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DX成功の鍵は、スモールスタートを切ること。現場DXソリューションを提供するエージェンテックが見る、現場への浸透の秘訣とは

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現場DX を実現するソリューションを提供している株式会社エージェンテック。営業職や販売、工場や建設現場の作業員や乗務員など、あらゆる現場で働く人々をサポートするため、受託開発、自社製品の開発をおこなっている。

 

数あるソリューションのなか、今回お話をうかがったのは、ドキュメントをノーコードでペーパーレス化できる「ABookBiz(エーブック・ビズ)」について。開発のきっかけ、導入事例について、マーケティング部 エヴァンジェリストの宮崎 裕明さんに話を聞いた。

宮崎 裕明(みやざき ひろあき)さん プロフィール

株式会社エージェンテック マーケティング部 エヴァンジェリスト

産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客さまの課題解決支援に奔走、フィールド業務におけるモバイル活用方法などを提案し、さまざまな業界の支援をおこなっている。

ITの知識がなくても現場DX が可能となるソリューション

紙のカタログや資料を PDF化し、タブレットやパソコンで閲覧できるようにするものは多々ある。類似ソリューションがあるなか、エージェンテック社の ABookBiz ならではの特徴について、宮崎さんは次のように説明する。

 

「1つ目はコンビネーションコンテンツ。PowerPoint資料を作る手順と同じようにして、テキストや動画、画像、HTMLといった素材を組み合わせて 1つにまとめられます。これにより、紙で 10ページ必要な情報量を 1ページに収められるのが特徴です。

 

2つ目は対話型であること。1つの PowerPoint をベースとし、そこに既存資料を紐づけることを対話型(ナビゲーション)と呼んでいます。仕事をするなかで、情報を探す時間は 1日の多くを占めていることがあるんですね。古い資料を確認するとき、ファイルサーバーまで探しに行くこともあります。紐づけすることにより、対話を進めながら最適な資料をすぐに呼び出すことができるので手間がなくなりますし、一括で資料がアップデートされるため、古い版を持ったままになってしまうことも防げる。他にもいろいろな機能がありますが、この2つが ABookBiz ならではの特徴です」

ABookBiz の画面。ここから作業手順、マニュアル、動画解説とそれぞれの情報に飛べる

現場DX を後押しするソリューションとして、大切なのは現場の使い勝手を考えることだという。

 

「なかなか紙がなくならないのは、『結局、紙のほうが面倒じゃないから』と思っている人がいるからなんです。現場にとって使い勝手のよいソリューションを提供できれば、自然と使いこなそうと思っていただけます。使いこなしていくことでおのずとスキルアップされますし、『もっとこうなったら便利になるのでは』といったアイデアも出てくる。

 

それらのニーズを受け、必要だと判断されたものは新機能として追加し、個別性の高いものはカスタマイズで対応する。その繰り返しで ABookBiz をブラッシュアップしてきました。先ほどの 2つの特徴でいうと、紐づけはお客さまからのニーズを受け、追加実装した機能です。最近では、PC を使うときのようにタブが出たままのほうが使いやすいというお声を受け、マルチタブにも対応しました」

 

現在ではさまざまな機能がある ABookBiz だが、「すべての機能を使う必要はない」という。

 

「目的は DX ではなく、業務効率化。利用者が使えないシステムを導入しても、現場に浸透させることは難しいでしょう。そもそも、スキルを身に付けてもらうのが、目的ではないので、そこにばかり時間を割くのはもったいない。使い方を覚える時間よりも『どうしたいか』を考える時間に使ったほうがいいというのが弊社の考えです。導入いただく際に、特別こちらから支援をおこなう必要はほぼなく、みなさんすぐに使っていただけていますね。PowerPoint で営業資料が作れる人であれば、何の説明もなく使い始められます。ITの知識がなくてもDX できるソリューションなんです」

 

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タブレット黎明期、「これを業務効率化に使いたい」という顧客ニーズを捉えたのが開発のきっかけ

ABookBiz の開発のきっかけは、2010年に iPad が登場したことだ。顧客である運輸業界から「タブレット端末を使ってペーパーレスを進め、フィールド業務に活かせないか」というニーズを受けたのが発端だったという。膨大な紙のマニュアルを持ち運ばなければならない運輸業界にとって、ペーパーレスは業務効率を向上させる重要な意味を持っていた。

 

しかし、当時のタブレットは性能が低く、表示速度も遅かった。通信環境もいまの 5Gどころか 4Gすら整っていない時代の話で、現場で持ち歩いて使うにはオフラインで使えるものでなければならなかった。

