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青い海に白い砂浜、かすかに波の音が聞こえる。
無機質な深緑色のWindows95壁紙の前に突如として南国の海が出現した。それはなんだかワクワクして、ドキドキして、本物の海を目の前にした感覚だった。これからとびっきりの冒険が始まるんじゃないか、何かが始まるんじゃないか、少なくともあの時の僕らは、今よりずっと可能性や未来、そういった得体のしれない何かを信じてパソコンの前に座っていた。
あれは何だったのだろうと今になって思うほど、僕らはパソコンの前でワクワクしていたのだ。
ボトルメールには可能性が詰まっている
「ボトルメールってのがあるんだよ。あれは可能性だよ、可能性」
菅原先輩は、まるで魂でも漏れ出したかと思うほどにモワッとタバコの煙を吐き出し、そう言った。
「なんですかそれ?」
菅原先輩の顔を覗き込む。彼の口元は確かに笑っていた。
「ロックンロールだ」
満面の笑みを見せ、そう言い切った。よく分からなかった。
菅原先輩は少し変わった人で、かなりロックンロールに傾倒していると自負しているところがあったが、同時にどこかロックンロールを分かっていない節があった。
早い話、なんでもロックンロールだと言っておけばロックだと思っている疑いがあったのだ。音楽的ジャンルだとか信念だとか生き方だとか、そういったものではなく、ただ「ロックだ」と言い張ることがロックだと思っているようだった。ある意味、それはロックかもしれないが、僕はロックじゃないような気がしていた。
「知らない人からメールがくるんだ。これはロックだろ」
何がロックなのかは分からないが、菅原先輩は嬉しそうに説明し、灰皿がわりの空き缶にタバコの火を押し付けた。
「それってどういうことですか?」
興味を持ってさらに深くたずねる。
「知らない人からメールがくるんだ」
まるで壊れたロボットのように同じ説明を繰り返した。ちゃんと説明しろや。
菅原先輩のいう、ボトルメールとは、1997年にリクルート社がリリースしたソフトウェアだ。位置的にはメールソフトになるのだろう。ただし、普通のメールとしての機能はほとんど期待できない、そんなものだった。
ボトルメールとは、もともとは美少女なんかが誰か遠くの国の人に届いて欲しい、と手紙をしたため、ビンに入れて砂浜から海に流すものだ。
逆に、砂浜でたたずんでいる美少女が、あれは? と流れ着いたビンを発見し、外国からの手紙に包まれた花の種を発見したりするやつだ。その種を庭に撒いたところ、それはそれは綺麗な花が咲いた。
それと同じように、電子メールの世界において、送ったメールがだれに届くか分からないし、誰からメールが届くか分からない。確か、届く時間も定まっていなかったよう思う。いつ来るのかも分からない。そんなメールソフトだった。とてもじゃないがメールソフトとして期待してはいけないサービスだった。絶対にビジネスシーンでは使えない。
ただ、不特定多数の人と繋がる可能性がある、ということでけっこうな人気を博し、パソコン雑誌などでは画期的サービスとしてこぞって取り上げられていた。今でもよく覚えているが、パソコン通信の雑誌で、裏ビデオの通販に騙された記者の魂のコラム、その前のページに特集が載っていた。
「それで、そのボトルメールでなにか手紙がきたんですか?」
僕の言葉に菅原先輩はまた不敵に笑って口を開いた。
「ロックンロールがやってきた」
何を言っているのか分からないし、いい加減にちゃんと情報を伝えて欲しいと思うが、その表情は少年のようで、いまからとびっきりの冒険に出かけるような清々しいものだった。本当に、少年みたいだった。
パソコンを立ち上げる。デスクトップに配置されたアイコンをクリックすると、白い砂浜と青い海が現れた。砂浜には透明のビンが埋まっていて、半分だけその顔をのぞかせている。
「手紙がきた!」
