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エンジニアから法務担当へ。異動が本当に自分のためになるかを考えるのが重要

実際に異動を経験した方や異動を受け入れた方、キャリアコンサルタントの方などにお話をうかがいます。

今回は、エンジニアから未経験で法務部への異動を経験した社員に話を聞きました。

 

奥田 隆富(おくだ たかとみ)プロフィール

奥田 隆富(おくだ たかとみ)プロフィール

2001年4月に入社以来、2017年までサーバー運用業務を中心に従事。行政書士資格を取得したことがきっかけで法務部に異動。2021年より現在のCS本部テクニカルソリューション部に異動し、セールスエンジニアとして活躍中。

資格取得をきっかけに異動

――奥田さんは2001年に入社されていますが、当時はどういったお仕事をされていたんでしょうか。

ネットワークエンジニアとして入社しました。未経験で中途入社したので、最初はあまり知識もありませんでした。まずはカスタマーサポートの業務を経験したあと、サービスの運用を中心に従事していました。その後、2017年に法務部に異動しています。

 

――エンジニアから法務部への異動って珍しいですよね。どういった経緯で異動されたんですか?

運用業務をしているときに、ずっとこのままでいいのかと思うところがあり、ひとまず資格をとってみようかな、ということで行政書士の資格を取得しました。

会社に報告したら、当時、法務のマネージャーをしていた方の目に留まったようで、「法務に異動しないか」と声を掛けていただきました。

資格はとったものの、どう活かすかについては考えていませんでしたし、法務部への異動も自分では考えていなかったのですが、「キャリアチェンジになるな」と思ってお受けすることにしたという感じです。それが2017年のことですね。

 

――行政書士を選んだ理由はありますか?

法律系の資格に興味があったからです。年1回の試験なんですけど、3回目の試験で合格しました。

 

――仕事をしながら3年間勉強されたのはすごいことですね。勉強時間の確保はどうされてましたか?

法律に関する素地がなく、何を言ってるのかわからない、というところから入っているので、それは大変でしたね。

勉強は朝起きて1時間くらい自宅でしたり、電車の中やお昼休憩中にもしていました。仕事終わりには、カフェで1時間くらい勉強していましたね。

家に帰って、ご飯たべてお風呂に入ると、いざ「勉強するぞ」と思っても机に向かって寝てしまうので、平日は家に帰るまでにある程度やるべきことはやってしまうようにしていました。

家ではつい遊んじゃうので勉強しづらいので、土曜日も午前中は外に勉強をしにいってました。土曜日の午後から日曜日は基本的には家族サービスの時間と決め、予定より大幅に遅れているときなどは、勉強の予備日としています。

 

――モチベーションの維持はどうされてましたか?

モチベーションの維持は、なかなか難しかったです。勉強したつもりでも、それがなかなか点数に結びつかなかったので、勉強スタイルが合っているのか不安になったり、焦ったりしていました。

お年を召した方が何年もチャレンジしているのを見て、「できる範囲で少しずつやろう」と少し心境を整理しましたね。

あとは、何年間かやってきて「いま止めると形になるものが残らないのが悔しいな」という思いがあったんです。資格取得後、この業務をやりたいという思いがあったことがモチベーション維持につながりました。最後には奇跡が起きてくれました。

業務未経験で「すべてが新鮮」

業務未経験で「すべてが新鮮」

 

――法務部への異動はポジティブに考えられていましたか?

そうですね。このような言い方はよくないのかもしれないのですが、お給料をもらいながら勉強できるなと思っていましたので、とても前向きな気持ちでした。ただ、とりあえず資格だけはとりましたけど、法務のお仕事も最初はまったくわかりませんでしたから、それでちゃんとやっていけるのかという不安はありましたね。

 

――異動したあとは率直にどう思われましたか?

法務の業務を知らな過ぎたので、「こういうことをやらないといけないんだ」「これも必要なんだ」と思うことがたくさんあり、すべてが新鮮でした。

 

――法務の業務はどのように覚えていったのでしょうか?

