サイボウズ副社長 山田理さん「マネジャーがスーパーマンである必要はない」

オシャレなサイボウズのオフィスでインタビューをしました。

山田 理(やまだ おさむ)さん。サイボウズ株式会社 取締役副社長兼Kintone Corporation 社長。大阪外国語大学を卒業後、1992年に日本興業銀行入行。2000年にサイボウズ株式会社入社。2014年グローバルへの事業拡大を企図しUS事業本部を新設、本部長に就任。同時にシリコンバレーに赴任。本日11月7日、サイボウズ式ブックスより『最軽量のマネジメント』を出版。 Twitter(@osamu419

各業界の著名人にインタビューをしていく、この企画。今回は、サイボウズ株式会社 取締役副社長兼Kintone Corporation 社長 山田理さんにお話をうかがいました。サイボウズといえば働きやすい会社として有名ですが、そんなサイボウズの人事制度・教育研修制度の構築を手がけたのが山田さん。今回はサイボウズが働きやすい会社となったきっかけや、マネジメントについての話をうかがいました。

マネジャーの肩の荷を下ろす

ーー今回、出版される『最軽量のマネジメント』という本のタイトルに込めた想いを聞かせてください。

実は、タイトルを考えたのはぼくじゃないんですよ。今回、この本のプロジェクトにはたくさんの人が関わってくれていて、タイトルを決めるのもその道のプロにおまかせしました。もちろん、ぼくが伝えたい内容と違うことがタイトルになっていたら、違うと言うつもりでしたけどね。

「マネジャーはスーパーマンじゃないとできない」というような、理想のマネジャー像をみんながつくりあげてしまっていて、その理想とのギャップに「なんで、うちのマネジャーは優秀な人じゃないんだろう」って部下は思ってしまうんですよ。

でも、当然マネジャーも「優秀なマネジャー」になりたいと思っていて、なれない自分に悩んでいるんですよね。お互いが理想のマネジャー像をつくりあげることによって、不幸になってしまっている状態。そうじゃなくて、みんなで協力することによってマネジャーの役割を分散してあげて、肩の荷をおろしてあげようって思うんですよ。ぼくはマネジャーを大衆化したい、だれでもマネジャーになれるようにしたいと思っているんです。

もっというと、マネジャーがいなくたってチームは回るんじゃないかと思っていて、そこに一石を投じたいというのが今回の本で伝えたいことです。

 

ーー実際、サイボウズでは開発本部からマネジャー職がなくなったと聞きました。マネジャー職がなくなるとはどういうことなのか教えてください。

肩書としてマネジャーというものはなくなっています。マネジャーの大きな役割として、人材マネジメントとプロジェクトマネジメントがあると思うんですけど、やることがたくさんありすぎて、すべてをやるのなんてスーパーマンじゃないと無理なんですよ。

だから、なにをするにもマネジャーがボトルネックになって、人が辞めたり、プロジェクトが進まなかったりするんですよね。そこで、役割分担をしてチームをつくるということをやりました。

評価をする人、プロジェクトを進行する人、予算を管理する人というふうにチームをつくって分担することで、マネジャーの仕事が分散された。マネジャー職がなくなるというよりは役割分担によって、マネジャーの肩の荷がおりるということですね。

 

社員一人ひとりの声を聞いた

社員一人ひとりの声をとことん聞く

ーーサイボウズでは以前、離職率が28%と高かったそうですが、現在では4%前後まで下がっています。どうして、ここまで改善できたのか教えてください。

サイボウズも昔は成長とスピードを追い求めて、KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)が売上や株価だったし、他の会社に負けないようにやっていたんですね。

当時は業績を上げてインセンティブさえ支払えば優秀な人材が入ってくる、業績さえよかったらすべてが正当化されると思っていました。ブラック企業といわれても、「ブラックでなにが悪いんですか?わたしたちの会社はこれだけ成長していますから」といえた。

ただ、幸か不幸か業績が頭打ちになったんですね。頭打ちになった途端に「ただのブラックやんけ」ということで人がどんどん辞めていったんですよ。成長しないし、株価は下がるし、いいところがないやんけと(笑)。まさに金の切れ目が縁の切れ目ですね。

