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「プライベートクラウドで学んだことをパブリッククラウド開発にも活かしたい」。インフラエンジニア 廣瀬崇人が考える「さくらのクラウド」の展望

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さくらインターネットではエンジニアの採用を積極的におこなっています。今回は、2024年12月に入社したクラウド事業本部 サービス開発グループ バックエンドユニットの廣瀬 崇人にインタビューを実施しました。インタビュアーは、一足早くさくらインターネットへ入社したクラウド事業本部 田籠 聡。エンジニアならではの視点で、これまでの経歴やさくらインターネットへの転職理由、これからやりたいことなどについて切り込んでもらいました。

廣瀬 崇人(ひろせ たかひと) プロフィール

さくらインターネット クラウド事業本部 サービス開発グループ バックエンドユニット
株式会社はてなのインフラエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、ライブドア(現:LINEヤフー株式会社)へ転職し、インフラエンジニア兼ソフトウェアエンジニアとして勤務。社内システムの開発と運用、LINEのプライベートクラウド「Verda(ベルダ)」の開発などに携わる。2024年12月にさくらインターネットへ入社。

プライベートクラウド開発からパブリッククラウド開発へ

田籠

最初に、廣瀬さんのこれまでの経歴を簡単に教えてください。

廣瀬

大学時代は株式会社はてな(以下、はてな)でインフラエンジニアとしてアルバイトをしていました。そのあと大学近くの会社でプログラマーのアルバイトを経て、2011年にライブドア(現:LINEヤフー株式会社)に入り、インフラエンジニア兼ソフトウェアエンジニアとして働くことになりました。そこでは、社内システムの開発と運用、LINEのプライベートクラウド「Verda(ベルダ)」の開発などに携わっていましたね。

田籠

いま、なにか興味があることや技術や活動などはありますか?

廣瀬

やはり、クラウド開発、IaaSレイヤーの開発ですね。前職でやっていておもしろいと思っていて、これからもさくらインターネットでやっていくことなので興味があります。

田籠

さくらインターネットのクラウド開発にはどんな印象を持っていますか?

廣瀬

さくらインターネットのすごいところは、OpenStack(オープンソースのクラウド基盤ソフトウェア)などのレイヤーを使わずに自社開発しているところだと思っています。ですので、そういったよさも活かしつつ、社外にある技術のよさも入れていける、そういう開発がしていければなと思っています。

これまで、Cloud Native Days(2019)で前職のOpenStackの取り組みを発表したり、Open Infra Summit(旧:OpenStack summit)といった海外カンファレンスに参加したりしていて、海外のクラウドについて知る機会が多くありました。そこで得た知識や経験も、さくらのクラウドに反映していければと思っています。

田籠

心強いです!

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アルバイト時代から続くさくらとの縁。元同僚との縁も入社のきっかけに

田籠

廣瀬さんは、さくらインターネットには、僕(田籠)と同じクラウド事業本部内の、サービス開発グループ バックエンドユニットの所属ですよね。どんな仕事をする予定なのでしょうか。

廣瀬

さくらのクラウド開発、IaaS基盤開発を担当する予定です。さくらのクラウドのIaaS基盤バックエンドをメインに開発していくチームに加わっています。

田籠

開発に直接的にかかわっていくチームだから、廣瀬さんのスキルを存分に発揮していただけそうですね。さくらインターネットへの転職はどういう経緯だったんでしょうか。

廣瀬

元同僚でもあった長野さん(クラウド事業本部 副本部長兼SRE室長)から連絡をいただいて、オンラインでお話をしたのがきっかけでした。

田籠

僕と同じパターンですね。

廣瀬

当時自分もプライベートクラウド開発から少し離れていたので、経験が本当にさくらインターネットの役に立つかなというのも気になるという話を長野さんさんにしたところ、SRE室の方とか、いまのバックエンドチームの方とか、そういった人たちとじっくり1~2時間話をして。全然問題ないよという話もいただいたので、ここで新しいチャレンジをしてみようと思い転職しました。前職も13年働いていて、会社が合併して1年経って一段落ちついたところでもあったので。

田籠

入社前、さくらインターネットにはどんな印象を持っていましたか?

廣瀬

もともととてもよい印象があったんですよ。というのも、はてなで働いていたときに、さくらインターネットのハウジングサービスを利用していまして、しょっちゅうデータセンターに通っていたんですね。これは、面接のときに知ったのですが、そのときに、大久保さん(クラウド事業本部 副本部長)がよくいらっしゃったそうです。はてなの自作サーバーの作業をするときによく大久保さんのところに行って「すみません、工具を貸してください」ってお願いしていました(笑)。

田籠

そのころからの関係だったんですね!

