実際に異動を経験した方や異動を受け入れた方、キャリアコンサルタントの方などにお話をうかがいます。
今回は、データセンターの技術部門から人事部門(ES本部)に異動したさくらインターネット社員の玉城にインタビュー。異動を打診されたときの率直な想いや、マネージャーとして考える部署のこれからなどについて、語ってもらいました。
ES本部 ES部 人材支援グループ マネージャー
2013年、さくらインターネットに入社。2014年4月より石狩データセンター センター長を務める。2022年8月に、ES本部ES部人材支援グループへ異動。
思いがけない異動の打診。「なんで僕が?」
――まずは、入社された頃の業務内容について教えてください。
2011年5月にさくらインターネットのデータセンターで運用の仕事をしはじめました。
石狩データセンターの開所が2011年11月なので、それに併せて入職した感じですね。開所までの間は、大阪の堂島データセンターでレクチャーを受けていました。
初めて石狩データセンターを訪問した日、北海道はよく晴れていて、石狩の広大な土地の中に建つ大きなデータセンターを目の前にして「ここで働くんだなぁ」と実感が湧きました。
それから、2022年8月にES本部に異動となるまで約10年以上、石狩データセンターで働いていました。
――石狩データセンターでは、どんな役割を担っていたのですか?
自分が手を動かすことは少なくて、マネジメント的な仕事が多かったですね。ただ、完全に運用の現場を離れるのは嫌だったので、なるべく昇進の話は断っていました(笑)。新しく入ったメンバーの教育なども任されることがありましたが、自分としては苦手意識があったんです。お客さまによりよいサービスを届けるために、現場のメンバーと力を合わせていくほうが好きでしたね。
――というと、人事や教育の仕事に興味があったわけではなかったんですね。
はい。石狩で仕事を続けているうちに、データセンターのセンター長や、部署の副部長という立場になっていきました。そして、その役職を譲るために後進を育成していたので、結果的に教育に携わっていたとも言えます。でも、先ほどお話ししたとおり、自分では教育が得意とは思っていませんし、正直に言うと思い入れもとくにありませんでした。
――そんな中での人事部門への異動打診は、青天の霹靂だったのでは?
おっしゃる通りです。ある日、「君のキャリアにとって大事な”いい話”がある」と取締役から呼び出されまして。”いい話”だなんて100%ウソだと思ったのですが、話をうかがったところそれが異動の打診でした。「なんで僕が?」というのが率直な感想で、とても驚きましたね。
――どんな役割を期待されての打診だったのでしょうか?
「教育に力を入れてほしい」というお話でした。後進育成の取り組みが評価されたのか、社員育成へのコミットに期待を寄せて、僕に声をかけていただいたようです。
期待には応えたいと思ったので、その場で異動の承諾をしました。ただ、開発の仕事も続けたかったので「50%は人事、50%は引き続き開発をやらせてほしい」と交渉をしました。
メンバーが自分を受け入れてくれてホッとした
――ES部に異動してみて、どういった印象を持ちましたか?
メンバーみんなが、さくらインターネットでの採用活動の意義と重要性を理解して、矜持を 持って仕事に取り組んでいる。その姿がとてもカッコよくて素晴らしいなと感じました。個々の力が強くて、それぞれがプロフェッショナルとして得意な領域でバリューを発揮している。強いチームだなと思います。
――まったく異なる領域からの異動でしたが、不安はありませんでしたか?
人事未経験の自分が役に立てるのか、正直不安でした。ドキドキしながら異動の日を迎えたのを覚えています。でも「玉城さんが異動してくれて、みんな喜んでましたよ!」と、部長の矢部さんが教えてくれて、「ウソでしょ?」と思いつつもちょっとホッとしました。
人事未経験だからこそ発揮できるバリュー
――人事未経験の玉城さんですが、自分に求められている役割をどのように捉えていますか?
マネージャーとして異動していますし、人事としての実務を求められているわけではないと思うんです。僕がさくらインターネットに入社してから培ってきた経験やスキルを、ES部として進もうとする方向性にしたがって活かしていく。これが求められていることなのかなと、いまのところは考えています。
――玉城さんのスケジュールを見ると、ES部のメンバーとのミーティングがたくさん入っていますね。
定期的に相談会をやっていますね。ES部は情熱を持ったメンバーが多いので「これをやってみたい」「こんなふうにしたい」といったアイデアにあふれているんです。僕は人事のことにはくわしくないので、そういったアイデアに対して、自分の経験をもとに、「客観的に見てどうか」「合理的なプランかどうか」という視点で、一生懸命応えるようにしています。
言葉を選ばずに言うと、僕はほかのメンバーのように、人事の仕事に対する熱い情熱や、強いモチベーションを持っているわけではありません。でも、情熱を持っている人たちのサポートはできるんじゃないかなと思っているんです。その部分については、僕の経験やスキルを活かしてコミットしていきたいです。
――むしろ実務を知らない人のほうが、アドバイザーとしては適任という考え方もあるようです。
確かに実務を知らないぶん、客観的な視点で見れますからね。そう言ってもらえるとうれしいです。
異動によって「新しい視点」を得られた
――異動をしてよかったと感じることはありますか?
いまのメンバーと働けていることですね。僕の場合は、全然違う領域の部署からの異動だからという理由もありますが、やはりメンバーのバックグラウンドやスキルセットが結構違います。いままで持っていなかった視点を得られるのはとても刺激的で、異動のメリットの1つだと感じます。
また、転職とは異なり、低リスクで新しいことに挑戦できるのも、異動のメリットですよね。違う分野で挑戦してみたいことがある方は、まずは上長に1on1でキャリアの相談をしてみるのがいいと思います。
――逆に、課題に感じていることはありますか?
腰を据えて考える時間がなかなかとれないことですかね。いま、さくらインターネットでは採用に力を入れていることもあり、経営陣とのミーティングや、やらなければならない案件が増えています。難しい部分はありますが、もう少しメンバーや自分のために割く時間を確保しないといけないと思っています。
――ES部では社内公募も含め、新しいメンバーを募集しているそうですね。玉城さんが一緒に働きたいと思うのはどんな人ですか?
人事未経験でも、ES部で「こういうことをやりたい!」という想いや、ポリシーのある方にはぜひ応募していただきたいです。
また、僕としては、そういった方を受け入れてプロに育成していけるようなチームをめざしたいと思っています。
(撮影:ナカムラヨシノーブ)