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仕事が忙しい大人たちへ「習い事のススメ」

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半年前くらいから、習い事を始めた。高校生以来、ものすごく久しぶりの習い事だ。
きっかけは、お花を習い始めたことだった。京都に住んでいる学生時代の友だちがInstagramにお花の写真をあげていたので、いいなー楽しそう、と言ったら、あれよあれよという間に先生のもとに通うことになっていた。お花やお茶は作法が厳しいイメージがあったのだが、なんせ我が先生は本当にゆるくやさしくかわいらしい、とても素敵な先生なのである。褒めてくれるし、喋ってくれるお花の歴史も楽しい。習ったあとはお茶の時間まである。女性たちでお花を囲んでお茶する風景は平安貴族か? 本当に現代なのか……? と思いながら楽しく通っている。
そんなわけで今回は「大人が習い事をすると、仕事にもいい影響がある! かもしれない!」という話をしたい。

大人が習い事をするメリットとは?

というのも、最近私は猛烈に仕事が忙しかった。ひたすら取材や対談を受けつつ原稿を書き出張する生活を続けていた。が、それにも関わらず(?)、なぜか月1でお花を習い、着物を着られたらいいなーと思い始めて週1で着付けを習っていた。ちなみにピラティスまで通い始めた。なぜなのか。なぜこんなスケジュールを組んでいるのか。仕事が忙しいんじゃなかったのか。
ここで私は言いたいのだ。仕事が忙しいときこそ、習い事が心に効くのだ……ということを。
習い事のいいところは、頭を強制的に仕事以外のことにリセットできるところである。
お花を活けて、先生に直してもらい、ついでに室町時代から続く花道の歴史を教えてもらい、ついでにお茶まで飲んでいると、もはや自分の仕事なんてけっこうどうでもいいもののように思えてくる。いや、まあどうでもいいは言い過ぎだが、忙しさに疲れて心がダウナーになっているときも、室町時代や江戸時代の茶室に活けられた花のことに思いを馳せるだけで、なんだか強制的に気分が変わるのである。私はなぜか古典や歴史のようなアーカイブ化されたものが好きなので、花道はそのあたりの知識や価値観が理解できて楽しいという側面もある。が、単純に仕事をしている自分とは遠く離れた場所に自分を置くことが癒やされるのだ。
さらに習い事のいいところは、修正されたり、あるいは成長を褒められたりすることである。これはうれしい!!! 大人になると、自分の足りないことばかり目につくようになる。自分のできないことや、他人と比較して持っていないもの、なかなか変われない部分ばかり見えてしまう。しかしそれは疲れる。もちろん自分の足りないことを補おうとする努力は大切だが、それでも疲れてしまうことはある。
が、そんなダウナーな疲弊した心にこそ、効いてくるのが、習い事なのである。何せ、先生が的確に修正してくれる。たしかに先生が直してくれるとめっちゃきれいになる! うおお! という感動。なにより指針となる先生がいることの感動。原稿は誰も直してくれないがお花は先生が直してくれる……ってもちろん編集者さんや校正さんは原稿に赤入れをしてくれるがそれとは全然別の類の感動なのだこれは。なんというか、指導者という何でも聞いていい相手がいてくれることの独特の安心感!
さらに成長したことを褒めてくれるとめちゃくちゃうれしい。自分が試行錯誤したことが身になっているなんて、仕事ではそうそう味わえない感覚である。変化をポジティブに捉えられる。なんてすばらしいことなのか。

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大人になってからの習い事は心に効く

ちなみに私は小さいころ、習い事をしていた。一番長かったのはピアノ。幼稚園から高校時代まで習っていたのだが、そのくらいの時間をかけて自分の音楽的センスのなさをほとほと理解することになった。高校を卒業してからは一度もピアノに触っていない、もったいない! でも楽譜は読めるようになったしクラシックはひと通りわかるし、それだけで充分やった甲斐はあったかなーと感じていた。
が、最近になって、「習い事って子どものときのものと思いがちだけど、大人になってからむしろすべきでは!?」と思うようになった。というのも子どものときは、毎日が成長の連続である。背は伸びるし単語は覚えるしテストで成長を日々数値化される日々だ。習い事でわざわざ教室以外の成長を実感しなくともよい。が、大人になると、仕事以外の成長に癒されるようになるのではないだろうか。仕事以外で自分の居場所をつくるという経験も、精神の拠り所になるのではないか。つまりは大人の習い事は決して贅沢ではなく、子ども並みに流行ってもいいもんでは!? ということである。まあ、なかなか時間がないとできないことではありますけどね……。
というわけで、習い事はいいぞ、という話であった。ジャンルは何であれ、誰かに何かを習い、そして試行錯誤するということのおもしろさを、大人になってはじめて理解できる人もいるのではないだろうか。習い事、楽しいですよ!

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執筆

三宅 香帆

書評家・文筆家。1994年生まれ。 『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』などの著作がある。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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