さくマガ公式SNS
お問い合わせ

電子化を超えた強み。契約データベースで、営業の現場を変える「Contract One」

IT・デジタル関連の最新情報や企業事例をいち早くキャッチ
>>さくマガのメールマガジンに登録する

DXの取り組みを進めるうえで、課題のひとつになるのが書類の電子化だ。紙媒体は保存しておくとかさばるし、紛失のリスクもあるから、電子化の意義は大きい。だが、社内にあるすべての書類を電子化するのは難しいのも現実だ。

一括して電子化しにくい書類の代表格は契約書ではないだろうか。契約は、社外の企業・個人との間で締結するため、自社の都合だけで電子に置き換えることはできない。電子契約の普及が進んではいるものの、業界の慣行などを理由に、紙媒体の契約書を採用している企業は多数ある。そんな事情から、紙と電子の契約書が併存している企業が多いのが実情だ。

低いものとはいえない、契約のDXにおけるハードル。その課題に立ち向かっているSaaSが、Sansan株式会社が提供する「Contract One(コントラクトワン)」だ。同サービスを使えば、電子契約はもちろん、紙媒体で結んだ契約もデータ化でき、一括管理が可能になる。2022年1月に立ち上げられたContract Oneは順調に成長を続けており、導入先は2024年5月時点で222社にのぼる。契約DXの現在地と未来図について、同サービスのゼネラルマネジャー兼プロダクトマネジャーの尾花 政篤さんに聞いた。

尾花 政篤(おばな まさしげ)さん プロフィール

2013年に新卒で総合コンサルティングファームに入社し、主に保険会社を対象としたマーケティング・IT戦略立案やIT投資管理などに従事する。その経験を活かして保険業界特化型のSaaSを開発する会社を立ち上げ、6年あまり経営したのち、社長を退任。2023年6月にSansan株式会社へ入社し、Contract Oneのプロダクトマネジャーに就任する。現在では、ゼネラルマネジャーも兼務している。

契約締結後の情報管理に特化

Sansan株式会社は、営業DXサービス「Sansan」を祖業としている。Sansanを使うと、名刺の情報を電子化でき、顧客情報の一括管理が可能になる。営業活動の効率化に寄与することから、いまでは9000超の企業が導入している。

名刺というアナログなものをデジタルに変換し、データベース化するSansan。Contract Oneは、そのターゲットを契約書に変えたサービスだ。尾花さんによれば「自社の調査により、電子契約が普及した現在でも、頻繁に紙の契約書を使っている企業の割合が76.1%もあると明らかになった」そうで、その管理には課題があるという。


「紙の契約書では、契約額、有効期限などといった情報を確認するのに、一通一通の契約書をいちいち読まねばなりませんし、情報の管理を一括でおこなえません。契約を結ぶ前こそ内容に敏感になっている現場も、締結後の情報管理はおざなりになりがちです」


Contract Oneは、その問題を解決し、現場の習慣を変えるサービスだ。Contract OneにPDF化した契約書をアップロードすれば、契約の日付、相手先、契約額といった重要な項目が自動抽出され、データベースに登録される。紙の契約書をSansan社に送付して、同社でスキャンし、登録することも可能だ。さまざまな電子契約サービスとAPIで連携しているから、電子契約のデータも自動で登録。データベースの情報は一覧化され、個々の契約書のページでは、主要な項目がリストで表示される。契約締結後の情報管理に特化したSaaSだ。

データベース化された契約書の一覧。契約先や日付、自動更新の有無などの情報が表示されている
※画像はデモ画面です

>>5分でさくらインターネットのサービスがわかる!サービス紹介資料をダウンロードする

ただの電子化ではなく、データベースにするから意義がある

Contract Oneの魅力は、ただ契約書を電子化するだけでなく、重要な情報を抽出し、データベース化してくれるところにある。契約の一覧ページから、取引先の社名などで検索すれば、個々の契約情報に素早くアクセスできる。締結した日付、金額、有効期限、自動更新の有無などのデータがリスト表示されるため、都度本文を読まずとも、契約の概要を把握できる。しかも、追加費用無しで作成できるアカウント数が無制限なので、社内の誰でも契約情報にアクセスできる環境を整えられる。

直近のアップデートでは、契約の親子関係を表示する機能が追加された
※画像はデモ画面です

契約書を単に電子化するだけでは、管理の質は上がらない。Contract Oneはデータを構造化し、視認性を上げることで、電子化のメリットを引き出している。尾花さんによると、Contract Oneを導入した企業からは「営業担当者の契約に対する感度が上がった」という声が届いているという。そういった企業では、法務部との関係にも変化が起きているそうだ。


「契約情報の管理が不十分な現場において、有効期限のある契約を結び直す際、法務部に対して『どうしたらいいのか?』というような、業務のやり方自体を尋ねる問い合わせが発生していました。一方で、Contract Oneによって契約情報へのアクセシビリティが向上すると、法務部に向けて『契約を結び直したいが、〇〇の条項を追加したい』といった具体的なリクエストが出るようになったと聞いています」

キャッチコピーの変更が、導入先増加のカギ

Contract Oneのキャッチコピーは、「現場の習慣を変える、契約データベース」。現在では、その通りの効果を発揮し、幅広い企業からの支持を集めている。しかし、そこに行き着くまでには、紆余曲折があったと尾花さんは語る。


「かつては『契約データベースが、ビジネスを強くする』『契約データベースが収益を最大化する』といったキャッチコピーを謳ってきました。現在の『現場の習慣を変える、契約データベース』を採用してから、明らかに顧客からの反応が良くなったんです。『収益を最大化する』を標榜していた時期には、大企業からの反応が良く、ニーズはそちら側にあると感じていました。現在のキャッチコピーにして以降は、従業員200人以下の中小企業にも導入先が拡大しています」


Contract Oneは、法務部だけでなく、営業の現場に変化をもたらすサービスだ。一般的なリーガルテックが法務の業務を効率化するのに対して、Contract Oneは現場の生産性を上げることに注力している。現在のキャッチコピーの採用によって、改めてその強みがユーザーに伝わりやすくなったといえるだろう。

企業がDXを進めるうえでは「いきなり業務変革を求めないことが大切」だと、尾花さんは言う。デジタル化を進める段階と、業務変革を起こす段階は分けて考える必要があるというのが、尾花さんの考えだ。


「まずは契約書の電子化を当たり前にしてからでないと、業務変革は起こせません。すぐに大きな効果を求めるのではなく、段階を踏んでいく必要があります。電子化が進むだけでも、業務フローの改善など、小さいながらもすぐに現れる効果もあります。まずは小さな目標を立てて、ひとつひとつ達成することが肝要です」


「現場の習慣を変える」ことを強みとするContract Oneは、契約の管理を一元化することで、未来の業務変革につながる小さな効果を着実に生み出すサービスといえよう。Contract Oneの仕組みには、尾花さんが考えるDXのコツが詰まっている。

Sansan株式会社

さくらインターネットの提供するクラウドサービスの特徴やメリットをご紹介
>>資料のダウンロードはこちらから

執筆

畑野 壮太

編集者・ライター。出版社、IT企業での勤務を経て独立。ガジェットや家電など、モノ関連の記事のほか、ビジネス系などの取材を多く手掛けている。最近の目標は、フクロウと暮らすこと。
Website:https://hatakenoweb.com/

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

すべての記事を見る

関連記事

この記事を読んだ人におすすめ

おすすめのタグ

特集