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さくらインターネット代表の田中です。この連載は「働くすべてのビジネスパーソン」に向けて書いていきます。
最近、多様性が大事だとよくいわれます。多様性が大事な世界がどうして訪れたのでしょうか。この20年間でインターネットを通じて人が繋がりはじめた。これが背景にあると思います。インターネットによって個人が意見を発信できるようになったことは非常に大きいです。
メディアでなくても、TwitterなどのSNSで個人の投稿がバズって注目されることがあります。それが健全かどうかは置いておいて「誰もが情報発信できるようになった」事実を受け入れる。ここからはじまります。
多様性が大事というのはもちろん、そもそも多様なものを無理やり一つにまとめられなくなったのです。
画一化と包摂性
1980年代は、個性をなくしてみんな同じ考え方をする「画一化の時代」でした。ごちゃ混ぜにして戻らないように、分離できなくします。カルピスと水を一緒に入れて混ぜると、分離できなくなりますが、これと同じです。
2000年代以降は個人ごとに意見を持って、それぞれ考え方が違う「包摂性の時代」です。色違いのビーズが一つのビンに入っている状態をイメージしてください。
昔は情報化していなかったので、画一化しないと効率が悪かった。多様性を認めて個人がバラバラになっていると、インフラ面で大変だったわけです。
しかし、いまはIT上で仕事をするようになってきたので、画一化しなくても効率性が下がらなくなりました。それぞれが意見を持っていて、それぞれが我慢しなくてもよくなったのです。
「犠牲」が可視化された現代
インターネットの普及にともない、多くの方が「犠牲」に対して敏感になったと感じます。
たとえば、学校や職場などでいじめによって自死してしまうケースは昔からありました。「ブラック企業」という言葉もあるように、過労で亡くなるケースもありましたし、いま以上にハラスメントもありました。褒められた話ではないけれど、たくさんあったことは事実です。
インターネットが普及するまでは、犠牲に対して情報がそれほど流通しなかったし、情報を隠すことなんていくらでもできました。
しかし、いまはインターネットが普及しているので、情報を隠せません。スマホを見れば、いろいろな情報を知ることができます。そうなると「犠牲はよくない」とみんな思うわけです。人は犠牲を認識してしまうと、それを放ってはおけなくなるんです。
まさに現代は、少数の人たちが犠牲になっていることを放っておけない時代なんだと思います。
会社側の視点に立つと、こうした背景をわかっている人が経営をしたり、ビジネスを作る必要があります。そうしないと、会社のビジネスが世の中から取り残されてしまうからです。
いろいろな人が会社にいて、役職につきはじめる。そうすると、世の中とズレたことはあまりしなくなるし、会社の業績も上がります。
多様な世の中に変化したなら、会社もそれに合わせる。会社の組織も多様性があったほうが、当然伸びていけるわけです。
重要なのは変わること。さくらインターネットも昔は女性社員がお茶を出す文化がありましたし、女性の総合職もありませんでした。当時はそれが問題だという認識が、社会にも会社にもありませんでしたが、いまの時代にやっていたら大問題です。時代や社会の変化と共に、会社も変わることが重要です。
社会人の不幸の8割は、合意のない期待から
以前、noteに『社会人の不幸の8割は合意のない期待から』という記事を書いたところ、とても多くの方に読んでいただけました。
勝手に期待をして、裏切られたと感じる。この気持ちが自分の中でフラストレーションを生んでしまいます。
良いこと、悪いこと、やってほしいこと、やってほしくないこと。こうした期待を、事前に合意しておかないといけません。
遠慮なく話すことでお互いの期待を明確化して、ふわっとした期待によってすれ違いを起こさないようにしていきましょう。
「合意のない期待」という言葉は、「すごい会議」から取り入れました。「すごい会議」というのは、アメリカ人のハワード・ゴールドマンらによって開発された会議の方法論です。さくらインターネットでも「すごい会議」を導入したことがあります。
ほとんどの人は期待について合意していません。上司がわかってくれない、部下がわかってくれない。こんな言葉をよく聞きますが、多くの場合、原因は合意のない期待があるからです。
上司が部下に対して、これくらいやってくれて当然だろうと思っていても、それが部下に伝わっていないため、結局部下はそれをやっていない。