 

「ビジネス用ソリューションのため、セキュアであることも求められました。5年目くらいまではデータを端末にダウンロードすることも許されなかったんです」

 

ドキュメントのペーパーレスだけではなく、音声や動画データも扱いたい。社員の利用ログを取れるようにしてほしい。現場の社員が使えるよう、直感的に使える優れた操作性を持たせたい。そして、iPad だけではなく、iPhone、Android、Windows などでも使えるマルチデバイスであること。これらの条件を実現すべく、第1世代の ABookBiz の開発に取り組んだそうだ。

 

「当時タブレットは、ビジネスシーンで使うイメージがなく、一般消費者が趣味で使うものといった感覚でした。どのハードルも乗り越えるのが大変だった印象があります」

鉄道会社・工場に広く導入済み。今後進めていきたいのは営業ツールとしての活用事例

ABookBiz のホームページには、さまざまな導入事例が掲載されている。初期からABookBiz の導入が進んでいる鉄道会社や工場では、現場の点検のトレーニングが遠隔地からできるようになり、端末上でマニュアルを頻繁に確認するようになったという。

 

「鉄道会社では VR の活用が進んでいます。車両の 360度画像を入れることで、端末から事前に確認できるようになりました。遠隔地から『この場所を確認してほしい』と伝えることも、画像があれば容易です。工場でも同様で、VR であれば 1枚で全体像を見られるので、現場で注意すべき点を遠隔地からでも確認できます。また、紙のマニュアルを持ち歩かなくなり、ABookBiz上のマニュアルを頻繁に見るようになったと聞きます。結果的に、安全性の向上にもつながる効果があるのではと思いますね」

紙の資料だと膨大なページ数になる情報量でも、ABookBiz上のマニュアルなら簡単に知りたい情報を確認できる。

ABookBiz は、すでに鉄道会社や工場に広く導入が進んでいる。現場の VR、マニュアルのペーパーレス、機器の使い方の動画を紐づけるといった具合に活用されているという。今後導入を進めていきたいのは、営業ツールとしての活用だ。

 

「タブレット上で製品の情報をいつでも確認、提示できることで、商談で別商品の話が出た際にも、すぐその場で話を進められます。利用ログで、どの営業社員が何を見せて商談をしたのかを確認できるため、属人化しない営業も可能となります」

 

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DX=デジタル化ではない。自社の仕事の変革こそがDX

第1世代の ABookBiz が登場し、13年。現在は第2世代が活躍中だ。長年、現場の DX支援に取り組む宮崎さんは、「日本の DX はまだまだ遅れている」という。

 

「IT企業に依存するのが当たり前という文化が根付いているため、進みが遅いのだと思います。中小企業はとくに予算も厳しいですから、より一層スピードが落ちる。また、デジタル化と DX を混同している会社が多いとも思っています。だから IT人材不足が取りざたされているのでしょう。

 

中小企業が目指すべきは DX。DX とは仕事の変革であり、イコールデジタル化ではありません。ABookBiz のようなソリューションを使い、『いままでのスタイルでいかなくても仕事ができる』と思えることがいわゆる DX だとお伝えしたいですね。IT人材がいないから DX ができないというわけではないのです」

 

最後に、宮崎さんに今後の展望、DX に悩む全国の企業へのメッセージを語ってもらった。

 

「タブレットが世に出てきたとき、業務効率化に使えるとは想像もしていませんでした。お客さまと話し、試行錯誤しながら、遠い未来ではなく近い未来の働き方をイメージしてプロダクト開発をおこなってきました。労働人口が減っていくなか、ABookBiz がオンリーワンツール、弊社がオンリーワン企業となれるよう、今後もまい進します。

 

企業規模を問わず、DX 成功の鍵はスモールスタートを切ることです。とくに中小企業は小さなところから始め、段階的に運用を広げていくことが投資リスクを軽減することにつながるでしょう。繰り返しになりますが、利用者に IT 知識がなくても、ABookBiz であれば今すぐ業務のDX化が可能です。自分たちの業務スタイルで使うべき機能はどれなのかを見極め、使い倒すことで DX を成功させられるのではと思っています」

 

株式会社エージェンテック

 

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執筆

卯岡 若菜

さいたま市在住フリーライター。企業HP掲載用の社員インタビュー記事、顧客事例インタビュー記事を始めとしたWEB用の記事制作を多く手掛ける。取材先はベンチャー・大企業・自治体や教育機関など多岐に渡る。温泉・サウナ・岩盤浴好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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