さくらインターネットの中の人を知ってもらうため、『さくマガ』ではさまざまな社員にインタビューをしています。今回インタビューした鶴丸 千尋は、夫の転勤のため一度さくらインターネットを退職。それから 5年後、復職を果たしました。社長室 秘書グループに所属し、社長秘書を担う鶴丸に、さくらインターネットに復職を決めた理由、復職に際した母としての葛藤、また仕事のやりがいなどを聞きました。
鶴丸 千尋(つるまるちひろ)プロフィール
社長室 秘書グループ所属。2002年にアメリカの大学卒業後、東北大学大学院工学研究科の教授秘書として勤務。2006年、さくらインターネット初の社長秘書として中途入社。2013年、夫の転勤のため退職。2018年に広報関連事務を担当するアルバイトとして、再びさくらインターネットに入社。2021年に正社員となり、社長秘書に従事。小学6年生、1年生の 2児の母。
元同僚からの誘いでさくらインターネットに復職
――最初にさくらインターネットに入社した際の経緯を教えてください。また、入社時はどのようなお仕事をされていましたか?
アメリカの大学卒業後、地元で英語を使える仕事を探し、大学院の教授秘書として採用されました。留学生の受け入れや国際会議関連、学生や教授のサポート業務などを担い、3年ほど勤務しました。その後、民間企業の経験がしたくて、海外折衝のための英語が使える秘書を募集していたさくらインターネットに転職したんです。さくらインターネット初の社長秘書としての採用で、秘書業務をしつつ、英語資料の翻訳、海外交渉の際の通訳などをしていました。
――さくらインターネットを一度退社して、復職に至るまでの経緯を教えてください。
そもそも出産後も仕事を続けるつもりでしたが、急遽夫の転勤で、育休復帰直前に泣く泣く退社しました。当時はまだ、リモートワークの制度はなかったですし、子どもが小さいときに家族バラバラになりたくなかった。結果的には、初めて子育てをするなかで、専業主婦として子どもと向き合えた時間はとても貴重でした。でも、やはり社会から取り残されているような感覚、漠然とした焦りがあったんです。
それで、夫の転勤終了で東京に戻った退職から 5年後に復職することにしました。ずっと交流が続いていた元同僚から声をかけてもらったのがきっかけです。大変ありがたかったですね。当時、下の子どもが 2才で、短時間であれば預けられたので、週3日のアルバイトから始めました。社内のコミュニケーションツールが Slack になっていたり、社内制度が充実して働き方がすごく柔軟になっていたり、おどろきましたね。
――復職された当時、どのようなお仕事を担当されていましたか?
広報アシスタントとして、Webサイトに掲載する簡単なお知らせの作成や、稟議・発注対応をしていました。稟議・発注対応については退職前も同じ内容でしたので、私でもすぐにできる業務でした。
「〇〇ちゃんのママ」ではなく本来の自分に
――復職して、生活スタイルががらっと変わったと思います。心境の変化はありましたか?
はじめはほんの数時間でも子どもたちのことが気がかりで、働くことは私のただの自己満足なのではないかと、罪悪感すらありました。ただ、「母」ではなく「一社会人」としての時間を過ごせることに、とても満たされた気持ちになったんです。子ども中心の生活から、ほんの少しですが自分のことを考える時間ができたことは、自分にとって大きなメリットでしたね。子どもができると、「〇〇ちゃんのママ」と呼ばれることが増えるじゃないですか。それもすごく素敵なことですが、そうではなく「鶴丸 千尋」として、本来の自分を取り戻せたような気がしました。家族以外の誰かの役に立てて、喜んでもらえたり、そのうえお給料までいただける、そんなことがとてもうれしかったんです。そして、あらためて他者とのつながりが、私にとってはとても大事なことだったんだと気づきました。海外留学のときに感じた視野の広がりに近いものを、復職して感じたんですよね。自分の思っていることや感じていることはほんの一部。社内外のさまざまな方と関わることで、多様な視点を得られて勉強になります。
――復職にあたり、準備したことはありますか?
業務のためになにか……は正直入ってみないとわからなかったので、とくにしませんでした。ただ、家族にはきちんと話をしました。子どもたちには、「これからママはお仕事をするから、いままでより時間も余裕もなくなる。自分でできることは、いろいろ協力してほしい。『仕事をする』とはどういうことかを見てほしい」と伝えました。
夫は、私の負担が大きくなることを心配していました。当時もいまもですが、夫の仕事の都合上、 ”ワンオペ育児” になってしまうことが多く……いざ始まってみたら、私がいきいきと仕事をしているので、一緒に喜んでくれましたね。
――他社は検討しましたか?
