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ハラミちゃん「自分のやりたいことをやることが、幸せになる結論」

ハラミちゃん プロフィール

ハラミちゃん プロフィール

YouTubeを中心に活躍しているポップスピアニスト。2019年6月から「ハラミちゃん」として本格的に活動開始。「ピアノを身近な存在にする」を目標に活動している。

絶対音感、即興演奏などの特技を活かし、各地のストリートピアノ動画で人気急上昇中。2020年7月に発売した1stCDアルバム「ハラミ定食〜Streetpiano Collection〜」ではビルボード週間総合ランキング1位、オリコン週間総合ランキング2位、オリコン週間J-POP部門で1位を獲得。

2020年にはワンマンライブを都内2カ所で開催。8月には中野サンプラザで無観客ワンマンライブ・a-nation出演など活動の幅を広げている。

4歳からピアノをはじめて、6歳ごろには絶対音感を身につけていたというハラミちゃん。自身のYouTubeチャンネル登録者数は145万人、チャンネル総再生数は約3億回(取材時)にも迫ります。そんなハラミちゃんは音楽大学を卒業後、音楽とはまったく関係ない会社で働いていました。

音楽大学を卒業してから、なぜ音楽とは関係ない会社で働きはじめたのか。その後なぜYouTubeをはじめることになったのか。「やりたいことをできるに変える」心得についてオンラインで聞きました。

会社員からYouTubeをはじめようと思ったきっかけ

ーー2019年6月から本格的に活動開始され、YouTubeのチャンネル登録者数が140万人超え(取材時)とすごい勢いで増えています。まずはYouTubeをはじめようと思ったきっかけと名前の由来について教えてください。

 

1年半前までは会社員でした。ただ、仕事をしていくうちに体調を崩してしまい、休職してお家にこもっていたんです。それで心配してくれた先輩が連れ出してくれて、ストリートピアノに出会いました。ちなみに、その連れ出してくれた先輩がいまマネージャーをしてくれています。

最初はYouTubeのことを考えずにピアノを弾いていたんです。それを先輩が撮影していて、ノリでYouTubeにアップしました。たくさんの方に見ていただけて驚きましたね。

名前は、チャンネルを開設するときに名前を決める必要があり、お肉の「ハラミ」が好きだからという理由と、親しみやすさを込めて「ハラミちゃん」に決めました。先輩と焼き肉ランチを食べた帰りに決めたんです。とても気に入っています。

ーー音楽大学から一般企業に就職しようと思ったのはどうしてでしょうか?

 

音大に通っているときに二つの挫折を味わいました。一つは、自分よりもはるかに音楽に対する愛情が深い人たちに出会ってしまったこと。休み時間にもピアノのことをずっと考えていて、ピアノのそばで寝ているような人がいるんです。そういう人たちと、ピアノの世界で戦っていくことを諦めてしまいました。

もう一つは、音大以外の大学の学生も参加できるインカレサークルに参加しているときの話です。私は音大に入ってピアノ一本でやっているのに、そのサークルに通っている人たちは勉強もできて、運動もできて、オシャレもしています。それなのに演奏も自分と同じくらいうまいんですよ。

 

それを見たときに、「自分ってなにをやっているんだろう」「自分のピアノは趣味のレベルなのかな」という気持ちになりました。

それでピアノの世界でやっていくことに不安を感じ、ここからはセカンドライフを歩もうと思って一般企業に進む道を選びました。

自己分析をすることが大事

ーー先ほどのお話のなかにもありましたが、ハラミちゃんは体調を崩して仕事を休職することになりました。現在同じような状況にある方に向けてアドバイスをいただきたいです。

 

「自分を知ること」が大事だと思います。就職するときにも自己分析をする人が多いと思うんですけど、学生のときに考えた自己分析と社会に出て働いてから考える自己分析は違ってきます。

私は体調を崩して休職していた期間に、ノート1冊分に自分のことを書いたり、いろいろな本を読んだりして、自分がどういう人なのかを細かく知ることができました。

そのときに自分はどうなりたいのか? と考えると「幸せになりたい」だったんです。「幸せ」ってなんだろう? と考えたときに人にピアノを聞いてもらうことが幸せだし、それによって自分が笑顔になれると気づきました。それがいまの活動につながっています。

 

これには原体験があります。小学生時代に音楽授業の前後に、同級生からリクエストを聞いてピアノを弾いていたんです。みんな笑って喜んでくれて幸せでした。ストリートピアノにはじめて挑戦したときも、小学生時代の経験を思い出しましたね。

一回立ち止まって、あらためて「自分ってどういう人間だろう?」「自分が死ぬときに後悔しない生き方ってなんだろう?」と考えることが大事だと思います。

公開しない生き方ってなんだろう?

 

ーー自己分析されている、ということでうかがいます。YouTubeでもピアノを弾いている方がたくさんいますが、そうした方たちと比べて、ご自身の強みは何だと思いますか?

 

原曲の良さをちゃんと伝えることを大事にしています。そこが、ほかの方と比べると強みになると思います。

私のモットーとして、自分が主役になるというよりも曲が主役になるように意識していますね。なので、あまり大きくアレンジしないようにしています。私は「曲」というコンテンツが好きで、どうしてこの曲が生まれたのかとか、背景を考察するのがすごく好きです。アーティストの方が大切に作った原曲へのリスペクトを残したままのほうが美しいと思っています。

原曲の良さやメッセージを受け取って、それを私がピアノで発信するイメージですね。

新型コロナウイルスの影響

ーー新型コロナウイルスはハラミちゃんの活動にどのような影響を与えましたか?

