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自社のDXを進めることを検討しているものの、具体的な手順がわからないケースもあるのではないでしょうか。当記事ではDXの具体的な進め方を7ステップにわけて解説します。
DXを進める際に解決するべき課題についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。
DXの定義
DXとは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称です。経済産業省はDXを以下のように定義しています。
【経済産業省によるDXの定義】
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
引用:経済産業省『デジタルガバナンス・コード2.0』
身近なDXの例として、テレワークや無人店舗、モバイルオーダーなどが挙げられます。また、ビジネス面では、データに基づいた顧客のニーズに応える新たなビジネスの創出などがあります。
このように、IT・デジタル技術を活用してビジネスプロセスや新たな顧客体験を創造し、ビジネスや市場の要求を満たす変革がDXです。企業にとってのDXは、時代やビジネス環境の変化に対応し、自社の競争力を高めるための取り組みといえるでしょう。
DXとIT化の違い
DXとIT化は、デジタル技術を活用する点で共通していますが、その目的が異なります。そもそもIT(information technology)とは、コンピュータやインターネットなどを利用した「情報技術」のことです。
【DXとIT化の違い】
相違点 |
DX |
IT化 |
意味 |
・デジタル・トランスフォーメーション ・デジタル技術を活用したビジネス変革 |
・インフォメーション・テクノロジー(情報技術) ・コンピュータやインターネットなどを活用した技術 |
目的 |
・ビジネスの変革による新しい価値の創出 |
・プロセスの変革による業務効率化 |
変化 |
・質的変化をもたらすもの |
・量的変化をもたらすもの |
DXはビジネスモデルやビジネス自体を変革させ、新しい価値を創出することを目的におこなわれます。一方、IT化はプロセスを変革させ、業務効率化を目的におこなわれるものです。このように、DXは「質」、IT化は「量」に対する変化をもたらすものとして違いを捉えることができます。
なお、DXと混同されやすい「デジタル化」は、紙などを使用していた既存の業務やデータなどを、デジタル技術を用いた方法に変換することです。DXは、「デジタル化」によって業務の効率化を図りながらビジネスモデルそのものを変革していくことを指すため、デジタル化の延長線上にDXがあるといえます。言い換えれば、デジタル化はDXに必要な要素の1つということです。
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DXに必要な要素
デジタル化のほかにもDXに必要な要素があります。下記はその一例です。
- 業務プロセスの改善
- 社内のDX推進体制の整備
まず、業務プロセスの改善は、業務のデジタル化によって推進が可能です。
次に、社内のDX推進体制を構築する方法として、DX推進の専門部署を設立する方法や、既存のIT部門を拡張する方法があります。また、各部門内にDX推進部門を設立し、システム部門がサポートしながらDXを進めていく方法などもあります。
いずれも、既存の各業務と社内システムの関係性や、各業務プロセスの全体像などの現状を把握するところから始める必要があります。とくにデータを活用する場合は、部門ごとの限定的な使用にならないよう、体制を整備する段階で、部署を横断したデータ連携ができるようにしておきましょう。
DXの進め方
DX推進は、おもに7ステップの工程を要します。
【DXの進め方】
STEP1:課題を抽出しDXの目的を明確にする
STEP2:DX施策を策定する
STEP3:DX推進の優先順位をつける
STEP4:DX人材の確保や社内人材の育成を進める
STEP5:社内のデジタルリテラシーを高める
STEP6:必要なデジタル技術に投資する
STEP7:施策に基づき社内全体で取り組む
STEP1:課題を抽出しDXの目的を明確にする
DX推進の目的は、企業が抱える課題によって異なる場合がほとんどです。まずはDX推進の目的を明確にします。目的を明確にせずにDXを進めようとしても単なる「デジタル化」で終わってしまう可能性があるからです。
課題の抽出にあたっては、既存の業務プロセスやシステムなどを棚卸しすることによって明確になります。
DX推進の目的を明確にし、次の調査をおこなうことで、DX施策の策定がよりスムーズにおこなえるでしょう。
【DXを進める際におこなう調査の例】
・他社の事例調査(成功・失敗要因)
・市場や顧客のニーズ
・技術および人材、システム、データなど自社のリソース整理
