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年間8,000万件発生する身近な社会課題を解決! 落とし物クラウド「find」

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誰しも一度は経験があるであろう「落とし物」。日本では年間8,000万件の落とし物が発生していて、2人に1人は困っている計算になる。筆者もよく落とし物をするが、見つかるか不安になりながら、焦って交通機関や商業施設、交番に電話をかけてまわるあの時間は、思い返すだけで胃が痛くなる。

 

株式会社findは、そのような身近な「落とし物」にDXの可能性を見出し、落とし物クラウド「find(ファインド)」を開発した。同社の強みや目指す世界について、代表取締役CEOの高島 彬さんに聞いた。

高島 彬さん(たかしま あきら)さん プロフィール

2013年オリックス株式会社入社。環境エネルギー分野、オープンイノベーション分野に従事。自身の落とし物で困った経験をもとに、2021年12月に株式会社findを和田と共同創業し、同社代表取締役CEOに就任。落とし物にまつわる課題解決プラットフォーム「落とし物クラウド」を運営・提供。趣味は、音楽、釣り、サウナ、ポーカー。

自らの「落とし物体験」が人生をかける起業テーマに

株式会社findは「落とし物が必ず見つかる世界へ」をビジョンに掲げ、落とし主と預かる企業を早く・正確につなぐ唯一無二のサービス「落とし物クラウドfind」を提供している。従来にはなかった一気通貫のサービスは、すでに京王電鉄株式会社と九州旅客鉄道株式会社(JR九州)で本格的に導入されており、今後も大都市圏のインフラ、商業施設中心に10社ほど利用予定がある状況だ。

落とし主向けのチャットから、管理システムまで一気通貫でサービスを展開(提供:find)

落とし物をしてしまう人と、落とし物対応に悩む企業、双方のニーズをくみ取って生まれたfindのサービス。着想のきっかけには高島さんの原体験があった。

 

「前職で働いていたころから和田と2人で起業することを考えていました。しかし、なかなか人生をかけるテーマを見つけることができず、アイデアを出してはつぶす日々を過ごしていました。そんななか、出張中に社用のスマートフォンをなくしてしまったんです。あのときは本当に焦りました。

 

結局、なくしてから一週間後に警察から見つかったと連絡があったのですが、時すでに遅し。会社への始末書ももちろん書きましたし、見つかるまでは毎日、駅やホテル、居酒屋、カラオケなど立ち寄った場所すべてに電話を入れる日々でした。駅の窓口にも出向き、私の落とし物に5分以上も時間を割いてもらっても結局見つからず。列のうしろには道案内を待っている高齢者の方が並んでいて、駅係員さんに時間を使わせてしまったことがとても申し訳なかったです。そのときふと、これで起業すればいいと気づいたんです」

自分自身のリアルな体験から、確信めいたものを感じた高島さんはさっそくfindを和田さんと共同起業。しかしながら、落とし物のニーズを具体的なサービスに落とし込むことに半年以上苦戦。そんなときに出会ったのが京王電鉄だった。

 

「弊社のビジョンにはすぐ共感いただき、『実際の現場課題を見てみないか』と、お忘れ物取扱所や基幹駅のバックオフィスに入り1週間ほど業務体験をさせていただきました。落とし物のハンカチを広げ、「白字に青の花柄、タオル地、20cm四方、○○製」などの特徴を管理システムにひとつひとつ手入力していくような作業は、本当に大変でした。これをきっかけに、拾った人と落とし主をつなぐだけでなく、その間にある企業の負担も軽くして“三方よし”の世界をつくろうと考えたのが、いまのサービスの原点となっています」

 

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落とし物返還率3~4倍アップ! 導入後数か月で確かな成果に

findのサービスを導入している鉄道会社2社は、いずれも2023年からのスタートだが、1年に満たない期間ですでに効果が現れはじめている。とくに顕著なのが「返還率」と「電話問い合わせ数」だ。

 

「落とし物の返還率は3~4倍に増えています。これまで『記名式でない落とし物の照合』は困難な課題でした。たとえば、免許証や学生証など記名されているものは、従来のシステムでも名前を入力することで比較的簡単に見つかります。しかし、記名のない上着や傘は、駅係員が特徴を判断して手入力したテキストデータに頼るしかなく、システムで検索してもなかなか合致しませんでした。

 

