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KPI は分断をつなげるコミュニケーションツール。企業の成長をサポートする Scale Cloud

企業の目標達成を数値で示す KPI(Key Performance Indicator)。その活用が高まるなか、ビジネスの成長をサポートするマネジメントツール「Scale Cloud(スケールクラウド)」を提供する株式会社Scale Cloud。経営に必要な情報をリアルタイムで集約し KPI として可視化することで、課題や優先すべき次の一手がわかり、企業のスピーディーな成長につなげられる。そんな KPI の大切さと「Scale Cloud」にかける想いについて、代表取締役の広瀬さんに話を聞いた。

広瀬 好伸(ひろせ よしのぶ)さん プロフィール

株式会社Scale Cloud 代表取締役 CEO。公認会計士・税理士。

京都大学在学中に公認会計士試験に合格。大学卒業後、2002年に有限責任あずさ監査法人へ入社。2007年には公認会計士・税理士として独立開業し、コンサルタントとして企業の経営支援に携わる。2018年、株式会社Scale Cloud を設立。

高校時代に経験した県大会での勝利が原点

「Scale Cloud」開発の原点は、広瀬さんが高校生のころにさかのぼる。

 

「当時バドミントン部に所属していたのですが、絶対に勝てないだろうと思っていた強豪校に県大会の団体戦で勝てたんです。メンバー一丸となって頑張って、勝利したことが、心底うれしかった。この体験によって、チームで戦うことの強みや面白さをあらためて感じました。KPI によって組織内の部門同士をつなぎ、チーム一丸となって会社を成長させる『Scale Cloud』開発の原点とも言えますね」

 

その後、京都大学に進学し在学中に公認会計士試験に合格。2002年にあずさ監査法人の大阪オフィスに入社した。担当したのは銀行の監査だった。

 

「『中小企業へ融資する際、銀行はどこをチェックしているのか、企業が評価されるポイントはどこか』など、かなり生々しい資料を見ることができ、銀行の内部事情がよくわかりました。銀行の監査の経験者は少ないと思うので、貴重な経験でしたね」

 

5年ほど監査法人に勤務したあと、税理士登録をおこない、2007年に公認会計士・税理士として独立開業。当初は監査法人での経験を活かし、上場準備や企業再生のサポート、M&A に携わった。こうした業務は高付加価値だが、再現性が低く属人化されがちな仕事だ。そのため社員数が増えていくにつれ、組織として高品質のサービスを提供することに限界を感じ始めた。また、大手も含め競合他社が多く差別化も困難だった。

 

そこで広瀬さんは、付加価値と再現性が高いビジネスへの転換を考えた。

 

「そうして始めたのが CFO(最高財務責任者)のアウトソーシングサービスです。業種に特化すれば再現性を高めやすいのでは? と考えて、飲食業に特化して、中期の事業計画をたてて毎年の予算管理をし、資金調達や会計・税務の実務まで行うコンサルティングサービスをはじめました。飲食業界は自分にとって面白い領域でしたね」

 

飲食業界のコンサルティングには、あずさ監査法人時代の経験が活かせた。飲食業界では、エクイティファイナンスと呼ばれる株式発行による資金調達は難しく、銀行が融資をするデットファイナンス(返済義務をともなう銀行借り入れによる資金調達)でビジネスを成長させていくのが一般的だ。監査法人時代、銀行の融資に関する生々しい資料や実務を見続けてきた知見を、飲食業界に提供することができた。

 

「飲食が好きだったことも、この業界に特化した理由の1つです。飲食業界はビジネスの場になったり、出会いの場だったり、家族団らんの場でもあります。さまざまな価値がある場として面白い。こうしたビジネスに関わることができたら素晴らしいなと思いました」

気づいた課題は「数字の活用」

「CFO のアウトソーシングサービスをしているうちに気づきがありました。成長する企業とそうでない企業があるのはなぜだろうと疑問に思い、『その鍵は数字にあるのでは?』と仮説を立てたんです。それで顧客に『経営に数字を活用していますか?』と質問してみたところ、『イエス』とはなかなか返ってこなかった。そもそも数字が苦手で、心理的に抵抗を感じている人が多いことがわかったんです。子どものころから数学に苦手意識を持っている人も多いでしょうし、社会人になったからといって、急に数字を駆使できるわけではありません。頭では大切と思いながらも、数字に対して気持ちが動かないのです」

 

集客、売上、損益――。ビジネスのあらゆる活動は数字で表現できる。広瀬さんは、代表的なものとして PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー計算書)の財務三表をあげる。しかし、これだけでは情報の粒度が粗く、経営の細かい状況まではわからない。財務三表の解像度を人にたとえると、体型や身長、体重程度ではないだろうかと、広瀬さんは話す。

 

「ビジネスの現況を把握し、社員が共通認識を持つ。そのうえで課題の対策を進めていく必要があります。数字はそのためのツールですが、そもそも財務三表を読める人が少ない。苦手な数字に対して気持ちが動かないし、財務三表を理解するための簿記の勉強をする時間も、仕事が多忙でなかなか取れない。こうした状況下では、共通言語としての数字で会話が成立しないことも多くあります」

 

会計報告は過去のデータをまとめた数字だ。決算の締日後に集計スピードを上げても、リアルタイムの現状把握に使うには限界があるという。1か月先の目標達成に向けて次の手を打つにはタイミング的に遅すぎる。現状をリアルタイムで把握し「今月の目標達成に向けて残り10日間で何をするのか」といった議論には使えない。