教育係の方についてもらい、契約書のチェックの仕方など、かなり親切に丁寧に細かく教えていただきました。

具体的には、「契約書のこの内容はこう考えるんだよ」といったことをかなり細かくメールで解説していただきました。そのメールを書くのにも、かなり時間を割いていただいたと思います。でも、メールでのやりとりは、あとで読み返すことができて、かなり助かりました。

限られた人数のなか各々のやるべきところに取り組んでいる状況で、まったく仕事がわからない私が異動してきたことで、負荷はぐっと上がってしまったと思います。それでも、みなさん親切に、OJTのような形で尽力していただきました。

法務のメンバーは全員が東京にいましたが、私だけ大阪にいました。やりとりはメールやSlackが基本になります。私が異動した当時は、まだZoomも導入されていませんでしたし、ビデオ会議ができる会議室をとるのもなかなか大変でした。ただ、口頭で話したほうがいいこともありますので、電話でもやりとりしながら業務をおこなっていました。

 

――法務部に異動してから、エンジニアの知識が活かせたことはありましたか?

直接活かせることは少ないですが、サービスチームの方から相談を受けるときは、エンジニアとしての知識が役に立つことはありました。

たとえば、訴訟関係のご相談だと、「レンタルサーバーにこういった書き込みがされたので消してほしい」といった内容で個人情報の開示を求められることが多くあります。

さくらのレンタルサーバやさくらのVPSなどのサービスに関わりますから、そのサービスがどういったものかをわかっていると、法的なお話もしやすいという面はあると思います。

 

――2021年に、法務部からテクニカルソリューション部に異動されましたね。

はい。法務部に異動してから、サービスに関わる仕事をしておきたいなと漠然と思っていて、そのときの上司といろいろ話したうえで、最終的には異動の相談をさせていただきました。

現在所属しているテクニカルソリューション部 セールスエンジニアグループでは、営業担当者を通してお客さまからいただいたサービスの仕様などについてのお問い合わせに対応したり、一部回線系のサービスについては構築の調整や作業をしたりといった業務をおこなっています。

最初から、なんとなく異動するならテクニカルソリューション部が合っているかなと思ってはいたんです。上司ともそういう話をしていましたが、選択肢の幅はもたせておいたほうがいいということで、いくつかの部門とお話をする機会をいただきました。

事前にテクニカルソリューション部の業務について聞くことができたので、自分が異動する前に想定していた内容と、実際に入ってみてからの業務内容にそこまでギャップは感じませんでした。

前向きな気持ちで異動できるように

前向きな気持ちで異動できるように

 

――今後チャレンジしたいことはありますか?

うちの会社は、意外と手作業が多いなって思っているんです。法務部においての事務作業はそこまで多くはありませんでした。ただ、定型のものもありましたので、そのためにリソースを割かれるのも嫌だなと思って、スクリプトを作って半分自動化してみたんです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)というほど大きなものではなくて、手作業でやりすぎているところをもっと簡単にして、ほかにリソースを回すことができればと思っています。

あとは、せっかく行政書士の資格をとったので、行政書士として開業届だけ出すつもりです。さくらインターネットは副業OKですからね。具体的にどうやっていくかはまだ考え中です。

 

――これから異動する方になにかメッセージはありますか?

「会社としてここに人が足らないから異動した」「勧められたからとりあえず異動した」ではなく、異動することが本当に自分のためになるのかを考えてほしいです。

私の場合、法務から異動する前に、上司が時間をとって話をしてくれました。当然、上司も暇なわけはないのですが、わざわざ時間を割いて、私が本当はどうしたいのか、一緒に考えてくれたんです。

そういうことをおろそかにせず、きちんと前向きな気持ちで異動できるようにしてほしいですね。

なにかを突き詰めたい人もいれば、まんべんなくいろいろなことをしたい人もいます。長年同じ部署にいるから異動したほうがいい、逆に異動するにはまだ早いなどと考える方もいるかもしれませんが、異動のタイミングは人それぞれでいいと思います。

 

さくらインターネット 法務部採用情報

さくらインターネット テクニカルソリューション部採用情報

 

 

執筆

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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