日本で作られたゲームや家庭用ゲーム機は、世界的にも人気を集めています。まさに日本は「ゲーム大国」といえるでしょう。しかし、eスポーツでは世界と比べると出遅れてしまった印象があります。そんな中、少しずつeスポーツの大会も開催され、企業によるスポンサーも増えてきています。
経済産業省(受託者:一般社団法人日本eスポーツ連合)は2019年から「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を開催。日本のeスポーツ発展に向けて活動しています。
この記事ではそんなeスポーツについて解説します。
eスポーツとは?
eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略称で、コンピューターゲームを用いてスポーツ競技として扱うものです。eスポーツで使われるゲームの種類には PC ゲーム、家庭用ゲーム、スマートフォンゲームなどがあります。
eスポーツの魅力は、ゲームを競技として取り組むことで、現実のスポーツと同じような競技性を体感できるところです。個人技だけではなく、チームとしてもプレイできる点も魅力的です。
「eスポーツはスポーツなのか」と疑問に感じている人は多いと思います。日本人がイメージするスポーツは、肉体を使ったフィジカルなものです。
陸上競技をはじめ、野球やサッカーなどの球技やボクシングといった格闘技などがあります。
これに対してeスポーツは「マインドスポーツ」に分類されると専門家は答えています。マインドスポーツとは、頭脳を使ってプレイするスポーツのことです。
「Sports」の語源はラテン語の「Deportare(デポルターレ)」が由来になっている説があります。このDeportareの意味は「気晴らしをする。遊ぶ。楽しむ」です。そう考えると、肉体を使わないeスポーツも、スポーツだと言えるのではないでしょうか。
(参考:野村総合研究所 マインドスポーツという新たな市場創造に向けて)
eスポーツの競技人口
eスポーツの競技人口は、年々増えています。世界のeスポーツ人口が約1億3000万人いるのに対し、日本のeスポーツ人口は 400万人以下と言われています。世界におけるeスポーツの視聴者数は、5億人とも言われています。なぜ日本のeスポーツ人口が少ないのか。それはゲームを「遊び」だと捉える風潮があるからではないでしょうか。
子どもがゲームを長時間楽しんでいたら、多くの家庭では保護者が「ゲームなんかしないで勉強をしなさい」と子どもを叱ります。「ゲームは勉強の妨げになる」という価値観が、日本の家庭に根付いているといえます。世界に比べて、日本の競技人口はまだまだ少ないですが、世界に負けないくらい増えていってほしいです。
eスポーツの市場規模
ゲーム総合情報メディア『ファミ通』によると、2020年における日本のeスポーツ市場規模は66.8億円(前年比109%)。2024年には180億円を超えると予想されています。
世界に目を向けると、2020年における世界のeスポーツ市場規模は、9.74億ドル(1ドル=115円計算で約1120億円)。2023年には15億9820万ドル(1ドル=115円計算で約1838億円)と予想されています(株式会社KADOKAWA Game Linkage調べ)。
eスポーツの歴史
一般社団法人日本eスポーツ連合によると、eスポーツという言葉が使われ始めたのは、2000年頃からだとされています。ただし、世界最古の大会は1972年にアメリカのスタンフォード大学で開催された「スペースウォー!」の大会とされています。1990年代にはインターネットが普及したこともあり、ゲームのスポーツ化が加速したと言われています。
1997年、テキサス州ダラスでコンピューターとコンソールビデオゲーム競技に特化した専門のスポーツ大会組織「サイバーアスリートプロフェッショナルリーグ(CPL)」が組織されました。このCPLが世界中で開催されているプロのビデオゲームトーナメントのパイオニアとみなされています。2003年にはESWC (Electronic Sports World Cup)がフランスで開催。2006年にはOCA (アジアオリンピック評議会)主催第2回アジア室内競技大会における正式種目への採用を経て、2011年に第1回eスポーツJAPAN CUPが開催されました。