それは誰かからボトルメールがきたことを示していた。すぐにそのボトルをクリックする。ガリガリっと少しだけハードディスクが動く音がして、パッと1枚の画像が開かれた。
ボトルメールとは、メールと名前がついているが、文章を送れるわけではなかった。送ることができるのは1枚の画像のみ。もちろん、その画像に文章を打ち込めばいいのだけど、それは面倒なのかほとんどの人がペイントツールで書いた絵を送っていた。
白いキャンパスが表示され、またガリガリとハードディスクが動く。少し処理に手間取っているようで、ゆっくりと絵が表示されていく。
「なんだ、ちんこか」
また、ちんこだった。
1枚の絵を送れる、でもそれは誰に届くかも分からない、返事も期待できない、そうなった場合に、ほとんどの人が生殖器かウンコの絵を描くらしく、漂着してくるボトルメールの9割は生殖器かウンコの絵だった。
それも3秒くらい描いたような、ミミズが這ったようなものばかり。ウンコの上に「うんこ」と荒い字で書いてあればかなり手が込んでいるほう、茶色のペンで描いてあればかなりリアリティを追及しているほう、と言えばどれだけのゴミか分かるだろう。電子の海に漂う大量のボトル、その中身のほとんどが生殖器の絵だと思うと妙に感慨深い。
実際にやってみると分かるが。手の込んだボトルメールを受け取りたいが、別に手の込んだボトルメールを送りたいわけではない、みたいな心理状態に陥るのだ。おまけに、たくさん送れば送るほどたくさんのボトルメールが漂着してくる、みたいな噂がまことしやかに囁かれていたので、受け取るにはとにかくメールを量産しなくてはならなかった。結果、9割が生殖器かウンコである。
「まあ、こんなもんだよな。菅原先輩みたいにはいかないか」
ペイントツールを立ち上げ、ササっとちんこの絵を描いて、大海原へとボトルを流した。
菅原先輩は、このボトルメールでロックンロールがやってきたといった。
菅原先輩が受け取ったボトルメールには、手書きの文字でメールアドレスが書かれていたらしい。描かれていた絵もかわいいハムスターで、文字もピンク色、確実に女性が流したメールだと確信する、そんな代物だった。
当時のインターネット世界は圧倒的に女性が少なかった。ほぼすべてが男性と言っても過言ではないコミュニティで、まれに女性を自称する人がいたとしても、その半分はおっさんが女性のふりをしているだけだった。いわゆる「ネカマ」というやつである。
だから、女性からメールがやってきたことを「ロック」と評する先輩の気持ちもなんだか分かるような気がした。分からないけど、分かるような気がした。
「それってネカマじゃないですか?」
懐疑的な視線を向ける。
「そう思うだろ、でも実際にメールやり取りしたら確実に女なんだよ。使ってる化粧品とか聞いたもん」
当時、ネット世界によるネカマ被害は深刻な社会問題だった。騙し騙されが横行し、誰もが人を信じられなくなっていた。相手が女性であるか否か、それが最重要事項だった。 そこで開発されたソリューションが「使っている化粧品を聞く」だった。相手が女なら簡単に答えられるが、おっさんによるネカマの場合はちょっと答えに詰まる。
「なんていってました?」
「ケイトっていってた」
「それは女ですねえ」
「完全にロックだよ」
今考えると完全に意味のない質問だよ。化粧品名を言わせるだけ言わせたとしても、僕らの方が化粧品を知らないのだから意味がない。例えば、ケイトはもうちょっと若い世代が使うブランドだからね、この年代でそう答えるのはおかしい、みたいな判断が効かないのだ。
おまけに、全身全霊でネカマに命を懸けているおっさんなどは、何がそこまで彼を駆り立てるのか分からないが、本気で化粧品について勉強してくるので、その辺の販売員レベルで詳しくなっていた。つまり、僕らは使っている化粧品の名前を聞くことで、より騙されやすくなっただけだった。
僕には2秒で描いたような生殖器のボトルメールしかこないのに、菅原先輩にはケイトを使っている女性から届く、その不公平さはいかんともしがたいものがあった。
