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これからの働き方はどう変わるのか THE SEED 廣澤氏 × さくらインターネット 田中

これからの働き方はどう変わるのか THE SEED 廣澤氏 × さくらインターネット 田中

廣澤太紀(ひろざわ だいき)さん

1992年生まれ。2018年9月にシードVCファンド「THE SEED」を設立。現在10数社の若手起業家に投資をしている。

Twitter:@HirozawaDaiki

THE SEEDホームページ:https://theseed.vc/

田中邦裕(たなか くにひろ)

1978年生まれ。さくらインターネット創業社長。96年、舞鶴工業高等専門学校在学中に18歳でさくらインターネットを起業。

Twitter:@kunihirotanaka

THE SEED 廣澤太紀さん主催のオンラインイベント「これからの働き方はどう変わるのか」 でのセッションを記事にしました。学生向けのイベントでしたが、起業を考えている人や社会人にも勉強になる内容です。

#THESEED 勉強会

#THESEED 勉強会

廣澤太紀さん(以下、廣澤):今回主催しました、THE SEED の廣澤です。まずはじめに、私の自己紹介をさせていただきます。1992年の生まれで今年28歳になります。25歳で独立をしまして、2018年から THE SEED というシードファンドで創業投資をしております。若手起業家を中心に、10数社へ投資をしていて、大体1,000万円前後を投資しています。

これまで、年30回ほどオフラインのイベントをやってきました。同じ場に同年代で志をもった方々が50人、100人と集まり、起業の仲間作りになる場を提供していました。

今回はオンラインでの開催となっていますが、皆さんの協力があれば、オンラインでも交流の機会を作れるんじゃないかと思っています。

例えば、今日この参加された方は、Twitterで「#THESEED勉強会」とツイートしてみてください。「良いツイートしてるな」という人がいたら、お互いにフォローし、積極的に話しかけて友達になってもらえると嬉しいです。ゲストの田中さんの話にも価値がありますが、参加者同士で繋がりを持つことが、何よりも価値のあることだと思います。

では、今日のゲストの田中さんに登場してもらいます。

ゲストの田中邦裕登場

田中邦裕(以下、田中):こんにちは。

廣澤:お時間いただきありがとうございます。よろしくお願いします。お、田中さんのバーチャル背景はさくらインターネットの石狩データセンターですね。早速ではありますが、田中さんには3つのお話をしていただきたいと思っています。

1.創業からIPOまでのストーリー

2.アフターコロナの世界で働き方はどう変わるか

3.都内、地方の起業機会について

まずは自己紹介を兼ねて創業からIPOまでのストーリーについてお願いします。

創業からIPOまでのストーリー

創業からIPOまでのストーリー

田中:あらためまして、田中といいます。さくらインターネットの代表をしています。18歳で起業をしまして、今の仕事を24年間やってます。高専時代、友達にサーバーを貸していたら、いろいろな人に使ってもらえて事業になりました。起業するきっかけは人それぞれあると思うのですが、やりたいことをやるための手段として起業があると思います。

1998年ごろに上場ブームがあったんですね。そうした流れもあって僕らにも出資をしてくれる人が増えてきました。そうなると、上場せなあかんってなるわけですね。本来、起業した理由は「良いサーバーを提供したい」ということだったんですけど、上場することが目的化してしまったんです。それが嫌で一度社長を辞めたんですね。会社には副社長として残りましたが。

スタートアップで上場することを目的としている会社も多いと思うんですけど、上場することが目的になってはいけないと思います。

さくらインターネットは上場して2年後に債務超過になってしまって、上場廃止の危機だったんです。そこで私が7年ぶりに社長に復帰して現在まで13年間社長を続けています。

音楽性の違いで社長を辞めた

廣澤:IPO前に社長を辞任してますが、どういう理由で辞任されたんでしょうか? また、辞任するという選択肢以外に、他社に会社を売却するという選択肢もありましたか?