DXを進めるためには、現場を巻き込む必要があります。従業員に対して影響力を持つ経営陣が、DX推進の目的とビジョンを従業員に表明するところから始めましょう。
STEP2:DX施策を策定する
自社の抱える課題と調査に基づくDX施策を策定します。DX施策は「DX戦略」として策定する企業もあり、課題解決に向けた具体的な方向性を明確に定めるためのものです。
【DX施策で明確にする計画の例】
・対応部署
・対応内容と期限
・予算
DX施策は、特定部署や複数部署を対象とする場合や、全社で取り組む場合もあり、さまざまな施策が想定されます。DXを進める際には、経営層を含めて全社横断的な話し合いをおこない、施策の策定をすることで、共通意識を持ちやすくなるでしょう。
STEP3:DX推進の優先順位をつける
DX推進に際して取り組むべき施策は、複数にわたる場合がほとんどです。複数の施策に対して、優先順位を決めて実行してみてください。
優先順位を決めるには、まずは施策ごとに必要となる「人員やコストなどのリソース」「所要日数」を算出しましょう。このように、業務への影響度など加味して実行する順位を決めることが大切です。
STEP4:DX人材の確保や社内人材の育成を進める
DX推進には、AIやIoTに関する知識が豊富な人材や、データ分析をおこなえるデータサイエンティストなどの人材が必要です。抽出された課題に対して、社内の人材育成だけで対処しきれない場合には、外部の専門家に任せましょう。
ただし、DX推進の責任者には、内部の人材を登用することをおすすめします。業界や自社を理解しているため、より課題に沿ったDXを進められるでしょう。
STEP5:社内のデジタルリテラシーを高める
DXを推進する際、社内のデジタルリテラシーを高める必要があります。デジタルリテラシーとは、デジタル技術や知識を正しく理解し、活用する能力のことです。
デジタルリテラシーが低いままDXを推進すると、単なるデジタル化で終わってしまう可能性があります。デジタル化は目的を達成する手段で、業務やビジネスモデルの変革につながらない場合もあるため、注意が必要です。
社内のデジタルリテラシーを高めるためには、社内研修を設けたり、外部のセミナーやeラーニングなどを活用したりしましょう。
STEP6:必要なデジタル技術に投資する
人材や社内の体制を整えたら、DX施策を実行するために必要なデジタル技術に投資します。「デジタル技術への投資」に相当するのは、システム開発やクラウドサービスの利用などです。
このようなデジタル技術への投資を、コストとして捉えてしまうと、自社の課題解決に必要な技術を取り入れられない場合があります。逆に言えば、デジタル技術に対する適正な資金投入が、DXを成功に導くカギとなる可能性もあるのです。
デジタル技術を導入する際には「自社の抱えている課題を解決できるか」「DXのゴールとして変革させたいビジネスモデルを実現できるか」などを中心に検討してみてください。
STEP7:施策に基づき社内全体で取り組む
DX施策によって成果を上げるためには、全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組むことも重要です。
実際に、2020年の「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査」では、「全社戦略に基づいて全社的にDXに取り組んでいる」という企業ほど、成果が出ている割合が高いことが報告されています。
DXを会社が抱える課題の解決策とするためにも、特定の部門に限定せず、現場の従業員や役員を巻き込んでDXを推進しましょう。
DX推進の課題
DX推進にはいくつかの課題があります。それぞれの課題は関連し合っている部分が多いため、一つひとつ課題を解決していくことによってスムーズにDXを推進できるでしょう。
【DX推進の課題の例】
・経営層のDX推進への理解
・DX人材が不足している
経営層がDXを理解していないと、DX人材の確保がおこなわれず、DXが進まない場合があります。経営層にDXについて、理解してもらうためにも、中長期的な視点で経営戦略にDXを盛り込んでいくようにしましょう。
また、DX人材は不足しているとされており、社内の人材不足によって、DX推進が思うように進まないケースもあります。専門的な知識を持つDX人材がいない場合、中途採用や社内教育をおこなう方法がありますが、コストや時間がかかります。
DX人材を確保できない場合は、DX推進をアウトソーシングするのも1つの手段です。採用活動やDX人材の育成が進捗しない際は、1つの手段として検討してみてください。
まとめ
DXの具体的な進め方を7ステップでご紹介するとともに、DXに必要な要素や、DX推進における課題をご紹介しました。ぜひ本記事を参考にDXに取り組んでみてください。
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