「メールをやり取りしているうちに分かったんだけど、けっこう近所に住んでるみたいでね、さっそく今日、会うことになったんだ。完全にロック」
“完全にロック”の文脈がもはや意味不明になっていた。この人、“完全にロック”を句読点か何かかと勘違いしているだろ。
ただ、菅原先輩とそのケイトの女が待ち合わせをした喫茶店、それが良くなかった。僕や菅原先輩が暮らしていた町は、そこに大学しかないような片田舎の学生街で、ほぼすべての産業が大学生に依存しているよう場所だった。早い話、狭い街だった。
そして、その大学生を狙って詐欺的な商法が跋扈(ばっこ)していたのである。詐欺すらも大学生に依存している、そんな小さな町だった。
その中でも、今で言う“デート商法”のはしりとして、綺麗な女性が何らかの形で近づいてきて、デートを重ねるうちに高級な英会話教材を買わされるという被害が相次いでいた。うぶな学生の心を蹂躙し、学生ローンまで組ませて12本くらいのカセットを30万円くらいで買わされるという、極悪非道の代名詞みたいな商法だ。
そして、その多くの被害が、大学の近くにある喫茶店を舞台に起こっていたのだ。だから僕らの間ではその喫茶店はけっこうやばい、連れていかれたら詐欺の可能性が高い、みたいな認識でいた。菅原先輩がケイトの女と約束したのも、その喫茶店だった。
「もしかして、詐欺なんじゃないか?」
そんな直感が僕の脳内を駆け巡った。本来、効率的に考えて詐欺ならばボトルメールなど使わずに直接的にコンタクトをとるはずだが、もしかしたらそこが狙いなのかもしれない。まさかボトルメールで詐欺をするとは思わないからだ。ただ、絨毯爆撃みたいな手法を使えば十分にボトルメールでも詐欺が成立する。
「先輩、それは詐欺かもしれませんよ」
「どういうこと?」
菅原先輩が少しムッとしたのを見逃さなかった。
「そこの喫茶店はそういう詐欺に使われがちだって噂です。文学部の竹下もやられました」
「竹下はロックじゃねえからなあ」
「竹下はロックじゃないですけど、ロックかどうかは今は関係ないですよ。あいつ、いまだにローン払っているんですよ。一度も再生していないカセットテープに」
「竹下はロックじゃないから……」
関係ない場所でさんざんロックじゃないと否定される竹下は置いておいて、明らかに菅原先輩が不機嫌になってきた。こいつはボトルメールで女と知り合えた自分に嫉妬してるんじゃないか、そんな疑いの眼差しを向けてきたのだ。
「あのなあ、お前のそういうところ、ロックじゃねえよ。嫉妬してるんだろ?」
菅原先輩はそう言った。全然関係ない文学部の竹下に続き、僕までロックじゃないと言い切ったのだ。なんだかすごく腹がたった。
「じゃあ騙されればいいじゃないですか。竹下みたいに延々とローン払えばいいですよ。それってぜんぜんロックじゃないですよ」
「竹下はロックじゃないから」
「ロックじゃないですよ、ローンですから」
「とにかく俺は違うから」
結局、よく分からない口論を経て、喧嘩別れみたいになってしまった。
「思いっきり騙されればいいんだ。それがロックなんだろ」
アパートに帰り、デスクトップパソコンの電源をつける。デスクトップ右下に表示されていた時計を見ると、15時になろうとしていた。菅原先輩がケイトの女と待ち合わせをした時間だ。いまごろ、あの喫茶店で会っているのだろう。
「思いっきり騙されればいいんだ。それがロックなんだろ」
同じセリフをもう一度口にした。
なんだか、モヤモヤとした何かが心の中に生まれて消えていくのを感じた。なんだか嫌な気分がするのだ。
デスクトップにあった、ボトルメールのアイコンをダブルクリックする。ガリガリとハードディスクが忙しくなく動く音がして、急に心がざわつくのを感じた。菅原先輩のどうしようもない笑顔が浮かんだのだ。
「騙されればいいんだよ、あんな人は」
