日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」が、7月に沖縄・那覇で開催されます。IVSは完全招待制のカンファレンスとして2007年にスタート。スタートアップのピッチコンテスト「IVS LAUNCHPAD」には、これまでに多くのスタートアップが登壇し、そのうちの15%が、IPO(新規上場)やM&Aによるイグジットを果たしています。まさに「スタートアップの登竜門」ともいえるカンファレンスです。
今回、さくらインターネットがスペシャルスポンサーとして参加することが決定。そこで、IVS代表の島川さんとさくらインターネット代表の田中が対談し、IVS2022 NAHAの注目ポイントなどを語りました。
IVSを運営する理由
島川 敏明さん(以下、島川):IVSは「IT系のスタートアップが、効率的にネットワーキングできる場を作って盛り上げていこう」とスタートしました。2007年の秋にスタートしてからの15年、年間2回ペースで続けています。IVSが始まる前は、こうしたIT系スタートアップの経営者が集まれる場が日本にはありませんでした。私は3代目の代表です。「今の時代に合った新しいIVSを作ってほしい」と前代表から託されました。
IVSに参加したことで、資金調達が決まったり業務提携やM&Aが決まったりといった、実利を最大化したいという想いで運営しています。今回の「IVS2022 NAHA」でも、みなさんがつながれる場を提供していきたいです。
田中邦裕(以下、田中):私は、今回のIVSが開催される沖縄県那覇市に住んでいます。沖縄で開催すると決まったのはどうしてですか?
島川:昔から沖縄のスタートアップ経営者の方がIVSに関わってくれていて、3~4年前から沖縄で開催したいという話は出ていたんです。今回、縁やタイミングもあって開催が決まりました。決まった後の昨年12月に沖縄に行っていろいろな方と会ってみると、沖縄のスタートアップ熱が想像以上に高かったです。
田中:たしかに、スタートアップ熱は高いですね。
島川:しかも沖縄の方はみなさん、沖縄のことがめっちゃ好きなんですよね。ポジティブな方が多い印象です。「沖縄でこういうことがしたい」とお話すると、「ぜひ協力させてください」とおっしゃっていただけることが多かったです。そういった方々の後押しもあって、僕らとしても沖縄でやり切ろうというブーストがかかりましたね。
田中:沖縄でもスタートアップのイベント開催が増えてきていますね。沖縄の経営者と話をすると「5年前はスタートアップ支援なんてなかった」と言っていますが、最近は支援も充実してきました。2018年にISCO(沖縄ITイノベーション戦略センター)ができたことも大きなきっかけになった気がします。
行政としてもスタートアップ支援をしていますし、スタートアップに関わるメンターも充実しています。結果として、スタートアップが増えてきていますね。私もそうですが、結構、内地の経営者が沖縄に来ることも多いですよ。
スペシャルスポンサーを決めた理由
田中:経営者仲間と飲んでいるときに「次のIVSは那覇でやる」と聞いて、何か協力したいなと思いました。一番の協力といえばスポンサーになることなので、すぐに決めましたね。沖縄ではじめて開催されるIVSなので、実際に沖縄に住んでいる私みたいな人間がコミットする必要があると思いました。
今年は沖縄が本土に復帰して50年の節目です。沖縄は、給与が安くて仕事が限られているといった現状があります。今回のIVSをきっかけに、沖縄からも多くの上場企業が出て、沖縄には経済的にもっと豊かになってほしい、と心から思っています。
島川:じつは、日本の都道府県の中で一番起業率が高いのが沖縄なんですよね。
田中:そうなんです。話が飛んでしまいますが、起業する一番のメリットは「お金を使えるようになる」ことだと思うんです。自分でコントロールできるお金が増えるんですよね。だから、今回もスポンサーになれたわけです。
私個人もですし、さくらインターネットとしてもスタートアップ支援に力を入れています。実際、さくらインターネットとしてLP出資※もしています。
※ファンドへの出資を通じたスタートアップへの投資活動
おすすめのセッション