廣瀬

心温まるエピソードもいろいろあって……(以下割愛)。

田籠

いやー、それはすごい。心温まるエピソードがいろいろあったって記事に書いておきます(笑)。

廣瀬

はい。それですごくよい印象を持っていて、自分もクラウド開発をしていたので、さくらインターネットが条件付きでガバメントクラウドに採択された(※1)という話があって、自分が力になれるなら、と思って転職を決めました。

またライブドアからLINE時代の数年間、同じチームで働いていた長野さん(@kazeburo)と田籠さん(@tagomoris)のおふたりがいるというのも大きかったです。新しい職場に移るとき、知っている人がいるというのは心強いですよね。そもそも長野さんから連絡が来たのは、田籠さんが入社エントリをブログで投稿した日あたりだったんですよ。そういった情報を見て、「これからさくらインターネットはクラウドに注力してやっていくんだろうな」と感じたことも、決断の後押しになりました。

田籠

それはいいタイミングでしたね(笑)。

廣瀬

はい。田籠さんの入社エントリにもありましたが、給与面も含めて採用に力を入れているんだなというのが伝わってきました。

田籠

それはよかったです。もっとアピールしていきたいですね。

「さくらインターネットには、野生のエンジニアがいっぱいいる」は本当だった

田籠

いま、入社したばかりで現状を把握されている段階かと思いますが、技術的にかかわってみたいことや、やってみたいことはありますか。

廣瀬

「OpenStackにはあってさくらのクラウドにはないもの」っていうのは当然あるじゃないですか。たとえばOpenStackには、DevStackっていう簡単デプロイツールみたいな、小さいOpenStackをすぐにデプロイできるツールがあるんですよ。そういったものがあると開発がしやすくなりますし、各社にOSSとして提供するようなこともできるんじゃないかと思っています。環境一式を渡して「これ使ってよ」とお願いできるようになると、もっとおもしろくなっていくのではないでしょうか。

田籠

ぜんぜん想像していませんでしたが、それはおもしろそうですね。

廣瀬

そういうことができると、ちょうどこの間、ソフトウェア開発エンジニア(クラウドSDK)のポジションの募集が始まっていましたが、さくらのクラウドのSDK開発もどんどん加速していけるんじゃないかと思っています。

田籠

参考になります。さくらインターネットはどんなふうになっていくとよいと思いますか。

廣瀬

田籠さんも登壇していた11月の「さくらのTech Day」(さくらインターネットのエンジニアが登壇するイベント)のなかで、土屋太二さん(クラウド事業本部 プラットフォーム部)が言っていた「さくらインターネットには、野生のエンジニアがいっぱいいる」というのを聞いて、なるほどなと思って。実際入社したらやっぱりすごいエンジニアの方がたくさんいるなという印象を持っています。cloud-ctrlも、12年くらいの歴史を積み重ねながら運用されていてすごいですよね。そういったものを整理していけたらおもしろいと思います。また働き方の部分でも、リモートワークを続けられるのはありがたいです。その環境で密なコミュニケーションを取りながら開発を続けられればなと思っています。

田籠

今後も継続してやっていきたい活動や、新しく始めたい活動などは何かありますか?

廣瀬

以前はコミュニティ活動としていろんなところに行っていたんですが、子どもが生まれてからはしばらくできていなくて。この前、カナダにいる友人が日本に来てVimConf(Vimエディタに関する国際カンファレンス)に行っておもしろかったという話を聞いて、懐かしい気持ちになったんです。いまでは子どもが大きくなってきて落ちついてきたので、そういった活動もまた始めようかなと考えています。

「さくらのクラウド」のよいところは料金のわかりやすさ。育てていくべきなのは“超便利なマップ機能”

田籠

入社後に感じたギャップはありますか?

