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電設資材のトップメーカーがおこなった営業体制の大改革。その裏にあった問題意識と、描く未来図とは

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「いい今日と、いい未来を電気設備から」をキャッチコピーに、照明や配線器具から省エネソリューションまで幅広い電設資材を扱う、パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社。配線器具では国内外で大きなシェアを獲得、照明や省エネの分野でも有名施設へのソリューション納入事例を多数持つ同社は、コロナ禍の間に営業体制を刷新した。そのためのプロジェクトが、営業支援プラットフォーム「Salesforce」の導入だ。
国内トップのシェアを誇るメーカーは、なぜ改革を断行したのか。そのプロジェクトを担当する、田原 永典さんに話を聞いた。

田原 永典(たばる えいすけ)さん プロフィール

パナソニック電工(現・パナソニック)に入社後、人事部門に配属され、全社給与・社会保険などの事務を担当。その後、福島県・郡山工場へ転属し、工場・車載事業部の人事担当を経て、社内公募制度でパナソニック株式会社 エレクトリックワークス社の経営企画へ。2020年よりデジタルマーケティング推進室にて、Salesforceの導入、現場定着化を推進。また、連結会社での導入支援もおこなっている。

若手社員の危機感が改革のきっかけに

Salesforceは、ITの力を駆使したクラウド型の営業支援プラットフォーム。見込み顧客の発掘から接点の構築・強化、成約までの一連の営業プロセスを効率化・可視化させるツールの集合体だ。Salesforce のなかには、顧客・営業管理ツールの「Sales Cloud」、カスタマーサービス支援ツールの「Service Cloud」、B to Bマーケティングを支援する「Marketing Cloud Account Engagement」(旧名:Pardot)などのサービスがあり、導入先のニーズに応じて個々のツールを選んで使用できる。現在、エレクトリックワークス社では、Sales Cloud を全営業職に、Marketing Cloud Account Engagement も希望する社員に提供。顧客や営業案件の状況などを社内全体に可視化することで、営業業務の効率化を進めている。

同社内で、Salesforceを導入して営業体制のDXを進めようという答申が上層部におこなわれたのは2019年4月のこと。その前年にあったSalesforce社からの接触がきっかけで答申へと至ったというが、「答申前は『小さくないコストをかけてまで導入するべきなのか』という疑心暗鬼な声も少なくなかった」と田原さんは言う。

 

「コストパフォーマンスを疑う社員の声があるなかで、それでも導入へと至った理由は、若手が抱いていた危機感でした。国内の電設資材市場は、今後の人口減少に沿って収縮していくことが予想されます。そんな状況下でも成果を出すためには、新たな顧客の開拓や、モノではなくソリューション全体を売るといった、難易度の高い営業活動が必要です。しかし導入前の体制では、それが難しい状況にありました」

 

以前の体制の何が問題だったのか。それは、同社が大手メーカーであるがゆえ、さらには業界特有の問題だった。同社は、全国各所に多数の営業拠点を持っている。しかし従来は、拠点ごと、さらには部門ごとの独立性が強く、個々の営業案件もノウハウも属人化してしまっていた。これでは会社としてノウハウが蓄積されないし、若手がそれを学ぶ機会も限られてしまう。

おまけに、電設資材の業界は歴史が古いため、営業手法はすでに確立されており、新たな手法を導入するのは困難だった。同社は過去に多くの成功例を持ち、既存の顧客を多く抱えているため、現時点での安定性は高いが、成長性という点では疑問符がつく。Salesforceの導入は、そのクエスチョンを解消するための取り組みとなった。

 

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技術職も実感する改革の効果

取材に同席した広報の吉田さん(左)と田原さん(右)

同社では導入以降、顧客のニーズや案件の進捗、営業活動の履歴や成果などを、全社的に共有している。田原さんはその効果について、次のように語る。

 

「われわれは大きな会社なので、1つの顧客に複数の部門が営業をかけることがあります。そのようなケースにおいて以前では、横の情報共有が社内でできていませんでした。しかし導入以降は、他部署がどのような営業活動をおこなったのか把握してから顧客訪問ができるようになったので、複数の部門で連携したアプローチをとれるようになりました。また、お客さま相談センターへのお問い合わせがあったときに、営業への情報エスカレーションがしやすくなり、より具体的な提案をできるようにもなりました」

 

技術職のモチベーション向上にも一役買っているという。取材に同席した、同社広報の吉田 綾香さんも、その効果を実感している1人だ。

 

「私は広報になる前、照明の技術営業を担当していました。非住宅の物件は工期が大変長いため、設計の初期段階で提案した商品が実売につながるかは、数年後に建物が竣工してみないとわかりません。提案から竣工に至る途中で営業担当が変わることもありますし、自分が過去に担当した案件が、実売まで至っているのかは気になるところです。Salesforce導入以降は、営業担当に確認せずともその情報を知れるようになりました。商品の開発担当者からは、『顧客の反応がダイレクトにわかるので、作る側としてもやる気がでる』という声をよく聞きます」

ITツールのさらなる普及による組織変革を推進

田原さんはいま、導入によって出た効果を拡張することに取り組んでいる。筆頭が、B to Bマーケティング支援ツールであるMarketing Cloud Account Engagementの利用拡大だ。全営業職に提供しているSales Cloudと異なり、こちらを使うかは社員の自由になっている。しかし、使いこなすことによる業務効率化効果は大きいため、社内で活用コンテストを開催するなどして、普及を進めている。

 

「毎週月曜日夕方に、Marketing Cloud Account Engagementの活用法をみんなで提案しあう、カジュアルなオンライン会議『Pardot カフェ』を開催しています。いまでは、全国各地から参加者が集まってくるようになりました。また、社内の活用コンテストで優秀賞を受賞すると、豪華な景品をもらえます。これらの取り組みは、Salesforce社からも表彰を受けました。取り組みの甲斐あってMarketing Cloud Account Engagementを使いこなせる社員も増え、現在ではマーケティング部 4分の1くらいが使用しています」

 

田原さんは、20代・30代の若手が会社を引っ張る時代がきていると考えている。上司の指示によって現場を構成する部下が動くのではなく、現場が走りながら考える、そんな組織を思い描いているのだ。Salesforceの社内普及は、その風土を整えるための策でもある。たとえば、社内や顧客の情報が一元化されていれば、部下から上司への提案をするとき、その根拠になる材料を探しやすくなる。

他社との情報交換もおこなっているという。活用の幅が広いツールは、他社の使い方を学ぶメリットが大きい。田原さんは「井の中の蛙状態にならないよう、業界の外にも目を向けたい」と語る。

 

「同サービスをお使いの企業の方がいらっしゃったら、ぜひ声をかけていただければと思っています。使い方が肝要なツールなので、多くの方との意見交換ができればと思っています」

 

ITサービスの導入によりDXを推進し、営業活動の効率化、そして組織の変革と、大きな冒険をしている田原さん。業界が抱える停滞感を打破する大手メーカーの取り組みは、同じような課題を抱える企業にとって、重要なモデルケースになりそうだ。

 

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社

 

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執筆

畑野 壮太

編集者・ライター。出版社、IT企業での勤務を経て独立。ガジェットや家電など、モノ関連の記事のほか、ビジネス系などの取材を多く手掛けている。最近の目標は、フクロウと暮らすこと。
Website:https://hatakenoweb.com/

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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