島川:今回のIVSでもたくさんのセッションがおこなわれます。キーノートセッションでは、USEN-NEXT HOLDINGSの宇野さんにご登壇いただき、経営についてや失敗談を深掘りする予定です。また、Web3に特化した「IVS Crypto」も同時開催します。日本の経営者に加え、海外の経営者を招き登壇や交流をしてもらう予定です。
田中:Web3は「Webの民主化」と言われていますね。どこかの中央集権的なものに依存するのではなくて、自分たちのテクノロジーでフリーになりたい、解放されたいという思いがあります。だからこそ、若い人と新しい技術って結びつきがあるんだと思います。「新しいテクノロジー=新しいスタートアップ」というイメージがありますね。若い起業家が新風をもたらしてくれそうです。
島川:これまでのIVSもそうでしたが、今回のIVSでも若手のスタートアップをたくさん招いています。グローバルという文脈でもWeb3には注目です。Web3は「知力の総合格闘技戦」とも言われていて、新しい概念や技術が毎日生まれ続けています。IVSで後押しすることで、Web3の起業家が日本から世界に飛び出してほしいと思っています。
田中:最近思うのは、技術って重層的なので、勉強し続けなければいけないんですよね。新しい考えを持っている人のほうが、新しいことを覚えやすい。なので、新しいテクノロジーを”生み出す”のは、若い人が中心になります。年齢が少し上の人には、”新しい技術を活用して広める”役割があるのではないでしょうか。
島川:Web3の概念が加速することによって、オンライン上で活動する株式会社がすべてDAO(分散型自律組織)化していくと言われています。株式会社という法人の形ではなく、個人が集まって仕事が進んで、みんなで稼いでいくようになるかもしれません。
ただ、現状だとDAOにもいろいろな問題があります。会社のように責任だったり採用方針が決まりづらかったりします。まだ、2~3ステップは必要だと思います。そこを埋めていくスタートアップが、今後生まれてくるのではないでしょうか。
IVSにさくらインターネット特設ブースが出展
田中:さくらインターネットのブースに来ていただければ、メンタリングします。一日中いる予定ですので、ブースでお話ししましょう。多くのスタートアップ起業家が2つの悩みを抱えているはずです。1つは「全然伸びない」こと。成長せずに、気づいたら5年とか10年経ってしまっている。こうなるとスタートアップとは言えないのですが、結構あるんですよ。
もう1つは「成長しているけど、落とし所をどう作るか分からない」こと。「本当はこうしないといけない」と分かっているんだけど、売上を下げないために続けてしまうんです。私はどちらも経験して乗り越えてきたので、比較的成熟した企業のメンタリングが得意なんですよ。
島川:そこが得意なのはレアで貴重ですね。悩んでいる起業家はとても多いと思います。
田中:スタートアップのメンタリングって、受ける側からすると「ああすごいですね」って感じじゃないですか。ただ、私はメンターとメンティーの間に上下関係みたいなものがあると嫌なんです。よく言うのが、部活動の部長と部員くらいの関係性でいたいんですよ。部員と顧問だと遠いんです。
多くの場合、成熟した経営者とスタートアップ経営者は、顧問と部員、先生と生徒みたいな関係性になってしまいます。でも、部長だと部員の中から選ばれている同じ学生なわけですよ。僕も同じ経営者で、その中でもちょっと前行ってるよくらいの感覚でいたい。そういう距離感でやっていくノウハウも最近学んだところです。
さくらインターネットのブースで、みなさまにお会いできるのを楽しみにしています。
7月に開催する「IVS2022 NAHA」では、さくらインターネット特設ステージが登場します。特設ステージでは、さくらインターネット株式会社の代表取締役社長 田中邦裕とフェロー 小笠原治が、スタートアップのみなさんへのメンタリングやスペシャルゲストをお招きしてのトークセッションを開催予定です。
【 IVS2022 NAHA 】
開催日:2022年7月6日(水)~7月8日(金)
場所:那覇市内
参加者:スタートアップ経営者・投資家・事業担当者を中心とした完全招待制
新規参加申込 URL:https://www.ivs.events/
主催:IVS株式会社