 

ストリートピアノは、なかなかできなくなりました。あとは、マスクをしないといけないので、音楽は楽しいというメッセージを顔や表情で伝えるのが難しい面もあります。

ただ、生配信の頻度を増やしたり、ネットならではのことに力を入れました。一時期は週に3日くらい生配信をしていましたね。生配信のチャットでコミュニケーションを取れたり、聞いてくれる方との絆は深まったのかなと思います。

ストリートピアノ以外のことにも挑戦できましたし、作曲する時間ができました。可能性は広がったのかなと思います。

目標は「目標を作らないこと」

ーーハラミちゃんは事務所に所属せずフリーランスとして活動をしていますが、大変なことはなんでしょうか? 逆に良いと思うことも教えてください。

 

正直、大変なことってないんですよね。先ほどもお話したように、最初にストリートピアノに連れ出してくれた先輩がマネージャーをしてくれているんですけど、ふたりで活動目標を決めました。それが「目標を作らないこと」なんです。

◯月までにチャンネル登録者数◯万人、フォロワー数◯万人、今年は絶対これを実現するなどなど……。こうした具体的な目標を作らない、ということを決めました。

その理由ですが、自分たちが笑顔で楽しく活動することが伝わって、周りも楽しくなってくれたらいいなと思っているんです。目標を決めてしまうとそれが重荷になって、楽しく活動できなくなると思いました。それは本末転倒です。

自分たちの楽しくやれるペースを保つことが大事だと思います。そうした考えがあるので、事務所に所属せずにフリーランスの道を選んでいます。

やりたいことをちゃんとやる人生

やりたいことをちゃんとやる人生がいいな、と思っているんです。頭の片隅で「本当はこれやりたいんだよな」と思い続けるのはモヤモヤします。社会人時代、本当は音楽活動で食べていきたい、コンサートをやったりCDを出したいと思っていました。でも「割り切って現実見ろよ」と考える人も多いですよね。私も以前はそう考えていたこともあります。

結局は他人の目を気にせず、自分が本当にやりたいことをシンプルにやることが幸せになる結論だと思いました。極論ですが、「あなたは明日死にます」と言われたときに、そうなっても良いと思えるくらい、いまは本当にやりたいことをやれています。

やりたいことをやって、仕事につながるパターンとつながらないパターンがあると思うんですけど、私はたまたまつながるパターンの人間でした。

仕事につながらないパターンだとしても、自分が好きなことを続ける環境に身を置けることが幸せだと思うし、大事だと思います。続けることで、いつかは仕事につながる機会が来るかもしれません。 

自分が見てる世界と他人が見ている世界は違う

ーー先ほど音大時代には、ほかの方と自分を比べてしまっていたとおっしゃっていましたが、他人の目を気にしないようになったきっかけはなんだったのでしょうか?

 

思い切ってYouTubeで発信したときに、自分が求めていることと世間が求めていることは違うと気づきました。自分のなかでは全然うまく弾けてないし、こんなの公開したら批判しかこないと思っていたんです。ピアノをわかっているからこそ、本当にすごい人との差を感じるので、細かい技術のことを気にしていました……。

だけど、私の演奏を見て聞いてくれる人は「ハラミちゃんの楽しく弾いている姿が好き」とか、「ハラミちゃんの音が好き」と言ってくれるんです。

これには本当に驚きました。私は視野が狭くなっていたんですね。そこからは批判は気にしないで、自分がやりたいことをやってついてきてくれる人を大事にするほうが幸せになれると思いました。

 

ーー最近はテレビ番組への出演なども増えていますが、緊張やプレッシャーはありますか? どのように緊張やプレッシャーをコントロールしているのか教えてほしいです。

 

私はとても緊張しやすいのですが、ピアノの椅子に座るとまったく緊張しなくなるんです。ピアノを弾きはじめると自然体で演奏できるので、自分でも驚きます。

失敗しても、その失敗を刺激に思うように発想の転換をすることで、緊張を軽減できるんです。「失敗しちゃいけない」「みんなに見られて嫌だ」と思うと緊張してしまいますが、「こんなに見ていただけてうれしいな」と感謝の気持ちを持つことで、落ち着く気がします。

ハラミちゃんの「やりたいこと」

ーーさくマガのテーマが「やりたいことをできるに変える」なのですが、ハラミちゃんが今後やりたいことはなんでしょうか? それを叶えるためにおこなっていることも教えてください。

 

コロナが収束したら日本中、世界中のストリートピアノをめぐりたいと思っています。そのほかには、ピアノ自体をプロデュースしたり、楽譜を作ったりとか、動画から飛び出してピアノを触ってくれる人を増やしたいです。

活動についての具体的な目標は作らないんですけど、「ピアノを身近なものにする」「ピアノをひとりでも多くの人に好きになってもらう」ことを考えています。

 

日本は世界に比べると、インストゥルメンタル(楽器だけで演奏される、歌のない曲)の規模が全然少ないんです。音楽チャートには、歌入りの曲ばかりじゃないですか。もちろん歌も大好きなんですけど、楽器単体の音色や素晴らしさを伝えるためにYouTubeとか生配信で発信をしていきたいと思っています。

ーーハラミちゃん、本日はありがとうございました!

 

 

執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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