自分自身に言い聞かせるようにそう呟いた。その瞬間、走馬灯のように菅原先輩との思い出が呼び起こされた。
「このコンビニは西日本で一番売り上げがあるコンビニなんだぜ、ロックだろ」
大学近くにあったコンビニに入店しながら得意気な顔でそう言った菅原先輩。
「違いますよ」
即座に店員に否定されていた。
「なあ、回送中ってどこの町にある中学校なんかな」
バス停を通過するバスを眺めて菅原先輩はそう言った。
「え? 灯油ストーブって灯油いるの?」
冬になると菅原先輩は凍えながらそう言った。全てが愛おしい思い出で、なんだか胸が締め付けられる思いがした。
「騙されていいはずがない」
あんないい人が、あんな面白い人が、騙されて悲しい顔をするのなんて見たくなかった。なんとしても止めたかった。けれども、喧嘩をしてしまった手前、いまさら止めに行くなんてできやしなかった。それに、もう間に合わないだろう、いまごろあの魔の巣みたいな喫茶店で騙されているに違いない。諦めに近い感情が心を支配していた。
パソコン画面を見ると、砂浜に埋もれるボトルが見えた。ボトルメールが到着しているようだった。
「どうせまた、ちんこだろ」
いい加減にちんこメールとかに改名したらどうか、そんな憤りを感じつつ、ボトルを開く。
「ほら、やっぱりちんこだ」
予想通り、それは確かにちんこだった。3秒で描いたみたいなちんこだった。けれども、いつもとちがうちんこがそこにあった。
「あきらめるな」
ちんこの上に、力強い筆跡でそう書かれていたのだ。赤い文字だ。赤く力強いフォントで荒々しく「あきらめるな」と書かれていたのだ。まるで僕の心を見透かされているような気がした。
もちろん、ボトルメールはその特性上、誰に届くか、いつ届くかなんてわからない。だから僕のことを見越してこのようなメッセージを送ったわけではない。偶然だ。けれども、偶然ならば偶然で、それ以上に不可解なことがある。
これを送った人は、どんな心情でちんこの上に「あきらめるな」なんて力強いメッセージを書いたのだろうか。なぜ、ちんことメッセージ性の強い言葉を同時に書こうと思ったのか。何を伝えたかったのか。そして、どうしてそれをボトルメールにして流そうと思ったのか。不可解なことだらけだった。
もう一度、メールを見る。
やはりちんこと「あきらめるな」というメッセージが全く繋がらない。けれども、それを見ていたらなんだか本当に諦めてはいけないような気がしたのだ。これが「あきらめるな」という文字だけだったら「はいはい、きれいごと」みたいに取り合わなかったかもしれない。ただ、ちんこと同時に書かれていると、本当に諦めてはいけない気がしたのだ。
「行ってみるか」
諦めてはいけない。立ち上がり、アパートを出た。もう間に合わないかもしれないけど、それでも僕は喫茶店に行く。諦めずに喫茶店に行く。もう迷いはなかった。パソコンもつけっぱなし、ディスプレイにはちんこと「あきらめるな」のメッセージが表示されたままだった。
結局、喫茶店に行くとそこには菅原先輩の姿しかなかった。どうやら遅かったようで、菅原先輩はカセットテープを購入していた。しっかりと契約を結ばされていた。ケイトの女はもう帰ってしまったようだった。
「大丈夫ですよ。すぐにクーリングオフ(※)すれば無効にできますんで」
※一定の契約に限り、一定期間、説明不要で無条件で申込みの撤回または契約を解除できる法制度である。消費者が自宅などに不意の訪問を受けて勧誘されるなど、自らの意思がはっきりしないままに契約の申し込みをしてしまうことがあるため、消費者が頭を冷やし再考する機会を与えるために導入された制度。
諦めずに来てよかった。急いでやればこの契約自体を無効できる。けれども、菅原先輩はそれを拒否した。
「いや、これは形式上の契約だけでね、実際には違うんだよ。後日届くテープも英会話って書いてあるけどそれは形式上のことで、彼女からの告白を吹き込んだものらしい。面と向かって言うの恥ずかしいんだって。形式上の契約だから払う必要もないしね」