そして、国際オリンピック委員会(IOC)が2021年5月13日から6月23日にかけて、各国際競技連盟と協働。正式にeスポーツ大会・OVS(Olympic Virtual Series)が開催されたことも、記憶に新しいのではないのでしょうか。この頃から、新聞の見出しなどでもたびたびeスポーツが話題に上がるようになり、eスポーツを知らない方へも浸透し始めているのでは、と感じています。
eスポーツがオリンピックライセンスイベントに
オリンピックが若い世代からより多くの視聴者や支持を獲得するために、前述のOVSが誕生しました。
Olympic Virtual Series は、2021年5月13日から6月23日まで開催され、フィジカルなスポーツの世界と、バーチャルスポーツやシミュレーションスポーツのゲームコミュニティをつなぐ舞台を作ることで、オリンピックムーブメントに関わる機会を提供する。
このようなコンセプトのもと、世界中のゲーマー、eスポーツ、バーチャルスポーツの愛好家に向けた大会が開催されました。
eスポーツの種目
eスポーツは1つのジャンルに絞られず、あらゆるジャンルが存在します。
eスポーツの種目ジャンル1.格闘ゲーム
格闘ゲームはプレイヤーが1対1やタッグを組んで相手の体力を削り、KOを先取するゲームです。非常に大きなコミュニティも存在し、FGC(格闘ゲームコミュニティ)としても知られています。
格闘ゲームのジャンルは非常に自立しており、没入すればするほどやりがいがあります。すべてのeスポーツで最も人気のジャンルの1つでもあります。「ストリートファイター」などのゲームが人気です。
eスポーツの種目ジャンル2.パズルゲーム
パズルゲームは、非常にポピュラーなゲームです。数十年にわたってプレイされてきたゲームが多く、ビデオゲーム全体の開始以来、最も人気のある「テトリス」は今もなお続いています。
従来のボードゲーム、将棋やオセロパズルゲームのように戦略が何年にもわたって研究されています。したがって、頭脳を使うゲームとなっています。
eスポーツの種目ジャンル3.MOBA
MOBAとは「Multiplayer Online Battle Arena」の略称。複数人で協力して対戦し、特定の目的を狙っていくジャンルになります。
代表的なゲームとして最も競技人口の多いと呼ばれる「League of Legends」をはじめ、最近話題となっている「ポケモンユナイト」もこのジャンルに含まれます
League of Legendsの競技人口は1億人にものぼり、世界中で10年以上も続けられている歴史の長いゲームです。
また、「Dota2」と呼ばれるゲームも同ジャンルになり、世界で一番賞金の高いゲームとしても有名です。
eスポーツの種目ジャンル4.スポーツゲーム
スポーツゲームは、実際のスポーツを題材にしたゲームです。
「FIFA」や「PES」などの人気のあるサッカーゲームでは、現実のサッカーとは異なり1対1の取り組みになる傾向があります。一方、レーシングゲームでは、プレイヤーが実際の競争シーンに近い環境を体験できます。OVSでは、今までのスポーツとゲームのギャップが少ないため、種目として採用されました。お気に入りのスポーツの新しいシーズンを常に楽しみにしているアクティブなスポーツファンも多く、参入しやすいです。
eスポーツの種目ジャンル5.FPS
FPSとは、「First Person Shooting」の略称。業界で最も古いジャンルの1つです。近年ではPS4やSwitchでプレイされることも多く、初心者でも始めやすいジャンルです。
有名なFPSタイトルは「Apex Legends」や「Halo」です。チャットやパーティー機能によって、友人や見知らぬ人と一緒にプレイし高性能なPCを持たなくても楽しむことができます。
eスポーツの種目ジャンル6.スマホゲームアプリ
スマホゲームアプリは、現在最も人気を博しています。
