出向と異動を経験して感じたプライオリティとは?

ES(エンプロイーサクセス)実現のためにできることを考える」をテーマにしたこの特集では、実際に異動を経験した方や異動を受け入れた方、キャリアコンサルタントの方などにお話をうかがいます。第8回目の今回は、出向・異動経験のある社員が登場。出向や異動についてどう思うか、経験して良かった点と得られたことについて聞きました。

桃田 智絵(ももた ちえ)プロフィール

桃田 智絵(ももた ちえ)プロフィール

さくらインターネット カスタマーリライアビリティ部 サービスサポート所属。2005年、派遣社員としてさくらインターネットへ入社。2006年に正社員となり、労務業務を担当する。2017年にグループ会社のアイティーエム株式会社へ出向。人事担当として採用業務などをおこなう。2021年に、カスタマーサポートの部署へ異動。

労務一筋から採用業務へ

――桃田さんは社歴が17年と、非常に長い間さくらインターネットで働かれていますね。

 

そうですね。いまほど社員が多くない頃から働いています。現在は東京勤務ですが、2011年まで大阪本社で勤務していました。当時の大阪本社はいまほど広くなく、狭い中でいろいろな人と仕事をしていたので、接点が近くて楽しかった記憶があります。

 

――2017年にはグループ会社のアイティーエムへ出向されています。

 

アイティーエムでは採用業務に携わっていました。それまで労務一筋でしたので、ゼロからのスタートです。採用を増やすために、エージェントさん向けの説明会をしたり、採用イベントを開催していました。さくらの採用担当者の協力を得ながら、進めることができました。

出向を終えてからの異動

――桃田さんは2021年に、人事からカスタマーサポートを担当する部署へ異動されています。異動のきっかけを教えてください。

 

当時、社内でカスタマーサポートなどを担当するカスタマーリライアビリティ部の人員を増やそう、という話がありました。私の上司から異動を決定事項として伝えられ、異動となりました。

 

――異動してみていかがでしたか?

 

私が所属する部署には、大阪本社所属の方が多いです。2011年までは、大阪本社で働いていたので知っている方も多く、みなさん温かく迎え入れてくれました。4年ほどグループ会社の業務に関わっていたので、初めてお会いする方もいましたが、ZoomやSlack越しでもいい人ばかりだと感じます。コロナの影響で大阪にいるメンバーとは、まだ会えていないんですよ。飲みニケーションが好きなので、早く大阪のみなさんと飲みたいですね。

 

――異動先はまったく未経験の職種だと思うのですが、不安はありませんでしたか?

 

前々から仕事を丁寧に教えてくれる部署だと知っていたので、不安はあまりなかったです。ただ、チームによって扱う商材が異なっていて、深いIT知識が必要な部署になったらどうしようという不安はありました。料金・手続き周りのチームに配属となったので、良かったです。

異動先のオンボーディングについて

異動先のオンボーディングについて

 

――異動後のオンボーディングについて教えてください。

 

私と同時期に異動した方が5人、新しく入社された方が1人いました。その方々と一緒に研修を受けました。新しく入った人用のSlackチャンネルがあって、そこで先輩へ気軽に相談できます。

研修は約1か月おこないました。実際にさくらインターネットのサービスを申し込んで使ってみたり、社内講師の方からサーバーの講義を受けたりしました。コロナ禍での異動だったので、ずっとオンライン研修でしたね。研修後はOJTで仕事を覚えました。

 

――OJTでは、具体的にどのようなことをするのでしょうか?

 

お客さまからのお問い合わせに対する回答メールを確認してもらい、フィードバックをいただきます。丁寧な解説と共に時間をかけて教えてもらいました。基本的にはSlackでやり取りするのですが、細かいニュアンスを伝えたいときなどはZoomをつないでやり取りしています。

 

――お客さまからのお問い合わせには、1日に何件くらい回答しているのでしょうか?

 

日によりますが、20-30件といったところです。いただいたお問合せには、1~2営業日以内にお返ししようと心がけています。

お客さまが何を知りたいのかを考え、1回の回答で済むように意識しています。何度もやり取りをすると、お客さまの負担になってしまいますので。

異動して感じた「良かったこと」

――異動して良かったことを教えてください。

 

いい人ばかりで良かったです。Slackの質問をすぐに拾ってくれて、分かるまで教えてくれますし、年齢差を感じません。OJTで教えてくれた先輩も、私より全然年下でしたが、フラットに受け入れてくれました。

社会人になってから労務や採用の仕事をしていたので、お客さまと接する機会がありませんでした。異動したことでお客さまと接する機会をいただけたのは、新しい経験で良かったです。

 

――これまでのスキルを異動後も活かせていると感じることはありますか?

 

労務の仕事をしていると、社内のいろいろな方からお話を聞く機会があります。傾聴力が求められる仕事です。私は産業カウンセラーの資格を持っているので、資格取得時に学んだ「受容」と「共感」を、お客さまのサポートに活かしていきたいと思います。

 

――産業カウンセラーの資格をお持ちなんですね! それは間違いなく活かせるスキルだと思います。異動されてから新たに手に入れたと感じるスキルは何かありますか? 

 

さくらインターネットのサービスに関する手続き周りの知識を得られました。さくらのレンタルサーバやさくらのドメインに関しても学べました。

とりあえずチャレンジしてみることが大切

とりあえずチャレンジしてみることが大切

 

――これから異動をするかもしれない方に対して、異動を経験した桃田さんだから言えることがあれば教えてください。

 

とりあえずチャレンジしてみることが大切です。チャレンジしてみて、ダメなら転職といった選択肢もありますから。

 

――桃田さんは転職の選択肢はチラつきましたか?

 

出向の際は考えませんでしたが、異動の際は私の大好きなアーティストが所属している芸能事務所の求人情報を見ました(笑)。残念ながら募集していなかったです。いまは転職したいとは思っていなくて、チームメンバーと一緒に仕事をしたいと思っています。本当、みなさんいい人ばかりなんですよ。

 

――なぜ出向の際は転職がチラつかず、異動の際はチラついたのでしょうか?

 

出向の際は職種もあまり変わりませんし、相談ベースだったからです。「よければ手伝ってくれない?」という感じでした。異動の際は職種も全然違いますし、業務命令に近かったです。

でも、自分の希望ではなかったからこそ、異動先の方々に「桃田さんが異動してくれてよかった」と思われるようにしよう、というモチベーションがありましたね。いざ異動してみると、直接お客さまと接する経験ができて良かったです。部署のみなさんもいい人ばかりですし。

異動して感じたことがあります。私は「どんな仕事をするか」より「誰と仕事をするか」のほうがプライオリティは高いみたいです。

経験を活かして「やりたいこと」

――桃田さんがこれから「やりたい」と思っていることを教えてください。

 

ほとんどの人が定時で帰れるようにしたいです。これは労務の経験を活かせると思います。いま、同じチームメンバーの、お問合せ数と業務時間の相関関係を調べてみようと考えています。

それと、お客さまのお悩みや疑問を、すぐに解決できるサービスができればいいですよね。たとえば、チャットボットに3ワードくらい入れて知りたい情報が得られれば、メールで問い合わせる必要はなくなるじゃないですか。

そうすれば、お客さまもうれしいでしょうし、働く人の残業時間も減ります。まだ全然アイデアはありませんが、いい方法があるのでは?と考えています。