「起業によって世界が広がった」くりえみさんに聞く芸能活動と会社経営のパラレルキャリア

2010年から芸能活動をしている、くりえみさん。2021年に起業し、芸能活動と会社経営のパラレルキャリアを実践しています。

新しいことにチャレンジし続けるくりえみさんに、起業した理由や今後「やりたいこと」について聞きました。

 

くりえみさん プロフィール

くりえみさん プロフィール

2010年よりスカウトをきっかけに芸能活動を開始。舞台出演やアイドル活動を経て、2018年よりセルフプロデュースに専念。現在【SNSのフェチ天使】として、SNS総フォロワー数 約200万人を超えるクリエイターとして活躍。 「しかたない」と無意識に諦めることが普通になってしまっている世の中に課題に感じ、人が生きていく上で心の負担にも体の負担にもなり得る“コンプレックス”や“固定概念” を社会課題と捉え、その解決策を見つけるべく第一歩目の取り組みとして、自身の“髪”の問題解決に向けたAIMERTÉ(エメルテ)クリームシャンプーの開発をスタート。自身のプロデュース力×Eコマースを使った事業に着目し、知見のあるメンバーを集め「既存媒体をハックし、テクノロジーの力で今までできなかったことを可能にする」というミッションを掲げ、2021年7月に株式会社S&Eを創立。

芸能活動と会社経営のパラレルキャリア

――くりえみさんは芸能活動に加え、2021年7月に起業しました。どうして起業しようと思ったのでしょうか?

新型コロナウイルスの影響があります。イベントができなくなって、同業者の方たちが結構辞めていきました。私たちの仕事ってイベントで成り立っている部分があったんですよね。私自身も一時期、最大の収入源はコミケ(コミックマーケット)でした。

それに結局、事務所に所属していても雇われる立場です。雇われているうちは、自分の一番やりたいことはできないと思い、起業しました。

芸能のお仕事にも誇りを持っています。グラビアってしっかり鍛えるとアートだと思っているんです。でも、世間からは安っぽいイメージを持たれることもあります。「枕営業している」とか、高いブランド物を持っていると「誰かに買ってもらっている」とか言われるんです。私はそれが許せません。

そういうイメージを持たれるのって、一種の職業差別だと思うんです。私はそうではないと見せるためにも、経営をしつつグラビアやコスプレ活動をするのは新しい見せ方だと思っています。

 

――くりえみさんが経営するS&E株式会社の事業内容について教えてください。

最初にはじめたのが「AIMERTÉ(エメルテ)」というクリームシャンプーの開発です。

 

AIMERTÉ(エメルテ)

AIMERTÉ(エメルテ)

 

このシャンプーは男女兼用なんですけど、私の趣味で女の子用っぽく作ってしまいました。そうしたら「男性用も作ってよ」と言われることが増えたんです。だったら、男性専用のシャンプーを作ろうと考えました。

男性用のヘアケアで市場規模の大きいものを調べると、AGA(男性型脱毛症)がありました。薄毛対策ですね。この市場はレッドオーシャンなんですけど、それだけニーズがあるともいえます。レッドオーシャンの中でも戦えるポジションがあると思って調べたところ、大手企業がターゲットにしているのは中高年層がメインなんです。若者層をターゲットにしたら勝ち筋が見えるかもと思いました。

そこで男性用のシャンプーを作ると同時に、オンライン診療から医療相談、処方サービスと合わせたAGA治療のサブスクサービスをはじめました。

 

AIMERTÉ CLINIC for men AGA

AIMERTÉ CLINIC for men AGA

 

これまではクリニックまで行って処方しなければならなかったものを、オンライン上で決済まで完結します。LINEを使って24時間診察が受けられます。

起業によって世界が広がった

起業によって世界が広がった

 

――起業して良かったことを教えてください。

世界が広がりました。いままでは周りも芸能関係の方ばかりでした。起業したことでぜんぜん違う人間関係や関わりが増えて、新鮮だし楽しいです。芸能の仕事しかしていなかった頃は、とにかく焦っていました。仕事は不定期で、1か月先にどうなるかもわかりません。「早く売れないと」って思っていました。

でも起業してからは、万が一芸能でうまくいかなくても、こっちのビジネスでなんとかなるなって思うんです。だからといって、芸能のお仕事を諦めるわけではありません。ビジネスでうまくいったら、それをどうやって芸能に活かそうかなとか考えられます。いい意味で保険をかけられるようになったので、精神的に安定しましたね。

芸能界は厳しい世界です。テレビに出られたとしても、代わりなんていくらでもいます。自分に決定権があるわけではないので、そこに人生を委ねても自分が苦しくなるなと思いました。自分で決められるものが1つあるだけで、芸能のお仕事も安定してできています。

 

――逆に起業して大変だったことはなんでしょうか?

