事業者がパソコンの購入を考えたときに「できれば国や地方自治体の補助金を活用したい」と考えるのは不思議なことではありません。
パソコン購入に使える補助金を申請する場合、補助対象や要件はもちろん、購入目的がポイントとなります。
本記事では、事業者の方向けに、株式会社SoLabo 代表取締役 田原 広一がさまざまな補助金申請サポートをおこなった立場から、パソコン購入に使用できる補助金についてポイントを解説します。
事業者向け「IT導入補助金」が利用できる
国や地方自治体が運営する補助金にはさまざまなものがありますが、申請後の審査の過程で「目的」を問われます。そのため、その他の要件を満たしたとしても補助金を受給することはできません。
もし虚偽の内容で申請しても、使いみちが申請と異なれば受給したお金をあとで返還しなければならないため、補助金は「目的との一致が大事」という点を前提としておさえましょう。
そのうえで「事業用のパソコンの購入」という目的であれば、国の補助金「IT導入補助金」を利用するのが最も適しています。
2023年度の IT導入補助金は、「デジタル化基盤導入枠」の「デジタル化基盤導入類型」のみ、ソフトウェアの利用に必要なパソコンの購入代金が補助対象になります。
どの補助金にもいえることですが、募集の年度や回によって申請要件が異なります。最新の公募要領を確認のうえ、パソコン購入の補助を受けられるかどうかをご自身でご確認ください。
また、補助金には申請期限があるため、スケジュールを確認し、申請まで計画的に行動しましょう。
参照:IT導入補助金2023 公募要領 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)版(PDF)|IT導入補助金2023(サービス等生産性向上IT導入支援事業ポータルサイト)
IT導入補助金の利用条件
IT導入補助金の利用条件は、申し込み枠によって異なりますが、端的にいえば次の2点です。
- 中小企業・小規模事業者等である
- 補助金の利用に必要な設定を済ませて協力的姿勢である
IT導入補助金は、資金力の問題で IT を導入できない小規模な事業者向けの補助金制度です。そのため、前提として「中小企業・小規模事業者等」である必要があります。
そして、IT導入補助金は、「公募要領を読み込んで必要な下準備を済ませている」という協力の姿勢を見せることが大変重要になります。
申請時に提示した計画を遂行し、補助金の事務局への実施報告をしてから「後払い」で受給する仕組みであるためです。
いくら申請要件を満たしていても、補助金の事務局から「読解力や計画性に乏しく、やりとりが困難そうだ」という印象を持たれてしまうと、補助金の交付 を受けられない可能性があります。
利用条件を満たしたうえで、パソコンの購入のために補助金申請をする場合のポイントは次の3点です。
- 「デジタル化基盤導入枠」の「デジタル化基盤導入類型」で申請する
- パソコンとソフトウェアをセットとする
- 「IT導入支援事業者」に登録されているパソコンの販売業者を選ぶ
冒頭の説明の繰り返しになりますが、パソコン購入で IT導入補助金を活用する場合、「デジタル化基盤導入枠」の「デジタル化基盤導入類型」を選ぶ必要があります。
ほかの申込枠や類型には「ハードウェア」や「パソコン(PC)」との表記がないため、補助対象にならないので注意してください。
また、「デジタル化基盤導入枠」の「デジタル化基盤導入類型」を IT導入補助金を申請する場合、パソコンの購入のみでの申請はできません。パソコンとソフトウェアをセットで申請する必要があります。
そして、パソコンの購入代金を IT導入補助金の補助対象とするには、補助金の事務局に認められたパソコンの販売業者「IT導入支援事業者」の中から選ぶ必要があります。
補助金のサイトから検索できるので、導入予定のパソコンの取扱いや申込枠の要件などから条件に合う「IT導入支援事業者」を選びましょう。
参照:IT導入支援事業者・ITツール検索|IT導入補助金2023(サービス等生産性向上IT導入支援事業ポータルサイト)
IT導入補助金の申請から完了報告までの流れ
IT導入補助金の申請から、補助金の交付を受けて完了報告までの流れをまとめると、次のとおりです。
手順 |
概要 |
IT導入補助金の理解 |
IT導入補助金の公募要領を読み込む |
事前準備 |
|
交付申請 |
申請書の提出 |
補助事業の実施 |
パソコンの購入を含めた ITツールの導入 |
事業実績報告 |
報告書の提出 |
補助金交付の手続き |
申請した金額分の交付 |
事業実施効果報告 |
報告書の提出 |
参照:申請・手続きフロー|IT導入補助金2023
なお、事前準備にある「gBizIDプライム」アカウントは、申請書の提出や報告書の提出をオンラインでおこなう際に必要なログイン用のアカウントです。
印鑑証明書と登録した印鑑を押した書類を提出し、審査と承認を受ける関係上、gBizIDプライムアカウントの取得には 1〜2週間かかるといわれているため、できるだけ早く取り掛かりましょう。
参照:gBizID – gBizIDで行政サービスへのログインをかんたんに|デジタル庁
また、「SECURITY ACTIONの宣言」(セキュリティ対策自己宣言)は、中小企業が情報セキュリティ対策に取組むことを自ら宣言する制度のことで、取り組み目標から「一つ星」または「二つ星」 を選び、取り組み状況を示すことになります。
参照:SECURITY ACTIONとは?: SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言| 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
地方自治体の事業者向け補助金は購入目的にあえば利用できる
地方自治体が運営する補助金から、パソコン購入が補助対象となるものを探すのも1つの手です。
事業所のある都道府県や市区町村が運営する補助金や助成金を探すことになるため、次のサイトから事務所の所在地を選び、条件を指定して検索してみてください。
参照:支援情報ヘッドライン|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
2020年ごろより、国の提唱する「働き方改革」にて多様な働き方を推進する目的から、地方自治体でも「テレワーク」に関連する補助金や助成金を出すケースが見られました。
【テレワークの補助金・助成金の代表例】
- テレワーク促進助成金(東京都)
- 多様な働き方推進事業費補助金(京都府)
- 豊田市テレワーク導入支援補助金(愛知県・豊田市)
もし「パソコン購入」の目的が、テレワークに関するものであるのであれば、検討してみてもよいでしょう。