まったく考えなかったです。とにかくストレスフリーで働けるところを求めていました。それが子どもを持つ前と劇的に変わった部分ですね。昔は自分ががんばりさえすればどうにでもなりましたが、いまは優先順位が「家庭(子ども)>仕事」です。自分のがんばりだけではどうしようもないこともあるので、それでも働ける会社でないと難しいと思っていました。さくらインターネットは、雰囲気もよく、仕事内容も好きでしたし、働いている人もいい人ばかり。それがすべてわかっていたので、さくらインターネットでなければ、復職しようと思えなかったかもしれません。
子どもの体調の都合で休むときも信頼関係が必要で、それを 1から構築するのはすごく大変ですからね。戻れたのはとても運がよかったし、懐が深い会社だなと思いました。いくら昔と似たような業務をするといっても、やはり 5年間空いていたので自信はなかったんです。「え、戻っていいんですか?」と何度も確認しました(笑)。
――仕事と家庭のバランスをどう考えるか、難しいですよね。
仕事と家庭は両立できるものではないと、個人的には思いますね。両立しようと思うと、自分に負荷をかけすぎて家族にあたってしまうので、完璧はやめました。どちらもほどほどに、いい意味で「妥協」するのも大事だと痛感しました。それでもちゃんとやりたいと思う自分もいるので、毎日そのせめぎあいですね。
子育てで培った「先回り」の思考を活かす
――さくらインターネットでの働き方はいかがですか? 復職当時は出社前提でしたが、コロナ禍の影響もあり、途中でリモートワーク前提に変わりましたね。
大変働きやすく、子どもを持つ親としては非常にありがたいです。リモートワークになって、これまでの通勤時間を子どもの送迎に充てられたり、学校行事も時間休を取得して参加できます。さくらインターネットは、働く人にやさしい会社ですよね。制度面はもちろん、上司や周囲の方々の理解もあり、会社の文化として根付いているんです。子育てには終わりがありません。小1 の壁とよくいわれますが、それ以前も以降も、壁ばかりです。しかし、どんなフェーズでも、この会社なら大丈夫と安心できます。
――いまは、どのような仕事をしていますか?
アルバイトから約2年後に正社員となり、再び社長秘書を担っています。各種スケジュール調整をメインに、社長をサポートしています。また、さくらインターネットの組織内研究所である「さくらインターネット研究所」の事務局としての仕事もしています。具体的には、大学との共同研究における契約書のやり取りや、論文の翻訳などです。大学勤務時代も含めて、これまでの経験をすべて活かすことができありがたいですね。秘書業務のみならず他部署の仕事も経験でき、とても充実しています。
――社長秘書のやりがいを教えてください。
社長と、社員や外部の方の橋渡しをすることで、円滑に業務が遂行でき、双方に喜んでいただけたときはうれしいです。また日々刻々と変化するスケジュールを、社長や皆さまの想いに配慮しながら、先を読みつつベストな状態で調整できたときは、大変やりがいを感じます。時間はないけれど、社長の業務は無限に湧いてくるので、このバランスをどうとるかが腕の見せどころですね。
――お仕事をするうえで大切にしていることはありますか?
「つねに相手の立場や気持ちに配慮すること」です。一方で、社長の田中もよく言いますが「配慮はしても遠慮はしない」ことが、とても大切だと思っています。依頼主の要望を明確にするために、社内外に関わらず、わからないことはきちんと遠慮せずに聞きます。そのうえで「2歩先を行って 3つの策を考えて提示する」ことを心がけています。
この「先回りして複数の選択肢を用意する」という思考も、育児を通じてブラッシュアップされてきたと感じています(笑)。育児や専業主婦時代の経験は、仕事においても確実に活きていると思います。育児や家事は、時間がない中で効率化を考えたり、常にマルチタスクだったりしますからね。
――さくらインターネットの社長秘書に求められるものはなんでしょうか。
ただ単に指示されたことをこなしたり、スケジュールを調整すればいいのではなく、その先のゴールや、会社にとっての優先事項とは何かなどを考えること。と同時に、社長の意向も汲みさまざまなことを考える必要があります。臨機応変さはすごく求められます。
一度退職しても働く意欲のある人の希望になりたい
――さくマガのコンセプトは「やりたいことをできるに変える」ということで、今後やりたいこと、目指したい姿、などはございますか?
私のように一度退職してもまた働きたいと思ったとき、さくらインターネットだったらできると希望を抱いてもらいたい。そのために、アドバイスができる人でありたいです。そして、私の姿を通して「自分もできる」と思ってもらえるように、「仕事も家庭も頑張りすぎない」を体現していこうと思います(笑)。
ただ、自分で自分の限界を決めないということは忘れずにいたいですね。ビジネス英語を今後はもっと極めたいと思っています。さくらインターネットのサービスの専門用語がすんなり出てきて説明できるようになれば、さらに自分の強みになっていくと思います。
――さくらインターネットでは現在採用を強化しています。最後に、「こんな方と一緒に働きたい!」という人物像を教えてください。
自分のことを大切にできて、そのうえで周囲の方々を思いやれる、ポジティブな方がこの会社には合っていると思います。私もそういう方とご一緒したいですね。仕事ですから、ときにはハードなこともありますが、自分なりの発散方法を見つけて、ポジティブマインドで、周囲の方々に適度に頼れる関係性を構築できる方は、きっと乗り越えられると思います。そして、ご自身の「やりたいこと」を「できる」に変えていけるはずです。
(撮影:ナカムラヨシノーブ)