タスク管理とスケジュール管理ですね。自分だけではなくて、関わってくれるすべての人のタスクやスケジュールを把握することも私の仕事です。そこが芸能のお仕事と違うところですね。スケジュールの調整はいまでも苦労しています。

 

――複数の仕事をしているとスケジュール調整は苦労しますよね。くりえみさんがスケジュール調整で工夫していることを教えてください。

Googleカレンダーを使って、メンバー全員のスケジュールをすべて共有しています。私は自分の行動スケジュールを知られるのが苦手なので、正直言うと書きたくないんですけど、そういうわけにもいきません。

あとは、会社のメンバーに優先順位を伝えています。芸能の仕事が入ったら、そちらを優先すると伝えています。芸能の仕事って急に決まったり、スケジュール変更が起きるのが当たり前です。そこの感覚がずれてしまうと、みんなの不満が溜まってしまいます。

その分の穴埋めやサポートをすることで、メンバーみんなの気持ちも変わってくると思います。

待っているだけでは、やりたいことは実現しない

待っているだけでは、やりたいことは実現しない

 

――このメディアのコンセプトが「やりたいこと」を「できる」に変えるです。くりえみさんのやりたいことをできるに変えられたエピソードを教えてください。

4年前から美容関連のビジネスをしたいと思っていて、「美容関連のビジネスでうまく行った人を紹介してほしい」といろいろな人に話していました。そのときに紹介してもらった人とは、いまでもビジネスで関わっています。

何かをやりたいと思ったら、まずはそれをやっている誰かを探すことです。自分が想像している未来に近しい人って絶対いると思います。その人に会って話を聞いて、何なら一緒にやらせてもらったりといった行動が大事です。

 

――他人にアドバイスもらったり、頼ることが苦手な人もいますが、素直に聞いてみたり行動するのが大事ですね。

やりたい」って言うことは誰にでもできますが、待っているだけでは実現しません。行動が大事です。

芸能の仕事で言うと、めちゃくちゃ可愛いかったり、めちゃくちゃ才能があれば待っていてもたくさん仕事が来るかもしれません。でも、芸能界なんて可愛い子しかいないので、”私でないといけない何か”なんて正直ないんですよ。そう考えると、自分から自分の魅力を営業していかないと相手には絶対伝わりません。「自分は特別ではない」と自覚してるからできることかもしれないです。

芸能の世界で日頃から思い出してもらえる人なんて、数えるほどしかいません。入れ替わりが激しい世界なので、新しい人が入ってきたら忘れられてしまいます。

でも、そんな世界を選んでいるのは自分です。だからこそ「自分は何ができるんだろう」って常に考えているし、新しいことをやっていかないとなと思います。私は自分のことを商品だと思っているから、私という1個の商品をどう見せていこうか考えているんです。

 

――自分自身を第三者視点で見ている感じですか?

自分のことを他人だと思っています。”くりえみ”っていう1個の商品を、本当の私が作ったみたいな感じです。

くりえみさんの今後「やりたいこと」

くりえみさんの今後「やりたいこと」

 

――くりえみさんが今後「やりたいこと」について教えてください。また、それを実現するためにおこなっていることを教えてください。

会社としてやりたいことは、まず1つがリアルクリニックの出店で、すでに進めています。オンライン診療などをするときに、リアルな店舗があれば信用度は高まると思っています。会社としての信用のためにも、リアルな店舗は持っておきたいです。

もう1つがフェムテック領域の事業です。フェムテックにはとても興味を持っていて、自販機でアフターピル(緊急避妊薬)を販売できないか考えています。スマホでオンライン診療を受けて、自販機のQRコードを読み込むと商品が出てくるサービスをやりたいです。

時間を問わず、24時間いつでもアフターピルを処方できるようにしたいと思っています。婦人科の多くは日中しか開いていないので、時間内に行けない人もいます。深夜に必要になるかもしれません。アフターピルは時間との戦いもあるので、オンライン診療と自販機を組み合わせて、24時間いつでも提供できるようにしたいと考えています。

 

(撮影:ナカムラヨシノーブ)