田中:バンドでいう音楽性の違いってことです。よくあるじゃないですか、音楽性の違いで脱退するって。自分で作った会社なのに、なんでやりたいことをやったらあかんねんって思ったんですよ。一緒にやっていた人というよりも、取り巻く環境に対しての違いです。当時はネットバブルでバリエーションが高かったということもあり、会社を売却しようとしても買い手もいなかったと思いますよ。

廣澤:少し話は戻りますが、1996年に学生寮でスタートされていますが、学生時代から起業するということはずっと考えていたんですか?

田中:起業というよりは、サービスを広げていきたいという考えをもっていました。それが結果として起業になりましたね。収益化というよりは持続化ということを考えていました。最初は一人でやってたんですけど、持続するためには会社が必要だなと思いましたね。

廣澤:なるほど。サーバーに関する事業で起業してから、単一プロダクトで上場したんですか?

田中:いや、ビジネスは変わっていきましたね。最初はレンタルサーバーでやっていたんです。ただ、2003年くらいに家入一真さんがやっていたロリポップに完全にやられてたんですね。だからビジネスとしては2003年くらいにかなり痛んでいたんですよ。

ただ、家入さんに専用サーバのサービスを使ってもらっていたんです。いわゆる卸売りのビジネスですね。これがすごく伸びていて、サービスでいうとmixi、GREE、アメブロなどは専用サーバを使ってくれていました。プロダクトで言うと4プロダクトくらいでやってましたね。

廣澤:そうだったんですね。レンタルサーバーの単一プロダクトで上場されたのかと思っていました。上場後、債務超過の中で社長に戻られていますが、どういう想いだったんでしょうか? タイミングとしては、できれば避けたいような時期なのかなとも思うのですが。

田中:まあ、でも元々やりたかった会社に戻してくれるならいいかと思いましたよ。社長に戻った直後は大変でしたけどね。決算発表で怒られたり、銀行にあいさつに行かないといけなかったですから。会社のお金が本当になかったので、私が持ってる株券を担保にお金を借りてました。返せなかったらすっからかんになってるところですよ。

アフターコロナの世界で働き方はどう変わるか

アフターコロナの世界で働き方はどう変わるか

廣澤:次にお話してもらいたいテーマなんですが、これからの働き方はどう変わると思いますか?

田中:今までとはガラッと変わると思います。自分が働きたいように働けばいいんですよ。半年前に会社なんて行かなくていいんじゃないかって話をして、この間noteにも書いてバズりましたが、なんで朝早くから会社に行かなきゃいけないの? って思うじゃないですか。そう思うんだったら「なぜ?」を3回くらい問うのがいいと思うんですよ。今まであった当たり前が全て変わると思ったほうがいいと思います。

廣澤:さくらインターネットさんのように、社員数が多い上場企業からすると、統率が取れたマネジメントのほうが経営をしやすいんじゃないかと思っていたんですがいかがですか?

田中:管理するのって面倒くさいでしょう。ある仕事で管理・指導・監視をする仕事があるんですけど、それはなにか分かりますか? それは「刑務官」です。上司が刑務官の仕事を要求されているわけですよね。それって社員を囚人と同じ扱いをしているわけですよ。

廣澤さんにさくらインターネットからもLP出資をさせていただいていますが、廣澤さんを管理なんてしないじゃないですか。だからって廣澤さんはサボらないでしょ? 管理されたら嫌になるけど、自分がやりたいことだったらやるじゃないですか。

廣澤:私はかなり自由に、任せていただいています(笑)。 一方でリモートワークになったことにより、マイクロマネジメントをしたくなったという経営者の話をよく聞きます。オフィスだと今何をしてるか聞かないのに、オンラインだと時間が空くから聞きたくなるようです。

田中:要は余白の使い方が下手なんだと思うんですよね。仕事をしているか、してないかを管理するのは野暮だと思っています。私は法律的に必要とされる部分以外は管理したくないんですよ。行動やプロセスを管理するんじゃなくて結果やデータを管理すればいいと思うんです。

廣澤:田中さんのような考え方の経営者は、そんなに多くないのかなと思っています。視聴者のこれから就職活動をされる方は、どう考えて、どう動くのが良いと思いますか?