どこの世界にそんな奴がいるんだよ。テープに吹き込まず直接言えよ。それに、思いっきり信販会社とも契約してるじゃないか。そんなことをこんこんと説明していたら、菅原先輩もやっとこさ、詐欺の可能性が高いということを理解したのか、ちょっと元気がなくなってきた。ただ、騙されてかっこ悪いという感情が先行するのか、諦めに近い態度を見せ始めた。
「もういいよ、たとえこれが詐欺でも、もういいよ」
投げやりにそう言ってのける菅原先輩を怒鳴りつける。
「あきらめるな!」
なぜかその時、僕の頭の中には雑なちんこのイラストも表示されていた。
なんとかクーリングオフも成功した。それでも菅原先輩は「彼女からの愛情表現が詰まったカセットテープが届くはずだったのに」とぐちぐち言っていた。
本来なら、クーリングオフ成立により契約が破棄されているのでカセットは届かないはずだが、手続きと入れ違いになったためか、数日後に菅原先輩の家に届いたそうだ。
「まあ、これは返品しないといけないんですけど、そのまえにちょっと聴いてみましょうよ。絶対に英会話のテープですよ」
「愛の告白だと思うけどなあ。契約破棄して迷惑かけちゃったなあ」
菅原先輩はまだ諦めきれない様子。
ラジカセにカセットをセットし、再生ボタンを押す。
「レッスンワン」
軽快な宣言と共に英語のレッスンが始まった。
「ほら、英会話のテープじゃないですか」
「騙されてたのか」
「文学部の竹下も同じ手口でやられたんですよ」
「竹下はロックじゃないから……」
そんな会話の後ろでは、延々と英会話のレッスンが流れている。どうやらTakeoが自宅のステレオで音楽を聴いている場面らしく、そこにNancyがやってきた設定だった。一通り、英語の会話が終わると、ラジカセがまた声高らかに宣言する。
「クエスチョンワン、Takeoが聴いていた音楽はなんですか?」
「ロックだな」
「ロックですね」
僕らは顔を見合わせて笑いあった。
ボトルメールはロック
リクルート社が提供したボトルメールは、2007年、利用者の低迷からサービスを終了し10年の歴史に幕を下ろした。
誰に届くか分からない、いつ届くか分からない、そんな触れ込みであったが、それと同時に「どう受け取られるか分からない」と性質もあったのだろうと今になって思う。
あの時、ちんこと同時書かれた「あきらめるな」の文字。あれに僕は奮い立った。ただ送った人はおそらく奮い立たせようと思ったわけでもないし、心の底から何かを諦めないで欲しいと思ったわけではないと思う。もしそうなら、雑なちんこのイラストと同時に書いたりはしない。本当に、空いたスペースに適当に書いた、くらいのものではないだろうか。
それでも僕は奮い立ってしまった。僕はすごくポジティブに受け取ってしまった。そこに言葉の本質があるのだろうと思う。言葉とは発した側の意図はほとんど無関係で、受け取る側の意図だけで構成されてしまう、そういうものなのだ。
奇しくも、SNS隆盛のこの時代は、ボトルメールの時代に逆戻りしたように思う。気軽に発せられるようになった言葉は、いつ、だれに、どのように届くのか分からない。受け手という波打ち際がどのようにそれを受け止めるか、それがどんな結末を迎えるのか、もうだれにも分からない。
意図しない反応がポジティブなものならまだいい。ただ、それがネガティブな反応である可能性も高い。
僕らは日々、ネット上に言葉を流していく。ボトルに詰めて、波に乗せて流していく。それがどこに流れていくかは分からない。それが誰かを傷つけるかもしれない。誰かを追い詰めるかもしれない。少なくとも、それだけは覚悟してボトルを流すべきなのである。そんな時代になっている。
あの日、僕らはパソコンの前でワクワクした。同じようにワクワクして言葉を送り出し、ワクワクして受け取る。そんな光景こそがまさしくロックなのだ。
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