eスポーツ文化が盛り上がりを見せるとともに、新しい職業「eスポーツプロゲーマー」が誕生しました。ゲームの世界一を決める大会では、洗練された技術で観客を魅了します。eスポーツ業界において花形の職業で、格闘ゲーム、FPS、MOBAなど多岐にわたるジャンルのプロゲーマーが存在。
eスポーツ大会やプロリーグに出場し、ゲームイベントや番組などの出演、自分自身が広告塔となりスポンサーの商品を宣伝するといった仕事をします。
毎日のトレーニングでは地道でストイックな練習に加え、戦術の研究などについてチームでミーティングをします。大会の賞金やスポンサーからの支援、所属チームからの給料などで生計を立てています。実力や知名度が上がると、eスポーツ専門雑誌への連載やメディアへの出演、プロゲーマー講師といった活躍の場も広がるのです。将来的にはeスポーツ大会やプロチームの運営・コーチといった活躍も可能でしょう。
eスポーツゲーマーは、プロゲーマーとアマチュアゲーマーに分類されます。プロゲーマーとアマチュアゲーマーの決定的な違いは、出場できる大会と賞金です。出場できる大会については、消費者の利益を保護するための景品表示法が関係します。
景品表示法とは
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、消費者の利益を保護することを目的とした法律です。消費者が適切な商品やサービスを選べるよう、過度な景品類の提供を防ぐために景品類に対して上限を設定しています。eスポーツ大会の賞金は、この「景品類」に該当する可能性があります。
景品表示法の規制を受ける大会
景品表示法の規制を受ける大会のポイントは主に2つあります。「賞金制大会を主催するのは誰か?」そして、「競技タイトルの販売、課金方法はどうなっているか?」という点です。
eスポーツは市販されているゲームソフトを使用して開催されます。そして、主催が「ゲーム会社」か「第三者」で区別されています。このうち、景品表示法の規制を受けるのは、ゲーム会社が主催する賞金制の大会です。
そして、競技タイトルが販売されているゲームタイトルや「課金額がユーザの強さに影響するタイトル」の場合、景品表示法の規制を受けます。
プロライセンスについて
景品表示法の規制を受けることなく賞金額が10万円※を超える大会を開催するには「仕事の報酬等」という考え方があります。賞金が「大会への出演」という「仕事に対する対価」として支払われる場合には、景品表示法の規制を受けないと考えられています。
そこでeスポーツに関する様々な普及活動をおこなう一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)では、「JeSU公認プロライセンス制度」を制定。選手の活動が仕事であることをプロライセンスという仕組みを通じて明確にすることで、「選手に確実に賞金を授与できる大会」を実現しています。
※取引価額の20倍または10万円の小さい方かつ総額が売上予定総額の2%以内
(参考:JeSU-プロライセンスについて)
プロゲーマーの主な活動
プロゲーマーの主な活動について紹介します。
eスポーツ大会やプロリーグへの参加
プロゲーマーの本髄は、世界を魅了させるeスポーツ大会での活躍にあります。
コントローラーを利用した操作技術やチームの連携プレイなど、日々の鍛錬の成果を発揮し大会で優勝をめざします。人気MOBAゲーム「League of Legends」などの大規模な大会であれば、全世界から何千万人もの視聴者が集まり、大きな経済効果が生まれます。
海外遠征
高額賞金の多い大会への参加するため、海外に遠征することもあります。海外チームとの交流などもおこない、海外チームの実力や戦術を知ることで、自分たちの成長の糧になります。
イベントへの参加
プロゲーマーには、イベントの招待やプロゲーマー同士のエキシビションマッチ、ファンとの交流対戦会などがあります。ファンとの交流を通して、eスポーツイベントやコミュニティを盛り上げるのです。
解説
eスポーツ大会や関連番組などで、ゲームの解説をおこなうこともあります。視聴者に何が起きたのかを解かりやすく説明することで、ゲームの面白さや魅力を伝えられます。
配信や広告