廣瀬

前職時代の最後のほうは、自分がタスク整理して、それをだれかに引き渡すような役目を担うことがよくあったんですよね。
タスクの整理をする際に自分がやっていたのは、事前に定められたゴールから逆算してなぜこれをやるのかという理由を添えたり、タスクを分解して取り組みやすい形にしてからメンバーに引き渡したりということです。一方でさくらインターネットのやり方は、タスクを渡されたエンジニアがそのまま一気にそのタスクに取り組むという感じ。そこのギャップは少し感じましたね。

個人的には先にタスクを分解してから取り組むやり方のほうが、全体像や経過が見えてあとからサポートもしやすいですし、よいのかなと感じています。ただ、さくらインターネットのいまの進め方は「ベンチャーっぽさ」と言えばいいかわかりませんが、進め方のスピード感は好きです。

田籠

そうですね。良くも悪くも、「これをやってね」とタスクを渡されたエンジニアが、それをそのまま最後まで作って、「できた」って言ったらそのまま世に出る……みたいなところがあるかもしれませんね。

廣瀬

たまにタスクの一覧を見ていても、経過が見えないものがあったので、そういう課題があるのかなと思いました。

田籠

いま新しいメンバーがだいぶ入ってきているので、変わっていくかもしれないですね。

廣瀬さんは、自社のプライベートクラウドを作るという側にいたじゃないですか。それで、これからパブリッククラウドを提供するということになったとき、ここは違ってきそうだなという部分はありますか。

廣瀬

当然セキュリティに関しては、より気をつけないといけないなというのは感じています。たとえば、仮想サーバーからホストサーバーにアクセスできて、ほかの仮想サーバの情報やサーバの設定が見えてしまうみたいなことが起きた場合、セキュリティインシデントですよね。こういったところの責任が大きいなというのは感じています。

また、機能面では、プライベートクラウドではマネージドサービスとして社内特有のサービスを提供できるのに対して、パブリッククラウドでは一般的に全員が使えるものを提供するという点が異なります。マネージドサービスに対する責任をどこが持つかの違いみたいなものですかね。

田籠

利用者が同じ組織の中の人なのか、完全に外の人なのか、みたいなところはたしかに違いますよね。

廣瀬

プライベートクラウドのMySQLなどマネージドなサービスは、デプロイするときに設定はもうすべて決まったものでやる、みたいな。パブリッククラウドはそういう感じじゃなくて、各社、各利用ユーザーが各自好きに設定をしていくっていうのを想定しなきゃいけないので。そこが大きな違いかなと思いますね。

田籠

なるほど。たとえば、利用する側のやらかしが与える影響、意図するにせよ意図せずにせよ、めちゃくちゃ大きいリソースを使ってしまう……みたいなこともありますかね。

廣瀬

ありますね。さくらのクラウドですごくいいなと思ったのが、VM(仮想マシン)を作るときに、コントロールパネルの左下あたりに値段が最初から時間割り、日割り、月割り、みたいな感じで表示されるじゃないですか。あれのおかげですごく抑止力が働いているのかなと思っています。

逆にプライベートクラウドを開発しているときって、社内だからみんな好き勝手作るんですよ。自由に作って放置してそれがコストになるみたいなパターンもあったりして。コスト感覚の違いがそういうところに出るんじゃないですかね。今日も研修でVM作っていましたけど、月に数千円とか出ているとちょっと怖いなと(笑)。

田籠

なるほど(笑)。たしかに、ほかのパブリッククラウドと比較して、「料金がわかりやすい」とか「月額上限があるのがいい」といった声をいただけることはありますね。

廣瀬

あとさくらのクラウドですごいと思ったのが1つあるんですけど、コントロールパネル一番左下の「マップ」という機能があるんですよ。あれはとても便利だなと思いますね。あれを見れば、ネットワークの状態など一目瞭然なのがすごく便利で。しかも無料で提供しているというのがすごいと思っています。

田籠

これはぜひ記事に書いておきましょう。

廣瀬

「超便利」って書いておいてください(笑)。

田籠

昨日出掛けた先のSIerさんからも、「マップが超よかった」って言われたばっかりなんですよね。あれは育てていくべき機能なのかもしれない。

廣瀬

育てていくべき機能です。はい。

田籠

お話ししていていろいろ新しい発見がありました。これからもよろしくお願いします!

廣瀬

よろしくお願いします!

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(撮影:ナカムラヨシノーブ)

執筆

田籠 聡

さくらインターネット クラウド事業本部。大学卒業後、インターネットサービスプロバイダ、ITインフラ系のSIerで働いたのち株式会社ライブドアに入社し、インフラ担当やデータ分析関連を担当するプログラマーとして勤務。その後、トレジャーデータ株式会社に参画し、バイアウトなどを経験したあと離職。フリーランスとして技術顧問や個人サービス開発などに数年携わったのち、2024年8月にさくらインターネットに入社。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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