一方、弊社のサービスでは画像を使ってマッチングします。ネットオークションに出品するような感覚で、駅係員の方々が画像を専用アプリにアップロードすれば、簡単にシステムに連携できる仕組みです。すべての落とし物が画像つきで管理され、検索時もビジュアルから探せるので、正確性とスピードの両方が向上しました。いまでは生成AIを実装しており、より早く正確に落とし物を登録できるようになっています」

画像つきで一元管理できる管理画面のイメージ(提供:find)

また、落とし物をしてしまったユーザー向けには、まずLINEのチャットボットの活用を促すことで、電話問い合わせ数を最大80%削減することに成功した。チャットのやりとりはAIを活用しているため、駅係員が対応していたときと比べて大幅な省人化となっている。接客効率を高めるためのチャットボット導入だったが、思わぬユーザーからの反響もあったという。

 

「チャットボットはユーザーからのメッセージ送信も自由にできるため、感謝の声が続々と集まってくるようになりました。『落とし物の弁当箱をきれいに洗ってくれてありがとうございます! 開けてみてびっくりしました』といったメッセージも。駅係員の方々のホスピタリティが高いからこその反響ですね。チャットボットを介するオペレーションにしたことで、感謝の声が可視化しやすくなった側面はあると思います」

 

DXによって人的工数を大幅に削減した一方で、これまでに比べて感謝の声は届きやすくなった。お客さまからの「ありがとう」の言葉は、鉄道会社にとっても、findにとっても大きな励みとなり、感謝の輪を生んでいる。

自宅以外のすべての場所を「落とし物プラットフォーム」圏内に

findが見据える今後の展開は、全国の鉄道会社での導入にとどまらない。空港、バス、タクシーといった交通インフラはもちろん、テーマパークやスタジアム、大型アウトレットなどの商業施設、さらには交番や警察署含め、最終的には「自宅以外すべての場所」が対象になりうると高島さんは考えている。

 

「将来的には会社ごとではなく、会社をまたいで落とし物情報を連携する大きなプラットフォームをつくります。駅で落とし物をしたら、その駅で電車を運行している多数の鉄道会社や駅ビル、警察などに問い合わせる必要がありますよね。これをすべて弊社のシステムで統合できれば、一度の問い合わせで済むようになります。企業にとっても、自社と関係ない問い合わせを削減できるため、大幅な省人化が見込めます」

 

また、従来の落とし物管理は物流コストも大きい。落とし物は倉庫や警察などあちこちに転送され、持ち主が見つからなければ会社へと戻ってくる。各社は落とし物管理のために大きな倉庫を用意している状況だ。一方で、findのサービスでの一括管理が実現すれば、落とし物を物理的に移動させる必要はなくなる。システム上でいまどこが管轄しているか、ラベリングだけを更新していく仕組みだ。

 

また、持ち主が見つからなかった場合の二次流通(販売)についても、数年後の実現を目指して情報収集や準備を進めている。

 

「いまは鉄道会社が各社で落とし物市を開いたり、中古品買取業者と提携したりして二次流通をおこなっています。弊社のサービスが販売まで一括してできれば、各社から大量の持ち主のいない落とし物と、それらに近いものを探している人が集まってくるでしょう。双方のニーズが合致すれば『落としたものの代替商品』をすぐ提示し、販売することもできるかもしれませんね」

findが構想する落とし物プラットフォームのイメージ(提供:find)

2021年の創業から2年間、多数の鉄道会社との提携が進み、目まぐるしく環境が変わってきたfindだが、根底にある高島さんの想いは変わることがない。

 

「お金稼ぎのために起業するわけでもないし、起業することが目的でもありませんでした。人生をかける『落とし物』というテーマに出会うことができてからは、落とし物の社会基盤をつくることを目標に、高い志を持ったメンバーと毎日スピード感をもって試行錯誤する日々を楽しんでいます」

 

年間8,000万件も発生する落とし物の社会課題は、findや一部の鉄道会社だけの力で解決できるものではない。交通インフラから警察、小売店舗など、あらゆる施設の協力が不可欠だ。「『落とし物が必ず見つかる世界をつくりたい』というfindのビジョンに少しでも共感いただけたら、力を貸してもらえるとうれしいです」と高島さんは呼びかける。

 

株式会社find

 

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執筆

安光 あずみ

東京都出身、在住。広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、SEO記事まで幅広く執筆。ひとり旅が趣味。「ぼっちのazumiさん名義でも noteなどで発信中。
note:https://note.com/azumi_bocchi

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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