プロゲーマーは、日々の活動を配信しています。「YouTube」や「Twitch」といった配信メディアを利用し、技術の解説や練習のレビューをおこなっています。トップクラスのプロゲーマーの配信は、一度に1万人を超える視聴者を集めることもあるのです。
プロゲーマーが自ら広告塔となりスポンサーアイテムを宣伝・紹介することで、スポンサーから支援を得ます。
コーチング
プロゲーマーはそのゲーム技術を買われ、学生にコーチングをおこなうこともあります。eスポーツ業界の発展のために、未来のeスポーツを盛り上げる後進を育成するといった活動もしています。
求められる知識や技術
日々のトレーニングについてお伝えします。たとえばFPSゲームでは、敵に照準を合わせる「エイム」を、格闘ゲームなどでは「コンボ」といった技術を磨きます。反復練習を繰り返し、速いゲーム展開に対応できる反射能力や技術の正確さを身につけなければなりません。大会本番で多くのプレッシャーに耐えるため、強い精神力を鍛えることも忘れてはいけません。
戦術研究
ゲームのシーズンごとにアップデートされる戦術やトレンド・定石を研究することで、ゲーム展開を有利に進められます。対戦相手の癖や戦術も研究し、勝利への戦略を立てることが重要です。
英会話
eスポーツのゲームは、全世界でプレイされています。世界の最新の情報にすばやくアクセスしたり、海外遠征においては英語を話す機会もあります。英語を身につけられれば、世界でも活躍できる選手になれるでしょう。
eスポーツプロゲーマーになるには
プロゲーマーになるためには、ゲームスキルを磨き、大会に出場することが大切です。完全実力勝負の世界なので、学歴・年齢・国籍など問わず、世界中の誰もがプロゲーマーとして活躍できる可能性を秘めています。
プロゲーマーとして生計を立てるには、大会で優勝するため日々の練習や試行錯誤など地道な努力が必要です。また、スポンサーから支援を受けることも可能ですが、そのためには一定の成績や広告塔としての立ち位置を獲得しなければなりません。
独学でプロゲーマーを目指すこともできますが、最近ではeスポーツの知識や技術が学べるゲームの専門学校に通う人が増えてきています。
「大阪アニメ・声優&eスポーツ専門学校」は、プロのゲーマーを育成する専門学校として知られています。ゲームのスキルや戦略・戦術の立て方などを身につけ、世界で活躍できる選手を教育しているのです。
プロチームはeスポーツプロゲーマーを集めた精鋭で構成されており、日々切磋琢磨しています。
さらなる技術の向上に力を入れ、大きな大会で優勝を目指しているのです。
プロゲーマーの1日について
プロゲーマーは、日夜ゲームの練習や戦術についてのミーティング、試合についてのレビューなど、eスポーツに関する様々な取り組みをおこなっています。多くのプロゲーマーはチームで活動するため、チームが専用のスタジオを持っている場合も。朝からミーティングをおこなった後に、ゲームの腕を磨くための練習をします。各自休憩を挟みつつ熱心に取り組んでいるのです。
帰宅後に個人練習する人もおり、「YouTube」や「Twitch」といった配信メディアでファンとの交流や他のプレイヤーとコラボレーションをしたりと、PR活動にも力を入れています。
プロゲーマーの生計について
海外のトッププレイヤーが数億円の年収を得ているという話はよく耳にします。日本でのプロゲーマーの平均年収は、400万円程度と推測されています。各選手は、ほぼ個人事業主という形です。
プロゲーマーは、主な収入を大会賞金やチームの給料という形で得ています。そして、そのお金は企業のスポンサードによる支援金で成り立っているのです。ゲームをプレイするためのパソコンやデスクなど、周辺機器については個人で購入する場合もあれば、メーカーから提供を受けられる場合もあります。
まとめ
アマチュアゲーマーとプロゲーマーの違いは、JeSUなどのeスポーツを統括する団体からライセンスの承認を得ているか否かであり、出場できる大会や賞金にも違いがあります。
プロチームは学生が勉強する時間と同じくらい練習に明け暮れています。そうした日々の努力の積み重ねが大会で活躍する秘訣です。日本のプロゲーマーの平均年収は現状決して高いわけではないですが、ファンやスポンサーの方々に支えられています。今後、世界を股にかけるeスポーツプレイヤーになれるよう、日々の授業や練習に取り組みたいと思います。
編集:株式会社PACkage、全日本大学eスポーツ対抗戦実行委員会