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ママになっても「やりたいこと」を追い続ける。元北区議会議員 こまざき美紀さんに聞く「仕事と子育て」

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子育て中の女性を含め、「働きたい女性」が個性と能力を発揮し、いきいきと働ける環境を整えることは社会の課題であり、企業にもその姿勢が求められています。

一方で、時間の調整や体力面などの問題から、「仕事と子育ての両立」がそう簡単ではないのは言うまでもありません。実際には、出産前後で仕事のスタイルが変わらないケースは少なく、時間を調整したり、周囲に頼ったり、なんとか折り合いをつけながら仕事を続けている方が多いのではないでしょうか。

元北区議会議員のこまざき美紀さんは、2児の母でありながら、地域や社会のために精力的に活動を続けてきた「ワーママ」の 1人です。ママになっても「やりたいこと」を追い続けてきたこまざきさんのお話から、ライフステージの変化に関係なく、女性が自己実現できる社会をつくるヒントを探ります。

こまざき 美紀(こまざき みき)さん プロフィール

1979年生まれ、福島県郡山市出身。福島大学教育学部を卒業後、2003年に埼玉県戸田市役所へ入職。15年間の在職中に 2度の出産を経験。2013年、地域団体「北区はたらくママ★ネット」を設立し、代表に就任。2018年に市役所を退職し、翌年に北区議会議員選挙に出馬。トップ当選を果たし、議員としての活動をスタート。2023年には北区長選挙に出馬。惜しくも次点でやぶれるが、現在も区民相談や子育て支援などの社会貢献活動をおこなっている。

とにかく仕事に打ち込んだ 20代。
出産や子育てのことは頭になかった

――大学卒業後は戸田市役所に入職されています。市役所職員をめざしたきっかけはなんだったのでしょうか?

中学時代の担任の先生に大きな影響を受け、教員を志すようになりました。大学も教育学部に進学しましたが、それから将来を具体的に考えるなかで「教育の現場で子どもたちに勉強を教える」仕事ではなく、「教育の環境をつくっていく」ような仕事に興味を持つようになったんです。地方公務員をめざすと決めて、実際に各地域を訪れてみたところ、戸田市は人や環境がどことなく故郷の福島に似ている感じがして。「この地域のために働きたい」と思い応募したところ、ご縁があって入職することになりました。

――市役所ではどんな仕事をされていたのでしょうか?

障害者福祉、市民活動や NPO などのコミュニティ推進、税務、入札など、さまざまな業務に携わりました。市民のみなさんと直接コミュニケーションを取ることが多く、大変ではありましたがやりがいがありましたね。戸田市には新卒で入社してから 15年もの間、お世話になりました。

――入職当初に描いていたキャリアプランやライフプランはありましたか?

漠然と「キャリアアップをめざしたい」という気持ちはありました。入職した当時は、結婚や出産などはまったく頭になくて、残業もいとわずとにかく仕事に打ち込んでいましたね。

育休中に家庭以外の居場所を持つことで
「自分」を取り戻すことができた

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――入職して 8年目のころに第1子、その2年後に第2子をご出産されていますね。

はい。子を授かるのにも時間がかかりましたし、妊娠中はつわりやマイナートラブルに悩まされ……。無事に出産したあとも、病気がちだった子どもの看病や 24時間体制の育児に産後うつ気味になってしまい、体力的・精神的にも大変な時期が続きました。

――そんな大変な状況のなか、産休中に地域団体「北区はたらくママ★ネット」を設立されていらっしゃいますよね。なにかきっかけがあったのでしょうか?

育休中は体力的にも大変だったのですが、「社会から取り残された感覚」があってそれがとても不安でした。「〇〇ちゃんのママ」と呼ばれるようになり、会話の主語は「私」ではなく「子ども」になる。いつの間にか自分のことを後回しにするようになったり、体調が悪くても無理をしてしまったりするんですよね。

そんな状態だったのですが、あるとき同じ境遇の人たちが集まってお話をするコミュニティイベントに参加したんです。そこでは自分を主語にして、いろいろなテーマでお話をします。そうした会話をとおして、「私は母親である前に、1人の女性であり社会人なんだ」と、「自分」を取り戻せた感覚がありました。そうしたら、自然と「やりたいこと」が生まれてきたんです。

今度は私が同じ境遇の人たちをつなぐ場を用意して、ほかのママさんたちの助けになりたい――。「北区はたらくママ★ネット」は、そんな想いでママ友を誘って立ち上げた団体でした。

復職してもこれまでどおりにはいかない。
民間サービスにも頼って乗り越えた乳幼児期

――職場復帰後、仕事と子育てとの両立は大変だったと思います。どんなふうに乗り越えていましたか?

幸い子育てに理解がある職場だったのですが、以前と同じように働けるかというと時間的にも体力的にも、かなり厳しかったです。思い描いたような仕事ができないことにもどかしさを感じました。

子どもの通院や看病のために休みたくても、有給休暇には限りがあるし、仕事を頻繁に休むわけにはいかない。当時はリモートワークもなかったので、病児保育や民間サービスなどを活用しながら、なんとか仕事をこなしていました。

――そんななか 15年勤めた市役所を退職し、区議会議員をめざそうと思った理由はなんだったのでしょうか?