 

また、社員全員が会計報告を理解できるわけではない。加えて「売上予算が未達成」といっても情報の粒度が粗く、客数なのか、客単価に起因するのか踏み込んだ理由がわからず、再現性に難がある。

 

「数字は事実を正しく認識するためのツールです。たとえば、ガラスのコップは、横から見たら台形ですが、底から見れば円ですよね。さまざまな視点から数値化していくことで、対象の解像度をあげることができる。部門が異なっても同じ土俵で議論ができるようになるのです」

KPI を活用してビジネスのいまを見る

成長している企業は KPI を有効活用していると、広瀬さんは話す。

KPI とは、Key Performance Indicator、日本語で「重要業績評価指標」のことだ。ビジネスの現在の状態を示すものとして使われ、今後の予測のために利用される指標。会計報告を過去の数字とすると、KPI は未来に向けた現在の数字とも言えるだろう。

 

「KPI は経営状態の解像度を上げてくれます。KPI をパーツとして組み合わせることで現状を理解する粒度がより細かくなります。人にたとえると血圧や心拍数、脈拍のようなもの。脈拍が高ければ原因を深掘りして対処しますよね。販売業であればマーケティングチームのリード数、セールスチームの商談数や成約率、カスタマーサポートチームの解約率やアップセル率などにあたります」

 

KPI は企業のリアルタイムの状況を可視化して、取るべき対策を明確にしてくれる。部門を越えて横軸で情報共有ができ、共通認識をもてる。前工程(例 マーケティングチーム)で問題が発生したら、後工程(例 セールスチーム)で打つべき手を予測できる。

 

事業全体として優先すべき KPI を把握するために、必要な情報をリアルタイムに集め、優先的に改善すべき課題がひと目でわかるようにしたのが「Scale Cloud」だ。

解決したい課題は「分断」

提供:株式会社Scale Cloud

「Scale Cloud を通じて解消したいのは”分断”です。目指す世界は、部門を越えて共通の目的を達成するプラットフォームをつくること。高校時代の自分が、部活でチーム一丸となって強豪校から白星を勝ち取ったように、ビジネスにおいても、部門横断的に協力し社員一丸となることで、より大きな成長を実現できると思っています」

 

1人ひとりで達成する喜びよりも、チームとして達成できたほうがもっと大きな喜びになる。社内の分断を解消し、社員一丸となって成長していくビジョンを、ビジネスの世界で実現したいと広瀬さんは話す。

 

「ビジネスのさまざまな部分が分断されていることが課題だと思います。たとえばマーケティングチームやセールスチームが部門ごとにバラバラに活動し、横断的な横軸が不足しています。セクショナリズムの弊害で部門最適で管理されてしまっていて、全体最適での管理に課題がある企業が多いです。KPI は全社の目標を達成するためセクションを越えて横軸をつなぐコネクタだと思っているんですよね。KPI のプラットフォームを提供することで、こうした分断をつなげることができる。そんな期待を持っています」

KPI の活用には啓蒙活動が必要

日本における KPI の導入はまだまだこれからだと広瀬さんは話す。

 

「あくまで私の体感での話です。仮に従業員が30人以上の企業が20万社あるとしましょう。そのうち KPI を導入しているのは10%〜20%程度ではないでしょうか。たとえ KPI を導入していても、部門ごとの部分最適で利用されるだけで、部門を越えて横断的に活用されていないケースが多くあります。分断を飛び越えてそれぞれのセクションをつなげる役割が KPI だと考えています」

 

一方、KPI が導入されても、KGI(Key Goal Indicator、企業が目指す重要目標達成指標)につながっていないケースも多くある。KPI はあくまで KGI 達成のためのツールであり、KPIの達成によって企業の最終目標にどう貢献するのかを考えることも大切だ。

Scale Cloud にかける広瀬さんの想い

広瀬さんには Scale Cloud を通じて実現したいビジョンがある。

 

「仕事を通して、喜びを爆発させることができるような瞬間を作っていきたいですね。セクションやチームが連携して目標を達成し、ハッピーになれる瞬間を生み出したいと思っています」

 

起業してからの16年を振り返りながら広瀬さんは話してくれた。

 

「ここまでくるのに多くの人に支えられてきました。これからは社会をよくするために、恩返しをしていきたいと思っています。有名なマズローの欲求5段階説の一番上の階層は『自己実現の欲求』ですが、じつは晩年にさらに上の6段階目を提唱しています。それが『自己超越欲求』です。見返りを求めず自我を捨てた、コミュニティの目的の達成のための欲求。それが『自己超越の欲求』です。学生時代の先輩からも『恩送り』という言葉を教えてもらいました。年齢を重ねて、自分が受けた恩を未来の世代につないでいきたいと思うようになりました」

 

広瀬さんは生死の境をさまよったことがあるという。アレルギーによるアナフィラキシーショックで意識を無くし、呼吸を失った状態で救急車で搬送された。いま、こうして年齢を重ねていられることは、「たくさんのご縁のおかげ」だと話す。分断されたセクションをつなげるコネクタであり、共通認識を形成するコミュニケーションツールでもある KPI。活用の裾野を広げていくために、Scale Cloud の事業を通して、KPI  の啓蒙を続けていく。

 

株式会社Scale Cloud

執筆・編集

さくマガ編集部

さくらインターネット株式会社が運営するオウンドメディア「さくマガ」の編集部。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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