「倒す側」から「倒される側」に| 株式会社CAMPFIRE 家入 一真さん

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さくらインターネットは「IVS2022 NAHA」のスペシャルスポンサーとして、2日間に渡り「さくらインターネット特設ステージ」を開催しました。

ステージでは「失敗を讃えよう!」をテーマに、起業や経営における挑戦と失敗について、豪華ゲストをお招きして語っていただきました。ゲストは株式会社CAMPFIREの家入一真さん。

家入さんは、22歳のときに地元の福岡で株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)を創業し、レンタルサーバー事業などを展開。29歳のときに当時のJASDAQ市場に最年少で上場を果たします。その後、さまざまなサービスを立ち上げているシリアルアントレプレナーです。そんな家入さんが経験した「失敗」について語ってもらいました。

 

レンタルサーバーの同業者

田中邦裕(以下、田中):家入さんはいろいろなことをしていて、たくさん肩書がありますね。

 

小笠原治(以下、小笠原):いまはCAMPFIREに注力してるんですよね?

 

家入一真さん(以下、家入):はい。いまはCAMPFIREに全力投球しています。

 

田中:選挙にはもう出ないんですか?

 

家入:選挙は……まあ、出ないです(笑)。

 

小笠原:選挙、懐かしいですね。あれは失敗になりますか?

 

家入:いや、あれは良かったですよ。挑戦です。

 

田中:家入さんとは、もともと同業者ですね。さくらインターネットがレンタルサーバーを1000円で出していた頃、家入さんが250円で出してきたんですよ。1000円でも当時、業界の20分の1の価格だったんですけど、さらに4分の1の価格で出してきて「ええー!」って思いました。あのとき、一緒に業界を作っていた感覚がありました。

 

家入:もう20年前になりますよね。われわれ、この業界にもう20年いるんですね。いやー、僕ら退場したほうがいいですね(笑)。

web3の音が聞こえない

家入さん、小笠原、田中の写真

 

田中:今回のIVSは年齢層が若くなって女性比率が上がったらしいです。インターネットの黎明期にいた人たちって40代から50代の人が多いんですけど、これからは20代-30代の人がweb3でやっていくんでしょうね。

 

小笠原:おふたりが20代のときに、日本のレンタルサーバー市場の半分以上を2社で取っていましたもんね。そういうことが、いまの世代でも起こるはずなんですよ。

 

田中:プラットフォーマーが大きすぎるので、Web2では起こらないと思います。web3で起きるんでしょうね。家入さんはweb3のトレンドはどう見ていますか?

 

家入:追いかけようと頑張ってるんですけど、web3の音がまったく聞こえてこないんです。モスキート音みたいなもので、われわれの世代だと聞こえてこないんですよ。

 

田中:モスキート音って表現いいですね。

 

家入:CAMPFIREって既存の金融を、ある意味ディスラプトする思想で10年やってきています。今度は、クラウドファンディングのプラットフォーム自体をディスラプトする流れがweb3で出来てきています。倒そうと思っていたのが、今度は倒される側になってきていると感じますね。

家入一真さんの転機

家入さんの写真

 

田中:今日は「失敗」がテーマなんですけど、どんな失敗がありますか?

 

家入:失敗だらけです(笑)。IVSで別のセッションに登壇予定だったんですけど、返信してなくて、いつの間にかリストから消えてましたし。

 

小笠原:みなさん家入さんとの付き合い方を間違えているんですよ。返事は来ないものだと思ってください。

 

家入:(笑)。

 

小笠原:仕事の失敗だと、どういうものがありますか?


家入:仕事の失敗はもちろんたくさんありますけど、なんですかね…。僕は会社を創業して、25歳のときにGMOグループ入りをしたのが大きな転機なんですよ。当時、福岡で創業したので、周りにスタートアップがないので交流もなくて、孤独にやっていました。買収のオファーもいろいろあったけど、良くわからないから取りあえず会って断ろうと思ったんです。その過程で、東京には同世代の経営者がたくさんいることに気づきました。東京は面白そうだなと思って、シナジーもあることからGMOグループに入ったんです。ただ、その時はグループに入ることがどういうことなのかを考えなさすぎましたね。


小笠原:文化的には違いますもんね。

 

家入:でもGMOグループに入らなければ、福岡の中小企業で終わっていたかもしれません。それはわからないですけどね。失敗かどうかはわからないし感謝もしているんですけど、あの時点でグループ入りしないで単独でIPOとかしていたら、違う人生があったのかもなとは思います。でも、これは考えても仕方がないことですけどね。

 

小笠原:失敗というよりは、選択の分岐点って感じですね。家入さんはグループ入りをして、田中さんは単独でやってきましたね。

 

田中:家入さんは福岡でしたが、私は大阪だったので周りにスタートアップや投資家が結構いたんですよね。この違いはあると思います。

 

家入:グループ入りをした後にIPOをしたり、2度目3度目の起業をしてきたので、珍しい経験ができました。経験自体は無駄ではなかったかなと思っていますね。

サービスや事業はタイミングも大事

田中:その後、BASEも上場しましたし、CAMPFIREもすごいじゃないですか。連続的にうまくいっているように思いますが、一番失敗したのはどんな事業ですか?

 

家入:失敗の定義にもよりますけど、一番大炎上したのは「studygift」っていうサービスです。学費をクラウドファンディングのように集めるサービスなんですけど、これが大炎上しました。連日、ヤフーニュースのトップに掲載されて、知らない人にも死ねって言われたり。あれは結構メンタルに来ましたね。結果的にサービスをすぐ閉じてしまったんですけど、違う形で学費をみんなで応援する仕組みができるんじゃないかと考えています。まだ諦めていないので、失敗したことを失敗したと考えていないケースが多いかもしれないです。もちろん、反省すべきことは反省してますけど。

 

小笠原:サービスや事業ってタイミングも大事ですよね。タイミングが悪かっただけの失敗もありますよね。

 

家入:そうですね。「polca」というフレンドファンディングアプリがあったんですけど、コロナ禍に「polca復活してくれ」っていろいろな方から言われました。当時は法的な部分だったり難しいところがあって一回閉じてしまったんですけど、いまpolcaを復活させるとしたらどういう形があるのかなって。

 

田中:失敗というより、あのときタイミングが合っていなかったからもう一度やりたいって感じですかね。

自由にサービスを作ることでカルチャーを形成

家入さん、小笠原、田中の写真

 

小笠原:自分の会社でも、自分の好きにやれないこともありますよね?

 

家入:僕の場合、会社の代表をやりながら「家入一真」個人でウェブサービスをいろいろ作っていたんですよ。会社でやると大変そうだなと思って。BASEもそんな感じでできたし、「ブクログ」っていうブックレビューサイトも個人で作っていました。

自由にサービスを作っていることも含めてカルチャーを形成していたと思うんです。だから、社員も個人でサービスを作っていますし。

 

田中:なるほど。さくらインターネットのステージで代表の私が言うのもなんですが、人生の時間をさくらインターネットだけにかけるのは嫌なんです。

 

家入:言っちゃった(笑)。

 

田中:だから最近はエンジェル投資をしたり、沖縄でawabarを始めたりしています。やりたいと思っていることを会社でやればもっと大きくできるけど、個人のほうが小回りが利くんですよね。本当は会社でやったほうが、会社の成長につながるのでいいんでしょうけど。起業家にとって永遠のテーマな気がしますね。

 

家入:確かに。

 

 

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