田中:自分で考えて自分で行動するってことですよ。管理するほうも楽だし、管理されるほうも楽なんです。考えること、脳を使うことを止めちゃいけないと思いますよ。入社するときになんでかな? というのを常に考えたほうがいいと思いますね。なぜこの会社に入りたいのか。なぜ起業をしたいのか。WHYの部分を考えたほうがいいと思うんです。

あとは、他人を理解しようとすることが大事ですよ。他人を理解することと、自分を理解することで相互理解が深まるんですね。自分を客観的にとらえる「メタ認知」ってありますよね。最近SNSでの誹謗中傷が話題になりましたが、メタ認知をすることで多少は回避できると思います。

自分自身を知っておかないと楽しく仕事ができないと思うので、学生さんなら、自分はなにをしたいのか? その会社に入りたいではなくて、その会社に入って何がしたいのかを考えることが大切だと思いますよ。僕の場合はとにかくサーバーで生計を立てたかったということです。

廣澤:この2カ月くらいは、ずっと自宅にいて考える時間ができた人がかなり多かったと思います。この期間をどう過ごしていたかというのが、もしかしたら今後働いていくうえで、すごい差になっていくのかもしれないですね。

田中:あと、「自分は運が良い」と考えることも重要だと思います。同じ出来事でも自分は運が良いと捉えるか、運が悪いと捉えるかって自分次第じゃないですか。自分がどう思うかだと思います。

都内、地方の起業機会に変化はあるのか?

都内、地方の起業機会に変化はあるのか?

廣澤:最後のテーマです。都内と地方の起業機会についてですが、今後はどうなると思いますか?

田中:「都内」とか「地方」とかなくなりますよ。かなり変化すると思います。地方からの資金調達もしやすくなりますし。廣澤さんはこのイベントを渋谷からZoomでやってるでしょ。僕は今、沖縄に居ますから。この間、決算説明会も沖縄からやりましたからね。

廣澤:そうだったんですか。

田中:揺り戻しはあると思いますけどね。それを乗り越えて、東京でなくても仕事ができるようにしていくべきだと僕は思ってます。

廣澤:今回のイベントは田中さんとの今までの関係性があって、お世話になっていたからお願いできたと思っているんです。完全に面識がない人にお願いしたいことがある場合、今まで以上にハードルが高くなると感じているんですけど、どう思いますか?

田中:そんなには変わらないんじゃないかな。頼むまでのハードルは高くなるけど、一度頼んだら頼みやすくなる時代がくると思いますよ。知り合いの紹介とか、人のつながりが重要になるんでしょうね。これまで以上に信頼される行動が大事になるんだと思います。

廣澤:起業を目指す人にとってはTwitterで情報収集をするとか、公開情報に触れることは大事だと思いますが、他に重要なことはありますか?

田中:公開情報から入ったうえで、クローズドなコミュニティでどのように信頼されるかが大事だと思います。エンジェル出資って大体クローズドな中で起こってますからね。情報ってオープンになった時点で古いですよね。Twitterとかでコミュニティの入り口は作れるんだけれども、そこからは信頼を作っていくのは自分次第だと思いますよ。

廣澤:ありがとうございます。少し長くなってしまいましたが、この会の締めとして田中さんにまとめの言葉をいただきたいです。

田中:自分は運が良いとポジティブにとらえたほうがいいと思います。「肯定ファースト」でいくと考えが変わると思うんですよ。何があっても最初にありがとうございますというようにしています。腹を立てるのは損ですよ。 自分が何をやりたいのか、どうなりたいのかを考えて欲しいです。

執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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