失敗して学んだことは「しんどいときこそ笑っとけ」|KLab株式会社 取締役会長 真田哲弥さん

失敗して学んだことは「しんどいときこそ笑っとけ」|KLab株式会社 取締役会長 真田哲弥さん

 

さくらインターネットは「IVS2022 NAHA」のスペシャルスポンサーとして、2日間に渡り「さくらインターネット特設ステージ」を開催しました。

ステージでは「失敗を讃えよう!」をテーマに、起業や経営における挑戦と失敗について、豪華ゲストをお招きして語っていただきました。

本記事では、KLab株式会社 取締役会長ファウンダーで、2022年にはweb3関連サービス企業BLOCKSMITH & Co.を設立した真田哲弥さんの「失敗談」をお届けします。

学生時代に株式会社リョーマを創業して以来、何度も起業している真田さんが「失敗」して学んだこととは――

 

「リーダーとして失格」と20代で気づいた

田中邦裕(以下、田中):今回のゲストは真田さんです。

 

小笠原治(以下、小笠原):ぶっちゃけ、真田さんにどこまで失敗の話を聞いていいのか……。

 

真田哲弥さん(以下、真田):(笑)。失敗のデパート真田でございます。

 

田中:(笑)。最初に株式会社リョーマを設立されて、その後も何度も起業されてるじゃないですか。起業って何回されたんですか。

 

真田:定義によって変わりますね。自分が社長としてやったのは5回かな。社長じゃなくてプロジェクトに資金提供するとか、会長として入るというのはたくさんあるんですけどね。自分自身が社長で責任者としてやったのは、リョーマから数えて、今年の4月に設立した株式会社BLOCKSMITH&Co.で5社目です。

 

田中:BLOCKSMITH&Co.はどういう会社なんですか?

 

真田:史上最年長web3起業家を目指して、ブロックチェーンゲーム事業をしています。

 

田中:失敗がテーマですが、真田さんが最初に「失敗した」と思ったのは、いつだったんですか?

 

真田:創業者である私がリョーマをある種追い出された形で東京に出て行ったわけですけど、そのときはわりと失敗感ありましたね。

僕の社長としての接し方とか、リーダーシップが未熟で、仲間がついてこなくなってしまった。そこで1回チームが崩壊して、僕が引く形になった。

僕はこの性格のまま社長業を続けちゃいけないって22歳のときに気づくことができたので良かったです。

 

田中:早いですね。

小笠原:でもいい失敗ですね。

真田:気づいただけで、変えようと思ったんですけど変わるもんじゃないっていうことにも気づくんですけど(笑)。だいぶ丸くはなりましたが、なかなか変わらないですよね。

しんどいときこと笑っとけ

しんどいときこと笑っとけ

 

田中:ちなみにその次もそういうことになったってことですか?

 

真田:いまもときどきそういう面は出ますね。でも、この失敗によって学んだことの1つとして、「顔は笑っとこう」と。

失敗はみんなするじゃないですか。でも大事なことは、それでも笑って過去の失敗を話すこと。失敗の話をするときに、深刻な顔とか悲しい顔をしてたら、人は寄り付かないです。

 

田中:そうですね、確かに。

 

真田:失敗の話をするときも、大事なことは笑顔でいること。これはとても大事で、僕が数々の失敗から学んだことの1つは、「どれだけ苦しくても笑っとけ」。

笑っていない僕を見たことがある人は、本当に親しい人だけで、大抵僕は笑っているはずです。それを30年間続けると、シワが顔に刻まれます。自分の中でたくさん失敗して得たものの1つは、この目尻のシワかな。

 

小笠原:だいたい夜しか会ってないですけど、幸せそうです。

 

真田:だから僕が笑ってるときは実はしんどいとき(笑)。「しんどいときこそ笑っとけ」ということです。

 

田中:すごい共感できますね。しんどくても笑っとくと。

 

真田:顔が怖い人って損なんですよ。僕みたいに笑っとくほうが無難です。

 

田中:ちょっと話が逸れますけど、笑ってて得したエピソードは何かありますか?

 

真田:わりと日常的に笑ってるから、優しい人と勘違いされる(笑)。

 

田中:勘違いじゃなくて、優しい人ですよ(笑)。

 

小笠原:でも、共感します。笑ってて損することはないですよね。

上場後に組織崩壊

上場後に組織崩壊



真田:せっかくなんで、もうちょっとみなさんの役に立つ失敗の話をしましょう。

 

田中:お願いしたいです。

 

真田:1999年に株式会社サイバードという会社を作りました。その当時、創業から上場までの最短記録を更新しました。

そのとき、結構みんな若かったんです。僕と当時の役員3人は30代前半、メンバーはみんな20代前半、とくに学生が多かったんです。だから平均すると20代のすごい若い会社で上場しました。その時は良かったんですけども、ストックオプションを学生とかに配布していて。

 

田中:あぁ……。

 

真田:それで上場したら何が起こったかというと、23歳とか24歳の学生が、持ってたストックオプションを売ったら、3000万とか4000万円とか持っているお金持ちになっちゃったんですよね。

そしたら「ごめんなさい、今月で会社辞めます」とか「留学します」とか、「自分の会社作ります」とかで、どんどん社員が辞めるっていう。若い人たちにもストックオプションをたくさん配布したことによって、上場後、組織が崩壊するっていう経験をしました。

 

田中:なるほど。

 

真田:まずサイバードで失敗して、その次KLabでも失敗しました。KLabは資本政策でそもそも失敗してるんです。サイバードの子会社としてKLabっていう会社を作って、この時点で僕は株式を持ってなかったんです。

株式を持ってないところからスタートしたから、とても苦しかった。それでストックオプションを付与したんですけど、税制適格の問題とか、マニアックな問題を何も知らずにやって。KLabが上場したあと、ストックオプションを行使したら、8億円の所得税を取られるということをそのときにはじめて知って……。

 

田中:おそろしい(笑)。

 

小笠原:本当にその失敗はよくあると思います。

 

真田:いまでも、そういう人が結構多くて。web3の話になるけど、エクイティは上場するまで売れないからいいじゃないですか。トークンだと、会社の上場より遥かに早く上場できるわけですね。トークンをメンバーに配って開発をして速攻上場させて、そうするとメンバーはいきなりトークンを売るわけですね。

それで一気に組織崩壊しますから。今のweb3の資金調達の手段って、もう極めて危険ですよね。それを本当に早いタイミングで上場したらメンバーは確実に崩壊しますね。

 

小笠原:流動性が手に入るから。

 

真田:もう間違いなく売りますね。やっぱり、人間それで一生が遊んで暮らせるお金が入ると、なかなかそれでも次をやろうとか、がんばろうっていう人は少ない。だから、僕の過去の失敗に照らし合わせると、web3の調達法も産業の崩壊を招くんじゃないかなと僕は感じるわけです。

 

田中:なかなか重要な提言ですね。

 

真田:だから、そのweb3起業家の方々やチームのみなさんは、そのトークンをどう配布するかかなり気をつけないと、「失敗の始まり」がすでに始まってますね。リーダーシップや組織論については、もっと経験者の話を聞いて! と思います。





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