そうなると「なんでやらないんだ」と上司は部下を叱責してしまいます。でも、部下としては「そんなの聞いてないよ。自分のやることじゃないだろう」と不満を抱えます。結局上司と部下2人とも腹を立てる状況は、よくありそうなシチュエーションです。
「誰が何をやるか」をしっかりと決めることで、合意のない期待をなくすことが重要です。「空気を読む」「常識で考えろ」という言葉は、悪魔の言葉といえます。
ベストを尽くす
最近、ベストを尽くすという話をよくします。「ベストを尽くすって、具体的にはどんなことですか」と聞かれることがありますが、私の場合のベストを尽くすは「こうしたほうがいいと思ったら、しっかりと伝える選択をする」ことです。
ほとんどの人はベストを尽くせていません。しないといけないことがあるのに、しない理由を作ってしまいます。
「あの仕事はこうしたほうがいいのに」と思っているのに、何も伝えない人がほとんどではないでしょうか。嫌われたらイヤだな、怒られたらイヤだな、なんとなく言いにくいな。そう思って何もしないんです。
心理的安全性、メンター、コーチング、という言葉がありますが、これらは全部相手に伝えらえるようにするための手段です。
さくらインターネットの行動バリューに「伝わるまで話そう」があります。そもそも伝わっていなかったら、伝えていないのと同じです。電車に乗ったけど、目的地で降りられませんでした、というようなものです。
相手にモノを伝えるには、話しただけではダメです。伝わっていなければゴールに到達していません。プロセスだけで、ゴールに到達していないケースがコミュニケーションには多いです。
100%完全に伝えきることは難しいかもしれませんが、できることならゴールに近いところまでは頑張りたいです。
「明確にする」ことは相手の拒否反応もあるだろうし、精神的に面倒です。何かを頼むときに「いや、それはこうしたほうがいい」と言われたら面倒に感じてしまいます。
約束を19時から19時半に変更してくれと頼むのでさえ、「拒絶されたらどうしよう」と思うわけです。それでも相手にしっかりと伝えないといけません。
ただ、相手が納得していないのに、無理やりやらせるのはよくないです。その相手は次からやってくれなくなります。
「伝わる」ことはとても重要です。そもそも伝わっていないのに、その状況を放置できていることがおかしいと思います。
さくらインターネットでは、行動バリューを「伝わるまで話そう」にすることで、経営者が何を考えているかわからないという声はだいぶ減りました。
それだけではありません。「理不尽」が減りました。なんでこれを現場がやってくれないんだとか、現場の方が背景を知らない、という場面も減ったのです。
現場の方が背景を知る必要はないと考える経営者もいるでしょう。
人は背景を知ると、その更に奥にある背景も知りたくなるものです。背景を知らなければ、そもそも腹が立つこともありません。緊急事態宣言中に、銀座のクラブに通っていた議員がいましたが、知らなかったら腹は立たないわけです。でも知ってしまったら、何時まで店にいたのか、ほかにも同じようなことをしている議員はいないのかと気になってしまいます。
世の中、知らなくてもいいこともあるけど、知ってしまったら気になるわけです。だからといって、知らないよりは知ったほうがいいと思います。これがゴシップだったら別ですが、会社のことならどこまででも知れたほうが、社員にとってもいいと考えています。
長時間労働をせず、睡眠をしっかり取る
「機嫌がよい」というのは、とても大事なことです。機嫌をよくするために睡眠は重要になります。以前に東京大学で睡眠研究をしている先生から、睡眠がいかに重要なのかというお話をうかがいました。
いろいろと調べたり、自分でも実践したところ、睡眠をしっかり取ることで機嫌がよくなることがわかりました。
日本人は世界一睡眠時間が短いというデータもありますが、睡眠をしっかり取ったほうが精神状態もよくなるうえに、仕事の質も高まります。
イライラしていると睡眠が減って寝不足になって、さらにイライラしてしまう。このような悪循環におちいります。
年齢などの個人差はありますが、7時間以上の睡眠が必要だといわれています。昼過ぎにある程度の眠気を感じることは自然ですが、昼過ぎ以外の時間帯でも強い眠気におそわれる場合には、睡眠不足かもしれません。睡眠に問題がある場合は専門家に相談しましょう。
働きすぎの話も同じです。長時間働いて、頭を使い続けているとミスが増えます。そのミスを周りに指摘されると、「自分はこれだけ頑張って長時間働いているのに」と怒ってしまう方もいます。これは本人だけではなく、周りの方や会社にとってもリスクです。
当たり前のことですが、長く働かない、しっかり睡眠を取る。これが重要です。
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