-都内某所 さくらインターネット東京支社-
画像岡:………。
【人物紹介:画像岡(がぞおか)】
グータラな「さくらインターネット」の社員。周りからはダメ社員だと思われているが、実はあらゆる画像に精通した画像評価のスペシャリストである。主な仕事は画像診断。
さくら:ちょっと! 画像岡さん! また社内で競馬新聞なんか読んで……。
画像岡:………。
【人物紹介:さくら】
「さくらインターネット」の新入社員。持ち前の明るさとポジティブな性格で社内の評判は高い。確かな審美眼を持つことから、仕事では画像岡とコンビを組まされることが多い。
斎藤:さくらさん……本当にこの男が噂のスペシャリストなんですか?
さくら:斎藤さん、すみません……。この人、いつもこうなんです。
【人物紹介:斎藤 イシ】
画像トリミング歴30年の画像切り抜き職人。自らが運営するECサイトに掲載されている商品の画像も、すべて自分でトリミングしている。
斎藤:(仕事中に堂々と競馬新聞を…? この人たちに任せて大丈夫なのか?)
さくら:画像岡さん。クライアントの斎藤さんが運営しているECサイトの売り上げが不調なのよ。何が原因か私にはよくわからなくって、画像岡さんに見てほしいの。
画像岡:え〜? なんで俺がそんなことしなけりゃいけないの? 今、忙しいんだけど……。
さくら:ど・こ・が、忙しいんですか。 毎日、寝てるか競馬新聞を読むかで。たまには人の役に立ってください!
斎藤:さくらさん、この人に任せてウチのECサイトは本当に良くなるのかい?
さくら:大丈夫ですよ、斎藤さん。この人、こう見えてwebの知識だけはすごくあるの。
ほら、画像岡さん。これが斎藤さんのECサイトです。デザインも美しくって機能的で、素敵なサイトでしょ? どうして売り上げが伸びないのかしら?
画像岡:………フン。
斎藤:どうだい? 自分で言うのもなんだけど、自慢のサイトさ。一流のwebデザイナーとシステムエンジニアをアサインして構築してもらったんだ。商品紹介やページ遷移もわかりやすくて、顧客が欲しい情報がすぐ目に入ってくる。
斎藤:商品の写真も1枚1枚、こだわってるんだ。俺がこの手で毎日トリミングして、画像をアップロードしてる。これが本物のECサイトだよ。どこに出したって恥ずかしくねぇ出来さ!
さくら:職人さんのこだわりが詰まったECサイトなんですね! どうですか、画像岡さん。
画像岡:………ふ〜ん。斎藤さん、って言ったっけ。アンタ。
画像岡:このECサイトにいくら金をかけたのか知らないが、俺に言わせりゃ三流もいいところだ。よほどの物好きじゃなければ、このサイトで買い物をしようとは思わないね。
斎藤:な、な、なんだと!? お前みたいな若造に、このサイトの何がわかる! 一体、何がいけないって言うんだ!
さくら:画像岡さん! そんな言い方、失礼ですよ……。
斎藤:私はこの道30年の職人だ! 私より優れた技術を持つ者はそうそういないんだぞ!
画像岡:このサイトのなにがいけないって? このサイトには致命的な欠陥がある。それに気が付かないようじゃ、アンタが積み重ねた30年は無駄だったようだな。
斎藤:なにを〜!? よくも言ってくれたな!
さくら:ねぇ、画像岡さん。斎藤さんのECサイトはどこがいけないの?
画像岡:……言葉で説明しても納得してくれないでしょう。付いて来てください。俺が本当に優れたECサイトについて教えてあげますよ。
さくら:待ってください画像岡さん、どこに行くんですか?
斎藤:(本当に優れたECサイトを教えるだと? この男が?)
さくら:もう、画像岡さんったら。いつも説明不足なんだから!
斎藤:………。
-プロジェクションルーム-
さくら:ここは、プロジェクションルームね。プロジェクターで壁に映像などを表示できる部屋だわ。
斎藤:……こんなところに連れてきて、一体、何を始めようってんだ?
画像岡:斎藤さん。アンタのECサイトに使われている画像は、アンタがアップロードしてるんだよな。
斎藤:そうだ。PC用、スマホ用、タブレット用。ユーザーが使うデバイスに合わせて、最適に見えるようにそれぞれトリミングして別の画像をアップしている。
画像岡:ここに可愛いネコの画像を用意した。これをいつものようにトリミングしてくれ。
斎藤:猫の画像をトリミングだと? それで何がわかるってんだ?
画像岡:アンタがトリミングした画像と、俺が用意した画像を比べてみるのさ。どっちが優れた画像を作れるか勝負しようじゃないか。
斎藤:……馬鹿なことを言っちゃいけねぇ。画像のトリミングは俺の専門分野だ。俺が負けることなんてありえないよ。
画像岡:いいから、やってみせてくれ。
斎藤:………フン。吠え面をかくなよ。
シュパパパパパパパ!!!
さくら:まぁ! 見事な手さばきだわ! あっというまにネコちゃんの画像がトリミングされ、画像サイズに合わせて、それぞれが別の画像として保存されていくわ!
画像岡:ああ。さすがこの道30年の職人。トリミングの腕前は見事なもんだ。
斎藤:あらよっと。これぐらい朝飯前さ。何百枚でも何千枚でも用意したらぁ。
さくら:すごいわ、斎藤さん。この技術があるからこそ、あんな素敵なECサイトが作れたんですね!
画像岡:よし。それじゃあ、次は俺の番だな。
斎藤:俺の番って……アンタ、画像のトリミングができるのか?
