さくらとヤマト運輸がSlackでコラボ! アプリ発表会

さくらインターネットは、2023年2月にヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)と連携し、宅配便取次アプリをリリースしました。

 

さくらインターネット、宅急便の手続きができるSlackアプリを2023年2月8日に提供開始〜集荷依頼や匿名配送などがワンストップで可能〜

 

本記事では、「さくらとヤマト運輸がSlackでコラボ!アプリ発表会 in さくらの夕べ」と題しておこなわれたリリースイベントの様子の一部をお届けします。会場での観覧に加えて、YouTube でも配信された本イベントでは、ヤマト運輸の上本 佳史さんとさくらインターネットの江草 陽太が、アプリ開発に至った経緯などについて語りました。

 

きっかけは社内の問題解決

江草 陽太(以下、江草):もともとは、お客さまにサービスとして提供することが目的ではありませんでした。さくらインターネット社内での問題を解決するために開発したんです。

(社内全体で)在宅勤務が進んでいますが、社員から社員へのモノの受け渡しが結構あったんですね。たとえば、総務の社員が名刺を作ってくれて、できた名刺を発注した社員に渡す。開発の現場でも、機器の受け渡しや書類のやりとりがあります。でも、オフィスに行く機会はなかなかありません。そうすると、宅配便などを利用して送りたくなりますが、社員の個人情報は人事部しか扱わないことになっています。仮にこの規定がなかったとしても、社員間で住所を教え合いたくないということはあると思います。

以前は、(送り先の)近くにある配送業者の営業所を聞いて送るなどの対応をしていました。ただ、この方法だと送る側と受け取る側、双方にとって少々手間がかかります。それで、もう少しいい方法がないかという話になりました。

そう考えたときに、弊社代表の田中が、フリマアプリで対応している匿名配送の API が使えないだろうかと言っていたんです。それで、ヤマト運輸さんに「フリマアプリ向けの API を使ってもいいですか?」という話をさせていただき、社内で使い始めたという経緯です。最初から外販できるようなシステム設計にはなっていましたし、やはり社外のお客さまにも使っていただきたいなという想いでリリースしております。

 

※宅配便取次アプリの詳細やお申し込みについてはこちら

 

ご利用方法について簡単に説明します。Slack上で荷物を送るコマンドをクリックし、誰に送るかだけ選びます。送りたい人を選ぶと、自動的に相手(荷物を受け取る側)に「荷物の受取依頼がきています」とメッセージが送られます。荷物を受け取る側に住所を入力してもらうので、送る側は受け取る側の住所を知らなくても荷物を発送できるという仕組みです。その場での支払いは不要で、毎月さくらインターネットから一括請求させていただく形になっています。

さくらインターネット 江草 陽太

――ヤマト運輸さんとはどのようにコンタクトをとったのですか?

江草:最初は、ヤマト運輸の Webサイトから、API利用について問い合わせをさせていただきました。

アプリが完成したあとにとあるイベントでたまたまヤマト運輸のご担当者さまがいらっしゃったので、そのときに「こんなアプリをリリースしたいので、一緒にやりましょう」とお伝えして、それが(2022年の)11月ぐらいですかね。そこからいまに至るという感じです。弊社からお話させていただいたときはどう思われましたか?

 

上本 佳史さん(以下、上本):世の中が大きく変わっていくなかで、ビジネス上で宅急便を利用するお客さまにとって、非常に便利で効率的に荷物を発送できるというお話をいただいて、ぜひ一緒にやらせていただきたいと思いました。本当に短期間でご協力いただき、ありがとうございます。

 

江草:先日プレスリリースもヤマト運輸さんと一緒に出させていただきました。弊社としても、こういったサービスを一緒にリリースできてすごく楽しい経験になっています。

ヤマト運輸さんは、DX(デジタルトランスフォーメーション)にはどのように取り組まれていますか?

 

上本:経営の基本戦略として「データに基づいた経営へ転換する」ことを掲げ、さまざまな取り組みをおこなっています。その中で重視している点が2つあります。

1点目は、いかにお客さまにとって便利なサービスを提供するか。2点目は、ヤマト運輸は、第一線で働くセールスドライバーで成り立っていますので、ヤマト運輸のセールスドライバーの業務効率化を図り、お客さまとよりコミュニケーションが取れる環境を整備することです。今回は、コロナ禍の影響から、在宅勤務をされている多くの方の顧客体験の向上と、セールスドライバーの働き方を重視しています。

 

江草:私も個人的にクロネコメンバーズを利用していて、荷物が届く前に受け取り場所を設定できるのがすごく便利だと感じています。今回開発したアプリとも連携できたらいいなと思っています。

 

上本:そうですね。ぜひよろしくお願いします。

ヤマト運輸 上本 佳史さん

荷物発送における作業の効率化を実現

――開発で大変だったことはありますか?

江草:テスト環境をいただいていたので、荷物のステータスを変更することはできました。ただ、実際に荷物を出してみないと、ヤマト運輸さんの API から返ってくる荷物のステータスがどう変わるのかがわかりません。そういった動作確認が大変でしたね。

でも、使い勝手はすごくよくてわかりやすい API でしたので、困ったことはなかったです。自分ではじめて近くのコンビニから荷物を出せたときは、感動しました。

 

上本:実際にさくらインターネットさんの社内でお使いになっているところを拝見したときに、「これはすぐにサービス化できるのではないか」と感じました。宅急便をお出しいただく際には、送り状の手書き、荷物の持ち込み、精算などが発生します。そのような作業が効率化され、本当に便利になっていました。

これだけ良いものですから「ぜひ一緒にやらせていただきたい」と、いただいたお話を非常に前向きにお受けしました。もちろん、開発メンバーは大変だったと思います。

 

江草:今回、ヤマト運輸さんから重要な機能のご提案をいただきました。「発送用途」という記載項目で、これは社内で使っていたときにはなかったものです。デフォルトでは無効ですが、管理者が設定することでこの項目が増えるようになっています。予算コードなどを入力するといった使い方ができます。

たとえば、大きな組織の場合、どの荷物がどの予算で発送されているのかを把握する必要がでてきます。それが管理できたほうがいいのではないかというご意見をいただいたんですね。ヤマト運輸さんからお客さまのご要望をうかがって実装した機能なので、いろいろな企業さまに使っていただけるとうれしいです。

 

上本:さくらインターネットさま、セールスフォース・ジャパンさまと創らせていただいたサービスですので、ぜひ多くの方にご利用いただきたいですね。また、両社のパートナーシップを今後も強化し、新しい「便利」をご一緒に創っていければと思います。よろしくお願いします。