2017年に設立された「SAKURA Tempesta(サクラテンペスタ)」は、中学生・高校生のメンバーを中心に活動しているロボコンチームです。
以前、さくマガではチームの運営に携わるメンバー3名にインタビューを実施し、SAKURA Tempesta がおこなっているロボット制作、アウトリーチ活動、さくらインターネットとの関わりなどについて話を聞きました。
以前の記事:世界で活躍する中高生のロボコンチーム「SAKURA Tempesta」
今回は、SAKURA Tempesta で活動する渋谷教育学園幕張高校1年生の長谷川 すみれさんがさくマガに寄稿してくれました。昨年、 SAKURA Tempesta が大学や企業などと共同で開催したイベント、ワークショップなどについてレポートしています。
CoderDojo プレゼンテーションデー in 千葉工大
2022年11月6日、CoderDojo 若葉みつわ台(7歳から17歳のメンバーが活動するプログラミング道場)と共同で、「CoderDojo プレゼンテーションデー in 千葉工大」を開催しました。このイベントは、千葉工業大学の協力、千葉市教育委員会の後援によって実現 。午前と午後の二部制になっており、午前中は小中学生、高校生向けにそれぞれワークショップを おこないました。
高校生はその後、千葉工業大学のキャンパスやロボット系研究室を見学しました。
午後は、小中学生・高校生が自身の活動などについて発表。小中学生は、おもに自分の Scratch(※)の作品について、高校生は自分の部活動でどのようなことをしたのかなどについてお話しいただきました。
※ビジュアルプログラミング言語で、コーディング初心者でも特別な知識がなくても楽しくプログラミングを学べるプラットフォーム。
また、発表の合間には千葉工業大学のロボットサークルが制作したロボットの紹介や、SAKURA Temepsta のロボットのデモもおこないました。
今回のイベントを開催するにあたって、良かった点はもちろん、反省点・改善点も見つかりました。それらを次回以降のイベントに活かしていきたいです。
イベントに参加してくださった学生のみなさまや、イベント開催に協力いただき盛り上げてくださった関係者のみなさまにはとても感謝しています。ありがとうございました!
手のひらサイズのロボットを動かしてみよう
2022年11月13日、千葉市子ども交流館にて、「手のひらサイズのロボットを動かしてみよう」というイベントをおこないました。本イベントは、CoderDojo 若葉若松と共同で、SAKURA Tempesta のスポンサーであるボッシュ株式会社のご協力により開催。 参加者のみなさまに、電池で走るロボットの制作を体験してもらいました。このロボットは、太陽光で充電して溜めた電気でメロディーを奏でることもできるんです!
体験していただいた方からは、「楽しくロボットを作ることができました」、「先生が優しく教えてくれたので楽しかったです」などの感想をいただき、非常に好評でした。参加者のみなさま、ご支援いただいた関係者のみなさま、ありがとうございました!
D&I ファミリーデイ ロボットワークショップ
2022年11月23日、SAKURA Tempesta のスポンサーである株式会社JERA の社内イベント「D&Iファミリーデイ」を開催しました。本イベントは、社員のご家族を対象にロボット制作などのワークショップをおこなうもの。株式会社JERA と共同でイベントを開催するのは今回が初めてです。
午前と午後の2部に分け、 午前はプログラミング未経験者向け、午後はプログラミング経験者向けとし、各回20組のご家族に参加していただきました。
たくさんの子どもたちが対面で集まる機会ということで、私たちは、競争心をくすぐるようなゲームなど、楽しいワークショップを考えました。株式会社JERA は、エネルギーを扱う会社です。そこで、ロボットとエネルギーを同時に学べる SAKURA Tempesta オリジナルキットを作成。市販の micro:bit(プログラムを書き込むロボットの脳の役割)、RingbitCar(ロボットの車体)の2つに加え、ソーラーパネル、回路、3Dプリンターで作った部品などを使います。
参加者に体験してもらう「キットの組み立て」「プログラミングの打ち込み」「実験走行」そしてゲームまで、SAKURA Tempesta がサポートしました。
私たちが考えたゲームの内容をご紹介します。
【ルール】
・六角形のフィールドの各辺からソーラーパネルがついているロボットをスタートさせ、30秒間で電気をためる。
・30秒間で一番たくさんの電気を溜められた人が勝ち!
【ゲームに勝つためのポイント】
・六角形の中心までいくともっとも光が強いため、効率よく電気を溜めることができる。
・プログラミングにより光センサーをうまく使えば、光がもっとも強いところでロボットを止めることができる。
当日はワークショップに参加していない方にも SAKURA Tempesta のことを知っていただけるよう、2021年の大会のために制作したロボットの実演、ロボットや工具に関するクイズのブースも企画しました。
コロナ禍により、近年は子どもたちが楽しめるようなイベントが開催できていませんでした。そんななかで、株式会社JERA との初めての共同プロジェクトであったことに加え、オリジナルキットの設計、実験など、多くの時間と努力を費やしました。まだまだ改善できる点はありますが、参加者やそのご家族の方々が、自分で作ったロボットでゲームを楽しむ姿を見ることができ、とてもやりがいを感じました。
SAKURA Tempesta のミッション
SAKURA Tempesta は、FRC(FIRST Robotics Competition)という世界最大級のロボットコンテストに出場しているロボコンチームです。私たちは、ロボコンで世界一を目指しています。そうして培った技術を、地域社会への貢献、ワークショップの開催などに活かし、ロボットやプログラミングに興味を持ってくれる中高生を増やすために活動中です。
SAKURA Tempesta は、3つのミッションを掲げています。1つ目は、より多くの人々に対し、それぞれの生活環境に関わらずエンジニアリングを学ぶ機会を提供すること。2つ目は、FRC に参加することで、多くの人々、とくに女性、中高生や子どもたちに、STEM(Science、 Technology、Engineering、Mathematics)に興味を持ってもらえるように勇気づけ、彼らがその想いを実行できる世の中にすること。3つ目は、現在3つしかない日本の FRCチームを増やし、さらに台湾、中国を始めとした近隣アジア諸国の FRCチームを誘致して Japan Regional の開催を目指すことです。
私たちの活動は、おもに「ロボット製作」「チーム運営」「アウトリーチ活動」の3つで、そのほとんどを中高生のみでおこなっています。
また、10校以上から集まっているメンバーの多くは、ロボット製作やプログラミングはもちろん、企業訪問など未経験の状態からスタートしています。チームでの活動を通してスキルを身につけ、経験を積んでいきます。
大会参加、ロボット制作、イベント開催などの活動をおこなうにあたって、年間を通して多額の費用が必要になります。 そのため、SAKURA Tempesta の活動は、みなさまからの寄付・サポートによって支えられています。今後も、子どもたちが STEM 教育を体験し、プログラミングやロボット作りに挑戦する環境を提供できるようがんばっていきますので、ぜひ支援いただけるとうれしいです。
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執筆
長谷川すみれ
渋谷教育学園幕張高校1年生。チームでは、リーダーアシストを担当しています。SAKURA Tempestaには、部活が一緒の友達が参加していて、その友達から誘われて参加することになりました。
※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。
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