画像岡:いや。俺は自分の手ではなく、「ImageFlux」という画像変換・配信エンジンを使わせてもらう。
さくら:なんですって!? 自分ではなく、システムの力を使うの!?
斎藤:「ImageFlux」だと? こいつぁ、勝負あったな! 職人が丁寧にトリミングしたものと、システムがトリミングしたものじゃあ、質が違うよ。 比べるまでもねぇ!
画像岡:それはどうかな?
さくら:ところで、この「ImageFlux」というのはどんなことができるサービスなの?
画像岡:簡単にいうと、1枚の画像をもとにデバイスに最適化された画像を簡単に生成し、高速かつ高品質で配信してくれるオンラインサービスさ。
ECサイトを使うユーザーがアップロードした画像が「ImageFlux」へ送られ、自動的に変換し、元のECサイトの適した場所に配信、表示させるんだ。メルカリ、STORES、BASEなどさまざまなECサイトに利用されているのさ。
さくら:めちゃくちゃ便利ね!
ImageFluxの特長やサービス詳細はこちら→https://www.sakura.ad.jp/services/imageflux/image/
画像岡:また、こんな風にURLパラメータをいじるだけで、簡単に画像のトリミングをして表示させることもできるんだ。これが都度、自動的におこなわれてECサイトに配信されているというイメージなんだ。
さくら:こんな簡単に、しかも高速で適したサイズの画像を!
斎藤:……いやいや。いくら形だけトリミングしたって、肝心なのは画像の質さ。システムを通したんじゃ、画像の解像度が下がったり、荒れたりするだろう。人間の手とは雲泥の差だよ。
画像岡:では実際に、斎藤さんの画像と「ImageFlux」で変換した画像を比べてみよう。
さくら:う〜ん。こうやって見ただけじゃ、ほとんど変わらないわ。これよりもうんと小さく表示されるECサイトの画像なら、なおさら違いはわからないわね。
斎藤:………。
画像岡:それだけじゃあない。画像を拡大して見てみよう。
画像岡:さらに拡大していくと、画像の切断面の細胞の様子が確認できる。
斎藤:切断面の細胞の様子!?
画像岡:斎藤さんがトリミングした画像は、スピードに任せて強引に画像を切り抜いたため、切断面はボコボコのザラザラに乱れ、画像の細胞がつぶれてひしゃげてしまっている。この壊れた細胞から画像の旨味がこぼれ、外へ逃げ出してしまっているんだ。
斎藤:細胞が潰れて、画像の旨味が外へ!?
さくら:そんな!? 画像の中の小さな細胞がダメージを受けていたなんて、見た目からじゃわからないものね!
画像岡:一方、「ImageFlux」を経由した画像の切断面はなめらかだ。これなら画像の細胞も乱れることがなく、旨味を中に閉じ込められるんだ。画像は(インターネットの)海で元気に泳いでいた時のまま、新鮮そのものさ。
斎藤:「ImageFlux」すげぇ!
さくら:そこまでの差があるのなら、わざわざ人間の手でトリミングする必要なんてないのね! これからは全部、システムに任せましょう!
画像岡:さらに、この2つの画像はそもそもデータの容量、重さが全然違うんだ。画像の保存形式(拡張子)を斎藤さんはPNGにしている。対して、「ImageFlux」はすべてWebPだ。
斎藤:ハ!? まさか、そういうことか!
さくら:どういうこと? PNGとWebPってなにが違うの?
画像岡:一見、同じような画像に見えてもデータの大きさが全然違うんだ。斎藤さんがトリミングしたPNGの画像は5.7MBもある。一方、俺が「ImageFlux」経由で用意した画像はわずか10KBだ。その差は570倍もある。
PNGは情報量が多く、表現できる色の数も豊富で、可逆圧縮ができる。しかし、その分1枚1枚の画像を表示するのに時間がかかるんだ。ECサイトのような膨大な量の画像を表示しなければならないサイトでは致命的だ。
一方、WebPはPNGに比べてデータ容量は軽い。表現できる色の数も多く、見た目にはほとんど変わらない。ECサイトで画像を表示させるだけなら、「ImageFlux」が指し示す通り、WebPが一番最適なんだ。
さくら:つまり、斎藤さんのECサイトは重くて使いづらいサイトだったということなんですね。
画像岡:そうだ。それに、斎藤さんがいくら早くトリミングできたとしても、ImageFluxは一度URLにパラメータを仕込んでしまえば後は動的(自動的)に変換してくれるから、斎藤さんの負担だって減る。俺が言いたかったことは、結局のところそれだけだ。
斎藤:私は、画像の美しさが保たれることばかりを気にして、データの重さとかECサイトを使う人間にかかる負担を考えていなかった……。
さくら:斎藤さん、でもこれでECサイトの改善ができるじゃないですか。「ImageFlux」を使ってサイトを軽くしましょう!
斎藤:ああ……もう、さっそく導入するよ……。
斎藤:画像岡さん。自分の技術に溺れ、こんな思い上がった私のためにありがとう。
さくら:本当に良かったですね、斎藤さん!
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-後日-
さくら:見てください、画像岡さん! 斎藤さんのECサイト、ImageFluxを導入してから使い心地の良さが評価され、ユーザーが増えて大人気ですって!
売り上げも上がって、斎藤さんも喜んでましたよ! それに斎藤さんの負担もかなり減ったって。画像岡さんのおかげだって!
画像岡:………。
画像岡:俺には興味ないね。
さくら:もう! またそんなこと言って! 自分が関わった人間の成功を、どうして素直に喜べないんですか!
さくら:はぁ…。この人、いつになったらまともに仕事するのかしら?
ー完ー
※この物語はフィクションです。一部、あるいは全体的にパロディの情報が含まれている可能性があります。