モバイル市場は、アジアのほとんどの地域および世界で構成されています。モバイル市場は巨大であり、実際にはゲーム業界全体の大部分を占めています。eスポーツタイトルとして「Fortnite」をはじめ、「ポケモンユナイト」や「PUBGmobile」などのタイトルがあります。
eスポーツを体験する上で一番導入しやすいものだと思います。まずは、アプリストアで「Fortnite」と調べてみましょう。
これらが代表的ですが、eスポーツの種目は日に日に増えています。
eスポーツの種目として選ばれる条件
eスポーツの種目として選ばれる条件に以下のようなものがあげられます。
1.1 ゲーム内容に競技性が含まれること(競技性)。
1.2 ゲームとして3ヶ月以上の運営・販売実績があること(稼働実績)。
1.3 今後も e スポーツとして大会を運営する予定があること(大会の継続)。
1.4 e スポーツとしての大会の興行性が認められること(興行性)。
(引用:JeSU公認タイトル規約)
最近まで、長期的に大会がおこなわれることを想定して作られたゲームはほとんどありませんでした。
競技ゲームとして運営・販売実績があり、世界的な認知がeスポーツタイトルを決める上で重要になります。
eスポーツの大会
eスポーツ大会を開催する上でeスポーツコミュニティの存在が不可欠です。ユーザーの規模と歴史が大会の規模に反映されます。選手は個人またはチームで自分のスキルを披露できます。コミュニティを改善したり、ゲームを促進したり、スポンサードすることで業界を盛り上げます。
たとえば、「大乱闘スマッシュブラザーズスペシャル」は、ゲームを介して頻繁にオンライントーナメントを開催しています。
大会の運営は、「関西からeスポーツを盛り上げる」を掲げている株式会社PACkageがおこなう大学対抗戦(JUeC)、高校生練習試合(JHSeC)などがあります。ほかにも株式会社 CyberZがおこなう「Rage」などがあります。その認知度は日に日に上昇しています。
eスポーツ大会の種類
代表的なものはトーナメント形式の大会です。オフラインやオンライン上で参加者を募り、1位を決めます。
予選トーナメントは個人またはチームの実力をテストする手段です。結果に応じて、そのチームが本戦に進みトーナメントで1位を決めます。
リーグ形式の大会もあります。リーグは通常、対戦成績に応じてランク分け。リーグ戦はゲームの開発者によって開催されたり、開発者もチームを率いて参加する取り組みもあります。
eスポーツ大会の賞金総額はどれくらい?
昨年おこなわれたDota2の世界大会「The International 10」では、約43億円もの賞金が出ました。Dota2というゲームは世界的にも有名な5対5のチームゲームです。
League of Legendsの世界大会「2021 League of Legends World Championship」では、約25億2,900万円もの賞金が出ました。また、フォートナイトの世界大会で優勝した16歳の少年が、賞金約3億2,600万円を手にしたことも話題になっています。
このようにeスポーツ大会の賞金額は、想像もできないほどの金額になっています。
eスポーツの今後
ここ最近で、急激に話題に上るようになってきたeスポーツですが、まだまだハードルが高いと認知されていたり、「所詮はゲーム」と言われることもあります。しかし、世界では数億人もの観客を集めてイベントを開催しています。
日本でも、いずれは大きなドームで大会が活発におこなわれ、eスポーツを知らない人がいなくなっていくのではないでしょうか。そのため、今から少しでもeスポーツの知識を身に着け、世界に追いつけ追い越せという考え方が重要だと考えます。
まとめ
現状は若い世代を中心に人気を集めていますが、その他の年代も盛り上がっていってほしいです。子どもがゲームを長時間楽しんでいたら「ゲームをしていて偉い、世界1位を目指しなさい」と言える日本になるように、日本でeスポーツは「スポーツ」だと認知してもらいたい。そのために私たちが、今から少しでもeスポーツの知識を身につけていくことが大切です。
編集:株式会社PACkage、全日本大学eスポーツ対抗戦実行委員会
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