そこから、現社長の青野と話をして、みんなが働いていて「いいな」と思ってもらえるようないい会社にしましょう、ということになりました。具体的になにをしていくかと考えたときに、社員一人ひとりにどんな制度が必要かをとことん聞いて、制度化していった。この会社が好きだな、この会社で長く働きたいな、友達をこの会社に誘いたいなっていう会社にしたいと思っていたら、制度がてんこ盛りになっていたんです。

離職率を一気に下げようとは思っていなくて、社員の声を聞いて制度をつくっていく過程で離職率が下がっていったという感じでしたね。やっていくうちに社員の声や態度も変わってくるし、世の中からも面白いっていってもらえるし、「やったらええことあるやん、次はどんな変わった制度をつくったろか」という感じになっていきました。

 

ーー社員一人ひとりの声を聞いて制度が生まれたとのことですが、社員のみなさんに好評な福利厚生制度を教えてください。

一番使われているのは働き方の宣言かな。求めるワーク・ライフ・バランスは社員によって違うので、いまは「働き方宣言制度」というものがあって、働く時間や場所、副業の割合などをそれぞれが決められるようにしています。働き方の制度は常に改善されていますね。

あと、どこの会社でもすぐにやれるオススメの制度が「クラブ活動制度」ですね。自由にクラブをつくり、同じ趣味の人が集まって交流することによって人間関係が円滑になり、いろいろな人がつながっていく。これはサイボウズでも活用されていますね。

 

人事制度について語っていただきました。

所属意識をもてることが大事

ーー以前に山田さんが「ザツダン」について話されている記事を読みました。あらためて「ザツダン」の効果を教えてください。

最近、いろいろな企業で1on1(1対1でおこなう対話)が流行っていると思うんですけれど、1on1の目的ってどちらかというと評価をするひとつのプロセスや、プロジェクトがうまくいっているかを確認するマネジメントのためのものだと思うんですね。

結局、大事なのは相手の顔を見るっていうことだと思うんです。その人の個性を知るということがすごく大事で、なにが楽しいのか、なにがつらいのか、なにがしたいのか、なにが得意なのか、といったことをザツダンで話して知ることができるんですね。

相手のことを知ると、あなたはこれが得意で、これがしたい。だから、これをやってほしい、これはやらなくてもいいよと伝えることができるんですね。そうすると、その人は「あ、ここにいていいんだ」という所属意識をもてるんですよね。それってすごく大事なことだと思っています。

 

ーーメディアのコンセプトが「やりたいこと」を「できる」に変えるなのですが、今後やりたいことについて教えてください。

サイボウズっていう会社自体がぼくがやりたいことを体現しているチームではあるんですけど、これからもチームワークあふれる会社でありたいし、社会全体もチームワークあふれるものにしたいと思っています。

多様な個性がちゃんと尊重されながらも理解されて、理想に向かって議論しながらいろいろなことを考える、さまざまな価値観があふれているチームを世界中につくっていきたい。そうすると、チームに所属している人がみんな幸せになる。チームワークをよくしていくと世界中の人が幸せになるはず。そういう世界をつくりたいと思っています。

サイボウズ 山田さん

 

ーー本日はありがとうございました。最後に宣伝・告知などありましたら、お願いします。

本日発売する『最軽量のマネジメント』は、マネジメントの経験が浅く、悩んで頑張っている人に読んでもらいたい本です。マネジャーがスーパーマンである必要はないので、できないことはできない、助けてほしいことは助けてほしいって伝える。肩の力を抜いてみんなで協力しながらやっていきましょう。この本が新しい時代をつくるみなさんの助けになればうれしいです。

 

最軽量のマネジメント(サイボウズ式ブックス)

最軽量のマネジメント(サイボウズ式ブックス)

  • 作者: 山田理
  • 出版社/メーカー: ライツ社
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 単行本

執筆、企画:川崎 博則 / 編集:天内 雅晴、武田 伸子