銀行振込み・請求書払いはなぜ多い? 法人・個人事業主の決済事情

さくらインターネットのサービスを利用する法人のお客さまは、支払い方法として銀行振込みや請求書払いを選択することが多い。しかし、銀行振込みと請求書払いは都度の振り込みが必要となり、支払いを忘れてしまう可能性がある。これにより、料金の未払いによるサービス停止が発生し、お客さまの事業に支障が生じることも少なからずあるようだ。

支払い忘れなどに対する有効な解決手段はあるのだろうか?

まずは、サービスの料金支払いの現状について、さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部 カスタマーリライアビリティ部で請求・入金業務を担当する2人に話を聞いた。

 

(監修:株式会社マネーフォワード)

支払い忘れの多い「銀行振込み」「請求書払い」

さくらインターネットでは、レンタルサーバー、VPS・クラウドサーバー、ドメイン取得・管理といったサービスを提供している。サービスの利用料金は、以下のような支払い方法で決済が可能だ。

  • クレジットカード決済
  • 銀行振込み
  • 請求書払い
  • 自動口座振替

さくらインターネットが提供するサービスの料金や請求に関する業務に携わる松居は、支払いの現状についてつぎのように話す。

「さくらインターネットでは利用者のご事情に合わせて支払い方法を選べるよう複数の手段をご提供しています。契約の約半数が法人ですが、ほかの契約形態と比較すると銀行振込みや請求書払いで料金をお支払いいただく比率が高いように思います」
法人の契約者に多く利用される銀行振込みや請求書払いだが、ほかの支払い方法に比べていくつかの課題がある。松居と同じく料金関連の業務を担当する中田は「銀行振込みや請求書払いは、振り込みにいく手間や振込手数料がかかる場合があります。コンビニや郵便局に払込票を持って足を運ぶ手間も、不便に感じられるかもしれません。さらに、請求書払いでは、郵便事情や住所変更などで請求書がお客さまのお手元に届かない可能性もゼロではないと思います」と指摘する。

さくらインターネットでは、お支払い期限経過後に料金が未払いである旨の連絡をおこない、一定期間支払いがなければサービスの利用停止や廃止(解約)となる。複数回の連絡をおこなったのち「請求書に気がつかなかった」という利用者も見受けられるのが現状だ。このことから、銀行振込みや請求書払いは、「支払い忘れ」が発生しやすい決済方法であると考えられる。

「支払い忘れのないクレジットカード決済や自動口座振替などを利用いただくお客さまは徐々に増えてきてはいます。ただ、現状では、銀行振込みや請求書払いを選択されるお客さまも多いですね」と中田は続ける。

自動口座振替やクレジットカード決済の「利用の壁」

多くの利用者が、コストや手間がかかりがちな銀行振込みや請求書払いを選択する背景について、松居はつぎのように話す。

「自動口座振替やクレジットカード決済を選択するにあたって壁があるのではないでしょうか。たとえば自動口座振替では、事前に口座振替依頼書という書面を記載し、さくらインターネットに送っていただく必要があります。また、振替日が固定されているので、お客さまが支払いたいタイミングで支払いができません。そういった点が壁になっているのかもしれませんね」

クレジットカード決済であれば、決済から支払いまでのタイムラグ(ユーザンスと呼ばれる支払い猶予期間)があるため、キャッシュフローの改善が期待できるなど、経営的には有利なことが多いように思える。また、従業員数が50名以下の企業を対象にした法人カードについてのアンケート調査では、法人カード(法人向けクレジットカード)の契約目的を「支払い業務の効率化」とした回答者は60%以上にのぼった(株式会社マネーフォワード調べ)。

出典:法人カードの利用に関する調査(2022年時点)|株式会社マネーフォワード

請求書払いや自動口座振替と比較しても、キャッシュフローの改善や支払い業務効率化につながることから、資金繰りや人員にあまり余裕のない中小企業や個人事業主にとってクレジットカード決済は経営面でメリットが大きい支払い方法に見える。

しかし、マネーフォワードの同調査では「法人カードを持っていない」と答えた回答者が半数以上を占めていた。

「法人向けプリペイドカード」という選択肢

利便性が高いにもかかわらず、そもそも法人カードを所持していない事業者が多いのはなぜなのだろうか。マネーフォワードが提供している法人向けプリペイドカード「マネーフォワード ビジネスカード」の担当である堀 容隆さんに質問してみた。

「法人カードの与信審査や利用限度額が利用のハードルになっているのかもしれませんね。たとえ手元にキャッシュがある事業者でも、スタートアップのように社歴の浅い企業の場合は、法人カードの与信審査に通りにくい実情があるようです。また、法人カードを作れたとしても利用限度額が十分ではなく、支払いに使いづらい場合もあります」

堀さんは「弊社が提供するマネーフォワード ビジネスカードは、そういった課題を抱える法人・個人事業主の方々でも使っていただきやすい法人向けカードです」と続ける。

マネーフォワード ビジネスカードはウォレット(専用口座)に入金しておけば、利用限度額なしでカード決済ができるプリペイドカード。プリペイドカードのため与信審査はなく、「申請してから1枚目のリアルカードが届くまで、思っていたよりも早かった」と感じる利用者も多いようだ。

「リアルカードのほかに、バーチャルカードを無料で即時発行できるため、経費の種類ごとにカードをわける、といった使い方も可能です。Webやアプリ上からカードごとの利用額を設定できるカードコントロール機能も備えているため、意図しない多額の利用を防止しつつ安心して利用いただけます」

マネーフォワード ビジネスカードでは基本決済金額の1~3%がポイント還元されるため、請求書払いや自動口座振替などに比べると少しお得な決済方法という見方もできるだろう。また、「最近あと払い機能が追加されたことで、より使い勝手が向上したと思います」と堀さんは補足する。

「『あと払い』は、マネーフォワード クラウド会計、もしくはマネーフォワード クラウド確定申告をご利用のユーザー向けに、連携している銀行口座の情報をもとに与信額を付与する機能です。事前チャージをしなくても利用できるため、活用シーンが広がったとのお声をいただいています」

 

さくらインターネットの利用料金は複数の支払い方法より選択できる。しかし、クレジットカード決済をしたくても与信審査などのハードルから銀行振込みや請求書払いを選択せざるを得なかったというケースもあるようだ。マネーフォワード ビジネスカードのような法人向けプリペイドカードであれば、与信審査もなく手軽に発行できるため、導入のハードルも低い。クレジットカード決済に切り替えたい法人・個人事業主の方は活用してみるのも一手ではないだろうか。

 

マネーフォワード ビジネスカード