市役所の仕事はやりがいがありました。仕事もあきらめたくなくて、朝出勤する前に今日やることをリストアップして消化する順番を考えたり、それぞれの作業を 30秒でも 10秒でも短縮させようと工夫したり、制限があるなかでも自分の力を発揮できるように努めていました。

ただ、なかなか職場でのキャリアアップはうまくいかなくて……。悩んで出した答えが「地域で活動すること」でした。「社会に貢献したい」という想いを実現できる場が、いまの職場のほかにあるのであれば、そっちでがんばってみようと思ったんです。また、出産や子育てを経験して、行政支援の脆弱さを身に染みて感じました。一区民として支援に取り組んでいましたが、身の回りだけでなく北区全体を変えていきたいという思いから、区議会議員を志しました。

子どもの成長と家族の応援をパワーに
「地域社会を変えたい」と選挙に挑む

――結果はトップ当選。議員となってからは、勤務時代とは働き方も変わったのでは?

フレキシブルに働けるのはメリットである一方、働こうと思えばいくらでも働けてしまうのが議員の仕事なんですよね。

私の場合、SNS などオンラインでの発信のほか、『みっきー通信』という紙の区政レポートを作成して駅で配るなど、情報発信に力を入れていました。その結果、ありがたいことにたくさんの区民の方から、ご相談の依頼をいただけるようになったんです。朝から晩まで、年末年始も土日も関係なく仕事をしていましたね。

そのため、家事や育児などのタスクは夫と協力しつつ、重要度によって優先順位づけして、隙間時間にさばくことで、どうにかこなしていました。

――そこから区長をめざそうと思った理由はなんだったのでしょうか?

議員になったときは区長をめざすことは考えていませんでした。でも、いろいろなご相談を区民の方からいただくなかで、議員の立場で世の中を変えていくことの難しさを実感したんです。ひとり親の方、障がいのある方、高齢者の方など、弱い立場にある方々の声を届け、スピーディに支援していきたい。であれば、区長という立場が一番よいだろうと、出馬を決心しました。

――北区長選出馬時、お子さんたちは小学校高学年、中学校入学ぐらいの時期だと思います。立候補された背景にはお子さんたちが成長されて、育児の負担が減ってきたという背景もあるのでしょうか?

そうですね。乳幼児期に比べると手が離れてきたと思います。ただ選挙が4月で、ちょうど上の子が中学校入学のタイミングだったので、結局その時期の記憶が抜け落ちているぐらい忙しかったのですが……(笑)。

とはいえ子どもたちも成長して、選挙や仕事のことをある程度理解して、応援してくれるようになりました。あまり見ない光景だと思うのですが、街頭演説に子どもたちがお友だちを連れて応援に来てくれたんですよ。それがとてもうれしくて、励みになりましたね。

「子育ては満点を取らなくてOK!」
自分に厳しくなりすぎず、心にゆとりを

――北区長選は惜しくも次点という結果でしたが、今後のキャリアについてはどのようなビジョンをお持ちでしょうか?

いままでどおり情報発信や区民相談を続けていますが、最近注力しているのは「現場を知る」ことです。これまで市役所職員や議員として、しくみをつくる、運用していく側の仕事をしていましたが、まだ現場で働いたことはないなと。もっと高齢者福祉・介護について深く理解していきたいという思いから、介護職員初任者研修を受けたり、高齢者福祉施設でお仕事をさせてもらったりしています。

具体的なキャリアビジョンはまだ手探りですが、「世の中をもっとこうしていきたい」という想いは尽きないので、これからもやれることを続けていきたいですね。

――さくらインターネットの企業理念である“「やりたいこと」を「できる」に変える”を実践されているこまざきさん。現在子育て中の女性や、今後出産育児を考えている働く女性に向けて、なにか伝えたいことはありますか?

「仕事と子育ての両立」という言葉をよく耳にしますけど、「両立する」ってとても大変なことで、私自身もこれまで両立ができていたとは思っていません。

完璧な両立をめざしてしまいがちですが、部屋がちょっと汚いとか、洗濯物が溜まっているとか、全然問題ないと思うんですよ(笑)。ご飯食べてお風呂入ってという最低限ができていれば、子どもはちゃんと元気に成長していきます。大変なときは投資と思ってシッターを使うという選択をするのもアリだと思います。

お伝えしたいのは「子育ては満点を取らなくて OK!」ということです。どうか自分に厳しくなりすぎないでくださいね。心にゆとりが出てくれば、そのうち自分の「やりたいこと」や、それを実行するエネルギーがきっと湧き出てくるはずです。

(撮影:ナカムラヨシノーブ)

こまざき美紀 オフィシャルサイト

執筆

篠崎 沙恵

資格スクールでのオウンドメディア編集・マーケティング担当を経て、 2023年1月に中途でさくらインターネットに入社。おもに『さくマガ』編集、ユーザー向けメールマガジンを担当している。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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