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iDeCoの確定申告方法は? 個人事業主と会社員の場合について解説

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、任意加入の私的年金で、掛金を拠出し運用した運用益と掛金の合計額を給付金として受け取ることができます。

また、iDeCo には税制の優遇措置があり、iDeCo の掛金全額が所得控除の対象となります。ただし、所得控除を受けるためには確定申告や年末調整が必要になり、手続きは加入者の区分によって異なります。

本記事では、個人事業主の方向けに、株式会社SoLabo 代表取締役 田原 広一が税理士有資格者の立場から、節税対策になる iDeCo の確定申告方法を解説します。

    個人事業主の場合 iDeCo の掛金は確定申告が必要になる

    iDeCoは、掛金や運用益、給付を受け取る際に税制の優遇措置があります。

    個人事業主やフリーランスの人がiDeCo の税制の優遇措置の1つ「掛金を全額所得控除」を受けるためには、確定申告の際、掛金の支払額を申告する必要があります。また、会社員であっても、iDeCo の掛金を年末調整できなかった場合、所得控除を受けるために確定申告が必要です。

    確定申告の方法は、税務署の受付や e-tax、郵送などの選択肢から自由に選ぶことができます。確定申告の情報は、国税庁公式サイト「所得税の確定申告」から確認できます。

    なお、確定申告の際に iDeCo の掛金を申告し忘れた場合、「更正の請求手続」をすれば所得税の還付を受けることができます。「更正の請求手続」については後述します。

    確定申告をする際は小規模企業共済等掛金払込証明書を用意する

    iDeCo の確定申告をする場合、国民年金基金連合会から発送される「小規模企業共済等掛金払込証明書」の用意が必要です。「小規模企業共済等掛金払込証明書」は iDeCo 加入者が1月から12月末までに支払った掛金を証明する書類です。

    「小規模企業共済掛金払込証明書」は、掛金を月単位拠出にしている場合、初回の掛金を払い込んだ月によって発行・発送時期が異なります。

    掛金支払時期

    送付予定時期

    1月~9月

    10月下旬頃に送付予定

    10月

    11月下旬頃

    11月

    12月下旬

    12月

    翌年1月下旬

    たとえば、初回の掛金を11月に支払った会社員の場合、「小規模企業共済掛金払込証明書」が年末調整までに届かない場合があります。

    「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、支払った掛金額が記載されており、証明書類として確定申告の際に提出が必要です。「小規模企業共済掛金払込証明書」は、発送時期が決まり次第 iDeCo 公式サイトの「お知らせ」に告知されるので、手元に届く時期を確認しておきましょう。

    なお、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を紛失した場合は、運営管理機関で再発行が可能です。運営管理機関は人によって異なるため、iDeCo口座を開設した金融機関に問い合わせてみてください。

    iDeCo 掛金の支払額がある場合の確定申告書の書き方

    iDeCo 掛金の支払額を確定申告書に記載する項目や、記入内容は次の通りです。

    ①確定申告書第一表「所得から差し引かれる金額」へ記入

    記入箇所:「小規模企業共済等掛金控除⑭」
    記載金額:「小規模企業共済掛金払込証明書」に記載の12月払込分までの掛金総額

    ②確定申告書第二表「⑭小規模企業共済等掛金控除」へ記入

    記入箇所:「保険料等の種類」
    記入内容:「個人型確定拠出年金」

    ③確定申告書第二表「⑭小規模企業共済等掛金控除」へ記入

    記入箇所:「支払保険料等の計」「うち年末調整等以外」計2か所
    記入内容:「小規模企業共済掛金払込証明書」に記載の12月払込分までの掛金総額
    ※年末調整をしていない場合どちらも同じ金額

    「小規模企業共済掛金払込証明書」を受け取る時期によっては、支払い予定金額が含まれた総額になっている場合があります。たとえば、「小規模企業共済掛金払込証明書」を10月に受け取った人は、11月と12月の金額が支払い予定金額として記載されています。

    そのため、11月と12月分に関しては確定申告までに支払いが終わっているか確認が必要です。

    なお、確定申告書は、国税庁公式サイトからダウンロードまたは管轄の税務署から用意ができます。また、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でも確定申告書を作成できるため、国税庁公式サイト「確定申告書等の様式・手引き等」を確認してみてください。

    iDeCo の掛金支払額の申告を忘れた場合は更正の請求手続をする

    iDeCo の掛金支払額の申告を忘れた場合、罰則はありませんが、iDeCo の掛金分の所得控除が受けられなくなります。

    iDeCo の確定申告を忘れたことに気づいた場合は更正の請求手続をしましょう。更正の請求手続は、確定申告期限後に納め過ぎた税金の還付を求めるための手続きです。

    【更正の請求手続について】

    期限

    確定申告をした年の法定申告期限から原則として5年以内

    必要書類

    ・所得税及び復興特別所得税の更正の請求書

    ・小規模企業共済等掛金払込証明書

    ・本人確認書類

    ・預貯金口座がわかるもの(還付金を口座受け取りする場合)

    更正の請求手続の提出先

    納税地を所轄する税務署長

    なお、所得税及び復興特別所得税の更正の請求書は、確定申告をした年によってフォーマットが異なるため注意が必要です。

    所得税及び復興特別所得税の更正の請求書は、国税庁公式サイト「[手続名]所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」から用意できます。また、更正の請求書の書き方や添付書類についても解説されているため、参考にしてみてください。

    ※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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