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一部の大手を除く多くの企業にとって、ハードルの高いデータの活用。時代の要求であることはわかっていても、日々の仕事が忙しい現場では、データ活用のために多くの時間を割くことはできない。そんな悩みを抱える企業のため、データプラットフォームを運営し、すぐに活用できるソリューションを提供しているのが、株式会社True Dataだ。「DXの民主化」を掲げる同社は、誰でも簡単にデータ活用に取り組めるツールを開発している。その事業に込める想いや、日本におけるデータ活用の現状と未来を、代表取締役社長の米倉 裕之さんに聞いた。
米倉裕之(よねくら ひろゆき)さん プロフィール
大学卒業後、40歳まで保険会社に勤務。その後は事業家を志し、金融、ITなど、他業種での経験を積んだのち、発展途上のTrue Dataにジョイン。社長として、現在のビジネスモデルを築き上げた。
「DXの民主化」を進め、データ活用のハードルを下げる
ただデータを収集しただけの状態では、活用はできない。商品名や商品コードの桁数がバラバラでは使えないし、データの整理も必要だ。そのうえで、適切な分析を加え、結果を可視化してはじめて、データを活用できる状態になる。True Dataが提供しているソリューションを支えているのが、すぐに活用できるまで洗練された状態のデータの集合体だ。
「データ活用には、料理のような流れが必要です。料理の材料となるデータを集め、それを整理して下ごしらえをし、AIなどを用いた分析による調理を経て、はじめて料理が完成します。弊社の強みは、この流れの全体をカバーしていることです」
True Dataが誇るデータプラットフォームがあれば、ユーザーのリテラシーの有無に関わらず、データ活用に取り組める。以前は、ツールのリリースと活用セミナーの開催がセットになっていたが、現在では、セミナーを受けなくともすぐに使えるツールも誕生しているという。
「従来のデータ活用法では、ユーザーにノウハウや経験が求められていました。しかし、現場で働く多忙な方々に、それを身につけていただくのは負担になります。そこで、AIの活用により、データを誰にでもわかりやすい形に可視化する取り組みを進めています。ユーザー個人間のリテラシーの差を埋めて、誰でもデータを使えるようにするというのが、弊社が掲げるDXの民主化です」
DXの民主化を象徴するツール群が、昨年からリリースが始まっている「AIシリーズ」だ。そのうちのひとつ「Potential Scan(ポテンシャルスキャン)」では、購買傾向がわかるダッシュボード機能に加え、小売店の売り上げを伸ばす余地がどこにあるのか、AIが可視化してくれる機能がある。この機能ではID-POSデータから顧客の購買パターンを算出し、もっと売れる可能性のある商品がリストアップされる。どの商品の品揃えを強化し販売促進するとよいか、売上アップのためのヒントを得ることが可能だ。小売店で日々おこなわれるこの重要な意思決定に、AIが伴走してくれる。
「現時点で顧客からの反応は上々で、複数の商談が進行しています。普及が進む前の段階ではありますが、Potential Scanは、ID-POSを活用することで商品の販売状況に加えてどんな人が商品を買っているのかがわかることと、AIで売り上げの伸びしろが可視化できることが評価されていると感じています」
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データ活用を無料で体験できる「ウレコン」
True Dataは、DXの民主化実現に向けて、手軽にデータ活用を体験できるツールも世に出している。それが、いま日本で売れている商品のランキングや購買データを見られる「ウレコン」だ。ウレコンは、アカウントを作成すれば、誰でも無料で利用できる。
ウレコンでは、全500カテゴリの商品群の売れ行きデータを確認可能。たとえば「スナック」で検索すると、そのカテゴリ内の売れ筋ランキングが表示される。そのなかから、特定の商品を指定すれば、市場シェア率やリピート率、購入者の男女比率や年齢構成などを閲覧できる。ウレコンは、見ているだけでもさまざまな発見があって、楽しめるツールだ。データ活用の入口としては十分すぎるものといえよう。
「ウレコンでは、日本中の購買データが可視化されています。小売店にとっては、特定の商品について、自分の店の状況と比較するだけでも傾向を把握できます。メールアドレスを登録するだけで使えるので、これからデータ活用に取り組みたいという方は、まずは試していただきたいですね」
手軽かつ魅力的な入口のウレコンと、AIシリーズという洗練されたツール群。True Dataが掲げるDXの民主化の道筋は、明確なものになっている。
会社の“年輪”を着実に刻む
取材の最後に、DXの民主化の現在地と、True Dataの将来について米倉さんに訊ねた。その答えから垣間見えたのが、米倉さんの経営術だ。
「DXの民主化については、かなりの手応えを得ています。とくにメーカーからの関心は高く、一部の新サービスでは想定を超える引き合いをいただいたため、新規営業を止めているものもあります。新規事業は、やってみてからわかることがたくさんあるので、ある程度のトライをしてから、見直しをする期間も必要です」
急速に進む世の中のDX。スピード感が求められる業界にあって、米倉さんは地道に歩みを進めることの重要性を強調する。
「会社の成長については、スタートアップだと『年間30%成長』といったように、ひたすら前に進むのがいいとされる傾向があります。それは否定しませんが、本来の会社の育て方とは違うと思っています。アクセルを踏みっぱなしにせず、立ち止まる時間を作ることで、着実に会社の“年輪“や“竹の節”をつくっていくことが大切ではないでしょうか」
年々刻まれていく、True Dataの年輪。その先に見据えているのは、海外への展開だ。米倉さんは、これから海外進出をする日本企業に向けたサービスをつくりたいと語る。
「いま日本で展開しているサービスの、海外版をつくりたいと考えています。日本はこれから人口が減っていきますし、高齢化も進みます。成長市場を求めるなら、海外に進出しなければなりません。
従来の海外でのデータは、輸出した製品がどの国でどれくらい売れたか、だけで終わっていました。しかし国ごとの購買マーケティングデータまでとれれば、さらなる分析が可能になります。日本の企業が海外でも国内同様の勝負をしていけるように、サポートしていきたいですね」
堅実な経営を重視しつつ、将来の大きな夢を語る米倉さん。取材中の彼の顔は、いまの充実感と、将来への期待にあふれているように見えた。
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執筆
畑野 壮太
編集者・ライター。出版社、IT企業での勤務を経て独立。ガジェットや家電など、モノ関連の記事のほか、ビジネス系などの取材を多く手掛けている。最近の目標は、フクロウと暮らすこと。
Website:https://hatakenoweb.com/
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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