えてください。

サービスの特性によって研究の仕方が変わっていきます。GMOペパボだと、ホスティングもあるんですけど、どちらかというとWebサービスが強いです。例えば、ECサービスなどですね。

Webサービス技術の進化速度ってすごく早いんです。インターネットが普及していって、そこで必要な技術が開発されて、また新しいものができる。その速度がすごく早い。

なので、その進化に合わせた速度で研究をしていく必要があります。長い目で研究しても、次の年に新しいものが出てしまう。先が読めないともいえます。そうなると、意味のある研究をしようと思ったときには、どうしてもサイクルが早くなってしまう特性があります。

一方、さくらインターネットはWebサービスというよりはインターネットの技術としては基盤となるプラットフォームのようなサービスが強いです。例えばレンタルサーバーや、クラウドサービスですね。これはWebサービスと比べると進化の速度が少し緩やかです。

サービスの特性とサービスに活きる研究開発をするとなると、サイクルの違いが研究所によってありますね。

使いやすい点で、さくらのクラウドは優れている

使いやすい点で、さくらのクラウドは優れている

ーー松本さんから見て、さくらのこのサービスは優れているなと思うものをひとつ挙げてほしいです。その理由も教えてください。

さくらのクラウドですね。これは研究所のメンバーが中心になって作られたサービスになります。良いと思う理由はクラウドサービスの性能という話ではなくて、使いやすい点です。

クラウドサービスって世の中にたくさんあって、たくさんの機能が出ています。逆に言うと、非エンジニアの人が使おうとしたときには、かなり複雑な操作が必要になります。その点で使いやすさというのは重要です。

自分でちょっとクラウド使いたいなと思ったときに、外資系のクラウドサービスはいろいろできるんですけど、その分複雑で選択肢も多いんです。

さくらのクラウドは専門知識がない人でも使える。そこは魅力だと思います。

FITのトップコンファレンスで講演

ーー松本さんは「FIT 2020第19回情報科学技術フォーラム」のトップコンファレンスで講演されました。ここに呼ばれるのは、とてもすごいことだとうかがいました。どのような人が講演に呼ばれるのでしょうか?

FITは「情報処理学会」と「電子情報通信学会」という国内のインターネットサービス研究の二大学会が一緒におこなっているシンポジウムです。

そのFITに招待講演で呼ばれるのは、自分の研究が少なくとも日本国内でアピールできているということだと思います。

ここ最近、FITはトップコンファレンスセッションをやるようになりました。これは国内だけではなくて、世界中から各分野のトップレベルに採録された論文の著者に話してもらう場です。その中で僕の研究を喋ってもらったら面白いんじゃないかということでお誘いいただきました。国内でも採録された人がほとんどいない中で招待されたことは、それなりに喜んでいいことなのかなと思っています。

トップコンファレンスセッションは、各分野におけるトップレベルの国際会議 および学術雑誌で最近数年以内に採録された論文の著者に、その内容を紹介して頂く特別なセッションです。

(引用:2020FIT 第19回 情報科学技術フォーラム Webサイトより)

(編集部記:松本さんは「トップコンファレンスセッション7ネットワークとセキュリティ」に招待され、「【タイトル邦題】 HTTPリクエスト単位でコンテナを再配置できる高速なスケジューリング手法」というテーマで講演をおこないました)

お互いに尊重し合うことが大切

お互いに尊重し合うことが大切

ーーとてもすごいことですね。エンジニアと一緒に仕事をするうえで、非エンジニアも意識しておいたほうが良いと思うことを教えてください。

エンジニアも非エンジニアも意識しておくと良いと思うことがひとつあります。それは、「みんなお互いに尊重し合いながら、自分がやっていることには自信を持つべき」ということです。

僕はエンジニアやエンジニアのマネジメント、そこから研究者をやってきましたが、そのキャリアの途中でようやく気がついたことがあるんです。テクノロジーをサービスにして提供している会社だと、そのサービスのコードを書いているエンジニアが貢献していてすごいと思われがちです。

僕自身もそう思っている時期もありました。もちろん、エンジニアが貢献しているのは間違いありません。でも、結局それだけではサービスって売れないですし、サービスを維持できない。

営業、マーケティング、研究、バックオフィス、カスタマーサポート、経営などの会社にいるすべての人たちがあらゆる方向からサービスを支えています。

例えば僕がやっている研究の場合、直接サービスのコードは書いていないですけど、先を見据えてどういう技術が必要になるか、あるいは不要になるか、どういう技術に取り組んでいるかということを研究して社内にフィードバックしつつも、その内容を社外にアウトプットすることにより技術ブランディングとしてもアピールもしています。

それを知ることで、「さくらインターネットって面白そうなことをやってるな」となり、サービス利用や新しい共同のビジネスに繋がると思います。そこには技術広報、マーケティングや営業的な要素もあると思うんです。

別にコードを書いているからエンジニアが一番偉いとかではなくて、営業や広報、マーケティングがないとサービスって売り続けることが難しいわけです。

総務や経理といったバックオフィスのみなさんのおかげで、快適に仕事ができていますし、そういうことがうまい具合に絡まってサービスが売れて、売上になり社会に還元され、そのサイクルが回ることでサービスが維持されます。

そう考えると直接・間接という話じゃなくて、そういう人たちもいるから、ちゃんとサービスが成立しているんだと思います。いろんな人がいろんなやり方で、サービスや社会に貢献しているんです。

お互いに尊重し合うのが一番大切だと思います。みんな、やってることには自信を持ってやるべきです。

競合とかあまり関係ない

ーーさくマガのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、今後、やりたいと思っていることと、それをできるに変えるためにしていることについて教えてください。

研究開発や技術的な話もオープンにして、一緒に研究とかできればいいなと思っています。僕は複数の研究所に所属していますが、サービス的には競合する部分もあります。

ただ、これには明確な理由があるんです。

僕がさくらに入社するときに、社長の田中さんとお話をする機会がありました。その中で田中さんとすごく意見が合った話がひとつあります。

それは、「競合とかあまり関係ないよね」ということ。競合企業も同じ業界で一緒にサービスを切磋琢磨しながら作っているわけです。今までは国内に目を向けていればよかったかもしれないですけど、世界目線で見たときには、メガクラウドとか巨大なサービスが提供されています。

世界と戦うというわけではないんですけど、競合という形で牽制し合うよりは、一緒に協力して世界目線で取り組んだほうがもっといいサービスでもできるし、いい技術を提供できると思うんです。

それができれば、それを使ってくれる人はもっと幸せになるし、社会にも還元されます。エンジニア同士でも、別に競合同士だったとしても、一緒にやったほうがもっと面白くなるし、結果的にお客さんをもっと幸せにできると思います。

あとは、世界で見ても、さくらインターネット研究所がトップクラスのすごい研究をしている研究所になれるようにしたいです。僕自身は海外に向けてさくらインターネット、さくらインターネット研究所を研究・論文を通じて世界にアピールしていきます。

執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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